【完結】数学教員の 高尾 さん

N2O

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11 お仕置き

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9番の駐車場に車を停めるのも、これで何度目だろうか。
あの後、田代先生はそそくさといなくなり残された俺と花村先生の間には妙な沈黙が生まれた。

その沈黙を破り花村先生でツカツカと俺に寄ってくると耳元で「はじめ、今日は定時で上がれ」と有無を言わさぬ物言いで囁く。
俺は脳内で「部活どうする?」→「副顧問の宮木先生にお願いしに行こう」→「よし決定」、という緊急会議を開き、即頷いた。



合鍵でオートロックを解除して部屋に入ったところでそのまま捕まり、いつもとは違う乱雑なシャワー、そしてベッドに連行。今に至る。

もちろん両手両足にはピンクファーの枷がつけられた。


俺は下着姿で目隠し。
割と筋肉が自慢の腹の上には花村・・・いや、楓くんがすでに跨っている。
付き合い始めてすぐ、プライベートでは「楓くん」と呼ぶようになった。


楓くんは俺に目隠しをつける前、何やらめちゃめちゃ怒っていた・・・というより、拗ねているように見えた。
どうしてそんな顔をするのか分からない俺は、とりあえず戸惑いながらも目隠しを了承。

楓くんは枷をつける時も毎回確認してくれる。

「俺の性癖に付き合ってもらってるから」と気にするところも可愛くて、大好きだ。


目隠しと枷、両方付けられて早10分?は経っている。
俺に跨っている楓くんは何もして来ない。
いつもならすでに意識がとろ、っとし始めている頃だ。
どうしたんだろう、と不思議に思っているとようやく楓くんが動き出した。
放置されたし、視界も遮られている分余計緊張する。


すると突然乳首をグィッと強めに摘まれた。
毎週のように弄られているそこは少しの刺激にも敏感に反応するようになった。
今日は視界も遮られていて感覚が研ぎ澄まされている分、俺の背中は大きく弧を描いた。



「田代先生とナニしてたの。あいつのことどう思ってるの、ねえ?」

「??た、田代先生とはちょっと昔話してただけで・・・っ、うあ、い、痛いっ、」

「俺の知らない元を知ってるって、遠回しな自慢?・・・元は自分の可愛さに疎いとは思ってたけどさぁ、」

「か、可愛い?!そ、んなこと思ってるの楓くんだけ、」
「クソッ!いつもなんか距離近いとは思ってたんだよ。俺がいない間に元に近づきやがって・・・!」

「!!!?」



・・・なるほど?
これは世間一般で言う嫉妬というやつか?
嫉妬されるなんて初めての経験だが、この状況はまずい。
身動きが取れない上に、楓くんの顔も見えない。
おそらく声色からしてかなり不機嫌モードだ。

どう説明すれば分かってもらえる・・・?
「楓くんからの愛情を再認識してました♡」って正直に言う・・・いや、恥ずかしすぎる。


そして、ぐるぐる思考を巡らせたのがまずかった。
何を勘違いしたか楓くんは、乳首を思いっきり指で弾いた。
俺の体には電気が流れるようなビリビリとした感覚が走る。

嬉しいのか、恥ずかしいのか、何と言えばいいのやら。
痛みの後に来る快感も体がすっかり覚えてしまった。
乳首は痛いのに下半身はどんどん熱くなる。

《痛みと快楽を重ねる》

立派な俺の性癖だ。



「元は、俺のものなんだから、体にしっかり教えなきゃね。」



不機嫌そうな声が聞こえてきたと同時に、噛み付くようなキスがふってきた。


----------------⭐︎


じゅぼ、じゅぼ、と卑猥な音が寝室に響く。
執拗なまでの濃厚なキスと乳首への愛撫、そして今、天使の顔をした可愛い男が俺の極小ちんこをしゃぶっている。
「元からお願い聞くまで我慢してたのに」と悔しそうな声がした直後、熱くて柔らかいものが俺の中心を包み込んだ。

すぐ楓くんの口だと分かった。
吸い取るように上下に動き、卑猥な音を立て始めたからだ。
どんなに察しの悪い俺でも流石に分かる。
急に襲いかかる強烈な快感に俺は足の鎖を大きく揺し、喘ぎ声が止まらない。




「あうっ、すぐ、出るって!あ、あっ、」

「・・・ひゃまっへ(黙って)」

「と、止まって、た、頼む、っん、あっ、あああっ、」



じゅう、と強く吸われ呆気なく射精してしまう。
しかも楓くんの口内で。
すぐさま吐き出すお願いするも「もう飲んだよ」と平然とした口ぶり。
おっさんの精液が、飲めるはずはない。

いくら暴れようが喘ごうが、視界は真っ暗なまま。
楓くんの顔が見たい。
なのに、目隠しを一向に取ってもらえない。

すると俺の中心に何か巻き付けられた。
びくっと体を震わせると、鎖が鳴き声のように音を立てた。
根元の方をキツく────細めの紐だろうか────縛られる。


目隠しが突然外され視界がクリアに。
最初ぼやけていた視界も、段々と元に戻ってきた。

恐る恐る俺は、自分の股間にいる楓くんを見た。
楓くんはまだむすっとしているが、俺の中心に巻き付けた紐をクィッと引っ張った。
「んひっ」と情けない声が出る。
・・・絶対楽しんでるだろ、楓くん。


すると俺の顔に楓くんが急接近。
もちろん、むすっとした顔のまま。



「ねえ、俺の気持ちどうやったら伝わる?」

「つ、伝わってる、」

「全っ然、だよ。本当はここから外に出したくないし。」

「・・・へ?」

「だから頑張って稼いだのにさ。余裕で老後まで養う金あるし。」

「や、やし、養う、?!」

「車だって元が好きそうなの選んだし、いくら喘いでもいいように防音性の高いマンションにしたのに・・・、何なのあいつ。元が可愛いからって俺に許可なく近寄ってさ・・・」

「・・・っ!?」



楓くんの目は怒りと嫉妬から、悲しみに変化しているように見えた。
どうやら本気に俺のことを可愛いと思っていて、本当に心配しているようだ。
 
ふふ、と突然笑い出した俺を楓くんは怒った目で見ている。



「何で笑うの。」

「あのさ。今日、田代先生と楓くんの話をしてたんだ。」

「・・・俺の話?」

「教育実習の時に楓くんが俺のこと見てたぞって話聞いてさ。俺、めちゃめちゃ嬉しくて。」

「・・・ん?」

「ふふ、でね。それ聞いて喜ぶ俺も相当重症だなって、田代先生に揶揄われたのが恥ずかしくて・・・黙ってただけ。ごめんね。」



俺の言葉に楓くんは俺に跨って、きょとん、としている。
思ってもみなかった方向の話でどうやら珍しく戸惑っているらしい。
そんな楓くんに益々愛おしさが込み上げて来て、俺は初めて「枷を外して欲しい」とお願いした。

戸惑ったままの楓くんはきょとんとしたまま、手と足の枷を外してくれた。
外した後は、必ず毎回手首と足首を確認する。
怪我をさせていないか心配、ということらしい。

ピンクファーで怪我なんかするわけないのに。

怪我がないことを十分すぎるぐらい確認して目線を上げた楓くんを俺は思いっきりぎゅう、と抱きしめた。
俺から抱きしめるのは、これが初めてだ。


「大好きだよ、楓くん。俺のこと信じて欲しい。」


楓くんの小さな耳にそう呟く。
じわじわと、色素の薄い瞳に涙が集まって、頬を伝って溢れていった。
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