異世界でリサイクルショップ!俺の高価買取り!

理太郎

文字の大きさ
449 / 1,558

448 見えざる攻撃

しおりを挟む
「やぁ、いらっしゃい。もう少しかかるかと思ったけど、意外に早かったね。少しは頭が回るみたいで安心したよ。もしかしたら幻覚を解けないで終わるかもって可能性も考えてたからさ」

重厚な鉄の扉を開けると、色白で小柄な、少年と言ってもいいくらいの幼顔の男が、部屋中央でイスに腰をかけて、湯気の立つカップに口を付けていた。

「・・・いきなり言ってくれんじゃない。てか、あんたが四勇士?何歳?四勇士は全員二十代って聞いてたけど・・・」

少し長めの赤茶色の髪。小顔で、丸みのある目元にはあどけなさも見える。生地の厚そうな白の長袖パーカーに、白のロングパンツを穿いている。
ハッキリ言って街にいる普通の若者にしか見えない。城を護る守護神なんて威厳はどこにも見当たらない。


「質問には答えようか。僕は四勇士、白魔法使いのエステバン・クアルト。今年で21歳だ。あまり良い気持ちはしないけど、僕は若く見られがちでね」

カップを机に置くと、やれやれとでも言うように肩をすくめて見せる。

「・・・若くじゃなくて、幼くの間違いでしょ?お坊ちゃん」

幻覚で遊ばれた上に、初っ端から子馬鹿された事で、アタシもけっこう頭に来ていた。
おそらく気にしているだろう事をぶつけてやると、どうやらドンピシャだったようだ。


「・・・言ってくれるじゃないか・・・取るに足らない平民なんて、少し遊んで帰してやろうと思ったけど止めだ。僕にそんな口を利いた事を後悔させてやろう」

クアルトはイスから立ち上がると、アタシを睨み付けてきた。
余裕のつもりか、パーカーのお腹のポケットに両手を入れている。


「平民?・・・へぇ、あんた貴族なんだ?クアルトなんて家、聞いた事ないけどどこの没落貴族なんだい?お坊ちゃん」


その一言でクアルトの目に強い殺気が宿り、体から強烈な魔力を吹き出させた。


くる!
こいつは白魔法使い、攻撃はなんらかの魔道具によるものだ!
まずはこいつの攻撃を結界で防ぎ、ミゼルの黒魔法で援護をしてもらいながら詰めていく。

「ミゼル!まずはアタシが結界で防ぐから、フォローお願い!」

「ケイト!なにしている!?結界だ!」


ミゼルに声をかけた直後、アタシはお腹にこれまで経験の無い強烈な痛み受け、顔を下に向けた。


「・・・・・え?」


「・・・どうだ?痛いだろ?」


いつの間にか目の前に立っていたクアルトが、アタシのお腹にナイフを突き刺していた。

「ケイトーッツ!」

耳に届くミゼルの声がやけに遠く感じる。

喉の奥からせりあがってきたなにかが、口の中に広がり、アタシはたまらずそれを吐いた。

「ふん、なめた口をたたいた割には一瞬じゃないか?この程度でよく僕の前に立てた・・・」

ケイトの腹に刺したナイフに力を込め、さらに奥深く突き刺そうとしたクアルトに、鋭く尖った氷が何十発も撃ち込まれ、反応できなかったクアルトは全身を突き刺され、勢いのままその体を飛ばされた。





クアルトを刺氷弾で刺し貫き、吹き飛ばした俺は、あまりにあっけないと思いながら、まず倒れているケイトに駆け寄った。


・・・・・なぜ、ケイトは無防備に接近を許した?


「・・・くそっ、深いな・・・早く血を止めないと」

うつ伏せに倒れているケイトの体を慎重に起こすと、腹部は真っ赤に染まり、血が溢れるように流れ出ていた。
すでに意識を失っているようで、ケイトの首はだらりと力なく後ろに折れる。


・・・・・まるで見えていないようだった


刺された箇所の服を引き破り、俺は腰に付けていたポーチから傷薬を取り出した。
店でも販売しているカチュアの作った傷薬だ。

縫う必要がある傷でもこれを塗れば治す事ができる。
だが、瞬間的に治るような便利な物ではない。塗れば薬が血を止め傷口を塞いでいくが当然時間はかかる。
少し切れた程度であれば、数分で治癒できるが、これほど深く刺された傷はどれだけ時間がかかるか予想が付かない。いや、そもそもこの傷を薬で対処できるのか?


