異世界でリサイクルショップ!俺の高価買取り!

理太郎

文字の大きさ
230 / 1,560

【229 スカウト】

しおりを挟む
「王宮仕え?私が・・・ですか?」

「はい、先日こちらのお店で暴れた、元剣士隊副隊長のゲーリーを、いともたやすくあしらったと聞きまして。ご存じかもしれませんが、今カエストゥス国は体力型の兵士を増やしております。
剣士、弓使い、槍使い、まぁ扱う武器はなんでも結構ですし、素人でも鍛えればいいので構いませんが、やはり即戦力は貴重です。ぜひ、シンジョウ・ヤヨイさんには、王宮の剣士隊への入隊をお願いしたいのです」


先日レイジェスで暴れたゲーリーは、リンダさんが城へ知らせるなり、すぐに駆けつけてきた兵士達に連行されて行った。
どのような処分になるか分からないけれど、リンダさんが言うには、元副隊長という立場を考えれば、かなり重い罪になるらしい。

そして、その一件があった二日後、私はお店の事務所で、お城のお偉いさんとテーブルを挟んで向かい合い、紅茶を飲みながらスカウトされている。
開店と同時に入ってきて、ちょっとよろしいですかと詰め寄られた時は、日本の刑事ドラマの職務質問を思い出した。

さて、この目の前のスカウトに来た大柄な男性も体力型のようだ。
これまであまり優遇されていなかった体力型だけど、これからは戦力として期待される事に大変喜んでいた。
勧誘にも力が入っており、私を口説く弁にも熱が入っている。


「えっと・・・私は、その・・・このお店と孤児院の、二つのお仕事がありますので、難しいです」

戦ったのは私だけど、私ではない。
もう一人の弥生の事を説明しても、おそらく信じてもらえないだろうし、おかしな人と思われかねないから黙っておいた。

実際、あの日は私の代わりに一日弥生が働いたようだけど、顔なじみになったお客さんからは、なんかいつもと雰囲気違くない?と言われたり、あんなに強かったんだ!?と驚かれていたらしい。

あまり目立ったり、変に勘繰られる事はできれば避けたい。


「はい。私もだいたいのご事情は伺っております。ですが、そこを何とかお願いしたいのです!元副隊長のゲーリー以上の実力者が、このまま埋もれてしまうのはあまりに惜しい!無理を言っているのは分かりますが、国のためになんとかご助力をお願いいたします!」

この熱心に私を勧誘する男性は、年齢はロビンさんと同じくらいだろうか。
頭には黒髪より白い毛の方が多い。顔にも年相応のシワが刻まれている。だが、その目にはまるで少年のような無邪気でキラキラとした純真さがあり、とても実直な人なんだなと感じさせた。


「・・・私などに過大な評価をいただいて大変恐れ多いのですが、やはり私はこのお店と孤児院の仕事だけで精一杯です。このお店もオープンしてまだ一月足らずですし、なにより孤児院にはまだ幼い子供達が沢山おります。ですので申し訳ありませんが、ご容赦いただけましたらと・・・」

ここまで自分を評価してくれる事は嬉しいけれど、やはり私にはこのお店と孤児院以外に、どこかで働く事は考えられない。

私は今では孤児院を実家だと思っている。言うまでもなく孤児院のみんなは私の家族だ。
どんなに好条件でも、家族を放って他所で働くなどありえない。

そしてレイジェスは私がこの世界にできる恩返しだ。

日本で命を落とした私に、この世界はもう一度命を与えてくれた。そしてこんなに優しさで溢れた人達に囲まれている。私はなんて恵まれているのだろうと毎日思っている。
レイジェスの仕事は私が考えたこの世界への恩返しなのだ。

王宮仕えでもこの国に貢献はできるので、それでもいいとは思う。だけど、私は街の人に密着した形で、生活を豊かにするお手伝いをしたい。

勧誘の男性はしばらく黙っていたけれど、私の気持ちが伝わったみたい。

残念ですが、しかたありませんね・・・そう言って席を立った。

帰り際、もう一度お詫びの言葉を口にしてお見送りをする私に、お仕事頑張ってくださいね。と言葉をかけてくれた。

優しい人なんだなと思った。




「ヤヨイさん・・・何の話しだったの?」

城の勧誘の人が帰ると、ジャニスさんが心配そうに眉を下げて話しかけて来た。

何でもないわと言おうとしたけれど、それでは逆に心配をかけてしまうと思い直し、私は正直に王宮仕えの勧誘だったと、経緯を話した。

「・・・という話しだったの。断ったわ。私にはこのお店と孤児院が一番大切だもの。それに私は戦えないからね」

「そうだったんだ・・・もう一人の弥生さんは強かったからね。リン姉とどっちが強いだろうって思うくらいだったから、そりゃ話しを聞きつければ、お城から誘いも来るか・・・・・でも良かった。断ってくれて」

