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第1章 無字姫、入学す
第25話 命の重さと心の選択
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任務を受けた翌日の、早朝5時前。
目を覚ましたわたしは、いつもより若干ボンヤリしながら、布団の上で身を起こしました。
うぅん、やっぱり多少は影響が出ていますね……。
ですが、戦闘に支障があるほどじゃないですし、気にする必要はないでしょう。
口に手を当てて欠伸してから、ゆっくりと立ち上がりました。
そのまま顔を洗うべく、ふすまを開けて洗面所に向かい――
「……お早う」
上半身裸の一色くんに挨拶されました。
着替えている途中らしく、無表情ながら呆れた気配が漂って来ています。
相変わらず見事なまでの肢体で、まるで彫刻のよう……ではなく……!
「ご、ごめんなさい……!」
時を巻き戻すかのように、超速でふすまを閉じて布団の上に正座しました。
な、何をしているんですか、わたしは……!?
このような失態、初日以来じゃないですか……!
恥ずかしさのあまり、両手で顔を覆って震えていると、共有空間の方から声が聞こえました。
「もう大丈夫だから、早く準備しろ。 天羽たちが出発してしまうぞ?」
「あ……そ、そうですね……」
一色くんの言葉を聞いて、辛うじて立ち直りました。
まだ脳裏には彼の姿が鮮明に焼き付いていますけど……こ、こればかりは致し方ありません。
顔が赤くなるのを感じつつ、おっかなびっくりふすまを開けます。
そこには正装を身に纏って、座り込んだ一色くんがいました。
いつものように壁にもたれて、目を閉じています。
気にしていないようですが、本当に申し訳ないですね……。
しかし、今は一旦棚上げさせてもらいましょう。
半ば無理やりに意識を切り替えたわたしは、手早く身支度を整えました。
幸いにもとは言いたくありませんけど、先ほどの一件ですっかり目は覚めています。
『葬命』を腰に佩いた段階で一色くんに視線を向けると、彼は何も言わずに目を開いて、腰を上げました。
何気ないことですが、凄いですね……。
胸中で感心していたわたしをよそに、彼はサッサと部屋をあとにします。
ま、待って下さい……!?
慌ててあとを追ったわたしは戸締りをして、彼と並んで寮の入口を目指しました。
コッソリと横顔を窺うと、例の如くの無表情。
何を考えているかはわかりませんけど……ほんの少しだけ、ピリピリとした空気を感じます。
一色くんも、緊張しているんでしょうか?
あまり想像出来ませんが……。
などと考えているうちに、入口が見えて来ました。
そこには、すっかり仲良くなった……お友だちの姿があります。
『雅美』を手に瞑目し、精神統一している天羽さん。
快活な笑みを湛えて、体を解している一葉ちゃん。
『雷切丸』を軽く振って、感触を確かめている光凜さん。
それぞれがそれぞれの方法で、集中力を高めているのがわかりました。
彼女たちの姿に微笑を浮かべたわたしは、遠慮がちに声を掛けます。
「お、おはようございます」
「む? 無明か、おはよう」
「おはよう、夜宵ちゃん! もしかして、あたしを見送りに来てくれたの!?」
「馬鹿も休み休み言いなさい、猪娘。 夜宵さん、おはよう。 わたしを見送りに来てくれたのよね?」
「神代も引っ込んでいろ! 無明、わたしだな!?」
朝一から喧嘩する、『肆言姫』たち。
本当に彼女たちに任せて、大丈夫なんでしょうか……。
一瞬、心配になりましたけど、その思いはそっと仕舞っておきましょう。
「えぇと……わたしが見送りに来たのは、皆さん全員なんですけど……」
「あら、残念。 でも有難う。 これはもう、勝ったようなものね」
「気が早いわよ、陰険女。 まぁ、夜宵ちゃんの為にも、負けられないけどね!」
「ふん、わたしは最初から負ける気などない。 ただ……む、無明の応援があれば、尚のことだな」
「そう言ってもらえると、わたしも力が湧きます。 戦場は違いますけど、お互い全力を尽くしましょうね」
天羽さんたちが心身ともに万全だと察して、自然と笑みが浮かびました。
ところが、そんなわたしを見て彼女たちは硬直し、目を丸くして顔を紅潮させています。
急にどうしたんでしょうか……?
