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1章 異世界転移は無理難題
1-17 俺、領主の接待を受けるそうです
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出されたスープを一口食べて、無意識に固まった。……まっず。何でこんなにマズイんだ。いや、素材が悪いわけじゃない。ただ、素材のままが過ぎる。これはわざとか? わざとなのか? 俺への嫌がらせか? ココのほうを見たら、同じことを考えていたのか、顔を顰めていた。最近、ココは俺と一緒に地球の食べ物を食べているから味覚が発達しているのだろう。
「お口に合いませんか?」
「いえ、このような高級な食事は慣れておりませんので、少し驚いてしまいました」
正直にマズイとは言えず、社交辞令を返す。見るとサスラ領主の辺境伯は普通の顔で食べている。とすると、この塩味だけのスープが標準的なのか。食文化がやばいなぁ。これからどうやって生きていけばいいのか……。俺は我慢して食えばいいけど、ココのほうを何とかしてやらないと。
「申し訳ありません、領主様。一つお願いがあるのですけれど、よろしいでしょうか?」
「ええ、何でもおっしゃってください」
「ココ、従者は特別な理由がありまして、パン以外を食べることができません。そこで手持ちがありますので、お湯と器を頂けませんでしょうか? 折角お出し頂いたのに申し訳ありません」
「はぁ、構いませんよ。宗教的なタブーは様々ですからね。こちらも配慮不足ですいません」
早速、もらったお湯にオニオンコンソメスープの素と乾燥させておいた野草を入れて即席のスープを作る。ココにはこれでいいだろう。パンも不味いが、こっちはまだ食えるから、今回限りはこれで我慢してくれ……すまん。口パクで、後で美味しいモノをあげるから、と言っておく。
ココが渡したオニオンコンソメを嬉々として食していく。これがあれば、あの不味いパンでもなんとか食えるだろう。2人とも出されたものを返すわけにもいかんから、俺は我慢して食う。グフ、マズ、ハク、シヌ。ココのスープがいい匂いな分、余計に切なく感じる。
気づいたら、領主がココのスープをガン見していた。何か失礼なことでもしたか?
「ずいぶんといい匂いがしますね。よろしければ少し私にも頂けますか? いえ、無理にとは申しませんが……」
別に問題はない……はず。どうせ、1食10円とかだし、在庫はまだまだあるし。というわけで、ココに作った即席スープをもう1つ作って領主様に渡す。
「では、頂きます」
一口飲んだ瞬間、目を見開いて硬直した。ん? 何か問題があったか? あ、毒見しないと、これはまずいんじゃないのか? 99%ないと思うが、もしこれで倒れでもしたら、俺、暗殺者とかの扱いになって投獄されるんじゃ……ああああ、失敗したぁあああああ。
「う、う、うう、う……」
「りょ、領主様、吐き出してください! 吐いてー! レスキュー! メイデー!」
慌ててフォローに回る。もう今更遅いと思うが、少しでも傷を浅くしないと! 俺の今後の人生プランがここで狂ってしまう! どうする!? どうすればいい!?
「美味い! なんだ! この美味さは! 塩味じゃない! 豊潤で滑らか、かといって素材の邪魔をするわけでもなく、お互いに際立たせる確かな味! なんの食材を使っているかは見当もつかないが、かつて王城の晩餐会でもこんな味に出会ったことが無い!」
領主様は目を見開いて、全力で芸能人顔負けの食レポしてくれた。それを聞いて俺、脱力。てか、このおっさん、昔は王城に居たのかよ……。益々、関わり合いたくねぇ。
「それを、こんな逸品を、僅かな時間で作り出すとは……私は無知なので存じ上げませんが、知る人にはハジメ殿はさぞ高名なお方に違いないでしょう。一体何者なのですか?」
いや、ただの日本人です。一般民間人です。誰も知らないと思います。お願いだから、放っておいてください。おい、名前に殿がついちゃったよ!
「そうです! ハジメはすごいのです! ハジメの作る料理は世界一美味しいのです!」
いや、ココさんや、そんなこと声を大にして主張しなくていいですから。
「お口に合いませんか?」
「いえ、このような高級な食事は慣れておりませんので、少し驚いてしまいました」
正直にマズイとは言えず、社交辞令を返す。見るとサスラ領主の辺境伯は普通の顔で食べている。とすると、この塩味だけのスープが標準的なのか。食文化がやばいなぁ。これからどうやって生きていけばいいのか……。俺は我慢して食えばいいけど、ココのほうを何とかしてやらないと。
「申し訳ありません、領主様。一つお願いがあるのですけれど、よろしいでしょうか?」
「ええ、何でもおっしゃってください」
「ココ、従者は特別な理由がありまして、パン以外を食べることができません。そこで手持ちがありますので、お湯と器を頂けませんでしょうか? 折角お出し頂いたのに申し訳ありません」
「はぁ、構いませんよ。宗教的なタブーは様々ですからね。こちらも配慮不足ですいません」
早速、もらったお湯にオニオンコンソメスープの素と乾燥させておいた野草を入れて即席のスープを作る。ココにはこれでいいだろう。パンも不味いが、こっちはまだ食えるから、今回限りはこれで我慢してくれ……すまん。口パクで、後で美味しいモノをあげるから、と言っておく。
ココが渡したオニオンコンソメを嬉々として食していく。これがあれば、あの不味いパンでもなんとか食えるだろう。2人とも出されたものを返すわけにもいかんから、俺は我慢して食う。グフ、マズ、ハク、シヌ。ココのスープがいい匂いな分、余計に切なく感じる。
気づいたら、領主がココのスープをガン見していた。何か失礼なことでもしたか?
「ずいぶんといい匂いがしますね。よろしければ少し私にも頂けますか? いえ、無理にとは申しませんが……」
別に問題はない……はず。どうせ、1食10円とかだし、在庫はまだまだあるし。というわけで、ココに作った即席スープをもう1つ作って領主様に渡す。
「では、頂きます」
一口飲んだ瞬間、目を見開いて硬直した。ん? 何か問題があったか? あ、毒見しないと、これはまずいんじゃないのか? 99%ないと思うが、もしこれで倒れでもしたら、俺、暗殺者とかの扱いになって投獄されるんじゃ……ああああ、失敗したぁあああああ。
「う、う、うう、う……」
「りょ、領主様、吐き出してください! 吐いてー! レスキュー! メイデー!」
慌ててフォローに回る。もう今更遅いと思うが、少しでも傷を浅くしないと! 俺の今後の人生プランがここで狂ってしまう! どうする!? どうすればいい!?
「美味い! なんだ! この美味さは! 塩味じゃない! 豊潤で滑らか、かといって素材の邪魔をするわけでもなく、お互いに際立たせる確かな味! なんの食材を使っているかは見当もつかないが、かつて王城の晩餐会でもこんな味に出会ったことが無い!」
領主様は目を見開いて、全力で芸能人顔負けの食レポしてくれた。それを聞いて俺、脱力。てか、このおっさん、昔は王城に居たのかよ……。益々、関わり合いたくねぇ。
「それを、こんな逸品を、僅かな時間で作り出すとは……私は無知なので存じ上げませんが、知る人にはハジメ殿はさぞ高名なお方に違いないでしょう。一体何者なのですか?」
いや、ただの日本人です。一般民間人です。誰も知らないと思います。お願いだから、放っておいてください。おい、名前に殿がついちゃったよ!
「そうです! ハジメはすごいのです! ハジメの作る料理は世界一美味しいのです!」
いや、ココさんや、そんなこと声を大にして主張しなくていいですから。
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