421 / 1,557
420 クリスの宿屋で ⑤
しおりを挟む
男部屋は雑魚寝だった。
ベットのある部屋もあるが、みんな安くていいと枕と毛布だけを借りて床に転がっている。
畳にして八畳分くらいはあるだろうが、レイジェスの男5人で寝ころべばあまりスペースに余裕はない。
ちなみにエルちゃん一家は別に個室を取ってある。
レイチェルが、まだ子供のエルちゃんは、家族そろって一部屋の方が安心だろうと配慮したからだ。
宿代は自分達で出すと言われたらしいが、経費で落とすからと言って話しをつけたそうだ。
「アラタ、起きてるか?」
酒が入っているからか、多少窮屈でも横になるとすぐに瞼が落ちそうになる。
これはすんなり寝れそうだと思ったところで、隣で横になっていたジーンが小声で話しかけて来た。
「ん・・・あぁ・・・ジーン、どう、したんだ?」
無理やり意識を繋ぎ留め、体を反転させてジーンに顔を向けると、ジーンは少しすまなそうな声を出した。
「あ、寝る寸前だったかな?邪魔してごめんよ」
「いや・・・いい・・・んで、どうした?」
「・・・うん、あのさ・・・結婚おめでとう」
「・・・おいおい、店でも飲み会の時も、みんな何度もお祝いの言葉くれたじゃないか?そう何回も言われると俺も困るぞ」
眠気が飛んでだんだん頭が冴えてきた。
発光石も消してあるから部屋は真っ暗闇だが、時間と共に暗さに目も慣れてくる。
ジーンにも何回もお祝いの言葉をもらった。
俺は少し冗談めかして言ったのだが、ジーンは俺に顔を向けず、天井を見つめたまま言葉を続けた。
「・・・あのさ、僕もケイトにプロポーズするよ」
「・・・え!?」
予期せぬ言葉に、思わず声が大きくなった。
慌てて回りを見るが、幸いみんなぐっすり寝てて誰も起きた様子はない。
「・・・ふぅ~、いや・・・しかし、そっか。とうとう気持ちが固まったんだな?」
ひそひそと小声で話しかけると、ジーンは小さく笑って俺に顔を向けた。
「うん・・・本当についさっきなんだけどね。今日、アラタとカチュアを見てたら、羨ましくなってさ。カチュアは本当に幸せそうだ。アラタ・・・僕もね、ケイトをあんなふうに喜ばせてあげたいって思ったんだ。以前話した僕とケイトの関係を覚えているかな?ケイトが僕に依存してるって・・・」
俺が黙って頷くと、ジーンは言葉を続けた。
「僕はケイトには自分の事ももっと考えて欲しいって、そう思うから結婚にはなかなか進めないでいたんだ。でも、難しく考え過ぎていたのかもしれない。僕もケイトを支えたい、その気持ちがあるのなら結婚して二人で同じ幸せを持てばいいじゃないか・・・そう思ったんだ」
「ジーン・・・そっか。うん、良かったよ。俺、ジーンとケイトにも絶対幸せになってほしいからさ」
俺はジーンがケイトとの結婚を決めた事がとても嬉しかった。
ジーンは俺がこの世界に来て、初めてできた同い年の男友達だ。
ケイトとの関係で悩んでいるのは知っていたから、話しを聞くくらいしかできないけど、なんとか前向きな気持ちになってくれればと思っていたけ。
だからこの決断は本当に嬉しく思う。
「あはは、僕の決心がついたのは、アラタ・・・キミとカチュアのおかげだよ。本当にありがとう」
「なんか、そう言われると照れるな。ケイト、きっとすごい喜ぶぞ」
ジーンは、うん、と笑って頷いてくれた。
前にパスタ屋に行った時も、ケイトはとにかくジーンと結婚したいと言っていた。
いつジーンがプロポーズするか分からないけど、ケイトの喜ぶ顔が目に浮かぶようだ。