不安になったわたしが、何を言うべきか迷っていると、眉を落とした一葉ちゃんが身を屈め、上目遣いで懇願して来ました。
「ねぇ、夜宵ちゃん。 さっきの笑顔、他の人には見せないで欲しいな」
「さっきの笑顔……?」
「わたしも九条に同意する。 無明、あの笑顔は危険だ」
「あ、天羽さん……? 危険な笑顔って何ですか……?」
「自覚がないのね……。 これは、余計に心配だわ」
「あの……光凜さん、わかるように説明して欲しいんですけど……」
意味不明です。
笑顔に危険も何もないと思うんですが……。
心底困ったわたしは、思わず一色くんに目を向けてしまいました。
それを受けた彼は盛大に嘆息しつつ、少し離れた場所から歩み寄って、淡々と言葉を連ねます。
「天羽、九条、神代。 お前たちに、言っておくことがある」
「一色……何だ? 一応、聞いておいてやる」
「どうでも良いことだったら、ぶっ飛ばすわよ?」
「時間がないから、手短にね」
わたしのときと打って変わって、冷たい反応ですけど……聞く耳を持っているだけ、以前よりはマシかもしれません。
もっとも、一色くん本人は気にもしていないらしく、あくまでもマイペースに口を開きましたが――
「隠匿発動に拘るな。 場合によっては、通常発動に切り替えろ」
『……!』
「どうしてお前が隠匿発動に詳しいんだ……と言いたげな顔をしているな。 だが、そんなことはどうでも良い。 とにかく、見誤るなよ」
「……ふん。 頭の片隅には、置いておこう」
「一色くん、貴方っていったい何者なの……?」
「陰険女、今は詮索してるときじゃないでしょ。 こいつのことは、今度じっっっっっくり調べれば良いわ」
「……それもそうね。 四季さん、猪娘、行きましょう。 夜宵さん、またね。 帰って来たらデートしましょう」
「神代! どさくさに紛れて、何を言っている!?」
「もう! 油断も隙もないわね! 夜宵ちゃんとデートするのは、あたしなんだから!」
「九条も黙れ! ではな、無明! 朗報を待っていろ! そ、そのときは、わたしと……」
「はいはい、四季さん。 出発するわよ」
「時間だもんね!」
「き、貴様ら、卑怯だぞ!?」
ギャアギャアと言い合いながら、歩み出した天羽さんたち。
何と言いますか……力が抜けていて、逆に良いんでしょうか……?
抜け過ぎな気もしますけど……。
それはともかく、わたしも気になりました。
隠匿発動に拘るなと言う、一色くんの真意が謎です。
天羽さんたちは使い手なので、伝わったようですが……ちょっぴり疎外感を覚えてしまいました。
微妙に不貞腐れているわたしに気付いたのか、一色くんはチラリとこちらを見ましたけど、説明してくれる気はなさそうです。
むぅ……別に良いですよ。
どうせ、わたしには使えませんし。
そう思いつつも不満を募らせていたわたしに、一色くんは脈絡もないことを言い出しました。
「朝食はどうする?」
「え? どうって、普通に作るつもりですけど……」
「今日だけは、なるべく体力を温存している方が良い。 たまには購買で済ませよう」
「で、ですが、炊事はわたしの担当なのに……」
「こう言うときくらい、休んでも構わない。 今回ばかりは、慎重に慎重を期すべきだ」
「……わかりました」
完全に納得出来たと言えば嘘になりますが、彼の言うことも理解は出来ます。
それに、今のわたしが少なからず消耗しているのは、事実ですから。
踵を返して寮の購買に向かった一色くんに、1歩遅れて付いて行きます。
彼の背中をボンヤリと見つめていると、不意に疑問が出て来ました。
わたしたちの距離は、縮まったのでしょうか?
それとも……広がったのでしょうか……?
あるいは、当初と変わらないのでしょうか?
一色くんの立ち位置が良くわからなくて、判断が難しいです。
実際のところ、彼はわたしをどう思っているんでしょう……。
聞いてみたい気もしますけど、とてもそんな勇気はありません……。
どんな答えが返って来ても、困りそうですし……。
やっぱり、今はそっとしておく方が良いですね。
えぇ、今のは気の迷いです。
勝手に悩んで勝手に納得していると、購買の前まで来ていました。
まだ早朝ですが、問題なく営業しています。
いつも自炊なので、ちゃんと見たことありませんでしたが、結構いろんな種類の商品があるんですね。
どれも美味しそうですけど、朝ですし……おにぎりと紙パックのお茶にしておきましょうか。
結論を下したわたしは、素早く商品を取って会計を済ませます。
購買を出ると既に一色くんが待っていて、黙って足を踏み出しましたが、部屋とは別の方向でした。
どこに行くんでしょう?