ジャニスさんは、にかっと歯をみせて笑う。

「ふふ、安心して、私はどこにも行かないわ。これからも一緒に頑張りましょう」

「うん!」


だって、私はジャニスさんのお姉ちゃんだものね。

ジャニスさんをハグすると、ジャニスさんは、え!?と、しどろもどろになるので、そのしぐさが可愛くて、ついイタズラしたくなる。

最近知ったのだけれど、ジャニスさんは意外とこういうスキンシップに弱い。
メアリーちゃんと真逆だ。


「さぁ、今日も一日頑張ろう!」

私が張り切った声を上げると、ジャニスさんはおかしそうにクスッっと笑ったけど、おー!と続いて声を上げてくれた。

暖かく明るい日差しが、今日も店内に心地よい温もりをくれる。

いらっしゃいませ!
私達はそう声を上げ、今日も街のために働く。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

私は〈元〉小石でございます! ~癒し系ゴーレムと魔物使い~

Ss侍
ファンタジー
 "私"はある時目覚めたら身体が小石になっていた。  動けない、何もできない、そもそも身体がない。  自分の運命に嘆きつつ小石として過ごしていたある日、小さな人形のような可愛らしいゴーレムがやってきた。 ひょんなことからそのゴーレムの身体をのっとってしまった"私"。  それが、全ての出会いと冒険の始まりだとは知らずに_____!!

俺! 神獣達のママ(♂)なんです!

青山喜太
ファンタジー
時は、勇者歴2102年。 世界を巻き込む世界大戦から生き延びた、国々の一つアトランタでとある事件が起きた。 王都アトスがたったの一夜、いや正確に言えば10分で崩壊したのである。 その犯人は5体の神獣。 そして破壊の限りを尽くした神獣達はついにはアトス屈指の魔法使いレメンスラーの転移魔法によって散り散りに飛ばされたのである。 一件落着かと思えたこの事件。 だが、そんな中、叫ぶ男が1人。 「ふざけんなぁぁぁあ!!」 王都を見渡せる丘の上でそう叫んでいた彼は、そう何を隠そう──。 神獣達のママ(男)であった……。

正しい聖女さまのつくりかた

みるくてぃー
ファンタジー
王家で育てられた(自称)平民少女が、学園で起こすハチャメチャ学園(ラブ?)コメディ。 同じ年の第二王女をはじめ、優しい兄姉(第一王女と王子)に見守られながら成長していく。 一般常識が一切通用しない少女に友人達は振り回されてばかり、「アリスちゃんメイドを目指すのになぜダンスや淑女教育が必要なの!?」 そこには人知れず王妃と王女達によるとある計画が進められていた! 果たしてアリスは無事に立派なメイドになれるのか!? たぶん無理かなぁ……。 聖女シリーズ第一弾「正しい聖女さまのつくりかた」

神々の愛し子って何したらいいの?とりあえずのんびり過ごします

夜明シスカ
ファンタジー
アリュールという世界の中にある一国。 アール国で国の端っこの海に面した田舎領地に神々の寵愛を受けし者として生を受けた子。 いわゆる"神々の愛し子"というもの。 神々の寵愛を受けているというからには、大事にしましょうね。 そういうことだ。 そう、大事にしていれば国も繁栄するだけ。 簡単でしょう? えぇ、なんなら周りも巻き込んでみーんな幸せになりませんか?? −−−−−− 新連載始まりました。 私としては初の挑戦になる内容のため、至らぬところもあると思いますが、温めで見守って下さいませ。 会話の「」前に人物の名称入れてみることにしました。 余計読みにくいかなぁ?と思いつつ。 会話がわからない!となるよりは・・ 試みですね。 誤字・脱字・文章修正 随時行います。 短編タグが長編に変更になることがございます。 *タイトルの「神々の寵愛者」→「神々の愛し子」に変更しました。

武装法人二階堂商会 ―― 企業買収(M&A)で異世界を支配する!

