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第14章 その最終局面、本当に必要ですか?
第156話 振り返ればヤツが・・・あれ?
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「あなた様はただあのお方に身を委ねれば良いのです」
ウェルシェの問いに案内人は含みのある答えを返した。
「おい、貴様! それはどういう意味……」
「会場はこちらでございます」
不穏な言葉にジョウジが問いただそうとしたが、案内人の言葉とガラッと扉を開ける音に遮られた。
「きゃッ!?」
突然、ウェルシェは腕を掴まれ強引に引っ張られると、案内人によって講堂の中へと押し込まれた。
「痛ッ!」
数歩進んでバランスを崩してウェルシェは倒れ込み、そのまま座り込んだまま案内人を見上げた。
「あなた様はこの中で存分にあのお方に可愛がってもらいなさい」
何が起きたかわけが分からず呆然とするウェルシェを見下ろす案内人は嗤っていた。
「ジョ、ジョウジ様!」
救いを求めてウェルシェが手を伸ばす。
ピシャッ!
だが、無情にも彼女の目の前で扉が閉められてしまった。
「おい、貴様! いったいなんの真似だ!」
扉の向こう側からジョウジの怒声が聞こえてきた。
ジョウジが案内人に食ってかかっているようだ。が、それと同時にドタドタと複数の足音が響いて、ジョウジを囲む不穏な気配が伝わってくる。
「お前の相手は俺達がしてやる」
「くっくっ、たっぷり可愛がってやンよ」
「どーせ可愛いがるならキレイなねーちゃんの方が良かったんだがな」
ガラの悪そうな男達の下卑た笑い声まで聞こえてきて、ウェルシェの不安を増強させた。
「グロラッハ家の噂の美人眼鏡侍女とか来てねぇの?」
「いたら俺達も楽しめたのになぁ」
「プッハッ! 違ぇねぇや」
不穏な内容ばかりのセリフに居ても立っても居られず、ウェルシェは立ち上がって扉に取りついた。
「ジョウジ様! ジョウジ様!」
――ガチャガチャ
だが、鍵が掛かっているのか扉は開かない。
「うわッ!」
「ジョウジ様!?」
答えの代わりにジョウジの悲鳴だけが届きウェルシェは青ざめた。
「やめてッ! やめてッ! お願いやめてッ!」
――ドンドンッ!
「こ、このッ! がッ! ぐわッ!」
扉を叩き懇願するが暴行は止む事がないのかジョウジの苦しむ叫びが聞こえてくる。
「くっくっくっ、こんな状況でも他人の心配とはさすがお優しいお嬢様だ」
扉の向こうから案内人が話しかけてきた。
「こ、こんな事をしてただで済むと思っていますの?」
「さぁて、どうなるんでしょうなぁ?」
「ジョウジ様への暴行を止めて私をすぐに解放するのですわ。今ならまだ許して差し上げます」
「おやおや、こんな俺らもお許しくださるとは本当に慈悲深いお姫様だ」
言葉とは裏腹に案内人の声は明らかにウェルシェをバカにしている。
「ですがね、今は自分の身を案じたらどうなんです?」
「わ、私の?」
「ほら、あんたの後ろでケヴィン様がお待ちだ」
「ケ、ケヴィン様が?」
恐怖に怯えたウェルシェは泣きそうな顔で恐る恐る振り向いて……
目に入った光景にウェルシェは一瞬だけ目を大きく見開き――――首を傾げた。
「……あれぇ?」
ウェルシェの問いに案内人は含みのある答えを返した。
「おい、貴様! それはどういう意味……」
「会場はこちらでございます」
不穏な言葉にジョウジが問いただそうとしたが、案内人の言葉とガラッと扉を開ける音に遮られた。
「きゃッ!?」
突然、ウェルシェは腕を掴まれ強引に引っ張られると、案内人によって講堂の中へと押し込まれた。
「痛ッ!」
数歩進んでバランスを崩してウェルシェは倒れ込み、そのまま座り込んだまま案内人を見上げた。
「あなた様はこの中で存分にあのお方に可愛がってもらいなさい」
何が起きたかわけが分からず呆然とするウェルシェを見下ろす案内人は嗤っていた。
「ジョ、ジョウジ様!」
救いを求めてウェルシェが手を伸ばす。
ピシャッ!
だが、無情にも彼女の目の前で扉が閉められてしまった。
「おい、貴様! いったいなんの真似だ!」
扉の向こう側からジョウジの怒声が聞こえてきた。
ジョウジが案内人に食ってかかっているようだ。が、それと同時にドタドタと複数の足音が響いて、ジョウジを囲む不穏な気配が伝わってくる。
「お前の相手は俺達がしてやる」
「くっくっ、たっぷり可愛がってやンよ」
「どーせ可愛いがるならキレイなねーちゃんの方が良かったんだがな」
ガラの悪そうな男達の下卑た笑い声まで聞こえてきて、ウェルシェの不安を増強させた。
「グロラッハ家の噂の美人眼鏡侍女とか来てねぇの?」
「いたら俺達も楽しめたのになぁ」
「プッハッ! 違ぇねぇや」
不穏な内容ばかりのセリフに居ても立っても居られず、ウェルシェは立ち上がって扉に取りついた。
「ジョウジ様! ジョウジ様!」
――ガチャガチャ
だが、鍵が掛かっているのか扉は開かない。
「うわッ!」
「ジョウジ様!?」
答えの代わりにジョウジの悲鳴だけが届きウェルシェは青ざめた。
「やめてッ! やめてッ! お願いやめてッ!」
――ドンドンッ!
「こ、このッ! がッ! ぐわッ!」
扉を叩き懇願するが暴行は止む事がないのかジョウジの苦しむ叫びが聞こえてくる。
「くっくっくっ、こんな状況でも他人の心配とはさすがお優しいお嬢様だ」
扉の向こうから案内人が話しかけてきた。
「こ、こんな事をしてただで済むと思っていますの?」
「さぁて、どうなるんでしょうなぁ?」
「ジョウジ様への暴行を止めて私をすぐに解放するのですわ。今ならまだ許して差し上げます」
「おやおや、こんな俺らもお許しくださるとは本当に慈悲深いお姫様だ」
言葉とは裏腹に案内人の声は明らかにウェルシェをバカにしている。
「ですがね、今は自分の身を案じたらどうなんです?」
「わ、私の?」
「ほら、あんたの後ろでケヴィン様がお待ちだ」
「ケ、ケヴィン様が?」
恐怖に怯えたウェルシェは泣きそうな顔で恐る恐る振り向いて……
目に入った光景にウェルシェは一瞬だけ目を大きく見開き――――首を傾げた。
「……あれぇ?」
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