不思議に思ったわたしが首を捻っていると、立ち止まった彼が肩越しに声を投げて来ました。
「今日は天気が良いから、中庭で食べないか?」
「……そうですね」
言葉に詰まるほど、驚きました。
一色くんにも、「天気が良いから」などと言う概念があったんですね……。
こんなことを言ったら、失礼かもしれませんけど……。
再び歩き出した彼を見つめながら、中庭に入りました。
綺麗に掃除が行き届いており、とても空気が澄んでいます。
中央には大きな桜の木が立っていて、言魂の力で年中観賞出来るんだとか。
わたしとしては、自然の摂理で散る桜も趣深いと思いますけど。
などと考えていると、一色くんは設置された長椅子の1つに腰掛けました。
桜を正面に見られる位置です。
彼にも、花を愛でる心があるんでしょうか……?
本音を言えば柄ではないように感じますが、そう言う一面があるのかもしれません。
昨日は綺麗な星空を見せてくれましたしね。
実際のところは、わかりませんけど……。
こう言うとき、素直に聞けるようになりたいですね。
白河さんなら、躊躇なく聞けるんでしょうか……?
ほんの微かにモヤモヤしていたわたしですが、平坦な声が耳朶を打って意識を引き戻されます。
「食べないのか?」
「へ……!? あ……た、食べます……! 急いで食べます……!」
「いや、ゆっくりで良い」
「そ、そうですよね」
わたわたと慌てつつ、一色くんから限界まで離れて長椅子に座り、おにぎりを取り出して頬張りました。
あ、美味しい……。
誰が作っているのか知りませんが、作り方を教えて欲しいくらいです。
具である梅干しが美味しいのもそうなんですけど、握り方が絶妙に思えました。
これだけのものが安価で買えるなら、自炊しない人が増えそうですね……。
それが良いか悪いかは別として、便利なのは間違いありません。
難しい問題だと思いつつ2口目を食べましたが、やはり美味しかったです。
すると、そんな能天気なことを考えていたわたしの耳に、思いもよらぬ言葉が飛び込んで来ました。
「あの髪飾り、付けないのか?」
「……ッ!」
「落ち着け、喉を詰まらせるぞ」
「……ごくん……い、一色くんが、驚かせるからじゃないですか」
「そんなに変なことを言ったか?」
「な、内容的には、そうでもないですけど……」
いきなり過ぎるんですよ……。
それはともかく、どうしてそんなことを聞くんでしょう?
まぁ、買ったのは彼ですし、多少気になるのはわからなくもありません。
だとしても、一応の持ち主はわたしなんですから、どうしようと自由なはず。
そこまで考えたとき、ちょっとした悪戯心が生まれました。
いつも振り回されていますし……たまには良いですよね?
罪悪感とワクワクが綯い交ぜになったような感情を抱きながら、澄まし顔で尋ねてみます。
「い、一色くんは、どうして欲しいんですか?」
「何?」
「で、ですから……わ、わたしに……付けて欲しいんですか……!?」
い、勢いに任せて聞いてしまいましたが、これは思った以上に恥ずかしいですね……!
顔が真っ赤になって、涙目になっているのがわかります。
当初の余裕はあっと言う間に吹き飛び、睨み付けるような必死さで彼を凝視しました。
対する一色くんは、ほんの少しだけ目を見開いています。
こんな姿は、珍しいかもしれません。
ただ、それがどう言う理由か不明なので、全くもって安心は出来ませんでした。
次第に羞恥心が限界に近付き、体が震え――
「そうだな、付けて欲しい」
「へ……?」
「聞こえなかったか?」
「い、いえ、聞こえましたけど……」
「そうか。 それで、どうなんだ?」
「ど、どうと言うと……?」
「だから、付けてくれるのか?」
「え、えぇと……その……は、はい……」
消え入りそうな声を、なんとか絞り出しました。
心臓の音が聞こえます。
勿論、一色くんに深い考えがあるのかは、わかりません。
それでも……う、嬉しく思ってしまいました……。
き、きっと、彼がわたしにお願いすることなんて、滅多にないからですね。
いつもお世話になっていますし、少しでもお返し出来ると思ったのでしょう。
そうとしか……考えられません。
高鳴る胸に手を添えて、深呼吸を繰り返しました。
そして……じ、実は持ち歩いていた桜の髪飾りを、取り出します。
一色くんにチラリと視線を向けると、思い切り目が合いました。
咄嗟に顔を背けそうになりましたが、寸前で堪えます。
こ、ここまで来たら……。
何かが振り切れたのか、グチャグチャになった思考をそのままに、気付けば信じられないことを口走っていました。
「あ、あの……か、鏡がなくて自分では見えないので……つ、付けてくれませんか……?」
あぁぁぁぁぁ……。
な、何を言っているんですか、わたしは……!?