・・・・・実際見えていなかったのだろう・・・ケイトの目は、目の前ではなくもう少し先を見ていた


治す事ができるのであれば、一時間でも二時間でも、いや何日かかってもかまわない。
だが、最悪のケースは治せずケイトが死んでしまう事だ。

それだけは駄目だ!
なにがなんでもケイトは生かしてみせる!

俺はどうかケイトが助かるようにと祈りながら、ケイトの腹部の傷に薬を塗った。


「やはりな・・・あっけなさ過ぎると思ったぜ。てめぇ、わざとくらったな?」


・・・・・音もなく後ろに立って声を・・・・・なるほど、そういう事か


「へぇ、よく気付いたな?仲間の治療に集中してると思ったら、しっかり周りへの警戒もしてんだ?お前けっこう冷静だな?」

ケイトに傷薬を塗りながら、俺は背後に立ったクアルトに振り返らずに言葉を発した。

「・・・ナイフを下ろせ、俺には通用しないぞ」

「そうかな?俺に気付いたのはほめてやるけど、その姿勢で躱せるの?このままお前の頭に振り下ろす方が速そうだけど」


「そっちじゃない、俺はこっちに言ったんだ」

「なに!?」

俺は自分の胸に伸びたナイフを持った手を、右手でしっかりと掴んで押さえた。
正面に現れたクアルトは、俺に押さえられるなんて考えもしなかったようで、驚きに目を剥いている。

「お、お前、なんで分かっ・・・」

間髪入れず、握ったクアルトの右手に向けそのまま風魔法ウインドカッターを放つ。

「う・・・わぁぁぁぁぁぁぁーッツ!」

クアルトの肘の先から、真っ赤な血しぶきが宙に撒き散らされた。


「うるせぇな、耳元で叫ぶなよ」


握っているクアルトの切断した右手を放り投げ、目の前でうずくまるクアルトの顔をそのまま殴り飛ばした。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

称号チートで異世界ハッピーライフ!~お願いしたスキルよりも女神様からもらった称号がチートすぎて無双状態です~

しらかめこう
ファンタジー
「これ、スキルよりも称号の方がチートじゃね?」 病により急死した主人公、突然現れた女神によって異世界へと転生することに?! 女神から様々なスキルを授かったが、それよりも想像以上の効果があったチート称号によって超ハイスピードで強くなっていく。 そして気づいた時にはすでに世界最強になっていた!? そんな主人公の新しい人生が平穏であるはずもなく、行く先々で様々な面倒ごとに巻き込まれてしまう...?! しかし、この世界で出会った友や愛するヒロインたちとの幸せで平穏な生活を手に入れるためにどんな無理難題がやってこようと最強の力で無双する!主人公たちが平穏なハッピーエンドに辿り着くまでの壮大な物語。 異世界転生の王道を行く最強無双劇!!! ときにのんびり!そしてシリアス。楽しい異世界ライフのスタートだ!! 小説家になろう、カクヨム等、各種投稿サイトにて連載中。毎週金・土・日の18時ごろに最新話を投稿予定!!

精霊さんと一緒にスローライフ ~異世界でも現代知識とチートな精霊さんがいれば安心です~

ファンタジー
かわいい精霊さんと送る、スローライフ。 異世界に送り込まれたおっさんは、精霊さんと手を取り、スローライフをおくる。 夢は優しい国づくり。 『くに、つくりますか?』 『あめのぬぼこ、ぐるぐる』 『みぎまわりか、ひだりまわりか。それがもんだいなの』 いや、それはもう過ぎてますから。

異世界レストラン・フェルマータ ~追放料理人の俺、神の舌で世界を喰らう~

たまごころ
ファンタジー
王都の五つ星料理店を追放された若き料理人カイ。理不尽な仕打ちに絶望しかけたその瞬間、彼は異世界で目を覚ます。 そこは「味覚」が魔力と結びついた世界──。美味を極めれば魔力が高まり、料理は民を癒やし、王すら跪く力を持つ。 一介の料理人だったカイは、神の舌「フェルマータ」の力に目覚め、貧しい村に小さな食堂を開く。 だがその料理は瞬く間に世界を変え、王侯貴族、聖女、竜姫、女勇者、果ては神々までが彼の皿を求めるようになる。 追放された男の、料理と復讐と愛の異世界成り上がり劇、ここに開店!

