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第二章 魔導競技祭
第五話 甘すぎたかな
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朝の陽光が、分厚いカーテンの隙間から静かに差し込む。
リナは寮の自室のドレッサーの前に腰を下ろし、整えた長い黒髪を指先で梳いた。
ドレッサーの端には、小さなケースが置かれている。その中でひときわ存在感を放つのは、深い紫色の宝石を切り出して作られた、楕円型のバレッタ。リナの母の形見だ。
夜空に星々が瞬くように光を宿すその石は、今もなおリナの胸の奥にある「決して忘れられないもの」を呼び覚ます。
「……お母さん」
リナはそう呟いて、バレッタを髪に挿す。
冷たい石の感触が、こめかみに触れた瞬間――あの日の記憶が、押し寄せてきた。
幼い頃のリナは、強すぎる魔力を制御できず、頻繁に魔力の暴走を起こした。それを抑えるために、毎日二回、薬を服用しなければならなかった。
薬を飲む度に、魔力を無理矢理抑え込まれる感触が気持ち悪くて泣き叫ぶリナを、母は優しく包み込んでくれた。
強くて、温かくて、魔導士としても女性としても、憧れの存在だった。
「大丈夫よ、リナ。あなたはきっと、誰よりも強くなれる。」
そう言って笑った母の声が、耳の奥に蘇る。
けれど、あの日を境に、母は変わり果てた。
凛とした誇りのような魔力の気配は跡形もなく消え去り、代わりに幸せそうな微笑みを絶やさなくなった。けれど、それは本物の笑顔ではなかった。
瞳は虚ろで、何も映さず、ただ笑い続ける抜け殻のような姿。
小さなリナが必死に声をかけても、返ってくるのは同じ微笑みだけ。その微笑みに安らぎを感じることは二度となかった。
むしろ、その笑顔こそが残酷な呪いの証であることを、幼いながらに悟ってしまったのだ。
父は必死に母を元に戻す方法を探した。魔導書を漁り、古い術式を試し、仲間だった魔導士に相談し、ありとあらゆる手を尽くした。しかし、母の魂の奥に刻まれた悪魔の呪いは、どんな魔法を使っても解けなかった。
魔導士にとって生命の源にも等しい魔力の核を奪われた母は、数年後に衰弱死した。最期の瞬間まで、あの虚ろな微笑みを浮かべたまま。
胸が締めつけられる。こみ上げる苦しさを、リナは深呼吸で押さえ込む。
鏡に映る自分の瞳は、今日も母と同じ紫の輝きを宿している。
その色は母が生きた証であり、同時に「籠絡の悪魔」によって奪われたものの痛みを刻む記録でもある。
「私は……絶対に負けない。」
呟く声は小さかったが、決意は確かなものだった。
髪に母のバレッタをしっかりと固定すると、リナは鏡越しに真っ直ぐな視線を自分に投げかけた。
母は日記をつけていた。その日記の中に籠絡の悪魔と関わっていた日々のことも記されていたのだ。その一説をリナは思い出す。
『彼の指先にはいつも銀の光があった。
それが揺れるたびに、胸の奥が少しずつ崩れていくようで……。
不思議ね。削られているのに、なぜか安らいでしまう。』
ーー銀の光。
レイゼがネックレスを指で弄ぶ光景や、首元でネックレスが揺れる様子が思い浮かぶ。
(やっぱりあれが契約の核の可能性が高い。)
リナは固くバレッタを握りしめた。
◇◆◇◆
放課後、グランディア魔法学園のラウンジは、夕焼け色に染まっていた。
大きな窓から差し込む光が、磨かれた大理石の床に淡く反射し、その広い空間はコーヒーや紅茶の匂いと、談笑する生徒たちの声に包まれていた。
「リナ。」
明日の授業の予習をしようとラウンジに訪れたリナは、背後から名を呼ぶ声に、わずかに肩を震わせた。
振り返ると、灰青の瞳を柔らかく細めたレイゼが立っていた。銀の髪に光が降り注ぎ、まるで舞台の中央に立つ役者のように目を引く。
「よかったら、一緒に紅茶を飲まない?」
不意の誘いに、リナは一瞬躊躇した。
(……契約の核の手がかりが得られるかもしれない)
心の奥で冷静に計算を巡らせ、やがて頷く。
「……いいわ。」
リナが返事をすると、レイゼは満足げに微笑み、奥の席を示した。ラウンジの隅、陽光と人目から離れた二人掛けのソファ。
リナは腰を下ろし、正面に座るレイゼと向き合った。
銀の粉が入った砂時計が正確に紅茶の抽出時間を測る。レイゼは手慣れた仕草でポットから紅茶を注ぎ、香り立つ湯気がふわりと二人の間を満たした。
「君とこうして座ると、不思議と時間が緩やかに流れる気がする。」
レイゼは紅茶を注いだカップをリナに差し出しながら甘い声で言った。
リナは唇を引き結んだまま、目を逸らさずにレイゼを見返す。
(本当の目的は……この時間にあるわけじゃない。私が求めているのは契約の核の情報。)
不意に、カチリと澄んだ音が響いた。レイゼが角砂糖を二つ、カップに落としたのだ。
紅茶の表面で小さな波紋が広がり、スプーンで静かにかき混ぜる音が続く。その手の動きはやけに優雅で、そして――視線はずっとリナに注がれていた。
「……何よ?」
リナが問うと、レイゼはわずかに唇を緩める。
「…………いや。今日も君は可愛いな、と思って」
リナの心臓が一拍、大きく跳ねた。
(可愛い?ふざけないで……!)
