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閑話 ~私はキャロル。 ーヒロインsideー
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皆さん初めまして! 私の名前はキャロル、今日という日を迎えて五歳になる女の子! 今から告白することに驚かないで欲しいんだけど、この私…実は転生者と呼ばれる存在なの! 転生なんて架空の事象だと思うでしょ? でも、本当なのよね。だって私…前世の記憶があるもの、目覚めた瞬間にこう…ぶぁ~って記憶が流れたの。あの時は正直気持ち悪くて大泣きしてしまったわ、あれは私の黒歴史になったわね。
────────────────────
…あの時のことを思い浮かべると、少しだけ気分が悪くなるわ。私の両親は美男美女であったけど、その中身はあまり良いとは言えなかったから。何故そう思ったのかって? …それはもう一人の赤ちゃん、私の双子でいいのかな? その子は私と違ってあまり動かなくて、そしてずっと眠り続けているような子で、…でも生きていたの。自分の子供である筈なのに、
『…本当に気持ちが悪い、こんなのがこの家にいたら気分が滅入るわ。』
『…そうだな、コイツは要らない。キャロルがいればいい、うん…それがいい。』
そんなことを言ったのだから。まだ赤ちゃんで、生まれてそんなに日が経っていない私は恐怖したわ。だって、気が付いたらいなくなっていたんだもの。
そんなことがあったからか、私も同じような目に遭わぬよう精一杯愛想を振り撒いたの。そういうところが気に入られて、とても可愛がられたわ。…いなくなってしまった子の分まで私は頑張って生きようと思っていたんだけど、この生活は長く続かなかった。私の両親は本当に駄目な両親で、色々とやらかした為に家から追い出されたみたい。僅かなお金だけを渡されて、庶民に落とされたようだわ。子供…まだまだ幼い私に罪は無いとのことで、引き取ると相手のオジさんが言ったんだけど両親は拒否。悲しいことに私は両親にドナドナされた、…残りたかったなぁ~と思うのは間違いではない筈。
裕福な家であると自覚はしていたけど、まさか貴族だったとはね。庶民に落とされてドナドナされてから気付くなんて、私ってばかなりのお馬鹿じゃない? 今更って感じもするけれど、周囲のことにも目を向けていこう。知っていれば何とかなることもあるかもしれないし、特に庶民落ちしたんだから色々と何かしらが起きるよね。しかも元貴族なわけだから、めっちゃ苦労するよね…きっと。
…あの日から大体三年かな? それくらいの時が過ぎた。私はまだ幼子で両親は元貴族、これからどうなるかと不安に思っていた。思っていたけど私は一応元気に生きています、…孤児院に引き取られちゃったけど。私の両親は私以上のお馬鹿で、再びやらかして…奴隷落ちしてしまいました。残った私も奴隷落ちかと思ったけれど、磨きをかけた愛らしさ…愛想を振り撒いていたからそれは回避。奴隷にならず、何とか孤児院に滑り込むことが出来たのだ! やっぱり可愛さって重要よね、人々に愛されるように生きないと。
幼子ながら波乱万丈に生きている私、愛想を振り撒いて手にしたのは孤児院は勿論…この地域一の美幼女という称号。ちやほやされていい気分、可愛さだけで天下取ったり! と思っていました。孤児院とその周辺地域限定だけど、意外にも何不自由なく生活していますよ。前世の記憶と比較したら底辺だけど、それでもこうやって生きていられるんだから私は神に愛されている存在であると言えるわね。転生特典ってヤツ? たぶんそれね、世界は私を中心に廻っているとでも言おうかしら? ……何か違う、………そうね。私がヒロインよ!! …………これだっ!!
私がヒロインであると力強く思った時、何だかモヤッときた。私はキャロルで元貴族の子、独りになって孤児院に来て、何だかんだで幸せに生きている。私の生き様って何処かで聞いたような? …いや、知っているような不思議な気持ち。モヤモヤフワフワとした気持ちでいる私は、このまま幸せな時を維持して過ごした。
────────────────────
そして五歳になった今日、私は思い出したのだ。私のいる世界、…この世界は前世で大好きだった乙女ゲームの世界であると! ぶっちゃけ忘れかけていた前世での私、大好きな乙女ゲームを入手して死んじゃったんだっけ…。何で死んだのか、そこの部分がどうしても思い出せない。けれど乙女ゲームのことは大体覚えている、確かタイトルは…『エレメンタルナイツ』だった筈。Ⅲまでタイトルが続き、Ⅰは学園での恋愛を中心に、Ⅱは魔王の登場による戦い、Ⅲはまだプレイしていないから分からない。分からないけど、タイトルに『永遠の愛』というのがあったような…。そこから察するに、Ⅲでは正式にヒーローと結婚するのではなかろうか?
