この世界が乙女ゲームの舞台だとは知らない俺の物語

ユキさん

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閑話 ~息子がヤバい…。 ークルゼイsideー

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我が息子が十二属性の規格外であると知り、この先…苦労することは確実と言えよう。故に俺が直々に隠蔽術を教えることとなり、身に余る程の喜びを隠しながら愛する息子を指導する。そのついでに二人のメイド、ネムとダリアも共に指導しミュゼの専属とする。…二人のメイドもやる気があるようだし、…良い人選だったかもしれないな。



そんな俺とは違い、妻であるルセリナは閣下とミハイルの下へ通い詰めている。何故かと言えばミュゼの為、規格外である息子を守る為なのである。隠すとはいえいずれはバレる、…自惚れるわけではないが俺達の息子でもある。十二属性ではなくとも俺達の子というだけでも価値があるのだ、他国に名を轟かせる俺達の名が付加されるのだから。



名を取るだけのボンクラ貴族に渡すわけにはいかない、故に信用の置ける閣下と事情を知るミハイル。後ろ楯として申し分ない二人に頼むのだ、…ミュゼのことを。幸いにも二人には未婚約の娘がいる、…理由を話せば喜んで婚約をしてくれる筈だ。…二人の娘も特殊な力を持っているからな、…そう簡単に婚約を結ぶことが出来ないのだ。













ジュウザ・アンデバラン公爵閣下が娘であるレイチェル嬢、彼女は生まれながらのスキル保持者。それも《精霊の目》という極上のスキル、精霊の姿を見ることが出来るこのスキルは誰もが欲するモノである。…この世に存在し我ら生けし者全てに力を貸してくれている精霊、その姿を見ることは現在…不可能である。昔は誰もが精霊を見ることが出来た、しかし今は気配を感じるだけ。しかも気配を感じることが出来るのは極一部の者のみ、それ以外の者達は気配すらも感じることが出来ないのが今世なのである。



…まぁ何故そうなってしまったのかは察することは出来る、…いつの世にも馬鹿・・はいるということだ。…悲しいことに後世、つまり今世ではその馬鹿・・が権勢を誇っている。故に、精霊達は最低限の顕現をするのみなのだ。そのことを考えれば、いかにこの《精霊の目》なるスキルが貴重なのか分かることだろう。だからこそ簡単に婚約を結ぶことが出来ぬのだ、…レイチェル嬢を求めるのではなくスキルを求める。それを知るからこそ閣下は婚約を認めない、娘の幸せを切に願っているのだから。













ミハイル・ラングード神殿長が娘であるエジュル嬢、彼女は月と森という貴重な属性を宿している。謎が多い属性ではあるが、彼女のお陰で分かったことがある。月か森…どちらかは謎だが、魔物を従属させることが出来るようだ。それに伴い《従魔》というスキルを入手、彼女自身も偶然とはいえシルバーウルフという強力な魔物を従属させている。そして《自然回復》というスキルも所持しており、これはその名の通りの効果を発揮する。いかなる怪我も病気をも自然と回復する、常に健康体でいることが出来るのだ。



どちらも強力なスキルであり、月と森の属性が関係していることだけは分かっている。今世でこのスキルを持つのはエジュル嬢のみ、そして月と森の属性を宿しているのも彼女のみであるのだから。…その為に、心無い者からは魔女と言われている。未知の属性に強力なスキル、今世に置いて唯一の存在であるが故に。心優しくそして弱いエジュル嬢には堪えがたいもので、日々涙を流して暮らしているのだとか。…他にも色々とある彼女を取り巻く現状、ミハイルは愛する娘を守りたいが為に過保護となっている。













レイチェル嬢とエジュル嬢にはこのような事情があるから婚約が出来ない、されど貴族の女子たる者がこのままでは。…そんな時に現れたのが我が息子のミュゼ、二人の令嬢と同じく唯一の存在。十二属性を宿し、僅か五歳にして魔物討伐の実績を持つ傑物。実力がありつつ性格も良く、常に向上心を持ち続ける優良物件。親馬鹿になるかも知れないが、ミュゼ以上の男子は存在しないと思う。



…妻であるルセリナがことある事に自慢をする為、未婚約の娘を持つ貴族の注目を集めている。隠すべき所は隠している故に問題なく、相手の反応を見て情報を集める妻の悪癖だ。……正直やり過ぎな所は多々あるが、誰が味方になり得るか…そして敵となるかが少なからず見えてくる。



