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第一章 謎の組織、異世界へ行く
悪事7 謎の組織、貴族に招待されたかと思ったらお見合いの話に巻き込まれた
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王命を受けた儂は、すぐに行動を起こすことにした。
速度が需要になるから、共に連れて行くのは屋敷の衛兵の一部と、騎士団を1小隊くらい、戦闘は想定しない。そもそも、目撃談がかの黒竜王ならば、どう足掻いても勝ち目はない。
「ウエストバーン伯、出立準備が整いました。先ほどの件、ギルドに伝令を出しましたが、真実の剣の方々は不在のようでした」
真実の剣が捕まらなかったのは残念だが、先ほども呼びつけたばかりだからな。しょうがない。
なぜ、捜索隊に息子がおる。儂は指示しておらんぞ、誰の手配だ?
こやつは真面目だが、頭が固くて融通が利かぬ。交渉事には不向きだから、今回の件は情報を伏せておいたのだが、問題を起こしてくれるなよ……。
言い争いをしている時間が惜しい、すぐに出発する。
目的の竜はすぐに見つかった。
魔術師に遠見の魔法で姿を確認してもらったが、確実に亜竜や幼体ではない。
確認した魔術師が青ざめた顔をして震え続けているくらいの魔力量を持つ成体、しかも外見の特徴から推測して、真なる竜族だ。
黒竜王かどうかは判断ができぬが、伝承通りならば、あの個体1つで国が亡びる。何としても王命を果たさねばならぬ。
しかし、すぐに問題に気づいた。
どうやって連絡を取ればいいのだ?
相手は遥か上空を飛翔している。大声での呼びかけは気分を害された場合が恐ろしい。
魔術師と騎士団長と連絡方法について相談していると、周りが騒がしくなった。
何? 降りてきているだと? 本当ではないか……。
落ち着け! うろたえるな! 儂が前に出る! 皆は後ろに控えておれ。
竜は、凄まじい地響きを伴って我らの前方に着地し、同時に鳥たちが一斉に逃げ出した。
大きい……ここまで巨大な竜は見たことがない。
「私たちに何かご用かな?」
驚いたことに、儂たちに話しかけてきたのは竜の背に乗っていた男だった。
奇妙な黒い服と兜をかぶっているので素顔は知れないが、声は……若い。
そんなことよりも、この男に巨大な竜が素直に従っていることが信じられぬ。
顔を隠していることは気になるが、話している印象は悪くない。
これは相手に合わせて対応を変えるタイプの人間だな、最初から丁寧に対応しておいてよかったの。この手の人間は最初の対応を間違えて悪印象を与えると挽回ができないから注意しなくてはならない。
早速、問題が起こった。
懸念していたバカ息子だ。よりにもよって、捕らえるとか言い出しおった。
そういう傲慢な態度が出るから未熟者だと言っておるのに、なぜ理解しようとしない。
そして、案の定、竜が怒ってしまった。
先ほどまで驚くほど穏やかだったのに、背筋が凍りつく凄まじい咆哮を浴びせられたので、馬たちが暴れ始めてしまった。
しかし、男がすぐに竜を窘めてくれたので事なきを得た。
こちらも馬たちを落ち着かせて、ついでにバカ息子を屋敷へ返すことにした。
本当に、どうしたら学んでくれるのか。今のままでは、とてもじゃないが領を任せられん。いっそのこと放逐したほうが皆のためか?
ふむ、男はボスというのか。変わった名だが仮名か?
真実の剣に聞いていた名前と一致するが、真名を隠すのは何か理由があるようだな。
視察と食料を求めているらしいが、本当か? 竜がいればどれだけでも調達できそうな気がするのだが……こちらにも何か理由があるのかもしれん。
竜のほうは思った通り、黒竜王ニグドヴァギラス様だった。
いくつもの伝承があるが、最も有名なのは、悪い事をするとニグドヴァギラス様が現れて罪人の身体を罪ごと焼き尽くし、煉獄へ連れて行く、というものだ。
これは、かつての魔導帝国が黒竜王の島へ討伐隊を送り、怒りを買って帝都もろとも滅ぼされたことが由来する実話だ。
儂が子供の時、よく婆様から人道から外れた行いをするな、ニグドヴァギラス様がやってきて火炙りにされるぞ、と脅されたものだ。
思いの外、時間が過ぎていて、王への定期連絡の時間になってしまった。
もう少し話をしてみたかったのだが……ダメ元でボス殿に屋敷へ誘ってみたら、了解をもらえた。
そして、またもや驚くことに黒竜王が男の肩に乗るくらいの大きさに変身した。儂の目の前でだ。この数時間で、どれだけ驚けばいいのか、世界は広いということか。
騎士団長に先導させて屋敷へ帰還する。
果たして、我が家のもてなし程度で満足頂けるかが謎だが、しょうがあるまい。
着く前までにバカ息子をどこかに監禁しておかなければならぬ。2度目の失態は許さん。
いっそのこと、これを機に娘を嫁がせて友誼を結んでおくのも手か?
