関西桃産太郎

なおちか

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青鬼出現!!

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青鬼は道場の中を覗き込むと、太郎と一斉を目にし笑い、そしてそのまま中へ入ってきました。

青鬼は身長が180cmほどの大きさです。太郎が母の記憶の中で見た赤鬼はこの鬼よりも大きく、体つきも全く違いました。しかし、この鬼が放つ黒い空気は一斉も太郎も感じたことの無いものでした。

「オレが引き付ける。あいつが出口を離れたらそこから逃げろ」一斉が言いました。

「でも、」

「ええから言う通りにせえ!」そう言って一斉は青鬼の方へ向かい木刀を振り下ろしました。その木刀を青鬼は腕で受け、鈍い音が鳴りました。青鬼が右手で一斉に襲いかかりましたが、一斉は後ろに飛んで避けました。そのまま一斉が後ろにじりじりと下がると、それを追うように青鬼も距離を詰めていきます。青鬼と一斉は睨み合いながら動き、道場の出口から離れ、一斉の狙い通りになりました。その好機を逃すまいと太郎達は走り出口を出ました。10m程走ったところで、ハナは太郎が来ていない事に気付き振り返ると、真剣を掴んだ太郎がまた中へ行こうとしていました。

「太郎はん!」ハナは立ち止まって叫びました。

「お前らは村の人らの様子を見て、水や薬が必要そうなら運んだり手伝ってきてくれ」太郎は背中を向けたまま言いました。

「でも、危険やで!あんな化け物見た事ない!」

「大丈夫や。2人なら負けん」そう言い、太郎は中へ走って行きました。

ハナとサスケは太郎が心配でしたが、団子をくれた女の事を思い出し、そこへ向けて走りました。

太郎が道場の中へ入ると、鬼の左手の爪が一斉を襲う所でした。青鬼の速さに対応しきれなかった一斉は避けられず、右腕でその攻撃を受けてしまいました。勢いは受け流したものの一瞬にして一斉の右腕から血が滴り落ちました。

「松川殿!」太郎は走り寄り、一斉の横で鬼と対峙しました。「大丈夫ですか!?」

「あほう!なんで戻って来た!」

「松川殿を放って逃げれません」

「見てたやろ!奴の速さと力はお前が敵う相手やない」

「でも、松川殿もいます」太郎がそう言った瞬間、青鬼は右の腕を上から振り下ろしてきました。しかしギリギリで2人はそれぞれ左右にかわしました。

「挟撃しましょう!」太郎はそう叫び、2人は青鬼の前後に別れました。一斉が鬼の正面。太郎が鬼の背後です。2人は呼吸を合わせ同時に斬りかかりました。その動きを見た鬼は体を90度左に回し、2人を左右で迎える動きをとりました。2人は間合いに入る前に急停止し、もう1度距離をとりました。

「ただの馬鹿ではなさそうや」一斉が言いました。「オレに合わせろ」そう言うと一斉は再び攻撃を仕掛け鬼は左腕でその攻撃を受け止めました。すると、そのわずか後に太郎の攻撃が鬼の右足に入りました。鬼は叫び声をあげ、緑の血がしたたり落ちました。

「硬っ!」太郎は足を切り落とすつもりで剣を振りましたが、青鬼の体は硬く3分の1も切れませんでした。しかしそれでも大きな傷を与えられました。一斉が先に攻撃を与える事で、鬼の防御にわずかな隙を作りました。

「太郎!まだ甘いぞ!足先から剣先まで1本の神経を通せ!」一斉は大声で言いました。

斬られた青鬼は真剣の方が危険と理解したのか、太郎の方へ向き飛びかかってきました。怒りのためその気迫は凄まじく、わずかに太郎の反応が遅れました。右、左、右と3発の攻撃があり、後ろに下がりながら2発はギリギリでかわしましたが、3発目は着物の袖を破り腕にも傷を負いました。しかし、傷は浅く少量の出血で済みました。

太郎は3発の攻撃の後、鬼が体勢を整えようとした瞬間を見逃さず刀を振りました。さっきよりも神経を研ぎ澄ませた刃は鬼の右上腕に入り、今度は骨まで達する傷を与えました。
鬼はまた叫び声を上げ、左手で右腕の傷を押さえました。切り落とせなかったものの大きな損傷を与えた太郎でしたが、背中に硬い感触がありました。壁際に追い込まれていたのです。その状況を一斉との稽古で経験していた太郎は、鬼の負傷状況も考え焦ることなく自身の左側に逃げました。抜け出し距離を取れば鬼はついて来れないと判断した動きでした。

しかし、ここで誤算がありました、鬼が今までにない速度で太郎の眼前に動いてきたのです。「これまでは本気では無かった」太郎がそう考えた時にはもう道場の角に追い込まれた状況になっていました。

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