異世界に来ちゃったよ!?

いがむり

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第3章

(45)ええっ、どちら様!?

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庭を探検したその夜、ソフィアは本を読んでいた。

『ソフィア、もう寝る時間だぞ』

「え、もうそんな時間?」

ソフィアは本を閉じて、本棚に直そうとしたとき、あの“カリバスの手記”がテーブルに放ったらかしになっていた。同時に、エリックさんに伝えていなかったことも思い出した。

「あ……エリックさんにこの本のこと話し忘れてた!!」

〈明日でいいんじゃないか?〉

「うん……そうだね!」

ソフィアは手記も仕舞おうとしたが、また忘れないようにとベッドの近くに置いておくことにした。

「みんな、おやすみ~」

《〈『『『おやすみ、ソフィア』』』〉》

「マイルさんもベラさんも、おやすみなさい!」

「はい。おやすみなさいませ、ソフィア様」

今日は、エルブとアズルが私の部屋で寝るみたい。他のみんなは外に出て行ったよ。

『私達はここで寝るわぁ~』

『何かあったらいつでも呼んでね?ソフィア』

「うん!ありがとう」

2人はそう言うと、向かいのツインベッドに入って早々に寝ちゃった。さすがにあの速さは凄かったよ。

「私も寝よう」

ベッドで寝転がっていると、近くに置いてたあの手記が目に入って、私は近くに寄せる。

「(試練を受けたら、しばらくはここに戻れなさそう)」

でも、行ってみたい。

「(外の世界、見てみたいな……)」

色々考えているうちにソフィアは瞼が落ちていった。そして────



『試練挑戦ヘノ意志ヲ確認。起動シマス』



刹那、“カリバスの手記”はみるみる姿を変え、ソフィアと同じくらいの少年になった。しかも、服の何も着ていなかった。この一連出来事を見た者は誰もいなかった。

















「ん……んん~」

陽の光が差し込んで、私はむくりと起きた。エルブとアズルはまだ寝てるみたい。

「さてと、着替えよう………か……な?」

「おはようございます。ソフィア様」

「…………」

隣を見ると男の子が、私の隣りにいたの……しかも、

「裸……」

「衣服を着た方が宜しいですか?」

「もちろん……」

驚きすぎて逆に冷静になっちゃった。

「君、だあれ……?」

「私は“カリバスの手記”第40章、ソフィア様を試練の場へと案内させていただきます」

私はクローゼットを開けて自分の服を取る。女児用のドレスばかりだけど、裸よりは良いよね?

「女の子用だけど、これでもいいかなって……あれ?」

少年は既に刺繍入りのシャツと茶色い長ズボンを着ていた。

「衣服はお構いなく。主より用意されていますので」

「は、はあ……」

『ん、ん~』

『ソフィア……早いぃ』

エルブとアズルも起きたみたい。

「……そういえば、さっき“カリバスの手記”って言わなかった?」

「はい。私は試練の案内役を主より仰せつかっております」

『ソフィア離れて!!』

「えっ!?」

エルブの声が聞こえると、後ろから魔力が膨れ上がってる感じが………って、エルブが陣を展開してる!!

『風よ、彼の者を……』

ええ!?ま、待って待って!ここでやったら御屋敷を壊しちゃうよ!!

「エルブ待って!!この子は──」

『ソフィアこっちよ!』

「ちょっと待ってアズル!アズルってば!!」

私を抱き上げてエルブの後ろまで飛んで離れる。そこにグライとオーヴィ、スピーレが扉を壊して入って来ちゃった!

『これはどういうことだ……』

《それに奴は誰じゃ?》

「みんな!エルブを止めて!あの子は……いや、あの本は──」

『──ウィンドアロー!!』

エルブが放った風を圧縮した矢は、真っ直ぐ少年に向かった。

「魔法による攻撃を確認、相殺します」

少年は右手を前に突き出し、素早く陣を展開した。

『《〈『『……!!!』』〉》』

「へっ?!」

次の瞬間、部屋全体が凍りついた。矢は少年の手に触れる寸での所で止まり、ゴトッと床に落ちた。

「反撃します」

「ダ、ダメ!!」

少年は構えたが、ソフィアの声で元に戻った。ソフィアは安堵のため息を吐いて、

「ここにいる皆は私の家族なの。だから、戦わなくていいの」

「──承知しました」

『ソフィア、奴は何者なんだ』

「この子は“カリバスの手記”なの」

《むぅ?何を言うとるか、さっぱり分からぬのじゃが……》

「あの本が人間になったみたい……?」

ソフィアは少年の方を向くと少年は頷いた。

「私はソフィア様を試練の場へと案内させていただく、魔道具でございます」

〈ソフィア、いつの間に試練を受けたんだ?〉

「う~ん、私も分かんないんだよね」

「──で、試練とは何だ?ソフィア」

その声に驚いて後ろを向くと、エリックさんにマイルさん、ベラさんになぜかハンネス王子がいたの。

「あ、えーっと……そのぉ……」

「ソーフィーアー?」

エリックさん、ひぇっ、目が笑ってないよ……

「………………ごめんなさい」
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