「結婚しよう」

まひる

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第三章

6.いずれ知る事だ【5】

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「貴族の考えはそんなものだ。現状わずかだが、皇帝の立場に一番近いのが俺だ」

 ヴォルは淡々と話してくれますが、葛藤がない訳ではないのでしょう。外に向けられたその瞳には、普段はあまり見えない熱いものが燃えているように感じますから。

「それとは別にまだ現皇帝の在位中なのだが、弱ってきた守護石の代わりに結界へ魔力供給しなくてはならない役割もある」

 えぇっ!?

「ヴォルも石にされてしまうのですかっ?」

「いや、今のところは問題ない。それに存在いるだけで魔力を供給出来る。俺が旅に出る事に対し、三年という期限をつけられた理由がそこにある」

 物凄く驚いたのですが、ヴォルは変わらず淡々としていました。
 よ、良かったです……。──って言うか、存在だけで魔力供給?

「それって……ヴォルがここにいる限り、魔力を結界とかに分け与えていると言う事ですか?」

「そうだ。旅で離れている間は俺から採取した血液を魔法石に変え、ここの守護としていた。今までの守護石の魔力は既に弱まり、セントラルを支える結界を張るには不充分になったからだ」

 それが事実だから、こんなにも冷静に話せるのでしょうか。
 ですが血液だけで三年も結界を張れるなんて、ヴォルってば凄すぎますね。あぁ、だからこそ精霊さんに好かれる程の魔力の持ち主を『結界の柱』になんてしようと考えてしまうのでしょう。

「もしかして、定期的に精霊さんに好かれる人が現れるのですか?」

「あぁ。その都度魔法で捜し当てられ、国中から連れて来られる。そこで観察対象になり、異変があれば即魔法石に変えて魔力媒体にする」

 ぅわ~、人権無視も良いところですね。片眼鏡モノクルもそれがあってヴォルを見張っているのでしょうか。

「それ以外は、城にいる魔力持ちが結界を保持する。何人もが集まって、結界石に魔力を注ぐのだ」

「何人も、ですか?ヴォルはいるだけで良いのに?」

「そうだ。最大値が違うのだろう。俺も良くは分からん。あまり知りたくもないしな。だが、結界がないと国民が困る。魔物は人間を食料にしか見てないからな」

 魔力を持った者の宿命なのでしょうか。これがヴォルの葛藤の原因なのですね。
 皇族として生まれたからだけではなく、精霊さんに好かれる程の魔力の持ち主である彼。どちらにしても、セントラルに縛られるのだと告げられていました。

「無関係の人達を守る為に、利用されていると分かっていても手を貸すのですよね」

「それが俺に出来る事だからな」

 自分に出来る事。他人事のように語れていますが、遠くない未来を示されているのだと感じました。
 ヴォルはもしかしたら、今すぐ守護石になれと言われたらそのまま了承してしまいそうです。

「ヴォルが石になるのは嫌です」

「…………熟考じゅっこうする」

「約束ですよ?」

「分かった」

 苦笑しつつも、考えておくと言われました。
 でももう、一人でおいていかれるのは嫌です。あ、私はそんな事をヴォルに強要出来る立場ではないのですけど。──それでも約束をさせてしましました。
 これって、私の我が儘ですか?
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