とにかく私は乙女ゲームの世界に転生している、そして私はヒロイン! 私の生き様…生い立ちに覚えがあると思ったら、乙女ゲームの主人公であるヒロインと同じだったからなのね。それに気付いた私は当然のことながらテンションアゲアゲ、この先の人生が薔薇色であることは確実。そして五歳になった私は、教会へ行って素質を調べ…六属性であると判明する。そして貴族の養子となるのよね、見事な返り咲きだわ!
…そこまでは思い出せたのに、その後のことが思い出せない。まぁ学園入学前のヒロインは、養子になる前の生い立ちしか説明されていなかったからね。養子になってからは未知の領域、だけど全然恐くはないの。だって学園に入学することは確実であり、私がヒロインであるキャロルで間違いないのだから。でも一つだけ不安で気になることがあるわ、…私の片割れである行方不明の双子。あの子の存在はなかった筈、…ヒロインはひとりっ子であった筈なのだ。直ぐに退場してしまったからカウントはされず、気にする必要はないかもしれないけど…気になるわ。
近い未来のことはある程度思い出したけど、更に先のことは思い出せない。さっき言ったように、何となくのことしか思い出せないダメダメヒロインの私。私のヒーロー…、彼等の名前と顔も思い出せずライバルのこともダメっぽい。歳を重ねていけば思い出せる? それともきっかけが必要? 前世の知識があまり通用しないっぽいのがかなりの不安。でも…私はヒロイン、神に愛されているのだから何とかなる筈よね。ポジティブにいくのよ、私ことキャロルちゃん!
五歳になって数日後、孤児院の先生と共に教会へ。私と同じように素質調べをする同い年の子供達、見た限りだとみんな一属性みたいね。まぁモブである以上はその程度の素質、仕方のないことだわ。そんなモブの素質調べがある程度進み、遂に私の番が…! 神父さんの言われるがままに宝珠へと手を伸ばし…、
『『『『『わぁ……っ!!』』』』』
淡く光る六つの光、…流石はヒロインね! 問題なく六属性のようで安心したわ! 先生も驚きつつ喜んでくれているし、神父さんやその他モブ達も騒いでいる。ウフフフフフ…、私の未来は安泰ね!!
素質調べから暫くして、私は貴族の人に引き取られることとなった。私を引き取ってくれるのはオズワルド男爵家、………あるぇ~っ? ゲームでは私、…ロゼッタ男爵家だったような?
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…あの時のことを思い浮かべると、少しだけ気分が悪くなるわ。私の両親は美男美女であったけど、その中身はあまり良いとは言えなかったから。何故そう思ったのかって? …それはもう一人の赤ちゃん、私の双子でいいのかな? その子は私と違ってあまり動かなくて、そしてずっと眠り続けているような子で、…でも生きていたの。自分の子供である筈なのに、
『…本当に気持ちが悪い、こんなのがこの家にいたら気分が滅入るわ。』
『…そうだな、コイツは要らない。キャロルがいればいい、うん…それがいい。』
そんなことを言ったのだから。まだ赤ちゃんで、生まれてそんなに日が経っていない私は恐怖したわ。だって、気が付いたらいなくなっていたんだもの。
そんなことがあったからか、私も同じような目に遭わぬよう精一杯愛想を振り撒いたの。そういうところが気に入られて、とても可愛がられたわ。…いなくなってしまった子の分まで私は頑張って生きようと思っていたんだけど、この生活は長く続かなかった。私の両親は本当に駄目な両親で、色々とやらかした為に家から追い出されたみたい。僅かなお金だけを渡されて、庶民に落とされたようだわ。子供…まだまだ幼い私に罪は無いとのことで、引き取ると相手のオジさんが言ったんだけど両親は拒否。悲しいことに私は両親にドナドナされた、…残りたかったなぁ~と思うのは間違いではない筈。
裕福な家であると自覚はしていたけど、まさか貴族だったとはね。庶民に落とされてドナドナされてから気付くなんて、私ってばかなりのお馬鹿じゃない? 今更って感じもするけれど、周囲のことにも目を向けていこう。知っていれば何とかなることもあるかもしれないし、特に庶民落ちしたんだから色々と何かしらが起きるよね。しかも元貴族なわけだから、めっちゃ苦労するよね…きっと。
…あの日から大体三年かな? それくらいの時が過ぎた。私はまだ幼子で両親は元貴族、これからどうなるかと不安に思っていた。思っていたけど私は一応元気に生きています、…孤児院に引き取られちゃったけど。私の両親は私以上のお馬鹿で、再びやらかして…奴隷落ちしてしまいました。残った私も奴隷落ちかと思ったけれど、磨きをかけた愛らしさ…愛想を振り撒いていたからそれは回避。奴隷にならず、何とか孤児院に滑り込むことが出来たのだ! やっぱり可愛さって重要よね、人々に愛されるように生きないと。
幼子ながら波乱万丈に生きている私、愛想を振り撒いて手にしたのは孤児院は勿論…この地域一の美幼女という称号。ちやほやされていい気分、可愛さだけで天下取ったり! と思っていました。孤児院とその周辺地域限定だけど、意外にも何不自由なく生活していますよ。前世の記憶と比較したら底辺だけど、それでもこうやって生きていられるんだから私は神に愛されている存在であると言えるわね。転生特典ってヤツ? たぶんそれね、世界は私を中心に廻っているとでも言おうかしら? ……何か違う、………そうね。私がヒロインよ!! …………これだっ!!