高校生の俺、異世界転移していきなり追放されるが、じつは最強魔法使い。可愛い看板娘がいる宿屋に拾われたのでもう戻りません

下昴しん
ファンタジー
高校生のタクトは部活帰りに突然異世界へ転移してしまう。 横柄な態度の王から、魔法使いはいらんわ、城から出ていけと言われ、いきなり無職になったタクト。 偶然会った宿屋の店長トロに仕事をもらい、看板娘のマロンと一緒に宿と食堂を手伝うことに。 すると突然、客の兵士が暴れだし宿はメチャクチャになる。 兵士に殴り飛ばされるトロとマロン。 この世界の魔法は、生活で利用する程度の威力しかなく、とても弱い。 しかし──タクトの魔法は人並み外れて、無法者も脳筋男もひれ伏すほど強かった。

勝手にダンジョンを創られ魔法のある生活が始まりました

久遠 れんり
ファンタジー
別の世界からの侵略を機に地球にばらまかれた魔素、元々なかった魔素の影響を受け徐々に人間は進化をする。 魔法が使えるようになった人類。 侵略者の想像を超え人類は魔改造されていく。 カクヨム公開中。

この度異世界に転生して貴族に生まれ変わりました

okiraku
ファンタジー
地球世界の日本の一般国民の息子に生まれた藤堂晴馬は、生まれつきのエスパーで透視能力者だった。彼は親から独立してアパートを借りて住みながら某有名国立大学にかよっていた。4年生の時、酔っ払いの無免許運転の車にはねられこの世を去り、異世界アールディアのバリアス王国貴族の子として転生した。幸せで平和な人生を今世で歩むかに見えたが、国内は王族派と貴族派、中立派に分かれそれに国王が王位継承者を定めぬまま重い病に倒れ王子たちによる王位継承争いが起こり国内は不安定な状態となった。そのため貴族間で領地争いが起こり転生した晴馬の家もまきこまれ領地を失うこととなるが、もともと転生者である晴馬は逞しく生き家族を支えて生き抜くのであった。

異世界でエルフの少女と夫婦になりました。

ナツノチヘイセン
ファンタジー
 期末テスト後、友人達と遊ぶ約束をして別れた。いつものコンビニに寄って、ちょっと一休みのつもりで立ち寄った公園のベンチで居眠りして目が覚めたら、知らないベンチ、知らない風景、更に女の子に平手打ち?  でも、その女の子、普通の子となんか違う?  金髪、小顔、大きな目。まるで人形、動くフィギュア!  いやいや違う、そこじゃないだろ。一番に僕の目を引いたのは横に長い尖った耳だろう。 「あなた、誰? そこ、わたしのお気に入りなんだけど。っていうか、どうやってここ入ってきたのよ」    そんな感じで始まる異世界に迷い込んだ少年とエルフの少女の物語です。

【しっかり書き換え版】『異世界でたった1人の日本人』~ 異世界で日本の神の加護を持つたった1人の男~

石のやっさん
ファンタジー
12/17 13時20分 HOT男性部門1位 ファンタジー日間 1位 でした。 ありがとうございます 主人公の神代理人(かみしろ りひと)はクラスの異世界転移に巻き込まれた。 転移前に白い空間にて女神イシュタスがジョブやスキルを与えていたのだが、理人の番が来た時にイシュタスの顔色が変わる。「貴方神臭いわね」そう言うと理人にだけジョブやスキルも与えずに異世界に転移をさせた。 ジョブやスキルの無い事から早々と城から追い出される事が決まった、理人の前に天照の分体、眷属のアマ=テラス事『テラスちゃん』が現れた。 『異世界の女神は誘拐犯なんだ』とリヒトに話し、神社の宮司の孫の理人に異世界でも生きられるように日本人ならではの力を授けてくれた。 ここから『異世界でたった1人の日本人、理人の物語』がスタートする 「『異世界でたった1人の日本人』 私達を蔑ろにしチート貰ったのだから返して貰いますね」が好評だったのですが...昔に書いて小説らしくないのでしっかり書き始めました。

処理中です...