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【1529 遠き落日 ⑤ 】
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今朝は私の頭痛も治まって、頭もスッキリしています。
朝食を済ませて、私とクマさんは予定通り散歩に出ました。
「今日は晴れて良かったね。あ、この道は歩きやすいけど、少し下り坂になってるから気を付けてね」
クマさんは私の一歩前を歩きながら、チラチラと振り返って声をかけてくれます。
「あ、本当ですね。じゃあクマさん、手を貸してください」
確かに少しですが傾斜が付いてます。私は転ばないように、クマさんの右手を掴みました。
「え!?あ、ええ!?」
「ん?クマさんどうしたんですか?あ、クマさん見てください。あそこ、鳥が沢山飛んでますよ。気持ち良さそうですね」
突然クマさんが飛び跳ねました。なぜでしょう?
私はクマさんにも、空を飛ぶ沢山の鳥を見てほしいのに、なぜか硬直したままです。
「ク、クラレッサ、ちゃん、え、えっと、その・・・」
「クマさん?急にどうしたんですか?顔が赤いですよ?」
熱でもあるのでしょうか?背伸びをしておでこを触ってみると、ちょっと熱いです。
「クマさん、大変です!熱があるようです。お散歩はやめて帰った方がいいです!」
「あ、いや、だ、大丈夫!ね、熱はないから!こ、これは、その、暑いだけ!ほら、ボクはクマだから暑がりなんだよ!」
「え?そうなんですか?知りませんでした。クマさんは暑がりなんですね?」
「う、うん!そうそう!歩いてたら体が温まってきただけなんだよ。だから心配しないで、散歩を続けようよ!」
なんだか必死ですが、クマさんがそう言うのならそうなんでしょう。
急に早口だし顔もまだ赤いですが、元気そうではあります。せっかく良いお天気ですし、ただ暑いだけならお散歩を続けても大丈夫でしょう。
「分かりました。ではお散歩を続けましょう。でも無理はしないでくださいね?あんまり暑くて辛い時は、言ってください」
クマさんはうんうんうんうん頷きました。何度も頭を上下に揺らすので、クマさんこそ頭痛がおきないか心配です。
なんだかさっきから、クマさんは落ち着きがありません。でもクマさんに、大丈夫ですか?と聞いても、クマさんは大丈夫と答えます。顔は赤いし早口でどもるし、私から見ると大丈夫ではないのですが、暑がりだとこうなるのでしょうか?
「さ、さぁ行こうか、クラレッサちゃん、この先に見せたいものがあるんだよ」
そう言ってクマさんは、慌てたように先に行こうとします。
「あ、クマさん、なんで手を離すんですか?」
スルっと手を離すので、私はちょっと驚きました。坂道で転んだら危ないから掴んでいたのに。
「え、えぇと・・・」
「坂道は危ないので、しっかり手を繋ぎましょう」
「あ、えっと・・・う、うん」
さっきより真っ赤になったクマさんと手を繋いで、私達は並んで歩きました。
お日様はポカポカ温かいし、風がとても気持ち良いです。
こうして歩いていると、私は本当に久しぶりに外に出たんだなと実感しました。
そしてしばらく二人で歩いていると、クマさんが道の先を指差しました。
「クラレッサちゃん、あそこだよ。あそこがこの山で一番綺麗なところなんだ」
そう言ってクマさんが指さした先には、赤や黄色や青の、色とりどりの綺麗な草花が咲き誇る、花畑が広がっていました。
沢山の蝶が羽を休め、小鳥がさえずり空を飛ぶ。
生ある全てが自然と一体になったとても美しい景色に、私は思わず息を飲みました。
「・・・すごい・・・」
「ここはボクのお気に入りの場所なんだ。すっごく綺麗でしょ?昔から一人になりたい時はよくここに来てたんだ」
まさかこの山に、こんな綺麗な場所があるとは思いませんでした。本当にびっくりです。
しばらく目を奪われていたのですが、クマさんの言葉に少しひっかかりを感じたので、聞いてみました。
「クマさんは、一人になりたい時があるんですか?」
「・・・うん、ボクはみんなに嫌われてるから・・・あ!ご、ごめん、暗くなる事言っちゃって。今日はクラレッサちゃんにこの綺麗な景色を見て、元気になってほしかったんだ。ほら、あっちもすごいんだよ」
