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599 映画の中だけの話しだと思っていた
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「・・・・・・・・・・う・・・・・つぅ・・・」
深い底無し沼に落ちていたような、なんとも気分の悪い目覚めだった。
頭に痛みを感じて、少しづつ意識がハッキリとしてくる。
確か俺はガラハドさんと一緒に、ロンズデール国王の部屋から出て来た兵士達を、倒して眠らせていたはず・・・・・そして西側通路の奥が突然眩しい光り、争う音が聞こえたから、シャクール達に何かあったのかと思ったら、今度は船が激しく揺れて・・・・・それからどうなった?
考えるとまた頭が痛む、あの時どこかにぶつけたのかもしれないな・・・
重い瞼を開けて上半身をゆっくりと起こす。
辺りを見回してみるが、自分がどういう状況にいるのかまるで理解できなかった。
これは・・・シャンデリアだよな?
普通、天井から下げられているはずのシャンデリアが、なぜか自分のすぐ脇にあり、しかも逆さまになっている?
割れて砕けたガラス片はそこいらに散らばっており、中の発光石もどこかにいってしまったようで、明かりはついていない事から、これはもうシャンデリアとしての役割は果たせない。
「うっ、痛ッ・・・」
立ち上がろうとして、再び頭が強く痛む。左手を当てると、なにやらヌルッとした感触を感じる。
「・・・うっ・・・これ・・・」
真っ赤に染まった自分の左手を見て、顔が引きつった。どう見ても血だ。俺の血だ。
どうやら俺は頭から出血しているようだ。
もう一度頭を軽くさすり、キズ口を確かめると、左の側頭部を切っている事が分かった。
しかし後頭部はコブもなく大丈夫のようだし、側頭部の出血も左手は真っ赤になってしまったが、幸い致命的な程深くはなさそうだ。
シャツの袖でも破いて一先ずハチマキのように縛っておくかと考えたところで、俺はロンズデールに出発する前にレイジェスで皆から貰った物を思い出した。
腰のベルトに引っ掛けてある革製のウエストポーチは、ケイトとジーンから貰った物だ。
【ちょっと小さめだけど、そのくらいの方が動くのに邪魔にならないと思ってさ。あんた、店に来る時いっつも手ぶらでしょ?ロンズデールに行く時は、最低限回復薬とか傷薬くらいは持って行きなよ。それ、アタシが形を作って、ジーンが魔力で物理と魔法の耐久性を上げたの。しっかりやってくんだよ】
「・・・ケイト、ジーン・・・ありがとう」
出発前のケイトの言葉を思い出した。
感謝の言葉を口にして、ポーチを開く。ジーンがポーチの物理耐久力を上げていたからだろう。
あの揺れで俺はあちこちに体をぶつけたようだが、中身は壊れる事無く、ちゃんと形を残していた。
【はい。これ回復薬。一番質の良い素材を使って特別に作った。でも、瞬間的に完全回復するわけじゃないから過信はしない事。回復薬はどうしても時間がかかる事を忘れないで】
透明な液体の入った小さなビンを一つ取り出す。
ユールが作ってくれた回復薬を口に含んで、ゆっくりと飲み干した。
「・・・ユーリ、ありがとう」
状況はまだ整理できていないが、左側頭部だけでなく、頭だけじゃなく、肩も背中も腕も身体中あちこちが痛む。
だが、骨が折れるような大きな怪我がないのは幸いだった。
薬を飲んだし、少し休めば痛みもとれてくるだろう。
【私もね、一番良い素材を使って作ったの。ある程度の傷なら、これで治せると思う。でも、できれば使わないで欲しい。怪我しないで帰ってきてね・・・】
カチュアの作ってくれた、白い貝殻に入った塗り薬を取り出して、左側頭部の傷口に塗る。
本当は、傷口を洗って清潔なタオルで拭いてからの方がいいんだろうけど、この状況ではそんな物を用意する事などできない。
だから気にはなるけれど、そのまま傷口に薬を塗った。
「・・・お?」
効果はすぐに表れた。
出血が止まった感覚が分かるのだ。傷口が塞がるにはまだかかるだろうけど、ほんの数分で出血が止まった事は驚いた。
「これはすごいな・・・カットマンもびっくりだろ」
ボクシングにはカットマンという、傷の手当をする専門職がある。
試合中に目の上や唇を切って、出血した選手の血を止めるのだが、彼らの血止めは経験と技術だ。
だが、この薬はただ塗っただけで血を止めたのだ。
ボクサーの俺からすれば、これは溜息が出る程の優れものだ。
「カチュア、ありがとう・・・俺、絶対に帰るよ」
着ていたシャツを脱いで袖を破く、頭部の出血は止まったが、それでも額や顔をだいぶ赤く染めてしまったので、しっかりと顔を拭いて、そのままハチマキのように頭を縛った。
そしてしばらく休んでいると、体の痛みも和らいできて、気持ちにも少し余裕が出て来る。
俺はあらためて周りを見回してみた。
・・・・・酷いものだった。
おそらくはテーブルやイスだったであろう物が、折れてヘシ曲がり潰れている。
そして割れた皿やグラス、フォークにナイフが錯乱し、飛び散らかった料理を見ると、どうやら昼食中にこれが起こったのだと分かる。
これとは・・・・・
だんだんと状況が理解できてきた。
船の中がこれだけめちゃくちゃになって、上にあるはずのシャンデリアが下にあるなんて、これしか考えられない。
「・・・映画の中だけの話しかと思ってた」
間違いない・・・大型客船ギルバート・メンドーサ号は、転覆したんだ。
深い底無し沼に落ちていたような、なんとも気分の悪い目覚めだった。
頭に痛みを感じて、少しづつ意識がハッキリとしてくる。
確か俺はガラハドさんと一緒に、ロンズデール国王の部屋から出て来た兵士達を、倒して眠らせていたはず・・・・・そして西側通路の奥が突然眩しい光り、争う音が聞こえたから、シャクール達に何かあったのかと思ったら、今度は船が激しく揺れて・・・・・それからどうなった?
考えるとまた頭が痛む、あの時どこかにぶつけたのかもしれないな・・・
重い瞼を開けて上半身をゆっくりと起こす。
辺りを見回してみるが、自分がどういう状況にいるのかまるで理解できなかった。
これは・・・シャンデリアだよな?
普通、天井から下げられているはずのシャンデリアが、なぜか自分のすぐ脇にあり、しかも逆さまになっている?
割れて砕けたガラス片はそこいらに散らばっており、中の発光石もどこかにいってしまったようで、明かりはついていない事から、これはもうシャンデリアとしての役割は果たせない。
「うっ、痛ッ・・・」
立ち上がろうとして、再び頭が強く痛む。左手を当てると、なにやらヌルッとした感触を感じる。
「・・・うっ・・・これ・・・」
真っ赤に染まった自分の左手を見て、顔が引きつった。どう見ても血だ。俺の血だ。
どうやら俺は頭から出血しているようだ。
もう一度頭を軽くさすり、キズ口を確かめると、左の側頭部を切っている事が分かった。
しかし後頭部はコブもなく大丈夫のようだし、側頭部の出血も左手は真っ赤になってしまったが、幸い致命的な程深くはなさそうだ。
シャツの袖でも破いて一先ずハチマキのように縛っておくかと考えたところで、俺はロンズデールに出発する前にレイジェスで皆から貰った物を思い出した。
腰のベルトに引っ掛けてある革製のウエストポーチは、ケイトとジーンから貰った物だ。
【ちょっと小さめだけど、そのくらいの方が動くのに邪魔にならないと思ってさ。あんた、店に来る時いっつも手ぶらでしょ?ロンズデールに行く時は、最低限回復薬とか傷薬くらいは持って行きなよ。それ、アタシが形を作って、ジーンが魔力で物理と魔法の耐久性を上げたの。しっかりやってくんだよ】
「・・・ケイト、ジーン・・・ありがとう」
出発前のケイトの言葉を思い出した。
感謝の言葉を口にして、ポーチを開く。ジーンがポーチの物理耐久力を上げていたからだろう。
あの揺れで俺はあちこちに体をぶつけたようだが、中身は壊れる事無く、ちゃんと形を残していた。
【はい。これ回復薬。一番質の良い素材を使って特別に作った。でも、瞬間的に完全回復するわけじゃないから過信はしない事。回復薬はどうしても時間がかかる事を忘れないで】
透明な液体の入った小さなビンを一つ取り出す。
ユールが作ってくれた回復薬を口に含んで、ゆっくりと飲み干した。
「・・・ユーリ、ありがとう」
状況はまだ整理できていないが、左側頭部だけでなく、頭だけじゃなく、肩も背中も腕も身体中あちこちが痛む。
だが、骨が折れるような大きな怪我がないのは幸いだった。
薬を飲んだし、少し休めば痛みもとれてくるだろう。
【私もね、一番良い素材を使って作ったの。ある程度の傷なら、これで治せると思う。でも、できれば使わないで欲しい。怪我しないで帰ってきてね・・・】
カチュアの作ってくれた、白い貝殻に入った塗り薬を取り出して、左側頭部の傷口に塗る。
本当は、傷口を洗って清潔なタオルで拭いてからの方がいいんだろうけど、この状況ではそんな物を用意する事などできない。
だから気にはなるけれど、そのまま傷口に薬を塗った。
「・・・お?」
効果はすぐに表れた。
出血が止まった感覚が分かるのだ。傷口が塞がるにはまだかかるだろうけど、ほんの数分で出血が止まった事は驚いた。
「これはすごいな・・・カットマンもびっくりだろ」
ボクシングにはカットマンという、傷の手当をする専門職がある。
試合中に目の上や唇を切って、出血した選手の血を止めるのだが、彼らの血止めは経験と技術だ。
だが、この薬はただ塗っただけで血を止めたのだ。
ボクサーの俺からすれば、これは溜息が出る程の優れものだ。
「カチュア、ありがとう・・・俺、絶対に帰るよ」
着ていたシャツを脱いで袖を破く、頭部の出血は止まったが、それでも額や顔をだいぶ赤く染めてしまったので、しっかりと顔を拭いて、そのままハチマキのように頭を縛った。
そしてしばらく休んでいると、体の痛みも和らいできて、気持ちにも少し余裕が出て来る。
俺はあらためて周りを見回してみた。
・・・・・酷いものだった。
おそらくはテーブルやイスだったであろう物が、折れてヘシ曲がり潰れている。
そして割れた皿やグラス、フォークにナイフが錯乱し、飛び散らかった料理を見ると、どうやら昼食中にこれが起こったのだと分かる。
これとは・・・・・
だんだんと状況が理解できてきた。
船の中がこれだけめちゃくちゃになって、上にあるはずのシャンデリアが下にあるなんて、これしか考えられない。
「・・・映画の中だけの話しかと思ってた」
間違いない・・・大型客船ギルバート・メンドーサ号は、転覆したんだ。
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