それから最近の俺とカチュアの事や、ジーンとケイトが家だとどんな感じなのかとか、仕事以外でのそれぞれの話しをひとしきりして、そろそろ寝るかという空気になった時、ジーンはふいに真顔になって俺を見た。
「・・・アラタ、みんなそうだけど、僕はケイトを、アラタはカチュアを護らないといけない。だから、僕達も生き残って勝つんだ」
「・・・ジーン・・・・あぁ、そうだな・・・」
きっとジーンは、これが言いたかったんだろう。
俺ももう一人の体ではない。カチュアを護っていくんだ。
前にカチュアに、自分の事も大事にしてと言われた事がある。
「俺もジーンも・・・レイジェス全員が生き残るんだ」
俺の返事にジーンは満足そうに笑うと、そろそろ寝よう・・・そう言って目を閉じた。
ベットのある部屋もあるが、みんな安くていいと枕と毛布だけを借りて床に転がっている。
畳にして八畳分くらいはあるだろうが、レイジェスの男5人で寝ころべばあまりスペースに余裕はない。
ちなみにエルちゃん一家は別に個室を取ってある。
レイチェルが、まだ子供のエルちゃんは、家族そろって一部屋の方が安心だろうと配慮したからだ。
宿代は自分達で出すと言われたらしいが、経費で落とすからと言って話しをつけたそうだ。
「アラタ、起きてるか?」
酒が入っているからか、多少窮屈でも横になるとすぐに瞼が落ちそうになる。
これはすんなり寝れそうだと思ったところで、隣で横になっていたジーンが小声で話しかけて来た。
「ん・・・あぁ・・・ジーン、どう、したんだ?」
無理やり意識を繋ぎ留め、体を反転させてジーンに顔を向けると、ジーンは少しすまなそうな声を出した。
「あ、寝る寸前だったかな?邪魔してごめんよ」
「いや・・・いい・・・んで、どうした?」
「・・・うん、あのさ・・・結婚おめでとう」
「・・・おいおい、店でも飲み会の時も、みんな何度もお祝いの言葉くれたじゃないか?そう何回も言われると俺も困るぞ」
眠気が飛んでだんだん頭が冴えてきた。
発光石も消してあるから部屋は真っ暗闇だが、時間と共に暗さに目も慣れてくる。
ジーンにも何回もお祝いの言葉をもらった。
俺は少し冗談めかして言ったのだが、ジーンは俺に顔を向けず、天井を見つめたまま言葉を続けた。
「・・・あのさ、僕もケイトにプロポーズするよ」
「・・・え!?」
予期せぬ言葉に、思わず声が大きくなった。
慌てて回りを見るが、幸いみんなぐっすり寝てて誰も起きた様子はない。
「・・・ふぅ~、いや・・・しかし、そっか。とうとう気持ちが固まったんだな?」
ひそひそと小声で話しかけると、ジーンは小さく笑って俺に顔を向けた。
「うん・・・本当についさっきなんだけどね。今日、アラタとカチュアを見てたら、羨ましくなってさ。カチュアは本当に幸せそうだ。アラタ・・・僕もね、ケイトをあんなふうに喜ばせてあげたいって思ったんだ。以前話した僕とケイトの関係を覚えているかな?ケイトが僕に依存してるって・・・」
俺が黙って頷くと、ジーンは言葉を続けた。
「僕はケイトには自分の事ももっと考えて欲しいって、そう思うから結婚にはなかなか進めないでいたんだ。でも、難しく考え過ぎていたのかもしれない。僕もケイトを支えたい、その気持ちがあるのなら結婚して二人で同じ幸せを持てばいいじゃないか・・・そう思ったんだ」
「ジーン・・・そっか。うん、良かったよ。俺、ジーンとケイトにも絶対幸せになってほしいからさ」
俺はジーンがケイトとの結婚を決めた事がとても嬉しかった。
ジーンは俺がこの世界に来て、初めてできた同い年の男友達だ。
ケイトとの関係で悩んでいるのは知っていたから、話しを聞くくらいしかできないけど、なんとか前向きな気持ちになってくれればと思っていたけ。
