あなたのお嫁さんになりたいです!~そのザマァ、本当に必要ですか?~

古芭白あきら

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第12章 その本戦、本当に必要ですか?

第134話 恋人達の語らい

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 競技を終えたウェルシェは、次の試合までに汗を流そうと選手控え室へと向かっていた。両脇をレーキとジョウジに守られながら廊下を進む。

「あら?」

 ふと、行く手に人の気配を感じて、ウェルシェは目を凝らして前方を見つめた。そこにいたのは、優しげな微笑みをたたえる金髪の美少年。

「ウェルシェ!」
「エーリック様!」

 その正体に気づき一度手を振ってから、ウェルシェはタタタッと小走りにエーリックへと近寄った。

「一回戦突破おめでとう」
「ありがとうございます」

 ねぎらいの言葉にウェルシェは嬉しそうに笑う。そんな喜ぶ婚約者の姿にエーリックも自然と目尻が下がった。

「ウェルシェの実力は知っていたつもりだったけど、初戦からいきなりパーフェクトを出すなんて思っていなかったよ」
「くすくす、私も思っていませんでしたわ」

 ほがらかに笑いあう二人。

「あれは我ながら本当に出来すぎでしたわ」
「いやいや、ウェルシェの実力だよ」

 自分は全ての競技で予選落ちしている。にもかかわらず、婚約者の好成績にエーリックは卑屈な様子を微塵も見せない。

「もっと間近で応援できれば良かったんだけど……」
「仕方ありませんわ」

 ウェルシェへ向けるエーリックの笑顔に嘘はない。心から婚約者の勝利を祝ってくれているのだ。やっぱり優秀な婚約者をうとましく感じて遠ざけているオーウェンよりずっと器が大きいとウェルシェは思う。

「競技に出場するだけで私達は護衛に負担をかけますもの」
「そうだね。せめて応援だけは貴賓席で大人しくしていないとね」

 エーリックはチラッと背後を見た。

 その視線の先には学園の生徒ではないスレインとセルランがいた。

 さすがに外部の者が出入りする剣魔祭ではエーリックも護衛は必要なようで、日頃は学園に連れてこない二人を供としていた。あまり会場をウロウロするのは、二人の手を煩わせるとエーリックも理解している。

 続いてエーリックはウェルシェの両脇に立つレーキとジョウジをちらりと見た。

「ウェルシェの方は大丈夫かい?」

 エーリックがストーカーについて尋ねているのだと察せられないほどウェルシェは鈍くない。

「ご心配をおかけして申し訳ございません」

 眉を落として詫びた。

「ですが、レーキ様とジョウジ様がこうして護衛してくださり、つけ回されている気配はなくなりましたの」
「それは……良かった」

 愁眉しゅうびを開いたウェルシェの様子に、エーリックは何とも複雑な表情となった。
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