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【新婚旅行編】七日目:……随分な爆弾発言をしてくれちゃってると思いますけど
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「いかがなさいましたか? やはり、何か、お身体に不調が」
「いや、俺がっていうか、バアルがっていうか……あー、でも、中身はバアルでも、身体自体は俺なんだっけ?」
ややこしい。非常にややこしい。
一旦冷静になるべく息を深く吸って、吐いて。改めて心配そうに見つめる俺を、バアルを見てみても、やっぱり。
「えっと、なんか、ちょっとだけ輝いて見えるんだよね。バアルの、じゃなくて……俺の身体の周りが、こう、ぼやぁって……」
例えるならば、後ろから後光が差しているような。眩しいというほど強くはない柔らかな光が、神秘的なオーラのように放たれているのだ。その小柄な身体の輪郭を縁取るように。
伝わっていないんだろうか、ただでさえ丸い瞳が余計に丸くなっている。
さてはて、どう説明したもんか。焦る俺の気持ちを代弁してくれているかのように、触角と羽がそわそわ揺れ始める。
ふと手を握られた。柔らかなその手は両手で握っているってのに、俺の片手だけでいっぺんに握り返してしまえるくらいに小さかった。
「そちらに関しては、問題ございませんよ。私の目には、常にそのように見えておりますので」
「へ? あっ、そうなんですね、良かったぁー」
「ええ、何らかの不調等ではございません故、御安心下さい」
「うん、ホッとしたよ……って、ちょっと待って!?」
「はい?」
また思わず大きな声を上げてしまっていた。にも関わらずバアルさんは、何事もなかったかのように小首を傾げている。
……随分な爆弾発言をしてくれちゃってると思いますけど。
「じゃあ、バアルの目には、いっつも俺が輝いて見えていたってこと? デフォルトで?」
「ええ」
またしてもバアルさんは、こともなげに頷いてみせた。何だか驚いている俺の方が大げさみたい。
「マジですか……」
「マジです。愛らしくもカッコいい貴方様の魅力は、可憐な御身体には収まりきれませんからね。周囲を照らさんとばかりにあふれてしまっていても、致し方はございません」
流暢に紡がれていく言葉は嬉しくも照れ臭くもある。しかし、同時に俺は納得もしていた。
最近、俺の目にもバアルさんがキラキラって輝いて見えているしな。お揃いって言うには、おこがましい気もするけれど。
「と……まぁ、冗談は、この辺にしておきましょう」
「えっ? 冗談、だったんだ……?」
「いえ失礼、私の愛しい妻が魅力にあふれていらっしゃるのは、紛れもない事実ではございま」
「っありがとう、分かったからっ、それに関してはスゴく嬉しいし、お腹いっぱいだからっ、ちゃんと説明して欲しいなっ?」
「……畏まりました」
これ以上は褒め殺しにされてしまいそう。
慌てて話の軌道修正を図れば、バアルさんはすぐに乗っかってくれた。まだ褒め足りなさそうに眉間にシワを刻んではいたけれども。
「ズバリ申し上げますと……」
「う、うん……」
「魂の契約を交わしたからでございます」
「えっと……それって、結婚式の時に交わした……何があっても、バアルとずっと一緒に居られるってヤツだよね?」
「はい、左様でございます」
微笑みながらバアルさんは、ソファーから少し腰を上げた。右手を伸ばして、俺の頭をよしよしと撫でてくれる。目線の合ったオレンジ色の瞳は、温かな光を堪えていた。
「いや、俺がっていうか、バアルがっていうか……あー、でも、中身はバアルでも、身体自体は俺なんだっけ?」
ややこしい。非常にややこしい。
一旦冷静になるべく息を深く吸って、吐いて。改めて心配そうに見つめる俺を、バアルを見てみても、やっぱり。
「えっと、なんか、ちょっとだけ輝いて見えるんだよね。バアルの、じゃなくて……俺の身体の周りが、こう、ぼやぁって……」
例えるならば、後ろから後光が差しているような。眩しいというほど強くはない柔らかな光が、神秘的なオーラのように放たれているのだ。その小柄な身体の輪郭を縁取るように。
伝わっていないんだろうか、ただでさえ丸い瞳が余計に丸くなっている。
さてはて、どう説明したもんか。焦る俺の気持ちを代弁してくれているかのように、触角と羽がそわそわ揺れ始める。
ふと手を握られた。柔らかなその手は両手で握っているってのに、俺の片手だけでいっぺんに握り返してしまえるくらいに小さかった。
「そちらに関しては、問題ございませんよ。私の目には、常にそのように見えておりますので」
「へ? あっ、そうなんですね、良かったぁー」
「ええ、何らかの不調等ではございません故、御安心下さい」
「うん、ホッとしたよ……って、ちょっと待って!?」
「はい?」
また思わず大きな声を上げてしまっていた。にも関わらずバアルさんは、何事もなかったかのように小首を傾げている。
……随分な爆弾発言をしてくれちゃってると思いますけど。
「じゃあ、バアルの目には、いっつも俺が輝いて見えていたってこと? デフォルトで?」
「ええ」
またしてもバアルさんは、こともなげに頷いてみせた。何だか驚いている俺の方が大げさみたい。
「マジですか……」
「マジです。愛らしくもカッコいい貴方様の魅力は、可憐な御身体には収まりきれませんからね。周囲を照らさんとばかりにあふれてしまっていても、致し方はございません」
流暢に紡がれていく言葉は嬉しくも照れ臭くもある。しかし、同時に俺は納得もしていた。
最近、俺の目にもバアルさんがキラキラって輝いて見えているしな。お揃いって言うには、おこがましい気もするけれど。
「と……まぁ、冗談は、この辺にしておきましょう」
「えっ? 冗談、だったんだ……?」
「いえ失礼、私の愛しい妻が魅力にあふれていらっしゃるのは、紛れもない事実ではございま」
「っありがとう、分かったからっ、それに関してはスゴく嬉しいし、お腹いっぱいだからっ、ちゃんと説明して欲しいなっ?」
「……畏まりました」
これ以上は褒め殺しにされてしまいそう。
慌てて話の軌道修正を図れば、バアルさんはすぐに乗っかってくれた。まだ褒め足りなさそうに眉間にシワを刻んではいたけれども。
「ズバリ申し上げますと……」
「う、うん……」
「魂の契約を交わしたからでございます」
「えっと……それって、結婚式の時に交わした……何があっても、バアルとずっと一緒に居られるってヤツだよね?」
「はい、左様でございます」
微笑みながらバアルさんは、ソファーから少し腰を上げた。右手を伸ばして、俺の頭をよしよしと撫でてくれる。目線の合ったオレンジ色の瞳は、温かな光を堪えていた。
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