だからこの決断は本当に嬉しく思う。
「あはは、僕の決心がついたのは、アラタ・・・キミとカチュアのおかげだよ。本当にありがとう」
「なんか、そう言われると照れるな。ケイト、きっとすごい喜ぶぞ」
ジーンは、うん、と笑って頷いてくれた。
前にパスタ屋に行った時も、ケイトはとにかくジーンと結婚したいと言っていた。
いつジーンがプロポーズするか分からないけど、ケイトの喜ぶ顔が目に浮かぶようだ。
それから最近の俺とカチュアの事や、ジーンとケイトが家だとどんな感じなのかとか、仕事以外でのそれぞれの話しをひとしきりして、そろそろ寝るかという空気になった時、ジーンはふいに真顔になって俺を見た。
「・・・アラタ、みんなそうだけど、僕はケイトを、アラタはカチュアを護らないといけない。だから、僕達も生き残って勝つんだ」
「・・・ジーン・・・・あぁ、そうだな・・・」
きっとジーンは、これが言いたかったんだろう。
俺ももう一人の体ではない。カチュアを護っていくんだ。
前にカチュアに、自分の事も大事にしてと言われた事がある。
「俺もジーンも・・・レイジェス全員が生き残るんだ」
俺の返事にジーンは満足そうに笑うと、そろそろ寝よう・・・そう言って目を閉じた。
0
あなたにおすすめの小説
異世界でゆるゆるスローライフ!~小さな波乱とチートを添えて~
イノナかノかワズ
ファンタジー
助けて、刺されて、死亡した主人公。神様に会ったりなんやかんやあったけど、社畜だった前世から一転、ゆるいスローライフを送る……筈であるが、そこは知識チートと能力チートを持った主人公。波乱に巻き込まれたりしそうになるが、そこはのんびり暮らしたいと持っている主人公。波乱に逆らい、世界に名が知れ渡ることはなくなり、知る人ぞ知る感じに収まる。まぁ、それは置いといて、主人公の新たな人生は、温かな家族とのんびりした自然、そしてちょっとした研究生活が彩りを与え、幸せに溢れています。
*話はとてもゆっくりに進みます。また、序盤はややこしい設定が多々あるので、流しても構いません。
*他の小説や漫画、ゲームの影響が見え隠れします。作者の願望も見え隠れします。ご了承下さい。
*頑張って週一で投稿しますが、基本不定期です。
*本作の無断転載、無断翻訳、無断利用を禁止します。
小説家になろうにて先行公開中です。主にそっちを優先して投稿します。
カクヨムにても公開しています。
更新は不定期です。
【完結保証】科学で興す異世界国家 ~理不尽に死んだ技術者が、「石炭」と「ジャガイモ」で最強を証明する。優秀な兄たちが膝を折るまでの建国譚~
Lihito
ファンタジー
正しいデータを揃えた。論理も完璧だった。
それでも、組織の理不尽には勝てなかった。
——そして、使い潰されて死んだ。
目を覚ますとそこは、十年後に魔王軍による滅亡が確定している異世界。
強国の第三王子として転生した彼に与えられたのは、
因果をねじ曲げる有限の力——「運命点」だけ。
武力と経済を握る兄たちの陰で、継承権最下位。後ろ盾も発言力もない。
だが、邪魔する上司も腐った組織もない。
今度こそ証明する。科学と運命点を武器に、俺のやり方が正しいことを。
石炭と化学による国力強化。
情報と大義名分を積み重ねた対外戦略。
準備を重ね、機が熟した瞬間に運命点で押し切る。
これは、理不尽に敗れた科学者が、選択と代償を重ねる中で、
「正しさ」だけでは国は守れないと知りながら、
滅びの未来を書き換えようとする建国譚。
異世界転生はどん底人生の始まり~一時停止とステータス強奪で快適な人生を掴み取る!