それらルセリナの行動に多少の問題はあるが愛する息子を想うが故のこと、それに悪いことはない…と思う。ルセリナは『死風の魔精』と呼ばれる程の精霊術士、普段は無邪気な淑女? ではあるが一度火が灯れば荒れ狂う。愛するミュゼに何かしらの手を出したら……、それをあえて臭わせているのだ。これにより直接手を出す輩は激減する、…無くならないのは真なる馬鹿貴族がいるからである。…まぁ残念なことに、ミュゼには同世代の友人が出来にくいという弊害があることだろう。…強く生きろミュゼよ、…私とて荒れ狂うルセリナは恐い。



話が少し逸れてしまったが、とにかくミュゼは有望株。これよりメキメキと実力を上げていき、王国一の騎士となろう。それにこの俺もルセリナもいる、精強なる私兵団もある。ミュゼを詳しくは知らない閣下も俺達の存在は魅力的、ミュゼの規格外を自身の目で見たミハイルもまた同じ。故に婚約の件を相談してみれば閣下の方は前向きに、ミハイルの方は快諾し逆にお願いされたまである。まぁ閣下の方もミュゼの秘匿とする十二属性のことをミハイルと共に説明すれば、前向きから前のめりの快諾となった。…とルセリナが言っていたわけだが、最初からミュゼのことをきちんと説明しろ。













婚約の件が進む中で、ミュゼの方もかなり順調である。魔力操作を完全に自らのモノとし、更に難易度の高い譲渡まで習得していたのだ。これはもうすぐに隠蔽術を習得出来るだろう、…正しく天才であると言えるな!



…でその後に驚愕。完全におふざけで伝説のスキルを薦めたのだが、……発動してしまったらしい。とりあえず見えたステータスを紙に書き写して貰った所、…更に驚愕してしまった。名前・種族・性別は普通、属性も既に分かっている。だが…LVやらHPとは何だ? 力とか魔力は数値として出るものなのか? 何より…このスキルの多さは何なのだ!? しかも職人よりのスキルが多い、…従魔までもある。そして称号もまた凄まじい、精霊の申し子と伝説を継ぐ者はまぁいい。…いや良くはないが十二属性であるし、伝説のスキルを発動させたからな。…その他のものがヤバイ、実に…ヤバイのだ。



変人貴族とは貴族でありながら権力を振りかざすことはせず、民達と共に色んな行動をする者に与えられる称号と聞いている。普通に聞けば何てことのない称号ではあるが、ある条件を満たすことで大成してしまう凄まじい称号なのだ。一言で言うならば英雄の素質があるということ、勇者ではないというのがミソだ。



山貴族と森貴族の称号、これもまた誰もが羨む称号なのである。山と森に関することでの成功が約束されており、この先の安泰は確実と言える。例を挙げるならば、山貴族であれば鉱脈を見付けることが出来て領地が潤い、森貴族であれば霊薬の材料となる植物等の群生地を見付けることが出来てやはり領地が潤う。これは例であって個人差はあるが、何かしらの恩恵は確実にあると断言出来る。



…で年上キラーだが、…これは知らないヤツだ。そのままの意味だろうか? …う~むと考えて気付く、そういえばミュゼは昔から年上にモテていたと。ルセリナは勿論のことメイド達にもかなり好かれている、私兵達や領地の者達にも人気が高い。…男よりも女、その全てが年上である。ミュゼが同世代と共にいる姿は滅多に見ることはない、全て…年上の者達と共にいるな。…そういえば婚約者となるであろう二人の令嬢も年上、…これは確かに年上キラーと言えるであろう。













……十二属性だけではなく伝説のスキルまでも、そしてスキルと称号の多さもヤバイ。これはもう閣下とミハイルの娘との婚約は必須、…二人を巻き込まなければ手に余ってしまう。とりあえずミュゼを不安にさせないよう振る舞い、急いで閣下の下へと向かう。このことが世間に知られればかなりヤバイ、更なる力をミュゼが手に入れるまでは何とか守らねばならない。



立場的に危うい三人を一つに纏めることこそが重要、…普通に考えれば危険なことではあるが俺達的には守りやすくなろう。…ああ頭が痛い、考えれば考える程に何も思い付かなくなる。…だが守ってみせるぞミュゼを、そして…婚約者となる二人を閣下達と共に!
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