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細マッチョな先輩と恋人同士になった件(ソレイユルート)
好きってパワー
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困ったような、照れたような顔をして鏡に映っている男は、間違いなく俺だ。普段と違って、ちゃんとヘアスタイルも。ソレイユ先輩の手によって、ふわっとしつつもカッコいい髪型にしてもらっているけれども。
でも、印象は全然違う。着る服を変えるだけでこうも変われるものなんだろうか。
普段の俺が、ファッションのファの字も知らないもんだから、余計にそう感じているのかもしれない。でも、やっぱり一番の決め手は、選んでくれている先輩のセンスが良いからだろう。
先輩曰く、ルーズシルエットにしてみたという俺の格好は、系統で言えば完全に可愛い系だろう。
すっぽりと上から被るだけで着れた白い七分丈のシャツは明らかに大きめのサイズ。袖の部分も浴衣みたいにふわりと広がっている。ただ、下に合わせている薄茶色のズボンは逆にピッタリサイズ。足のラインが分かるくらいにフィットしてしまっている。
俺も、先輩みたいに足が長くて筋肉質だったらな。抜群にカッコよかっただろうに。
俺の場合、上の服のふわっとした印象もあってか、余計に足の細さが、その貧弱さが目立ってしまっている。
……大丈夫かな。折角、先輩に選んでもらったのに。
「しゅーんちゃん、着替え終わった?」
「は、はぃっ」
「そっか、開けてもいい?」
「はい、どうぞ……」
鏡に背を向け待っていると、俺と先輩とを隔てていたカーテンがゆっくりと開かれていく。
まるで時間の流れが遅くなったみたい。鼓動はどんどん駆け足になっているってのに、全然先輩の姿が見えてきやしない。
「……っ」
ようやく見ることが出来た人の良さそうな笑顔。俺の大好きな笑顔が、目が合った途端にぱぁっと眩しく輝いた。
「シュンちゃん可愛い! いつもの服も可愛いけど、とびきり可愛いよ! 絶対にコッチも似合うと思ってたんだよねー」
「あ、ありがとうございます……」
好きってパワーはスゴい。滲みかけていた不安なんてなんのその。あっという間に吹き飛ばしてくれて、喜びで満たしてくれるんだから。
心の底からの笑顔になれるんだから。
ことの発端は、お出掛け前。堂々と胸を張って先輩の隣に並べるようにと、慌ててクローゼットを漁っていた時のことだった。
「……どうしよう……デートに着ていく服も事前にライに相談すべきだったな……」
先輩と恋人同士になれる前は、少しでも先輩との接点を持とうと、お話しがしたいと、毎日あのベンチで待っていた。念願叶って恋人同士になれたらなれたで、少しでも先輩と一緒に居たいってことしか頭になかった。
その結果が、お出掛け用に着るような服が一切ない。どれだけ探してみても、トレーナーとTシャツしか出てこないっていう現状なんだけどさ。
まぁ、一応とっておきはあるんだけれども。それも、先輩との思い出がある特別な服が。でも……
「しゅーんちゃんっ」
「どわっ」
背中に感じた温もりと程よい弾力、お腹の前にするりと回された長い腕。急に後ろから抱きつかれて、俺は間の抜けた声を上げてしまった。大げさに全身を跳ねさせてしまっていた。犯人なんて一人しかいない。振り向かなくても分かる。
「ソレイユ先輩……おかえり、なさい……」
「フフ、ただいま、シュンちゃん」
一緒にシャワーを浴びてから、ちょっと着替えてくるね、と先輩は自分の部屋へ。俺の寮のすぐ近くにある先輩の寮へと一旦戻ったハズ。念の為にと合い鍵は渡していたけれども、一体いつの間に戻ってきて。
「ゴメンね、びっくりさせちゃって。鍵を使う前にピンポンも鳴らしたし、何度も声を掛けたんだけどさ……」
マジか……全然気付けなかった……俺、先輩に悪いことを。
「ご、ごめんなさ……んっ」
顔だけ振り向いたところで、口に柔らかな温もりが触れた。視界を占めている先輩の笑顔が、どこか悪戯っぽく微笑んでいて。