私がヒロインであると力強く思った時、何だかモヤッときた。私はキャロルで元貴族の子、独りになって孤児院に来て、何だかんだで幸せに生きている。私の生き様って何処かで聞いたような? …いや、知っているような不思議な気持ち。モヤモヤフワフワとした気持ちでいる私は、このまま幸せな時を維持して過ごした。
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そして五歳になった今日、私は思い出したのだ。私のいる世界、…この世界は前世で大好きだった乙女ゲームの世界であると! ぶっちゃけ忘れかけていた前世での私、大好きな乙女ゲームを入手して死んじゃったんだっけ…。何で死んだのか、そこの部分がどうしても思い出せない。けれど乙女ゲームのことは大体覚えている、確かタイトルは…『エレメンタルナイツ』だった筈。Ⅲまでタイトルが続き、Ⅰは学園での恋愛を中心に、Ⅱは魔王の登場による戦い、Ⅲはまだプレイしていないから分からない。分からないけど、タイトルに『永遠の愛』というのがあったような…。そこから察するに、Ⅲでは正式にヒーローと結婚するのではなかろうか?
とにかく私は乙女ゲームの世界に転生している、そして私はヒロイン! 私の生き様…生い立ちに覚えがあると思ったら、乙女ゲームの主人公であるヒロインと同じだったからなのね。それに気付いた私は当然のことながらテンションアゲアゲ、この先の人生が薔薇色であることは確実。そして五歳になった私は、教会へ行って素質を調べ…六属性であると判明する。そして貴族の養子となるのよね、見事な返り咲きだわ!
…そこまでは思い出せたのに、その後のことが思い出せない。まぁ学園入学前のヒロインは、養子になる前の生い立ちしか説明されていなかったからね。養子になってからは未知の領域、だけど全然恐くはないの。だって学園に入学することは確実であり、私がヒロインであるキャロルで間違いないのだから。でも一つだけ不安で気になることがあるわ、…私の片割れである行方不明の双子。あの子の存在はなかった筈、…ヒロインはひとりっ子であった筈なのだ。直ぐに退場してしまったからカウントはされず、気にする必要はないかもしれないけど…気になるわ。
近い未来のことはある程度思い出したけど、更に先のことは思い出せない。さっき言ったように、何となくのことしか思い出せないダメダメヒロインの私。私のヒーロー…、彼等の名前と顔も思い出せずライバルのこともダメっぽい。歳を重ねていけば思い出せる? それともきっかけが必要? 前世の知識があまり通用しないっぽいのがかなりの不安。でも…私はヒロイン、神に愛されているのだから何とかなる筈よね。ポジティブにいくのよ、私ことキャロルちゃん!
五歳になって数日後、孤児院の先生と共に教会へ。私と同じように素質調べをする同い年の子供達、見た限りだとみんな一属性みたいね。まぁモブである以上はその程度の素質、仕方のないことだわ。そんなモブの素質調べがある程度進み、遂に私の番が…! 神父さんの言われるがままに宝珠へと手を伸ばし…、
『『『『『わぁ……っ!!』』』』』
淡く光る六つの光、…流石はヒロインね! 問題なく六属性のようで安心したわ! 先生も驚きつつ喜んでくれているし、神父さんやその他モブ達も騒いでいる。ウフフフフフ…、私の未来は安泰ね!!
素質調べから暫くして、私は貴族の人に引き取られることとなった。私を引き取ってくれるのはオズワルド男爵家、………あるぇ~っ? ゲームでは私、…ロゼッタ男爵家だったような?
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