Innocentblue
ファンタジー
日本で企業買収の最前線を駆け抜けてきた敏腕社長・二階堂漣司。 裏切りにより命を落としたはずの彼が目を覚ましたのは、 剣と魔法が支配する異世界の戦場だった。 与えられたスキルは《企業買収(M&A)》。 兵士も村も土地も国家さえも、株式として評価・買収・支配できる異能の力。 「ならば、この世界そのものを買い叩く」 漣司は《武装法人二階堂商会》を設立。 冷徹な参謀にして最強の魔導士リュシア、獣人傭兵団、裏社会の戦力―― すべてを子会社として編成し、経済と武力を融合した前代未聞の経営戦争へと踏み出す。 弱小の村を救済し、都市と契約を結び、裏切り者を切り捨て、敵対勢力を力で買収する。 交渉は戦争、戦争は経営。 数字が命運を決め、契約が国境を塗り替える。 やがて商会は、都市国家・ギルド・貴族・宗教勢力すら巻き込み、 世界の価値そのものを再定義する巨大企業へと変貌していく。 これは、剣ではなく契約で世界を制圧する男の物語。 奪うのではない。支配するのでもない。 価値を見抜き、価値を操り、世界に値札を付ける―― 救済か、支配か。正義か、合理か。 その境界線を踏み越えながら、蓮司は異世界そのものを経営していく。 異世界×経済×武力が激突する、知略と覇道の武装経営ファンタジー。 「この世界には、村があり、町があり、国家がある。 ――全部まとめて、俺が買い叩く」

【完結】奪われたものを取り戻せ!〜転生王子の奪還〜

伽羅
ファンタジー
 事故で死んだはずの僕は、気がついたら異世界に転生していた。  しかも王子だって!?  けれど5歳になる頃、宰相の謀反にあい、両親は殺され、僕自身も傷を負い、命からがら逃げ出した。  助けてくれた騎士団長達と共に生き延びて奪還の機会をうかがうが…。  以前、投稿していた作品を加筆修正しています。

巻き込まれ異世界召喚、なぜか俺だけ竜皇女の推しになった

ノラクラ
ファンタジー
俺、霧島悠斗は筋金入りの陰キャ高校生。 学校が終わったら即帰宅して、ゲームライフを満喫するのが至福の時間――のはずだった。 だがある日の帰り道、玄関前で学園トップスターたちの修羅場に遭遇してしまう。 暴君・赤城獅童、王子様系イケメン・天条院義孝、清楚系美少女・柊奏、その親友・羽里友莉。 よりによって学園の顔ぶれが勢ぞろいして大口論!? ……陰キャ代表の俺に混ざる理由なんて一ミリもない。見なかったことにしてゲームしに帰りたい! そう願った矢先――空気が変わり、街に巨大な魔法陣が出現。 赤城たちは光に呑まれ、異世界へと召喚されてしまった。 「お~、異世界召喚ね。ラノベあるあるだな」 そう、他人事のように見送った俺だったが……。 直後、俺の足元にも魔法陣が浮かび上がる。 「ちょ、待て待て待て! 俺は陰キャだぞ!? 勇者じゃないんだぞ!?」 ――かくして、ゲームライフを愛する陰キャ高校生の異世界行きが始まる。

異世界転生したらたくさんスキルもらったけど今まで選ばれなかったものだった~魔王討伐は無理な気がする~

宝者来価
ファンタジー
俺は異世界転生者カドマツ。 転生理由は幼い少女を交通事故からかばったこと。 良いとこなしの日々を送っていたが女神様から異世界に転生すると説明された時にはアニメやゲームのような展開を期待したりもした。 例えばモンスターを倒して国を救いヒロインと結ばれるなど。 けれど与えられた【今まで選ばれなかったスキルが使える】 戦闘はおろか日常の役にも立つ気がしない余りものばかり。 同じ転生者でイケメン王子のレイニーに出迎えられ歓迎される。 彼は【スキル:水】を使う最強で理想的な異世界転生者に思えたのだが―――!? ※小説家になろう様にも掲載しています。

処理中です...