「……全然気付いてくれないから、寂しくなっちゃった」
優しく肩を掴まれて、身体ごと振り向かされる。そのままの勢いで、俺の身体は先輩の逞しい腕の中へとすっぽりと収まった。
でも、印象は全然違う。着る服を変えるだけでこうも変われるものなんだろうか。
普段の俺が、ファッションのファの字も知らないもんだから、余計にそう感じているのかもしれない。でも、やっぱり一番の決め手は、選んでくれている先輩のセンスが良いからだろう。
先輩曰く、ルーズシルエットにしてみたという俺の格好は、系統で言えば完全に可愛い系だろう。
すっぽりと上から被るだけで着れた白い七分丈のシャツは明らかに大きめのサイズ。袖の部分も浴衣みたいにふわりと広がっている。ただ、下に合わせている薄茶色のズボンは逆にピッタリサイズ。足のラインが分かるくらいにフィットしてしまっている。
俺も、先輩みたいに足が長くて筋肉質だったらな。抜群にカッコよかっただろうに。
俺の場合、上の服のふわっとした印象もあってか、余計に足の細さが、その貧弱さが目立ってしまっている。
……大丈夫かな。折角、先輩に選んでもらったのに。
「しゅーんちゃん、着替え終わった?」
「は、はぃっ」
「そっか、開けてもいい?」
「はい、どうぞ……」
鏡に背を向け待っていると、俺と先輩とを隔てていたカーテンがゆっくりと開かれていく。
まるで時間の流れが遅くなったみたい。鼓動はどんどん駆け足になっているってのに、全然先輩の姿が見えてきやしない。
「……っ」
ようやく見ることが出来た人の良さそうな笑顔。俺の大好きな笑顔が、目が合った途端にぱぁっと眩しく輝いた。
「シュンちゃん可愛い! いつもの服も可愛いけど、とびきり可愛いよ! 絶対にコッチも似合うと思ってたんだよねー」
「あ、ありがとうございます……」
好きってパワーはスゴい。滲みかけていた不安なんてなんのその。あっという間に吹き飛ばしてくれて、喜びで満たしてくれるんだから。
心の底からの笑顔になれるんだから。
ことの発端は、お出掛け前。堂々と胸を張って先輩の隣に並べるようにと、慌ててクローゼットを漁っていた時のことだった。
「……どうしよう……デートに着ていく服も事前にライに相談すべきだったな……」
先輩と恋人同士になれる前は、少しでも先輩との接点を持とうと、お話しがしたいと、毎日あのベンチで待っていた。念願叶って恋人同士になれたらなれたで、少しでも先輩と一緒に居たいってことしか頭になかった。
その結果が、お出掛け用に着るような服が一切ない。どれだけ探してみても、トレーナーとTシャツしか出てこないっていう現状なんだけどさ。
まぁ、一応とっておきはあるんだけれども。それも、先輩との思い出がある特別な服が。でも……
「しゅーんちゃんっ」
「どわっ」
背中に感じた温もりと程よい弾力、お腹の前にするりと回された長い腕。急に後ろから抱きつかれて、俺は間の抜けた声を上げてしまった。大げさに全身を跳ねさせてしまっていた。犯人なんて一人しかいない。振り向かなくても分かる。
「ソレイユ先輩……おかえり、なさい……」
「フフ、ただいま、シュンちゃん」
一緒にシャワーを浴びてから、ちょっと着替えてくるね、と先輩は自分の部屋へ。俺の寮のすぐ近くにある先輩の寮へと一旦戻ったハズ。念の為にと合い鍵は渡していたけれども、一体いつの間に戻ってきて。
「ゴメンね、びっくりさせちゃって。鍵を使う前にピンポンも鳴らしたし、何度も声を掛けたんだけどさ……」
マジか……全然気付けなかった……俺、先輩に悪いことを。
「ご、ごめんなさ……んっ」
顔だけ振り向いたところで、口に柔らかな温もりが触れた。視界を占めている先輩の笑顔が、どこか悪戯っぽく微笑んでいて。
「……全然気付いてくれないから、寂しくなっちゃった」
優しく肩を掴まれて、身体ごと振り向かされる。そのままの勢いで、俺の身体は先輩の逞しい腕の中へとすっぽりと収まった。
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