夢・風魔
ファンタジー
若くして死んだ男は、異世界に転生した。恵まれた環境とは程遠い、ダンジョンの上層部に作られた居住区画で孤児として暮らしていた。
ある日、ダンジョンモンスターが暴走するスタンピードが発生し、彼──リヴァは死の縁に立たされていた。
そこで前世の記憶を思い出し、同時に転生特典のスキルに目覚める。
視界に映る者全ての動きを停止させる『一時停止』。任意のステータスを一日に1だけ奪い取れる『ステータス強奪』。
二つのスキルを駆使し、リヴァは地上での暮らしを夢見て今日もダンジョンへと潜る。
*カクヨムでも先行更新しております。
ユーヤのお気楽異世界転移
暇野無学
ファンタジー
死因は神様の当て逃げです! 地震による事故で死亡したのだが、原因は神社の扁額が当たっての即死。問題の神様は気まずさから俺を輪廻の輪から外し、異世界の神に俺をゆだねた。異世界への移住を渋る俺に、神様特典付きで異世界へ招待されたが・・・ この神様が超適当な健忘症タイプときた。
駆け落ち男女の気ままな異世界スローライフ
壬黎ハルキ
ファンタジー
それは、少年が高校を卒業した直後のことだった。
幼なじみでお嬢様な少女から、夕暮れの公園のど真ん中で叫ばれた。
「知らない御曹司と結婚するなんて絶対イヤ! このまま世界の果てまで逃げたいわ!」
泣きじゃくる彼女に、彼は言った。
「俺、これから異世界に移住するんだけど、良かったら一緒に来る?」
「行くわ! ついでに私の全部をアンタにあげる! 一生大事にしなさいよね!」
そんな感じで駆け落ちした二人が、異世界でのんびりと暮らしていく物語。
※2019年10月、完結しました。
※小説家になろう、カクヨムにも公開しています。
異世界転生~チート魔法でスローライフ
玲央
ファンタジー
【あらすじ⠀】都会で産まれ育ち、学生時代を過ごし 社会人になって早20年。
43歳になった主人公。趣味はアニメや漫画、スポーツ等 多岐に渡る。
その中でも最近嵌ってるのは「ソロキャンプ」
大型連休を利用して、
穴場スポットへやってきた!
テントを建て、BBQコンロに
テーブル等用意して……。
近くの川まで散歩しに来たら、
何やら動物か?の気配が……
木の影からこっそり覗くとそこには……
キラキラと光注ぐように発光した
「え!オオカミ!」
3メートルはありそうな巨大なオオカミが!!
急いでテントまで戻ってくると
「え!ここどこだ??」
都会の生活に疲れた主人公が、
異世界へ転生して 冒険者になって
魔物を倒したり、現代知識で商売したり…… 。
恋愛は多分ありません。
基本スローライフを目指してます(笑)
※挿絵有りますが、自作です。
無断転載はしてません。
イラストは、あくまで私のイメージです
※当初恋愛無しで進めようと書いていましたが
少し趣向を変えて、
若干ですが恋愛有りになります。
※カクヨム、なろうでも公開しています
猫好きのぼっちおじさん、招かれた異世界で気ままに【亜空間倉庫】で移動販売を始める
遥風 かずら
ファンタジー
【HOTランキング1位作品(9月2週目)】
猫好きを公言する独身おじさん麦山湯治(49)は商売で使っているキッチンカーを車検に出し、常連カードの更新も兼ねていつもの猫カフェに来ていた。猫カフェの一番人気かつ美人トラ猫のコムギに特に好かれており、湯治が声をかけなくても、自発的に膝に乗ってきては抱っこを要求されるほどの猫好き上級者でもあった。
そんないつものもふもふタイム中、スタッフに信頼されている湯治は他の客がいないこともあって、数分ほど猫たちの見守りを頼まれる。二つ返事で猫たちに温かい眼差しを向ける湯治。そんな時、コムギに手招きをされた湯治は細長い廊下をついて歩く。おかしいと感じながら延々と続く長い廊下を進んだ湯治だったが、コムギが突然湯治の顔をめがけて引き返してくる。怒ることのない湯治がコムギを顔から離して目を開けると、そこは猫カフェではなくのどかな厩舎の中。
まるで招かれるように異世界に降り立った湯治は、好きな猫と一緒に生きることを目指して外に向かうのだった。
不死王はスローライフを希望します
小狐丸
ファンタジー
気がついたら、暗い森の中に居た男。
深夜会社から家に帰ったところまでは覚えているが、何故か自分の名前などのパーソナルな部分を覚えていない。
そこで俺は気がつく。
「俺って透けてないか?」
そう、男はゴーストになっていた。
最底辺のゴーストから成り上がる男の物語。
その最終目標は、世界征服でも英雄でもなく、ノンビリと畑を耕し自給自足するスローライフだった。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
暇になったので、駄文ですが勢いで書いてしまいました。
設定等ユルユルでガバガバですが、暇つぶしと割り切って読んで頂ければと思います。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる