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1293 ユナニマス大川横断作戦
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「全軍配置に着け!作戦通り黒魔法使いと青魔法使いを中心に進軍する!負傷者が出たら速やかに下げる事!体力型は白魔法使いのカバーを最優先にする事!足場ができたらゆっくりと進め!」
ユナニマス大川を前に、クインズベリー軍五万が大きく広がると、各部隊の隊長が大きく声を上げて指示を出した。
「あのさジーン、今更だけど・・・この作戦大丈夫かな?敵が火魔法や爆発魔法を飛ばして来たら、足場なんてすぐに壊されないか?」
ユナニマス大川の前に立った数千人の黒魔法使い達が、魔力を込めた手の平を川に向けている。
後方で軍の動きを見ていたアラタは、隣に立つジーンに意見を求めた。
「う~ん・・・魔法使いの僕の目から見て、難しいけど確実性はあると思うよ」
ジーンは腕を組んで少し思案すると、川の前に立つ黒魔法使い達を指さして、自分の考えの説明を始めた。
「この作戦の目的は、1000メートル以上の幅があるこの大川を、どうやって渡るかだよね?そこで軍が決定した方法は、黒魔法使いの氷魔法で川を凍らせて渡る。実際に川底までは凍らせる事はできないけど、人が乗って割れない程度には厚い氷を作る事はできるはず。だから僕は有効な手段だと思うよ」
ジーンは一度そこで言葉を切ると、黙って話しを聞いているアラタに向き直り、でも、と言葉を紡いで話しを続けた。
「アラタの言う通り、川を凍らせる作戦は帝国も考えているはずなんだ。だから火魔法や爆発魔法を撃って、足場を破壊してくる事は十分に考えられる。いや、そうしてくるはずなんだ。だから青魔法使いを前線に出して、結界で防ぐ算段なんだよ。この作戦の柱となるところは、青魔法使いの結界の精度だ。足場の氷を護りながら、どうやって敵の攻撃を防ぎきるか。とにかく慎重にいくしかない」
「黒魔法使いは風魔法で空を飛べるだろ?あっちは攻めて来るんじゃないのか?こっちの黒魔法使いは川を凍らせる作業で手を離せないけど、向こうは攻めてくる。そうなると厳しいと思うんだ。作戦会議では弓兵で対抗するって言ってたし、黒魔法兵の半分は空中戦ように温存するって言ってたけどさ、戦場がこっち側になるだろ?せっかく足場を作っても、自分達の上でバチバチやられたら、その衝撃で足場なんて崩れないかな?」
「それ、会議の時にも言ってたよね?アラタの懸念は分かるよ、そこはしっかり対策をしなきゃいけないところだ。川を渡っている途中で足場が崩れたら全滅だからね。ただ、予想外って言うか、心強い援軍があったじゃないか?空中戦は彼に任せよう。アラタも彼の実力は知ってるでしょ?」
ジーンはニコリと笑うと、自分達と同じく後方で待機する一組の男女に目を向けた。
「あ~、まぁ、それはそうなんだけどな・・・でもあいつ気分屋だからなぁ」
ジーンの向く方にアラタも顔を向けて言葉を返した。
その視線の先には、少し線は細いが背の高い男が立っていた。
やや長めの銀色の髪は後ろに流しており額は出している。男らしい端正な顔立ちをしているが、その青い瞳は冷たさを感じる程に鋭い。
クインズベリー国の黒魔法使いのローブは着ておらず、金の刺繍をあしらった白いシャツに、黒いロングパンツを穿いている。
その男は黒魔法使いの四勇士、シャクール・バルデスだった。
「シャクールのヤツ、いきなり来たからビックリしたよ」
アラタは少し戸惑い気味にそう呟くと、そのままシャクールの隣に、寄り添うように立つ女性に視線を移した
アップにまとめた金色の髪、少しのそばかすがあり、シャープな顎のラインにキリっとした目と、少し吊り上がった眉からは、意思の強さが見て取れるかのようだった。
そしてダークブラウンのパイピングがあしらわれている、白いローブを身に纏っていた。
「それにサリーさん。サリーさんには俺もロンズデールで助けてもらったよ。体力型の俺には基準があんまり分からないけど、多分クインズベリーでトップレベルの白魔法使いだと思う」
「うん、僕もそう聞いてるよ。サリーさんはヒールでの支援が中心になると思う。彼女ほどの白魔法使いがいるならすごく心強いよ。で、シャクールだけど、彼の強さは実際に戦った僕が一番知ってるよ。ユーリと二人がかりで戦ってなんとか勝てた。でもあの時のシャクールは本気じゃなかった・・・彼が本気を出したら、本当に空の戦いを一人で制圧してしまうんじゃないかって、そう思えるくらいだよ。だからロブギンス団長もシャクールがいるならって、この作戦を決断したと思うんだ」
偽国王との戦いの時、ジーンはユーリと組んでシャクール・バルデスと戦った。
その戦いはユーリがシャクールの顎を割って勝利を収めたが、シャクールが本気を出していなかった事は、戦った二人が身を持って感じ取っていた。
護りの塔を壊すわけにはいかなかった事、そして戦いの中で、自分が本当に偽国王の側に立っていいのか迷いが出たのだ。
もしシャクールが最初から躊躇いもなく戦いに臨んでいたら、ジーンとユーリはこの場に立っていられなかっただろう。
「敵だと本当に厄介だけど、味方になるとバルデスほど頼もしい男はいないよ。だからさ、ここはシャクールに任せよう」
「・・・そうだな、分かった。俺も今になって気にしすぎだったよ。空の戦いはシャクールに任せよう。俺達はこの川を渡ってからが出番だもんな」
「うん、僕達レイジェスはこの川を渡って、第六師団のシャンテル・ガードナーを倒す。それまではできるだけ力を温存しなきゃならないんだ」
アラタがもう一度、分かった。と言って頷くと、ジーンもニコリと笑って、うん、と答えた。
そして川の前に並ぶ黒魔法兵達に指先を向けて、言葉を続けた。
「アラタ、そろそろ始まるようだよ」
川の前に並ぶ黒魔法使い達が、魔力を冷気に変えて放出するすると、パキパキと音を立てて、川の表面が凍り始めた。
クインズベリー軍の、ユナニマス大川横断作戦が始まった。
ユナニマス大川を前に、クインズベリー軍五万が大きく広がると、各部隊の隊長が大きく声を上げて指示を出した。
「あのさジーン、今更だけど・・・この作戦大丈夫かな?敵が火魔法や爆発魔法を飛ばして来たら、足場なんてすぐに壊されないか?」
ユナニマス大川の前に立った数千人の黒魔法使い達が、魔力を込めた手の平を川に向けている。
後方で軍の動きを見ていたアラタは、隣に立つジーンに意見を求めた。
「う~ん・・・魔法使いの僕の目から見て、難しいけど確実性はあると思うよ」
ジーンは腕を組んで少し思案すると、川の前に立つ黒魔法使い達を指さして、自分の考えの説明を始めた。
「この作戦の目的は、1000メートル以上の幅があるこの大川を、どうやって渡るかだよね?そこで軍が決定した方法は、黒魔法使いの氷魔法で川を凍らせて渡る。実際に川底までは凍らせる事はできないけど、人が乗って割れない程度には厚い氷を作る事はできるはず。だから僕は有効な手段だと思うよ」
ジーンは一度そこで言葉を切ると、黙って話しを聞いているアラタに向き直り、でも、と言葉を紡いで話しを続けた。
「アラタの言う通り、川を凍らせる作戦は帝国も考えているはずなんだ。だから火魔法や爆発魔法を撃って、足場を破壊してくる事は十分に考えられる。いや、そうしてくるはずなんだ。だから青魔法使いを前線に出して、結界で防ぐ算段なんだよ。この作戦の柱となるところは、青魔法使いの結界の精度だ。足場の氷を護りながら、どうやって敵の攻撃を防ぎきるか。とにかく慎重にいくしかない」
「黒魔法使いは風魔法で空を飛べるだろ?あっちは攻めて来るんじゃないのか?こっちの黒魔法使いは川を凍らせる作業で手を離せないけど、向こうは攻めてくる。そうなると厳しいと思うんだ。作戦会議では弓兵で対抗するって言ってたし、黒魔法兵の半分は空中戦ように温存するって言ってたけどさ、戦場がこっち側になるだろ?せっかく足場を作っても、自分達の上でバチバチやられたら、その衝撃で足場なんて崩れないかな?」
「それ、会議の時にも言ってたよね?アラタの懸念は分かるよ、そこはしっかり対策をしなきゃいけないところだ。川を渡っている途中で足場が崩れたら全滅だからね。ただ、予想外って言うか、心強い援軍があったじゃないか?空中戦は彼に任せよう。アラタも彼の実力は知ってるでしょ?」
ジーンはニコリと笑うと、自分達と同じく後方で待機する一組の男女に目を向けた。
「あ~、まぁ、それはそうなんだけどな・・・でもあいつ気分屋だからなぁ」
ジーンの向く方にアラタも顔を向けて言葉を返した。
その視線の先には、少し線は細いが背の高い男が立っていた。
やや長めの銀色の髪は後ろに流しており額は出している。男らしい端正な顔立ちをしているが、その青い瞳は冷たさを感じる程に鋭い。
クインズベリー国の黒魔法使いのローブは着ておらず、金の刺繍をあしらった白いシャツに、黒いロングパンツを穿いている。
その男は黒魔法使いの四勇士、シャクール・バルデスだった。
「シャクールのヤツ、いきなり来たからビックリしたよ」
アラタは少し戸惑い気味にそう呟くと、そのままシャクールの隣に、寄り添うように立つ女性に視線を移した
アップにまとめた金色の髪、少しのそばかすがあり、シャープな顎のラインにキリっとした目と、少し吊り上がった眉からは、意思の強さが見て取れるかのようだった。
そしてダークブラウンのパイピングがあしらわれている、白いローブを身に纏っていた。
「それにサリーさん。サリーさんには俺もロンズデールで助けてもらったよ。体力型の俺には基準があんまり分からないけど、多分クインズベリーでトップレベルの白魔法使いだと思う」
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その戦いはユーリがシャクールの顎を割って勝利を収めたが、シャクールが本気を出していなかった事は、戦った二人が身を持って感じ取っていた。
護りの塔を壊すわけにはいかなかった事、そして戦いの中で、自分が本当に偽国王の側に立っていいのか迷いが出たのだ。
もしシャクールが最初から躊躇いもなく戦いに臨んでいたら、ジーンとユーリはこの場に立っていられなかっただろう。
「敵だと本当に厄介だけど、味方になるとバルデスほど頼もしい男はいないよ。だからさ、ここはシャクールに任せよう」
「・・・そうだな、分かった。俺も今になって気にしすぎだったよ。空の戦いはシャクールに任せよう。俺達はこの川を渡ってからが出番だもんな」
「うん、僕達レイジェスはこの川を渡って、第六師団のシャンテル・ガードナーを倒す。それまではできるだけ力を温存しなきゃならないんだ」
アラタがもう一度、分かった。と言って頷くと、ジーンもニコリと笑って、うん、と答えた。
そして川の前に並ぶ黒魔法兵達に指先を向けて、言葉を続けた。
「アラタ、そろそろ始まるようだよ」
川の前に並ぶ黒魔法使い達が、魔力を冷気に変えて放出するすると、パキパキと音を立てて、川の表面が凍り始めた。
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