馬鹿なんですか……!?
穴があったら入りたいどころか、なくても自分で掘って埋まりたいです……!
羞恥のあまり悶絶しそうになり、今すぐにでもこの場を逃げ出そうとしましたが、その前に平坦な声が響きました。
「わかった」
わたしの手から取り上げられる、髪飾り。
反射的に固まっていると、一色くんが身を乗り出して来ました。
ち、近……!?
まともに考えが纏まらず、目を回しそうです……!
至近距離まで寄った彼が、丁寧な手付きでわたしの髪に触れました……!
い、痛んでいないでしょうか……!?
大丈夫ですよね……!?
時が止まったかのように硬直したまま、内心で叫びを上げ続けます……!
ものの数秒のことだと思いますけど、体感的には永遠にも等しい時間が流れ、遂に――
「出来たぞ」
「え……!? あ……有難う、ございます……」
髪飾りが付けられ、一色くんが距離を取りました。
それに伴ってわたしの呪縛も解けましたが、なんとなく寂し……な、何でもありません……!?
な、何にせよ、無事に乗り切れたようですね。
乗り切れたと言う表現が正しいのか、甚だ疑問ですが……。
それはともかく、当然と言うべきか、あることが気になりました。
ですが、聞くのは怖いです……。
今更って感じもしますけど……。
結局、勇気が出ずに、一色くんを意味ありげに見ることしか出来ません。
俯き気味に上目遣いで黙っていると、彼は小さく息をついてから、ポツリと呟きました。
「心配しなくても、似合っている」
「ほ、本当ですか……?」
「嘘だ」
「え……!?」
「冗談だ。 間違いなく、似合っている」
「……有難うございます」
意地悪ですね……。
でも……似合っていると言ってくれました。
にやけてしまいそうになるのを、辛うじて我慢します。
なんだか悔しいですし。
顔が紅潮するのと鼓動が速くなるのは、どうしようもありませんが……。
誤魔化すように目を逸らして、食事を再開しました。
元々美味しかったおにぎりが、より一層美味しく感じます。
頬が緩んで、多少だらしなくなっても仕方ありませんよね?
そう、これはおにぎりが美味し過ぎるからですよ。
一色くんは無関係です。
いつの間にかニコニコしているのも、自然な成り行きだと思いました。
そのとき、先に食事を終えてお茶を飲んでいた一色くんが、またしても唐突なことを言い出します。
「お前は、死ぬのが怖くないのか?」
「え……? き、急にどうしたんですか?」
「良いから、答えろ」
いつも通りか、何ならいつも以上に強引な一色くん。
何だって言うんですか、まったく……。
不満に思わない訳じゃありませんけど、大人しく答えましょうか。
死ぬのが怖いかどうか……。
そんなの、考えるまでもないです。
「怖いに決まっています」
「それは本心か?」
「も、勿論です。 どうして疑うんですか?」
「なんとなく、お前は自分の命を軽んじている気がしてな」
長椅子に座ったまま横目で見つめられて、ドキリとしました。
まさか……いえ、そんなはずありません。
彼があのことを知っているとは、考え難いですから。
それにしては意味深な顔付きですけど……お、思い違いですよね?
内心で困惑しながらも、必死に外面を取り繕って、わたしは言葉を絞り出しました。
「き、気のせいですよ」
「そうか、だったら良い。 お前に死なれると、俺が困る」
「困るって……な、なんでですか……?」
「内緒だ」
「そんな、気になるじゃないですか……! 教えて下さい……!」
「断る」
「そこをなんとか……!」
「しつこいぞ」
億劫そうに視線を切って、一色くんは片付け始めました。
あ、これは、置いて行こうとしていますね……!?
敏感に察知したわたしは、下品にならない程度に急いでおにぎりを食べ切って、お茶で喉を潤します。
そして、すぐさま後片付けを終わらせ、席を立った彼を追い掛けました。
逃がしませんよ……!