クマさんはおおげさなくらい明るい声を出して、お花畑へ入って行きます。
つい自分の心にある、暗い気持ちを口にしてしまい、雰囲気が壊れてしまうと思ったのでしょう。
足早に先へ進むクマさんを、私も走って追いかけました。
「クマさん!待ってください!」
私は後ろから、クマさんの手を掴みました。
振り返ったクマさんは驚いているようでした。私が大きな声を出したからかもしれません。
考えてみると、こんなに大きな声を出したのは初めてです。
「ク、クラレッサちゃん・・・えっと、どうしたの?」
「クマさん、大丈夫です!私はクマさんを嫌ってなんかいません!だから自分が嫌われているなんて思わないでください!私、ここに来て良かったです。すぐに元気になっちゃいました。クマさん、ありがとうございます」
思った事、感じた事、私はクマさんに感謝している事を言葉にして伝えました。
クマさんが村の人とうまくいっていない事は聞いています。この前家に来た、あのジョナスという嫌な男性みたいなのばかりだとしたら、クマさんはこれまでずっと辛かったと思います。
クマさんはこんなに優しいのに、なんで嫌がらせをするのでしょう?
私は悲しい気持ちになりました。
体が大きいから、顔が怖いから、そんな事で人をのけ者にしたり、いじめていい理由にはなりません。
私は・・・・・・・
クラレッサちゃん、一緒に遊ぼう
クラレッサちゃん、これ美味しいよ、一緒に食べよう
クラレッサちゃん、ずっとここにいてね
クラレッサ、みんなお前さんの事が大好きなんじゃ、みんな家族なんじゃよ
ワシはお前さんが娘になってくれて、本当に嬉しく思うとるよ
「・・・・・あ」
ふいに記憶の扉が開いて、お爺さんや子供達の声が思い起こされました。
優しくて暖かい・・・私は・・・・・
「クラレッサちゃん・・・」
「・・・・・クマさん、私はクマさんが大好きです。だから辛くなったり、寂しくなっても、一人にならないでください。ここに来たくなったら、私と一緒に来ましょう」
私は愛されていた
人は不幸になるために生まれてくるわけじゃない
愛されて、幸せになるために生まれてくるんです
クマさん・・・
クマさんにもこれからきっと、楽しい事が沢山あります
幸せな未来が待ってます
私がそばにいますから
だから
「クマさん、泣かないでください」
クマさんは目に一杯涙を溜めています。
私は背伸びをして、クマさんのボサボサ頭を撫でました。クマさんは背が高いので、背伸びをしてやっと届くくらいです。
クマさんの髪に手が沈む感覚は、くすぐったくて面白いです。
「う・・・うぅ・・・ク、クラレッサちゃん、あ、ありがとう・・・」
堪えきれなかった涙が零れました。
初めて会った日も泣いてましたし、クマさんは涙もろいようです。
「クマさん、拭いてあげます」
私はハンカチを取り出して、クマさんの目元を拭いてあげました。
こんなにボロボロ涙が出るのは、クマさんが優しいからです。優しいクマさんの心には、きっと沢山の傷があるんです。私は村の人達に会った事はありませんが、クマさんを傷つける村の人達が、許せない気持ちになりました。
それからしばらくしてクマさんが泣き止むと、私達は一緒にお花畑でお弁当を食べました。
私達は沢山お話しをしました。
お互いに知らない事はまだまだあります。私も覚えている事は話しましたけど、私はどこで生まれて、どうやって過ごしてきたのかは覚えていません。
孤児院の事もまだ全部は思い出せないので、話せる事は限られています。だから自然と、クマさんのお話しを聞く事が多くなりました。
「じゃあクマさんは十五歳になった時から、ずっとあの家で一人で暮らしていたんですか?」
「うん・・・両親が亡くなってから、住んでた家は叔父さん一家に取られちゃったんだ。最初は親切に面倒を見てくれてたんだけど、すぐにお金の管理をされて、それからはよく分からないうちに追い出されて・・・実は、この前家に来たあのジョナス君は、叔父さんの息子なんだ。だから僕の従弟なんだよ」
「え!?」
驚きました。
この前に家に来たあの性格の悪い男が、クマさんの従弟!?
