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第8章 そのザマァ、本当に必要ですか?
第91話 その腹黒、まだ何かするつもりですか?
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「今ごろ王妃様はオーウェン殿下の婚約者をお嬢様にしとけばよかったと後悔なさっているかもしれませんね」
「どうして? 公爵令嬢で有能なイーリヤ様の方が、私よりオーウェン殿下の婚約者として相応しいわよ?」
カミラは常々不思議に思うのだが、ウェルシェは意外と自分を客観視できていない。
「イーリヤ様はご自分の才能を隠そうともしないお方です。ですから無自覚に男の自尊心をバッキバキに折られておいでなのです」
能力だけは激高のイーリヤだが、貴族の中での立ち振る舞いは意外と下手だとカミラは見ている。
「その点お嬢様は裏で蠢動するのが大好きな腹黒。ヘタレなエーリック殿下でさえきちんと立てられるお方ですから」
「失礼ね! エーリック様は努力されているんだからオーウェン殿下よりもうちょっとマシよ」
もうちょっとだけなのかとカミラは思ったが、そこはあえて突っ込まない。
「オーウェン殿下はプライドが高いですからイーリヤ様とは絶望的に相性が合いません。今からでも婚約者をお嬢様にすげ替えようとなさるのでは?」
「まっさかー」
ケタケタ笑ってウェルシェは手をヒラヒラと振る。
「だって王妃様自ら私とエーリック様の婚約を保証なさったのよ。今さら撤回はできないわ」
「それもそうですね」
ウェルシェの指摘はもっともだ。
もし、彼女をオーウェンの婚約者としたいのであれば、オーウェンに厳しい裁定は下していなかったであろう。
「だとすると、オーウェン殿下の王位継承権の行く末が当面の問題ですか」
「あのボンクラ王子が改心するとも思えないものねぇ」
「それで、お嬢様はいかがなさるおつもりなのです?」
このままではエーリックが立太子する未来一直線である。
「どうにかしてオーウェン殿下に実績を上げさせないといけないわね」
「オーウェン殿下とその愉快なお仲間達にそれが可能とお思いで?」
無理よねぇ、とウェルシェはため息を漏らす。
「王妃様にだってオーウェン殿下達が汚名返上できるとは思っていらっしゃらないでしょうに、どうして罰をあんなに重くしたのかしら?」
「国母として母親としてオーウェン殿下に少し厳しい試練を課して成長を促しておられるのだとは思うのですが……」
「オーウェン殿下にとっては少しじゃないものねぇ」
どう考えても彼らには無理ゲーだ。
「あるいはイーリヤ様との仲を修復して欲しいとお考えなのかしら?」
「なるほど、確かにオーウェン殿下にとって、それは起死回生の一手でございますね」
超絶優秀なイーリヤが味方をすれば、ボンクラ王子オーウェンにも十分に勝算はある。
「やっぱ一度イーリヤ様と接触しなきゃいけないわね」
「ですが、オーウェン殿下とイーリヤ様の仲は修復不可能ではありませんか?」
「元凶はあの『スリズィエの聖女』よねぇ」
オーウェンを始め見目の良い貴族子弟を侍らせていた薄桃色の髪の美少女を思い出す。
イーリヤに対してオーウェンが劣等意識を抱いているのが原因である。だが、イーリヤとオーウェンの中に亀裂を入れたのはアイリスである。
「イーリヤ様とアイリス様を引き合わせて関係を修復しないといけないかもしれないわね」
「それ大丈夫ですか?」
「何が言いたいのよ?」
「お嬢様が介入すればするほど事態が深刻になっていくような気がします」
カミラは眼鏡の智を中指と人差し指でクイッと持ち上げた。
「どうにもお嬢様が墓穴を掘っているようにしか見えないんですよね」
「どうして? 公爵令嬢で有能なイーリヤ様の方が、私よりオーウェン殿下の婚約者として相応しいわよ?」
カミラは常々不思議に思うのだが、ウェルシェは意外と自分を客観視できていない。
「イーリヤ様はご自分の才能を隠そうともしないお方です。ですから無自覚に男の自尊心をバッキバキに折られておいでなのです」
能力だけは激高のイーリヤだが、貴族の中での立ち振る舞いは意外と下手だとカミラは見ている。
「その点お嬢様は裏で蠢動するのが大好きな腹黒。ヘタレなエーリック殿下でさえきちんと立てられるお方ですから」
「失礼ね! エーリック様は努力されているんだからオーウェン殿下よりもうちょっとマシよ」
もうちょっとだけなのかとカミラは思ったが、そこはあえて突っ込まない。
「オーウェン殿下はプライドが高いですからイーリヤ様とは絶望的に相性が合いません。今からでも婚約者をお嬢様にすげ替えようとなさるのでは?」
「まっさかー」
ケタケタ笑ってウェルシェは手をヒラヒラと振る。
「だって王妃様自ら私とエーリック様の婚約を保証なさったのよ。今さら撤回はできないわ」
「それもそうですね」
ウェルシェの指摘はもっともだ。
もし、彼女をオーウェンの婚約者としたいのであれば、オーウェンに厳しい裁定は下していなかったであろう。
「だとすると、オーウェン殿下の王位継承権の行く末が当面の問題ですか」
「あのボンクラ王子が改心するとも思えないものねぇ」
「それで、お嬢様はいかがなさるおつもりなのです?」
このままではエーリックが立太子する未来一直線である。
「どうにかしてオーウェン殿下に実績を上げさせないといけないわね」
「オーウェン殿下とその愉快なお仲間達にそれが可能とお思いで?」
無理よねぇ、とウェルシェはため息を漏らす。
「王妃様にだってオーウェン殿下達が汚名返上できるとは思っていらっしゃらないでしょうに、どうして罰をあんなに重くしたのかしら?」
「国母として母親としてオーウェン殿下に少し厳しい試練を課して成長を促しておられるのだとは思うのですが……」
「オーウェン殿下にとっては少しじゃないものねぇ」
どう考えても彼らには無理ゲーだ。
「あるいはイーリヤ様との仲を修復して欲しいとお考えなのかしら?」
「なるほど、確かにオーウェン殿下にとって、それは起死回生の一手でございますね」
超絶優秀なイーリヤが味方をすれば、ボンクラ王子オーウェンにも十分に勝算はある。
「やっぱ一度イーリヤ様と接触しなきゃいけないわね」
「ですが、オーウェン殿下とイーリヤ様の仲は修復不可能ではありませんか?」
「元凶はあの『スリズィエの聖女』よねぇ」
オーウェンを始め見目の良い貴族子弟を侍らせていた薄桃色の髪の美少女を思い出す。
イーリヤに対してオーウェンが劣等意識を抱いているのが原因である。だが、イーリヤとオーウェンの中に亀裂を入れたのはアイリスである。
「イーリヤ様とアイリス様を引き合わせて関係を修復しないといけないかもしれないわね」
「それ大丈夫ですか?」
「何が言いたいのよ?」
「お嬢様が介入すればするほど事態が深刻になっていくような気がします」
カミラは眼鏡の智を中指と人差し指でクイッと持ち上げた。
「どうにもお嬢様が墓穴を掘っているようにしか見えないんですよね」
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