振り向いた一色くんは面倒臭そうに溜息をつきつつ、足を止めません。
その背中に付いて行きながら、わたしは幾度となく問い掛け続けましたが……最後まで、彼が口を割ることはありませんでした……。
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――
次回、「第26話 肆言姫の誇り、魔族との激闘」は、22:00公開予定です。
読んでくれて有難うございます。
♥がとても励みになります。
目を覚ましたわたしは、いつもより若干ボンヤリしながら、布団の上で身を起こしました。
うぅん、やっぱり多少は影響が出ていますね……。
ですが、戦闘に支障があるほどじゃないですし、気にする必要はないでしょう。
口に手を当てて欠伸してから、ゆっくりと立ち上がりました。
そのまま顔を洗うべく、ふすまを開けて洗面所に向かい――
「……お早う」
上半身裸の一色くんに挨拶されました。
着替えている途中らしく、無表情ながら呆れた気配が漂って来ています。
相変わらず見事なまでの肢体で、まるで彫刻のよう……ではなく……!
「ご、ごめんなさい……!」
時を巻き戻すかのように、超速でふすまを閉じて布団の上に正座しました。
な、何をしているんですか、わたしは……!?
このような失態、初日以来じゃないですか……!
恥ずかしさのあまり、両手で顔を覆って震えていると、共有空間の方から声が聞こえました。
「もう大丈夫だから、早く準備しろ。 天羽たちが出発してしまうぞ?」
「あ……そ、そうですね……」
一色くんの言葉を聞いて、辛うじて立ち直りました。
まだ脳裏には彼の姿が鮮明に焼き付いていますけど……こ、こればかりは致し方ありません。
顔が赤くなるのを感じつつ、おっかなびっくりふすまを開けます。
そこには正装を身に纏って、座り込んだ一色くんがいました。
いつものように壁にもたれて、目を閉じています。
気にしていないようですが、本当に申し訳ないですね……。
しかし、今は一旦棚上げさせてもらいましょう。
半ば無理やりに意識を切り替えたわたしは、手早く身支度を整えました。
幸いにもとは言いたくありませんけど、先ほどの一件ですっかり目は覚めています。
『葬命』を腰に佩いた段階で一色くんに視線を向けると、彼は何も言わずに目を開いて、腰を上げました。
何気ないことですが、凄いですね……。
胸中で感心していたわたしをよそに、彼はサッサと部屋をあとにします。
ま、待って下さい……!?
慌ててあとを追ったわたしは戸締りをして、彼と並んで寮の入口を目指しました。
コッソリと横顔を窺うと、例の如くの無表情。
何を考えているかはわかりませんけど……ほんの少しだけ、ピリピリとした空気を感じます。
一色くんも、緊張しているんでしょうか?
あまり想像出来ませんが……。
などと考えているうちに、入口が見えて来ました。
そこには、すっかり仲良くなった……お友だちの姿があります。
『雅美』を手に瞑目し、精神統一している天羽さん。
快活な笑みを湛えて、体を解している一葉ちゃん。
『雷切丸』を軽く振って、感触を確かめている光凜さん。
それぞれがそれぞれの方法で、集中力を高めているのがわかりました。
彼女たちの姿に微笑を浮かべたわたしは、遠慮がちに声を掛けます。
「お、おはようございます」
「む? 無明か、おはよう」
「おはよう、夜宵ちゃん! もしかして、あたしを見送りに来てくれたの!?」
「馬鹿も休み休み言いなさい、猪娘。 夜宵さん、おはよう。 わたしを見送りに来てくれたのよね?」
「神代も引っ込んでいろ! 無明、わたしだな!?」
朝一から喧嘩する、『肆言姫』たち。
本当に彼女たちに任せて、大丈夫なんでしょうか……。
一瞬、心配になりましたけど、その思いはそっと仕舞っておきましょう。
「えぇと……わたしが見送りに来たのは、皆さん全員なんですけど……」
「あら、残念。 でも有難う。 これはもう、勝ったようなものね」
「気が早いわよ、陰険女。 まぁ、夜宵ちゃんの為にも、負けられないけどね!」
「ふん、わたしは最初から負ける気などない。 ただ……む、無明の応援があれば、尚のことだな」
「そう言ってもらえると、わたしも力が湧きます。 戦場は違いますけど、お互い全力を尽くしましょうね」
天羽さんたちが心身ともに万全だと察して、自然と笑みが浮かびました。
ところが、そんなわたしを見て彼女たちは硬直し、目を丸くして顔を紅潮させています。
急にどうしたんでしょうか……?
