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第6話 いきなり『断罪イベント』!!
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「ううう……いった~い」
ブッシュ男爵令嬢は半泣きになってますが……でも、今の自分から倒れましたよね?
イアリス様の神々しい美しさを前にして拝みたくなったのでしょうか?
「きゃっ!」
その直後、鈴を鳴らすようなとても澄んだ可愛らしい悲鳴が。
目の前で倒れたブッシュ男爵令嬢にイアリス様が躓いたようです。
「イアリス!!」
殿下はとっさに倒れそうになったイアリス様を抱き留めました。
「大丈夫か?」
「ありがとうございます」
心配顔の殿下に対して相変わらずイアリス様は美しい無表情です。
「もう大丈夫で――いたっ!?」
「足を挫いたみたいだな」
どうやらイアリス様は足を痛めてしまったようです。
「無理はするな」
「殿下!?」
ヒョイッと殿下はイアリス様を抱き上げましたが……公衆の面前でお姫様抱っこですか?
「ガトーだ……名前で呼んでくれといつも言っているだろ」
「あ、その、ガトー様」
殿下、イアリス様に名前で呼んでもらって喜んでいる場合ですか!
「ガトーさまぁ、これはどう言う事なんですかぁ?」
「あ、いや、これは……私はか弱き者を思わず助けてしまうタチでな」
「優しいガトーさまも素敵ですぅ……でも、私は誰が助け起こしてくれるんです?」
殿下の両腕は塞がっておりますので、手を差し伸べるのは不可能ですね。
チラッと殿下が訴えかける目でこちらを見てきましたが……
「ロッシェ」
え?
私ですか!?
こんな女、近づくのも嫌ですよ。
「どうして誰も私を助けてくれないんですかぁ!」
ガバって立ち上がってブッシュ男爵令嬢が苦情を申し立ててきましたよ。自力で起き上がれるんだから良いじゃないですか。
「だいたい『攻略対象』が『悪役令嬢』を助けて『ヒロイン』を助けないなんて『乙女ゲーム』として間違ってます!」
意味の分からない事を叫んで逆ギレしてますよ。
「いったい何の話をしているんでしょう?」
私が殿下を見れば――
「私に分かるわけなかろう」
殿下はイアリス様を見て――
「申し訳ございません。私にも理解できません」
イアリス様は殿下の腕の中で器用に首を横に振られました。
「何よ三人でイチャイチャしてぇ!」
えぇ! 私も含まれるんですか?
私は別に殿下とイチャイチャなんてしたくありませんよ。
イアリス様とだったら――いえ、殿下に殺されるから遠慮しておきます。だから殿下、心を読んで殺意の目を向けてこないでください!
「こうなったら『断罪イベント』に突入よ!」
何ですか急に?
「ガトーさまぁ、私、イアリス様に虐められているんですぅ」
狂いましたか?
元からですか……
「さっきだって足を引っ掛けられ転んじゃったし」
「さっきのはご自分で転んでいましたよね?」
みんな目撃してますよ。
「それに、大切にしていたペンダントを盗まれたし、教科書を破かれたり……そうだ、いつも悪口を言われてますぅ。この間なんて階段で突き落とされちゃいましたぁ」
「なるほど、それは酷いな」
それが事実であれば、ですけどね。
ブッシュ男爵令嬢は半泣きになってますが……でも、今の自分から倒れましたよね?
イアリス様の神々しい美しさを前にして拝みたくなったのでしょうか?
「きゃっ!」
その直後、鈴を鳴らすようなとても澄んだ可愛らしい悲鳴が。
目の前で倒れたブッシュ男爵令嬢にイアリス様が躓いたようです。
「イアリス!!」
殿下はとっさに倒れそうになったイアリス様を抱き留めました。
「大丈夫か?」
「ありがとうございます」
心配顔の殿下に対して相変わらずイアリス様は美しい無表情です。
「もう大丈夫で――いたっ!?」
「足を挫いたみたいだな」
どうやらイアリス様は足を痛めてしまったようです。
「無理はするな」
「殿下!?」
ヒョイッと殿下はイアリス様を抱き上げましたが……公衆の面前でお姫様抱っこですか?
「ガトーだ……名前で呼んでくれといつも言っているだろ」
「あ、その、ガトー様」
殿下、イアリス様に名前で呼んでもらって喜んでいる場合ですか!
「ガトーさまぁ、これはどう言う事なんですかぁ?」
「あ、いや、これは……私はか弱き者を思わず助けてしまうタチでな」
「優しいガトーさまも素敵ですぅ……でも、私は誰が助け起こしてくれるんです?」
殿下の両腕は塞がっておりますので、手を差し伸べるのは不可能ですね。
チラッと殿下が訴えかける目でこちらを見てきましたが……
「ロッシェ」
え?
私ですか!?
こんな女、近づくのも嫌ですよ。
「どうして誰も私を助けてくれないんですかぁ!」
ガバって立ち上がってブッシュ男爵令嬢が苦情を申し立ててきましたよ。自力で起き上がれるんだから良いじゃないですか。
「だいたい『攻略対象』が『悪役令嬢』を助けて『ヒロイン』を助けないなんて『乙女ゲーム』として間違ってます!」
意味の分からない事を叫んで逆ギレしてますよ。
「いったい何の話をしているんでしょう?」
私が殿下を見れば――
「私に分かるわけなかろう」
殿下はイアリス様を見て――
「申し訳ございません。私にも理解できません」
イアリス様は殿下の腕の中で器用に首を横に振られました。
「何よ三人でイチャイチャしてぇ!」
えぇ! 私も含まれるんですか?
私は別に殿下とイチャイチャなんてしたくありませんよ。
イアリス様とだったら――いえ、殿下に殺されるから遠慮しておきます。だから殿下、心を読んで殺意の目を向けてこないでください!
「こうなったら『断罪イベント』に突入よ!」
何ですか急に?
「ガトーさまぁ、私、イアリス様に虐められているんですぅ」
狂いましたか?
元からですか……
「さっきだって足を引っ掛けられ転んじゃったし」
「さっきのはご自分で転んでいましたよね?」
みんな目撃してますよ。
「それに、大切にしていたペンダントを盗まれたし、教科書を破かれたり……そうだ、いつも悪口を言われてますぅ。この間なんて階段で突き落とされちゃいましたぁ」
「なるほど、それは酷いな」
それが事実であれば、ですけどね。
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