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01. タイミングというものがある
しおりを挟む「……あ、うぁっ、や、まって、っあ、……あぁっ」
男に組み敷かれ、秘部を男の雄で穿たれて揺さぶられては、オレはいやらしい声を上げ続けていた。
男の名前は橘理仁。オレが再就職した先の上司であり、オレの年下の恋人でもある。
藍原礼旺という名前に完全に負けている平凡なオレの何を気に入ったのか、オレは理仁に口説きに口説かれ、2か月ほど前に恋人同士となった。
「可愛いよ、礼旺。俺のこと、きゅうきゅう締め付けてくる。綺麗だね……」
「あ……、いうな……っ、……っひ……あ……」
こんな年齢になるまで女性経験も男性経験もなかったオレに歓喜し、運命すら感じたと言って抱いた理仁のその言葉は割と本気だったらしく。すぐに飽きるだろうと思っていたオレの予想の斜め上を行く溺愛ぶりだった。
今も、あまりの快感にボロボロと涙をこぼすオレの目尻を拭い、理仁がまぶたにキスを落とす。
「綺麗……。ねえ、礼旺。もっと俺のこと見て。その目に映して」
平凡なオレだが、ひとつだけ特筆することがあるとすれば、この目だ。
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本当に、どれだけオレを好きなのかとこちらの方が呆れてしまう。
指で、すり、と頬を撫でられ、ゾクリと震えて理仁を見る。
「や……、りひと……っ」
目を開ければ、オレに覆いかぶさってくる男の欲情した顔が見えた。
「やっぱり綺麗。目、涙でキラキラしてる。俺の顔が映るの、すごく興奮するね」
「あ……っ」
興奮する、と言ったのが嘘ではないというように、オレを穿つ彼の雄がナカで質量を増したのがわかる。
「やぁ……っ、ばか…………っあ! ひぅっ!」
「バカは酷いな。こんなに、礼旺が好きなのに」
「ひ、ああぁぁぁっ!」
言いながら、存在を主張するように理仁がオレの腰を掴んでナカの楔をぐるりと回すから、悲鳴のような嬌声が上がってしまう。
「あ……っ! りひと、イく……っ、イっちゃ……から……っ!」
「ん、いいよ。イって」
「……っ! ─────っ!」
ぐじゅ、じゅぷり、と淫猥な水音を立てていた後孔を一気に攻め上げられ、熱く硬い雄で最奥まで突き上げられたら耐えられるはずもなく、オレは声も出せずに腹に白濁を撒き散らした。同時に奥で弾けて注ぎ込まれる熱に、ビクビクと震えが走る。
「あぁっ! あ……、ひぁ……んっ!」
震えながら理仁の精液を受け止めていると、声が止まらない。そんなオレを見て、理仁が嬉しそうに言うのだ。
「ほんと、えっちな身体になったよね。経験がなかったなんて、信じられないくらい」
「や……ぁ、……だれ、の……、せい……っ」
「ふふ、俺のせいでしょ。嬉しい」
くそ、分かっていて言っているのだ。確信犯め。
オレはこぼれる涙を拭いもせずに理仁を睨みつける。
するとなぜかオレのナカにいる理仁のモノがまた硬度を持ち始めるのを感じてびくりと震えた。それが自らの内襞に擦り付けることになって喘ぐ。
「ん……っ、ふぁ…………ぁ、や、なんで……っ」
「そういう、無自覚に煽ってくるの。ほんと礼旺らしいよね」
「しらな……、あっ! んぁう……っ! ひ、あ……っ」
奥を何度も穿たれると同時に、ぐちゅん、ぐぷ、という粘ついた水音が耳に響いて余計にオレを煽る。
うしろと耳と、同時に侵されて。気持ちがいいやら恥ずかしいやら、男に抱かれる背徳感とかいろいろなものでいっぱいになって何も考えられなくなる。
「あ、やぁ、んっ! あぅ……っ! あ、あぁっ!」
だから。
「ねえ、礼旺。俺たち、そろそろ────」
「あ、ああぁぁっ!」
そんな時に言われた事を覚えていなくても、文句を言われる筋合いはないと思うのだ。
金曜日の仕事終わりに拉致されるように理仁の家に連れ込まれ、気絶するまで抱き潰されること数回。土曜日はそのままベッドで過ごしたり、時には外に出てデートのようなものを楽しんで夜にはまた抱かれる。日曜日の夕方に自宅に戻って月曜日からまた仕事。