頬の熱を誤魔化すように視線をそらす。
レイゼは軽くカップを傾け、紅茶を一口含んだ。
「……甘すぎたかな?」
小さく呟くその声音は、紅茶の話をしているのか、それとも、彼女への甘い言葉を意味しているのか、曖昧だった。
リナは言葉を返せず、ただ強くカップを握りしめた。
(揺らいじゃだめ。あくまで私は――契約の核を見つけるために、ここにいるんだから)
紅茶の湯気がゆらめく中、リナはさりげなく目を細めて、レイゼの胸元に視線を落とした。そこには、例の銀のネックレスがいつも通り光を帯びて揺れている。
「……そういえば」
わざと何気ない調子で、リナは口を開いた。
「魔法実技の授業中も、そのネックレスつけてたわよね。動きの邪魔じゃないの?」
問いかけられたレイゼは、一瞬だけ驚いたように瞬きをし、すぐに柔らかく笑った。
「これはね、大事なものなんだ。だから、いつも身につけていたい。」
その声音はあまりに自然で、偽りを感じさせない。だが、リナの胸には逆に警鐘が鳴った。
リナと会話をしながら、レイゼはカップを傾け、ゆるやかに紅茶を口へと運ぶ。その動作はあまりに優雅で、絵画の一場面のように美しい。
けれど、リナの目には、それが人の心を啜り取る「籠絡」の姿と重なって見えた。
(…この悪魔は紅茶を飲み干すみたいに、人の心を、飲み込んでいく。)
レイゼの唇に触れたカップが空になり、テーブルに静かに置かれる。
見た目は澄んだままの真っ白なカップ。だが中身は、一滴も残っていない。
その光景が、ふと母の面影と重なった。強く優しく笑っていたはずの母が、レイゼに出会ったあと、何の外傷もないのに中身だけ奪われて、「抜け殻」となった姿を思い出してしまう。
(美しいまま、空っぽになって……)
胸の奥に、じわりと冷たい痛みが広がる。
レイゼの紅茶を飲む仕草一つすら、リナにとっては母を奪われた記憶を抉る残酷な幻影だった。
「……あなたに聞きたいことがあるの。」
声を震わせないように努めながら、リナは口を開く。
「母を……籠絡したときのこと。覚えてる?」
レイゼは空になったカップから目を離し、ゆっくりと瞳を上げた。灰青の光がリナを射抜く。
「うん、よく覚えている。とても綺麗で優しい人だった。」
「ふざけないで!」
リナはテーブルの下で爪が食い込むほど、拳を握りしめた。
「母は……あなたに魔力を奪われて壊れたのよ!」
しかし、レイゼは表情ひとつ崩さない。
「壊れた? 違うよ。彼女は幸福そうに笑っていた。最後までね。」
リナの胸がざわめく。幸福そうに見えたのは、あの虚ろな微笑みのことだ。
「それはあなたが魂の奥に幻影を埋め込んだからでしょ!」
レイゼは微笑みを浮かべる。
「じゃあ、リナ。君にとって“幸せ”って何?」
突きつけられた問いに息を呑む。
復讐。母の仇を討つこと。それが自分の生きる理由のすべてだ。
だが「幸せ」と問われた途端、言葉が詰まる。
「……私は……」
「幸せなんてどうでもいい。母の仇を討つことが最優先。それが君の答えだろうね。」
レイゼはまるで心を見透かすように続けた。
「でもそれで君自身は満たされるのかな? 君の人生は復讐だけで終わるの?」
胸が締めつけられる。
「……私の幸せはあなたを倒した後に考える。あなたが存在する世界で、私の幸せはあり得ない。」
リナはカップを両手で包んで、俯いたまま言葉を紡ぐ。その言葉には深い決意と哀しみが込もっていた。
「……なるほどね。」
レイゼは否定も肯定もせず、リナの言葉を受け止める。
「でもね、リナ。君のお母さんは君の幸せを心から願っている様子だったよ。」
「……うるさい!その母の願いも、未来も、奪ったのはあなたじゃない!」
思わず涙が溢れそうになる。リナは紅茶を飲み干して席を立った。
レイゼの差し出した紅茶は、悪魔の誘惑のように美味しかった。
リナは寮の自室のドレッサーの前に腰を下ろし、整えた長い黒髪を指先で梳いた。
ドレッサーの端には、小さなケースが置かれている。その中でひときわ存在感を放つのは、深い紫色の宝石を切り出して作られた、楕円型のバレッタ。リナの母の形見だ。
夜空に星々が瞬くように光を宿すその石は、今もなおリナの胸の奥にある「決して忘れられないもの」を呼び覚ます。
「……お母さん」
リナはそう呟いて、バレッタを髪に挿す。