おかしいです。ありえません。
「ほ、本当ですか?・・・従弟なのに、クマさんにあんな事を言うんですか?叔父さんも追い出すなんて酷い事を・・・」
「・・・ボクが、憎かったんだと思う。ボクの両親は村で一番のお金持ちだったんだ。両親は村で生まれたんだけど、成人してから大きな町に出て商売を始めたんだ。大成功とはいかなかったみたいだけど、それなりのお金は稼げたみたいなんだ。それで町での生活に便利だけど疲れたし、稼いだお金を元に村でのんびり暮らそうと帰って来たんだって。叔父さんはそれが妬ましかったんだよ」
話しているクマさんの顔は、とても悲しそうでした。
ご両親が亡くなって、頼りにした叔父さんに裏切られて、従弟にはあんな暴言を浴びせられて・・・・・
そんな辛くて、苦しくて、悲しくて、大変な時に・・・・・・
「・・・つまり、お金持ちのクマさんが羨ましくて、乗っ取ったって事ですよね?許せません」
私が低い声で呟くと、クマさんは少し慌てたように、両手を顔の前で振りました。
「あ、ごめんね、またこんな暗い話しをしちゃって・・・クラレッサちゃんは話しやすいから、なんだか色々甘えちゃってるのかな・・・」
「それはいいんです。私はクマさんのお話しなら何でも聞きます。でも、本当に酷い・・・」
その時です。
ふいに耳障りな声が、私達の会話に割り込んできたのです。
「おいおいおい、マジかよ?ウシよぉ~、お前なにイチャついてんの?」
長い金色の髪で青い瞳、スラリとした背格好、一般的には美男子という言葉が当てはまりそうなこの男性は、いままさにクマさんのお話しに出て来たジョナスでした。
朝食を済ませて、私とクマさんは予定通り散歩に出ました。
「今日は晴れて良かったね。あ、この道は歩きやすいけど、少し下り坂になってるから気を付けてね」
クマさんは私の一歩前を歩きながら、チラチラと振り返って声をかけてくれます。
「あ、本当ですね。じゃあクマさん、手を貸してください」
確かに少しですが傾斜が付いてます。私は転ばないように、クマさんの右手を掴みました。
「え!?あ、ええ!?」
「ん?クマさんどうしたんですか?あ、クマさん見てください。あそこ、鳥が沢山飛んでますよ。気持ち良さそうですね」
突然クマさんが飛び跳ねました。なぜでしょう?
私はクマさんにも、空を飛ぶ沢山の鳥を見てほしいのに、なぜか硬直したままです。
「ク、クラレッサ、ちゃん、え、えっと、その・・・」
「クマさん?急にどうしたんですか?顔が赤いですよ?」
熱でもあるのでしょうか?背伸びをしておでこを触ってみると、ちょっと熱いです。
「クマさん、大変です!熱があるようです。お散歩はやめて帰った方がいいです!」
「あ、いや、だ、大丈夫!ね、熱はないから!こ、これは、その、暑いだけ!ほら、ボクはクマだから暑がりなんだよ!」
「え?そうなんですか?知りませんでした。クマさんは暑がりなんですね?」
「う、うん!そうそう!歩いてたら体が温まってきただけなんだよ。だから心配しないで、散歩を続けようよ!」
なんだか必死ですが、クマさんがそう言うのならそうなんでしょう。
急に早口だし顔もまだ赤いですが、元気そうではあります。せっかく良いお天気ですし、ただ暑いだけならお散歩を続けても大丈夫でしょう。
「分かりました。ではお散歩を続けましょう。でも無理はしないでくださいね?あんまり暑くて辛い時は、言ってください」
クマさんはうんうんうんうん頷きました。何度も頭を上下に揺らすので、クマさんこそ頭痛がおきないか心配です。
なんだかさっきから、クマさんは落ち着きがありません。でもクマさんに、大丈夫ですか?と聞いても、クマさんは大丈夫と答えます。顔は赤いし早口でどもるし、私から見ると大丈夫ではないのですが、暑がりだとこうなるのでしょうか?
