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絶句。

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馬車から降りたヒューゴとハルトは
絶句した。
検閲を済ませた旅人や商人が少しずつ
カナップ領に入る傍らで、二体の
ゴーレムが大きなドラーゴン・ゾーラに
立ち塞ぐ様に立っていた。
大きさでいうならば超大型バスを2台
積み上げた大きさをひと回りから
ふた回り大きくしたような、大きな
ドラーゴン・ゾーラだった。

お腹に俺たちのタマゴと腕には大きな
ピクニック用のバスケットを抱えた
すごく可愛いハルト。
可愛いセットをお姫様抱っこをする俺。

大きなピクニック用のバスケットには
先程の小さなドラーゴン・ゾーラが
寝ているのだが…。そんな事情を知らない
人達は、どこかの貴族がピクニックついでに
ヤジウマしに来たように見える姿だ。
中には、この緊張感ある場面でのんきに
覗きに来た貴族に怒りをあらわにする者も
いるかもしれない状態だった。

「あっ、あそこに侯爵様がいるよ。」
「あぁ、そうだな。ハルト、危ないから
念の為、障壁をかけるぞ。」
「う、うん。」
パシュ。
…実際には無音だけど、障壁魔法の
イメージ音だよ。てへ○ろ。
31歳の俺がこんな事してるなんて…。
気分は十代だが、気づいたら俺の男は
年下でしかも26歳。キツいな。
「……ヒューゴ。」
「ん?どうしたんだ、ハルト?」
「……ヒュー、俺の事…嫌いにならないでね。」
「ハ…ハル?!おっ、俺…すまない。
俺、ハルトを何か、不安にさせたのか?
俺は、いつだってお前を愛してるし、
好きだ。嫌いになんか絶対ならない。
なんなら今すぐキスしてやる。」
焦った俺は不安気な目をした、可愛すぎる
ハルトにキスしようとした。正しくその時

「やあやあ、盛りのついた元、ギルドマスターの
ヒューゴ・カナップ様、大変遅いお付きの上
忙しさのあまり独身の俺の目の前で
イチャイチャイチャイチャしないで欲しい。」
「すまない、来る前に色々あった。」
「そうでしょーね。イチャコラしてたん
でしょうが、仕事は、きっちり引き継ぎ
して欲しいし、あんな無理矢理なのは
御免ですね。あれは、酷すぎです。」
「悪かった……。」
また、不安気になっているハルトに
簡単に、説明した。
一瞬驚いた顔をしたハルト。

「ギーニさん、俺のヒューゴが大変
ご迷惑をお掛けし、申し訳ございません
でした。微弱ながら、お手伝い
出来ることがございましたら、
お手伝いしますよ。」
ギーニなんかに、ニコッとしたハルト。
くそっ、ギーニめ、俺の可愛いハルトに
笑いかけて貰えるなんて…大変ありがたいと
思え。クソッ。
「……。あ、ありがとう、だ、だが君は
妊娠してるよね?あまり無理しないでくれ。」
「ギーニさん、お心遣いありがとうございます。」
「い、いや…あ、あぁ、こちらこそ…?!」

「ギュイ、グッグッグッグッ。」
ドスッドスッドスッ……。
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