冷たい石の感触が、こめかみに触れた瞬間――あの日の記憶が、押し寄せてきた。
幼い頃のリナは、強すぎる魔力を制御できず、頻繁に魔力の暴走を起こした。それを抑えるために、毎日二回、薬を服用しなければならなかった。
薬を飲む度に、魔力を無理矢理抑え込まれる感触が気持ち悪くて泣き叫ぶリナを、母は優しく包み込んでくれた。
強くて、温かくて、魔導士としても女性としても、憧れの存在だった。
「大丈夫よ、リナ。あなたはきっと、誰よりも強くなれる。」
そう言って笑った母の声が、耳の奥に蘇る。
けれど、あの日を境に、母は変わり果てた。
凛とした誇りのような魔力の気配は跡形もなく消え去り、代わりに幸せそうな微笑みを絶やさなくなった。けれど、それは本物の笑顔ではなかった。
瞳は虚ろで、何も映さず、ただ笑い続ける抜け殻のような姿。
小さなリナが必死に声をかけても、返ってくるのは同じ微笑みだけ。その微笑みに安らぎを感じることは二度となかった。
むしろ、その笑顔こそが残酷な呪いの証であることを、幼いながらに悟ってしまったのだ。
父は必死に母を元に戻す方法を探した。魔導書を漁り、古い術式を試し、仲間だった魔導士に相談し、ありとあらゆる手を尽くした。しかし、母の魂の奥に刻まれた悪魔の呪いは、どんな魔法を使っても解けなかった。
魔導士にとって生命の源にも等しい魔力の核を奪われた母は、数年後に衰弱死した。最期の瞬間まで、あの虚ろな微笑みを浮かべたまま。
胸が締めつけられる。こみ上げる苦しさを、リナは深呼吸で押さえ込む。
鏡に映る自分の瞳は、今日も母と同じ紫の輝きを宿している。
その色は母が生きた証であり、同時に「籠絡の悪魔」によって奪われたものの痛みを刻む記録でもある。
「私は……絶対に負けない。」
呟く声は小さかったが、決意は確かなものだった。
髪に母のバレッタをしっかりと固定すると、リナは鏡越しに真っ直ぐな視線を自分に投げかけた。
母は日記をつけていた。その日記の中に籠絡の悪魔と関わっていた日々のことも記されていたのだ。その一説をリナは思い出す。
『彼の指先にはいつも銀の光があった。
それが揺れるたびに、胸の奥が少しずつ崩れていくようで……。
不思議ね。削られているのに、なぜか安らいでしまう。』
ーー銀の光。
レイゼがネックレスを指で弄ぶ光景や、首元でネックレスが揺れる様子が思い浮かぶ。
(やっぱりあれが契約の核の可能性が高い。)
リナは固くバレッタを握りしめた。
◇◆◇◆
放課後、グランディア魔法学園のラウンジは、夕焼け色に染まっていた。
大きな窓から差し込む光が、磨かれた大理石の床に淡く反射し、その広い空間はコーヒーや紅茶の匂いと、談笑する生徒たちの声に包まれていた。
「リナ。」
明日の授業の予習をしようとラウンジに訪れたリナは、背後から名を呼ぶ声に、わずかに肩を震わせた。
振り返ると、灰青の瞳を柔らかく細めたレイゼが立っていた。銀の髪に光が降り注ぎ、まるで舞台の中央に立つ役者のように目を引く。
「よかったら、一緒に紅茶を飲まない?」
不意の誘いに、リナは一瞬躊躇した。
(……契約の核の手がかりが得られるかもしれない)
心の奥で冷静に計算を巡らせ、やがて頷く。
「……いいわ。」
リナが返事をすると、レイゼは満足げに微笑み、奥の席を示した。ラウンジの隅、陽光と人目から離れた二人掛けのソファ。
リナは腰を下ろし、正面に座るレイゼと向き合った。
銀の粉が入った砂時計が正確に紅茶の抽出時間を測る。レイゼは手慣れた仕草でポットから紅茶を注ぎ、香り立つ湯気がふわりと二人の間を満たした。
「君とこうして座ると、不思議と時間が緩やかに流れる気がする。」
レイゼは紅茶を注いだカップをリナに差し出しながら甘い声で言った。
リナは唇を引き結んだまま、目を逸らさずにレイゼを見返す。
(本当の目的は……この時間にあるわけじゃない。私が求めているのは契約の核の情報。)
不意に、カチリと澄んだ音が響いた。レイゼが角砂糖を二つ、カップに落としたのだ。
紅茶の表面で小さな波紋が広がり、スプーンで静かにかき混ぜる音が続く。その手の動きはやけに優雅で、そして――視線はずっとリナに注がれていた。
「……何よ?」
リナが問うと、レイゼはわずかに唇を緩める。
「…………いや。今日も君は可愛いな、と思って」
リナの心臓が一拍、大きく跳ねた。
(可愛い?ふざけないで……!)