「さ、さぁ行こうか、クラレッサちゃん、この先に見せたいものがあるんだよ」
そう言ってクマさんは、慌てたように先に行こうとします。
「あ、クマさん、なんで手を離すんですか?」
スルっと手を離すので、私はちょっと驚きました。坂道で転んだら危ないから掴んでいたのに。
「え、えぇと・・・」
「坂道は危ないので、しっかり手を繋ぎましょう」
「あ、えっと・・・う、うん」
さっきより真っ赤になったクマさんと手を繋いで、私達は並んで歩きました。
お日様はポカポカ温かいし、風がとても気持ち良いです。
こうして歩いていると、私は本当に久しぶりに外に出たんだなと実感しました。
そしてしばらく二人で歩いていると、クマさんが道の先を指差しました。
「クラレッサちゃん、あそこだよ。あそこがこの山で一番綺麗なところなんだ」
そう言ってクマさんが指さした先には、赤や黄色や青の、色とりどりの綺麗な草花が咲き誇る、花畑が広がっていました。
沢山の蝶が羽を休め、小鳥がさえずり空を飛ぶ。
生ある全てが自然と一体になったとても美しい景色に、私は思わず息を飲みました。
「・・・すごい・・・」
「ここはボクのお気に入りの場所なんだ。すっごく綺麗でしょ?昔から一人になりたい時はよくここに来てたんだ」
まさかこの山に、こんな綺麗な場所があるとは思いませんでした。本当にびっくりです。
しばらく目を奪われていたのですが、クマさんの言葉に少しひっかかりを感じたので、聞いてみました。
「クマさんは、一人になりたい時があるんですか?」
「・・・うん、ボクはみんなに嫌われてるから・・・あ!ご、ごめん、暗くなる事言っちゃって。今日はクラレッサちゃんにこの綺麗な景色を見て、元気になってほしかったんだ。ほら、あっちもすごいんだよ」
クマさんはおおげさなくらい明るい声を出して、お花畑へ入って行きます。
つい自分の心にある、暗い気持ちを口にしてしまい、雰囲気が壊れてしまうと思ったのでしょう。
足早に先へ進むクマさんを、私も走って追いかけました。
「クマさん!待ってください!」
私は後ろから、クマさんの手を掴みました。
振り返ったクマさんは驚いているようでした。私が大きな声を出したからかもしれません。
考えてみると、こんなに大きな声を出したのは初めてです。
「ク、クラレッサちゃん・・・えっと、どうしたの?」
「クマさん、大丈夫です!私はクマさんを嫌ってなんかいません!だから自分が嫌われているなんて思わないでください!私、ここに来て良かったです。すぐに元気になっちゃいました。クマさん、ありがとうございます」
思った事、感じた事、私はクマさんに感謝している事を言葉にして伝えました。
クマさんが村の人とうまくいっていない事は聞いています。この前家に来た、あのジョナスという嫌な男性みたいなのばかりだとしたら、クマさんはこれまでずっと辛かったと思います。
クマさんはこんなに優しいのに、なんで嫌がらせをするのでしょう?
