駄目神チートと征く、異世界創世記

ねこのにくきう

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1章 異世界転移は無理難題

1-20 俺、エリュシオン教の偉大さを示すようです①

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 領主様のお願いは、病気で伏せっている自分の妹(血はつながっていないそうだ)に美味しいものを食べさせてほしいというものだった。最近は身体もかなり弱ってきていて何も食べられなくなってきており、このままでは不味いと日々感じていたそうだ。

 まぁ、乗りかかった舟(断ったら後々遺恨を残しそうで……)ということで受けることにした。そして、うっかり、病も治せるかもしれませんよ、これでも女神の使いですから~と、適当に言ったのがまずかった。その時の領主様の反応たるや……それまでの比ではなかった。目が血走り、今にも襲い掛からんとする勢いで迫ってきた。

 で、さっきのやり取りに戻るわけだ。

 ちなみに「いい加減なことを言うな! うんたら~」と言っていたのは、妹さんが最初に体調を崩した時から雇われている薬師らしく、非常に偉そうである。声が大きく、威張っていて、怒りっぽい、なんか藪医者の典型パターンな気がする。正直、こいつが最も怪しい。シオンが言うには処置を間違えなければ大事にはならないはずなのだ。

(ハジメ~、まずはココちゃんが森で採ってきた薬草を使いましょ~。これです。乾燥した葉を細かく潰して、40℃くらいまで湯冷ましした水で溶いて薬湯を作りましょう)

 シオンナビゲーターの言う通りに作業を進める。こいつが女神らしく振る舞っているのが新鮮だ。もはやコントキャラでしかないと思っていた。日常のやり取りで余程毒されていると思われる。

(…………あとで、ちょっとOHANASHIがあるのですよ~)

 いきなり薬湯を飲ませる前に、身体を温めるためにオニオンコンソメスープも作った。水ものなら飲めるそうなので、今回は完全に具なしのやつだ。もちろん、火傷しないように50度くらいの温度で作った。

「……これは、なんの匂いでしょう? すごくいい匂いがします」

「ハジメが作ってくれた特製のスープだ。ゆっくり飲め」

「美味しい……それにとても優しい味です」

 フェリア様に飲んでもらう前に、念のために毒見をとお願いしたら、領主様自らが買って出た。それほどまでに妹君のことが大切なのだろう。

「次は、これを」

「待ってください! 領主様、そんなどこの若造ともしれんやつが作ったものなぞ、フェリア様に与えてしまってもよろしいのですか!? 毒を盛っているのかもしれませんよ!」

「ゴルゴン。私は、黙れと言ったはずだ。それに、フェリアに飲ませる前に、私が毒見をしている。問題はない。そうだよな? ハジメ殿」

 ぶ! この豚薬師のやつ、ゴルゴンっていうのかよ!?

「これは……サスラの街から西の方向にある森で採れるエリジオンという薬草です。それを乾燥させて細かく潰し、お湯で溶いたものになります。効能は体内の毒素の分解……つまりは解毒と、身体の免疫力を高める効果があります」

 シオンから教えてもらったことをそのまま話す。

「え、え、え、え、エリジオン、だと!? そんなまさか、本物なわけが……。それに西の森で採っただと!? まさか、『不帰の森』か!?」

 不帰の森ってなんだ? そんなところは知らんが、まぁそういうことにしておこう。薬草と効能は間違いないのだから、どこで採れたやつでもいいだろ。

「私たちは、その森の奥から来ましたから。サスラまでくる道中で採取してきた物です。まぁ、採ったのは私の従者のココですがね」

 役に立てて嬉しいのか、ココが誇らしげに胸を反る。

「…………間違いありません。限りなく高品質な状態のエリジオンです。私の鑑定の結果でもそう出ています。まさか、実物を見ることになるとは思いもよりませんでしたが」

 領主様のお抱えという鑑定士の人も太鼓判を押してくれた。そして、それを聞いた薬師のゴルゴン(笑)は顔を真っ赤にして部屋を出て行った。

「さあ、フェリア、これを飲んでみてくれ。ハジメが作ってくれた薬だ」

「はい、お兄さん」

 あと、こっそりと女神の権能で『治癒』をかけておいた。早く良くなるといいな。これで治ってくれなかったら俺の命が危ういんだ……。
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