頬の熱を誤魔化すように視線をそらす。
レイゼは軽くカップを傾け、紅茶を一口含んだ。
「……甘すぎたかな?」
小さく呟くその声音は、紅茶の話をしているのか、それとも、彼女への甘い言葉を意味しているのか、曖昧だった。
リナは言葉を返せず、ただ強くカップを握りしめた。
(揺らいじゃだめ。あくまで私は――契約の核を見つけるために、ここにいるんだから)
紅茶の湯気がゆらめく中、リナはさりげなく目を細めて、レイゼの胸元に視線を落とした。そこには、例の銀のネックレスがいつも通り光を帯びて揺れている。
「……そういえば」
わざと何気ない調子で、リナは口を開いた。
「魔法実技の授業中も、そのネックレスつけてたわよね。動きの邪魔じゃないの?」
問いかけられたレイゼは、一瞬だけ驚いたように瞬きをし、すぐに柔らかく笑った。
「これはね、大事なものなんだ。だから、いつも身につけていたい。」
その声音はあまりに自然で、偽りを感じさせない。だが、リナの胸には逆に警鐘が鳴った。
リナと会話をしながら、レイゼはカップを傾け、ゆるやかに紅茶を口へと運ぶ。その動作はあまりに優雅で、絵画の一場面のように美しい。
けれど、リナの目には、それが人の心を啜り取る「籠絡」の姿と重なって見えた。
(…この悪魔は紅茶を飲み干すみたいに、人の心を、飲み込んでいく。)
レイゼの唇に触れたカップが空になり、テーブルに静かに置かれる。
見た目は澄んだままの真っ白なカップ。だが中身は、一滴も残っていない。
その光景が、ふと母の面影と重なった。強く優しく笑っていたはずの母が、レイゼに出会ったあと、何の外傷もないのに中身だけ奪われて、「抜け殻」となった姿を思い出してしまう。
(美しいまま、空っぽになって……)
胸の奥に、じわりと冷たい痛みが広がる。
レイゼの紅茶を飲む仕草一つすら、リナにとっては母を奪われた記憶を抉る残酷な幻影だった。
「……あなたに聞きたいことがあるの。」
声を震わせないように努めながら、リナは口を開く。
「母を……籠絡したときのこと。覚えてる?」
レイゼは空になったカップから目を離し、ゆっくりと瞳を上げた。灰青の光がリナを射抜く。
「うん、よく覚えている。とても綺麗で優しい人だった。」
「ふざけないで!」
リナはテーブルの下で爪が食い込むほど、拳を握りしめた。
「母は……あなたに魔力を奪われて壊れたのよ!」
しかし、レイゼは表情ひとつ崩さない。
「壊れた? 違うよ。彼女は幸福そうに笑っていた。最後までね。」
リナの胸がざわめく。幸福そうに見えたのは、あの虚ろな微笑みのことだ。
「それはあなたが魂の奥に幻影を埋め込んだからでしょ!」
レイゼは微笑みを浮かべる。
「じゃあ、リナ。君にとって“幸せ”って何?」
突きつけられた問いに息を呑む。
復讐。母の仇を討つこと。それが自分の生きる理由のすべてだ。
だが「幸せ」と問われた途端、言葉が詰まる。
「……私は……」
「幸せなんてどうでもいい。母の仇を討つことが最優先。それが君の答えだろうね。」
レイゼはまるで心を見透かすように続けた。
「でもそれで君自身は満たされるのかな? 君の人生は復讐だけで終わるの?」
胸が締めつけられる。
「……私の幸せはあなたを倒した後に考える。あなたが存在する世界で、私の幸せはあり得ない。」
リナはカップを両手で包んで、俯いたまま言葉を紡ぐ。その言葉には深い決意と哀しみが込もっていた。
「……なるほどね。」
レイゼは否定も肯定もせず、リナの言葉を受け止める。
「でもね、リナ。君のお母さんは君の幸せを心から願っている様子だったよ。」
「……うるさい!その母の願いも、未来も、奪ったのはあなたじゃない!」
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