私は悲しい気持ちになりました。
体が大きいから、顔が怖いから、そんな事で人をのけ者にしたり、いじめていい理由にはなりません。
私は・・・・・・・
クラレッサちゃん、一緒に遊ぼう
クラレッサちゃん、これ美味しいよ、一緒に食べよう
クラレッサちゃん、ずっとここにいてね
クラレッサ、みんなお前さんの事が大好きなんじゃ、みんな家族なんじゃよ
ワシはお前さんが娘になってくれて、本当に嬉しく思うとるよ
「・・・・・あ」
ふいに記憶の扉が開いて、お爺さんや子供達の声が思い起こされました。
優しくて暖かい・・・私は・・・・・
「クラレッサちゃん・・・」
「・・・・・クマさん、私はクマさんが大好きです。だから辛くなったり、寂しくなっても、一人にならないでください。ここに来たくなったら、私と一緒に来ましょう」
私は愛されていた
人は不幸になるために生まれてくるわけじゃない
愛されて、幸せになるために生まれてくるんです
クマさん・・・
クマさんにもこれからきっと、楽しい事が沢山あります
幸せな未来が待ってます
私がそばにいますから
だから
「クマさん、泣かないでください」
クマさんは目に一杯涙を溜めています。
私は背伸びをして、クマさんのボサボサ頭を撫でました。クマさんは背が高いので、背伸びをしてやっと届くくらいです。
クマさんの髪に手が沈む感覚は、くすぐったくて面白いです。
「う・・・うぅ・・・ク、クラレッサちゃん、あ、ありがとう・・・」
堪えきれなかった涙が零れました。
初めて会った日も泣いてましたし、クマさんは涙もろいようです。
「クマさん、拭いてあげます」
私はハンカチを取り出して、クマさんの目元を拭いてあげました。
こんなにボロボロ涙が出るのは、クマさんが優しいからです。優しいクマさんの心には、きっと沢山の傷があるんです。私は村の人達に会った事はありませんが、クマさんを傷つける村の人達が、許せない気持ちになりました。
それからしばらくしてクマさんが泣き止むと、私達は一緒にお花畑でお弁当を食べました。
私達は沢山お話しをしました。
お互いに知らない事はまだまだあります。私も覚えている事は話しましたけど、私はどこで生まれて、どうやって過ごしてきたのかは覚えていません。
孤児院の事もまだ全部は思い出せないので、話せる事は限られています。だから自然と、クマさんのお話しを聞く事が多くなりました。
「じゃあクマさんは十五歳になった時から、ずっとあの家で一人で暮らしていたんですか?」
「うん・・・両親が亡くなってから、住んでた家は叔父さん一家に取られちゃったんだ。最初は親切に面倒を見てくれてたんだけど、すぐにお金の管理をされて、それからはよく分からないうちに追い出されて・・・実は、この前家に来たあのジョナス君は、叔父さんの息子なんだ。だから僕の従弟なんだよ」
「え!?」
驚きました。
この前に家に来たあの性格の悪い男が、クマさんの従弟!?
おかしいです。ありえません。
「ほ、本当ですか?・・・従弟なのに、クマさんにあんな事を言うんですか?叔父さんも追い出すなんて酷い事を・・・」
「・・・ボクが、憎かったんだと思う。ボクの両親は村で一番のお金持ちだったんだ。両親は村で生まれたんだけど、成人してから大きな町に出て商売を始めたんだ。大成功とはいかなかったみたいだけど、それなりのお金は稼げたみたいなんだ。それで町での生活に便利だけど疲れたし、稼いだお金を元に村でのんびり暮らそうと帰って来たんだって。叔父さんはそれが妬ましかったんだよ」
話しているクマさんの顔は、とても悲しそうでした。
ご両親が亡くなって、頼りにした叔父さんに裏切られて、従弟にはあんな暴言を浴びせられて・・・・・
そんな辛くて、苦しくて、悲しくて、大変な時に・・・・・・
「・・・つまり、お金持ちのクマさんが羨ましくて、乗っ取ったって事ですよね?許せません」
私が低い声で呟くと、クマさんは少し慌てたように、両手を顔の前で振りました。
「あ、ごめんね、またこんな暗い話しをしちゃって・・・クラレッサちゃんは話しやすいから、なんだか色々甘えちゃってるのかな・・・」
「それはいいんです。私はクマさんのお話しなら何でも聞きます。でも、本当に酷い・・・」
その時です。
ふいに耳障りな声が、私達の会話に割り込んできたのです。
「おいおいおい、マジかよ?ウシよぉ~、お前なにイチャついてんの?」
長い金色の髪で青い瞳、スラリとした背格好、一般的には美男子という言葉が当てはまりそうなこの男性は、いままさにクマさんのお話しに出て来たジョナスでした。
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