不安になったわたしが、何を言うべきか迷っていると、眉を落とした一葉ちゃんが身を屈め、上目遣いで懇願して来ました。
「ねぇ、夜宵ちゃん。 さっきの笑顔、他の人には見せないで欲しいな」
「さっきの笑顔……?」
「わたしも九条に同意する。 無明、あの笑顔は危険だ」
「あ、天羽さん……? 危険な笑顔って何ですか……?」
「自覚がないのね……。 これは、余計に心配だわ」
「あの……光凜さん、わかるように説明して欲しいんですけど……」
意味不明です。
笑顔に危険も何もないと思うんですが……。
心底困ったわたしは、思わず一色くんに目を向けてしまいました。
それを受けた彼は盛大に嘆息しつつ、少し離れた場所から歩み寄って、淡々と言葉を連ねます。
「天羽、九条、神代。 お前たちに、言っておくことがある」
「一色……何だ? 一応、聞いておいてやる」
「どうでも良いことだったら、ぶっ飛ばすわよ?」
「時間がないから、手短にね」
わたしのときと打って変わって、冷たい反応ですけど……聞く耳を持っているだけ、以前よりはマシかもしれません。
もっとも、一色くん本人は気にもしていないらしく、あくまでもマイペースに口を開きましたが――
「隠匿発動に拘るな。 場合によっては、通常発動に切り替えろ」
『……!』
「どうしてお前が隠匿発動に詳しいんだ……と言いたげな顔をしているな。 だが、そんなことはどうでも良い。 とにかく、見誤るなよ」
「……ふん。 頭の片隅には、置いておこう」
「一色くん、貴方っていったい何者なの……?」
「陰険女、今は詮索してるときじゃないでしょ。 こいつのことは、今度じっっっっっくり調べれば良いわ」
「……それもそうね。 四季さん、猪娘、行きましょう。 夜宵さん、またね。 帰って来たらデートしましょう」
「神代! どさくさに紛れて、何を言っている!?」
「もう! 油断も隙もないわね! 夜宵ちゃんとデートするのは、あたしなんだから!」
「九条も黙れ! ではな、無明! 朗報を待っていろ! そ、そのときは、わたしと……」
「はいはい、四季さん。 出発するわよ」
「時間だもんね!」
「き、貴様ら、卑怯だぞ!?」
ギャアギャアと言い合いながら、歩み出した天羽さんたち。
何と言いますか……力が抜けていて、逆に良いんでしょうか……?
抜け過ぎな気もしますけど……。
それはともかく、わたしも気になりました。
隠匿発動に拘るなと言う、一色くんの真意が謎です。
天羽さんたちは使い手なので、伝わったようですが……ちょっぴり疎外感を覚えてしまいました。
微妙に不貞腐れているわたしに気付いたのか、一色くんはチラリとこちらを見ましたけど、説明してくれる気はなさそうです。
むぅ……別に良いですよ。
どうせ、わたしには使えませんし。
そう思いつつも不満を募らせていたわたしに、一色くんは脈絡もないことを言い出しました。
「朝食はどうする?」
「え? どうって、普通に作るつもりですけど……」
「今日だけは、なるべく体力を温存している方が良い。 たまには購買で済ませよう」
「で、ですが、炊事はわたしの担当なのに……」
「こう言うときくらい、休んでも構わない。 今回ばかりは、慎重に慎重を期すべきだ」
「……わかりました」
完全に納得出来たと言えば嘘になりますが、彼の言うことも理解は出来ます。
それに、今のわたしが少なからず消耗しているのは、事実ですから。
踵を返して寮の購買に向かった一色くんに、1歩遅れて付いて行きます。
彼の背中をボンヤリと見つめていると、不意に疑問が出て来ました。
わたしたちの距離は、縮まったのでしょうか?
それとも……広がったのでしょうか……?
あるいは、当初と変わらないのでしょうか?
一色くんの立ち位置が良くわからなくて、判断が難しいです。
実際のところ、彼はわたしをどう思っているんでしょう……。
聞いてみたい気もしますけど、とてもそんな勇気はありません……。
どんな答えが返って来ても、困りそうですし……。
やっぱり、今はそっとしておく方が良いですね。
えぇ、今のは気の迷いです。
勝手に悩んで勝手に納得していると、購買の前まで来ていました。
まだ早朝ですが、問題なく営業しています。
いつも自炊なので、ちゃんと見たことありませんでしたが、結構いろんな種類の商品があるんですね。
どれも美味しそうですけど、朝ですし……おにぎりと紙パックのお茶にしておきましょうか。
結論を下したわたしは、素早く商品を取って会計を済ませます。
購買を出ると既に一色くんが待っていて、黙って足を踏み出しましたが、部屋とは別の方向でした。
どこに行くんでしょう?