そんな生活を2か月もすればだいぶ慣れてくる。
だが、慣れれば慣れるほどに自宅での時間が減っていることにも気付いてしまったのは事実だ。
だけれど。
「ねえ礼旺。同棲の話、考えてくれた?」
「………………は?」
日曜日の昼下がり。
ソファに並んで座ってのんびりとコーヒーなど飲んでいる時に、唐突に聞かれたオレの気持ちを察してほしい。
同棲? なんのことだ。
素直にそれを聞けば。
「考えて、って言ったはずなんだけど……」
「いつ?」
「金曜日。礼旺が可愛く啼いてる時」
「な……っ」
いつ言われたのかも覚えていないけれど、そんな言い方をされたらどんな時に言われたのか容易に想像ができて赤面するしかない。
「ばか! そんな時に言うな!」
「だって礼旺が可愛いから」
「理由になってない!」
「でも俺は言ったよ。そろそろ同棲しよう、って。考えてって言った」
聞いてないというか、そんなの覚えてない。
それに。ちょっと考えたらわかることだと思うのだけれど。
「同棲とか……無理だろ」
できるだけ、落ち着いた声で言った。
一般的に考えて、同性同士の同居とかいうのはだいぶ難しいと思うのだ。
男女のカップルとは違って、周りの目というものは厳しいだろう。今ではパートナーシップ制度なども導入されてはいるが、それでも奇異の目で見られることは必至だ。
それに。
「オレたち、付き合い始めて2か月だぞ?」
「そうだよ、もう2か月だよ」
「いや。まだ2か月だろ?」
「…………礼旺」
理仁が困ったような顔で名前を呼ぶけど、それはオレだって同じ気持ちだと思う。
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対してオレは、ずっと恋人が居なくて初めてきちんと恋をして付き合ったのが理仁だという恋愛初心者だ。
お互いの恋愛に対する考え方の違いが、ここに来てハッキリと出た。
「……これに関しては話し合いが必要なようだな」
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「…………え」
「金曜日に社内で大掃除までしたでしょ」
「………………」
すっかり忘れていたオレの頭はどうなっているんだ、と自分に問いただしたい。
そうだった。大掃除はしたけど、他は全て通常通りだったからうっかりしていたが、一部のサービス業等の皆さん以外は全国的に年末年始休暇だ。
「休みの間は帰すつもりないから。そのつもりで、ね」
「うそ……だろ?」
それ、ある意味『監禁』とか『軟禁』とか言わないか?
そんなオレの思いを読んだかのようなタイミングで、理仁が続ける。
「あくまでも、これは同棲の予行練習ってことで」
「………………」
予行練習ってなんだ。そんなのアリか?
我ながらマヌケな顔でぽかんと理仁の事を見つめたら、なぜかキスで唇を塞がれた。
「んぅっ!」
薄く開いたままだった唇から、ぬるりと理仁の舌が潜り込んでくる。
「んぁ……、ふ……ぅ、あ、あ……ん」
意志を持った生き物のようにオレの口内を蹂躙していく理仁の舌に、思考力を奪われていく。
「ふぁ……、あ……ぅあ……、んく……ぅ」
口の中を舐っていく水音が直接耳に響いてくるけど、恥ずかしいなんて思う余裕もなく、もう何も考えられない。
思考も身体中の力も手放した瞬間にキスから解放されたけれど、いつの間にやらオレはソファに押し倒されて息も絶え絶えになり、目には涙さえ浮かべているような有り様だった。快感が過ぎるのも困りものだ。いや、オレが感じやすいだけだろうか?
とりあえず、オレに覆いかぶさってくる理仁を睨みつけてやるけれど、それは逆効果だったらしい。
「そんな艶っぽい目で見ないで。ホントに襲うよ?」
「じょうだん、じゃ……、ない……」
「ん。一緒に年越ししようね」
「………………」
ああ、もう。理仁の中でそれは決定事項なのか。
こうなればこの年末年始休暇については腹を括るしかない。
呼吸を整えながら深く息を吐き出した瞬間から、オレたちの『同棲の予行練習』が始まったのだと思う。
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