不思議に思ったわたしが首を捻っていると、立ち止まった彼が肩越しに声を投げて来ました。
「今日は天気が良いから、中庭で食べないか?」
「……そうですね」
言葉に詰まるほど、驚きました。
一色くんにも、「天気が良いから」などと言う概念があったんですね……。
こんなことを言ったら、失礼かもしれませんけど……。
再び歩き出した彼を見つめながら、中庭に入りました。
綺麗に掃除が行き届いており、とても空気が澄んでいます。
中央には大きな桜の木が立っていて、言魂の力で年中観賞出来るんだとか。
わたしとしては、自然の摂理で散る桜も趣深いと思いますけど。
などと考えていると、一色くんは設置された長椅子の1つに腰掛けました。
桜を正面に見られる位置です。
彼にも、花を愛でる心があるんでしょうか……?
本音を言えば柄ではないように感じますが、そう言う一面があるのかもしれません。
昨日は綺麗な星空を見せてくれましたしね。
実際のところは、わかりませんけど……。
こう言うとき、素直に聞けるようになりたいですね。
白河さんなら、躊躇なく聞けるんでしょうか……?
ほんの微かにモヤモヤしていたわたしですが、平坦な声が耳朶を打って意識を引き戻されます。
「食べないのか?」
「へ……!? あ……た、食べます……! 急いで食べます……!」
「いや、ゆっくりで良い」
「そ、そうですよね」
わたわたと慌てつつ、一色くんから限界まで離れて長椅子に座り、おにぎりを取り出して頬張りました。
あ、美味しい……。
誰が作っているのか知りませんが、作り方を教えて欲しいくらいです。
具である梅干しが美味しいのもそうなんですけど、握り方が絶妙に思えました。
これだけのものが安価で買えるなら、自炊しない人が増えそうですね……。
それが良いか悪いかは別として、便利なのは間違いありません。
難しい問題だと思いつつ2口目を食べましたが、やはり美味しかったです。
すると、そんな能天気なことを考えていたわたしの耳に、思いもよらぬ言葉が飛び込んで来ました。
「あの髪飾り、付けないのか?」
「……ッ!」
「落ち着け、喉を詰まらせるぞ」
「……ごくん……い、一色くんが、驚かせるからじゃないですか」
「そんなに変なことを言ったか?」
「な、内容的には、そうでもないですけど……」
いきなり過ぎるんですよ……。
それはともかく、どうしてそんなことを聞くんでしょう?
まぁ、買ったのは彼ですし、多少気になるのはわからなくもありません。
だとしても、一応の持ち主はわたしなんですから、どうしようと自由なはず。
そこまで考えたとき、ちょっとした悪戯心が生まれました。
いつも振り回されていますし……たまには良いですよね?
罪悪感とワクワクが綯い交ぜになったような感情を抱きながら、澄まし顔で尋ねてみます。
「い、一色くんは、どうして欲しいんですか?」
「何?」
「で、ですから……わ、わたしに……付けて欲しいんですか……!?」
い、勢いに任せて聞いてしまいましたが、これは思った以上に恥ずかしいですね……!
顔が真っ赤になって、涙目になっているのがわかります。
当初の余裕はあっと言う間に吹き飛び、睨み付けるような必死さで彼を凝視しました。
対する一色くんは、ほんの少しだけ目を見開いています。
こんな姿は、珍しいかもしれません。
ただ、それがどう言う理由か不明なので、全くもって安心は出来ませんでした。
次第に羞恥心が限界に近付き、体が震え――
「そうだな、付けて欲しい」
「へ……?」
「聞こえなかったか?」
「い、いえ、聞こえましたけど……」
「そうか。 それで、どうなんだ?」
「ど、どうと言うと……?」
「だから、付けてくれるのか?」
「え、えぇと……その……は、はい……」
消え入りそうな声を、なんとか絞り出しました。
心臓の音が聞こえます。
勿論、一色くんに深い考えがあるのかは、わかりません。
それでも……う、嬉しく思ってしまいました……。
き、きっと、彼がわたしにお願いすることなんて、滅多にないからですね。
いつもお世話になっていますし、少しでもお返し出来ると思ったのでしょう。
そうとしか……考えられません。
高鳴る胸に手を添えて、深呼吸を繰り返しました。
そして……じ、実は持ち歩いていた桜の髪飾りを、取り出します。
一色くんにチラリと視線を向けると、思い切り目が合いました。
咄嗟に顔を背けそうになりましたが、寸前で堪えます。
こ、ここまで来たら……。
何かが振り切れたのか、グチャグチャになった思考をそのままに、気付けば信じられないことを口走っていました。
「あ、あの……か、鏡がなくて自分では見えないので……つ、付けてくれませんか……?」
あぁぁぁぁぁ……。
な、何を言っているんですか、わたしは……!?
馬鹿なんですか……!?
穴があったら入りたいどころか、なくても自分で掘って埋まりたいです……!
羞恥のあまり悶絶しそうになり、今すぐにでもこの場を逃げ出そうとしましたが、その前に平坦な声が響きました。
「わかった」
わたしの手から取り上げられる、髪飾り。
反射的に固まっていると、一色くんが身を乗り出して来ました。
ち、近……!?
まともに考えが纏まらず、目を回しそうです……!
至近距離まで寄った彼が、丁寧な手付きでわたしの髪に触れました……!
い、痛んでいないでしょうか……!?
大丈夫ですよね……!?
時が止まったかのように硬直したまま、内心で叫びを上げ続けます……!
ものの数秒のことだと思いますけど、体感的には永遠にも等しい時間が流れ、遂に――
「出来たぞ」
「え……!? あ……有難う、ございます……」
髪飾りが付けられ、一色くんが距離を取りました。
それに伴ってわたしの呪縛も解けましたが、なんとなく寂し……な、何でもありません……!?
な、何にせよ、無事に乗り切れたようですね。
乗り切れたと言う表現が正しいのか、甚だ疑問ですが……。
それはともかく、当然と言うべきか、あることが気になりました。
ですが、聞くのは怖いです……。
今更って感じもしますけど……。
結局、勇気が出ずに、一色くんを意味ありげに見ることしか出来ません。
俯き気味に上目遣いで黙っていると、彼は小さく息をついてから、ポツリと呟きました。
「心配しなくても、似合っている」
「ほ、本当ですか……?」
「嘘だ」
「え……!?」
「冗談だ。 間違いなく、似合っている」
「……有難うございます」
意地悪ですね……。
でも……似合っていると言ってくれました。
にやけてしまいそうになるのを、辛うじて我慢します。
なんだか悔しいですし。
顔が紅潮するのと鼓動が速くなるのは、どうしようもありませんが……。
誤魔化すように目を逸らして、食事を再開しました。
元々美味しかったおにぎりが、より一層美味しく感じます。
頬が緩んで、多少だらしなくなっても仕方ありませんよね?
そう、これはおにぎりが美味し過ぎるからですよ。
一色くんは無関係です。
いつの間にかニコニコしているのも、自然な成り行きだと思いました。
そのとき、先に食事を終えてお茶を飲んでいた一色くんが、またしても唐突なことを言い出します。
「お前は、死ぬのが怖くないのか?」
「え……? き、急にどうしたんですか?」
「良いから、答えろ」
いつも通りか、何ならいつも以上に強引な一色くん。
何だって言うんですか、まったく……。
不満に思わない訳じゃありませんけど、大人しく答えましょうか。
死ぬのが怖いかどうか……。
そんなの、考えるまでもないです。
「怖いに決まっています」
「それは本心か?」
「も、勿論です。 どうして疑うんですか?」
「なんとなく、お前は自分の命を軽んじている気がしてな」
長椅子に座ったまま横目で見つめられて、ドキリとしました。
まさか……いえ、そんなはずありません。
彼があのことを知っているとは、考え難いですから。
それにしては意味深な顔付きですけど……お、思い違いですよね?
内心で困惑しながらも、必死に外面を取り繕って、わたしは言葉を絞り出しました。
「き、気のせいですよ」
「そうか、だったら良い。 お前に死なれると、俺が困る」
「困るって……な、なんでですか……?」
「内緒だ」
「そんな、気になるじゃないですか……! 教えて下さい……!」
「断る」
「そこをなんとか……!」
「しつこいぞ」
億劫そうに視線を切って、一色くんは片付け始めました。
あ、これは、置いて行こうとしていますね……!?
敏感に察知したわたしは、下品にならない程度に急いでおにぎりを食べ切って、お茶で喉を潤します。
そして、すぐさま後片付けを終わらせ、席を立った彼を追い掛けました。
逃がしませんよ……!
振り向いた一色くんは面倒臭そうに溜息をつきつつ、足を止めません。
その背中に付いて行きながら、わたしは幾度となく問い掛け続けましたが……最後まで、彼が口を割ることはありませんでした……。
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――
次回、「第26話 肆言姫の誇り、魔族との激闘」は、22:00公開予定です。
読んでくれて有難うございます。
♥がとても励みになります。
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