少し見ただけだが覇気を感じる佇まいに、所作も洗練されておる。黒竜王を従えておる時点で力量は儂なんぞ足元にも及ばんだろう。
これだけの男だから正妻は無理でも側室くらいはどうじゃ? どこぞのモヤシ貴族に嫁がせるよりは妙案な気がしてきたの。うーむ、妻と相談してみるか。
『統領』たちはウエストバーン辺境伯の屋敷に到着した。
領主の館だけあって周りと比べると立派だが、特に変わった技術使っているわけでもなく、木材と石材を使用した建物だった。
(それにしても、ここの領主は民に随分と慕われているのだな。ウエストバーンと言ったか? 騎士団の対応も悪くはなかったし、目も十分行き届いているんだろう。今のところは、息子だけが要注意なくらいか)
「着いて早々に申し訳ないが、用事でしばらく席を外します。1時間ほどで戻りますので、少しお待ちくだされ。メイドをつけますので、何かあればご用命くだされば対応します」
「お気になさらず、急に押しかけた身ですのでゆっくり待たせてもらいますよ」
そう言ってウエストバーン辺境伯は部屋を退出していき、代わりにメイド服の女性が飲み物を運んで来た。
しばらくお茶をおかわりしながら、これまでの経緯を報告用にまとめていると、扉の向こうが騒がしくなってきた。
「ここですか! 真実の剣の方々が言っていたお客人がいらっしゃるのは!」
「お嬢様! お客様の休まれているお部屋に勝手に入るとは何事ですか!?」
扉を壊すような勢いで唐突に部屋に入ってきたのは、見た目が12歳くらいの少女だった。
その後を急いで追いかけてきた様子のメイド服の女性が続いて部屋に駆け込んできた。
「わぁ! 可愛い! 何ですか、このちっちゃな竜は! 鱗はつるつるしているんですね! お名前は何ですか?」
ただ純粋に竜を見て喜び、はしゃいでいるので、どう対応していいかわからないニッグ。
「申し訳ありません、お客様! お嬢様っ! いい加減になさらないと、旦那様と奥様に言いつけますよ!」
「うっ……だってぇ」
「だって、ではありません! 辺境伯のご令嬢ともあろうお方が、そんな無作法をすれば、お父様である旦那様の評判が下がるのです! もっと、ご自分の行動に責任をお持ちください! 第一、お嬢様からは女性の慎みが全く感じられません!」
「ははは、私は別に構いません。子供はこれくらい元気なほうが良い。この竜はニッグと言います。大人しいので、乱暴に扱わなければ少し触るくらいは大丈夫ですよ」
がーん、という表情をして『統領』に助けを求めたニッグだったが、アイコンタクトで諦めろと返ってきてしまった。尻尾がだらりと垂れさがって、脱力したぬいぐるみとなった瞬間であった。
「ニッグさん、とおっしゃるのですね。可愛いお名前です」
予想通り、抱き枕と化したニッグは既に抵抗することを諦めたようだ。
そこからは辺境伯の娘と追加のメイドを交えて、お茶を煎れてもらいながら談笑となる。
どうやら街の外の世界に興味があるようで、どんな生き物がいるのか、海は見たことがあるのか、空から見た景色はどんな感じなのか、など話題は尽きない。
「まぁ、では、ボス様たちはその島からいらっしゃったのですか?」
「ええ、ここからだと相当遠いですね。移動はニッグに乗せてもらって空を飛んでいますが、それでも数時間というところです。船で移動したら3日以上かかるでしょうね」
「いつか、誰かのところにお嫁に行く前に、外の世界を見てみたいです」
「お嬢様……」
遠い目をして窓の外を眺めると、鳥が羽ばたいて飛び立つところだった。
貴族の娘は、他の家に生まれたものたちよりも生活は裕福だろう。しかし、貴族の娘には貴族の娘にしかわからない葛藤があるようだった。
「お待たせしました、思ったより時間が伸びて……メア! なぜ、ここにいる! マリア、お前もか! お前がついていながら、このようなことになるとは何事だ!」
「旦那様、申し訳ありません!」
「お父様、ごめんなさい」
「まぁまぁ、怒らないであげてください。美しいお嬢様たちとお話をしていたら、つい時間を忘れてしまいました。おかげで暇を持て余さずにすみましたよ。ははは」
「まぁ!」
その場を取り繕うために適当にお世辞を言っておく『統領』。どう考えてもリップサービスなのだが、メアと呼ばれた娘はまんざらでもなさそうだった。
「お客人のご迷惑にならなかったのなら幸いでしたが、これを軽々と許すわけにはいかんのですよ。メア、マリア、後で話があるので自室で控えておれ」
「はい……、ボス様、それでは失礼させてもらいますね。色々なお話が聞けて楽しかったです。ニッグさんもまた会いましょうね」
華やかな2人が客室から退出して行くと、ウエストバーンと『統領』のむさ苦しい2人が残ることになる。そして、なぜか重苦しい沈黙が数秒。
「まぁ、気にしないでください。私は別にどこかの王族とかではないのですから、気を遣う必要なんてありませんよ」
「……そう言って頂けると、少しは気が休まりますな。それでは……」
この後、『統領』たちが具体的に何を必要としているのかを話し合ったわけだが、途中で重要なことに気づいた。
「ここまで話しておいて申し訳ないのですが、もし調達頂いても支払いができる通貨を持っていないのですよね……うっかりしていました」
「お金ですか……まぁ、問題ないでしょう」
お金を持っていないことが何で問題ないのか、ウエストバーンのその言い回しに『統領』は少し不安になってしまった。
「ちなみに、これが我が王国の通貨です。主に金貨、銀貨、銅貨ですな。これ以外にも聖銀貨、魔金貨がありますが、金額が大きすぎて実用には向きません」
(ふむ、街を見た限り、鉄や青銅も使われているようだが、貨幣は貴金属か。だが、白金がないのは加工技術の問題か? 意匠は単純だが、偽造防止はどう考えているのか。それに聖銀と魔金とは何だ……実物が見てみたいな)
「ほうほう、勉強になります。それに聖銀と魔金ですか、初めて聞きますね」
「現物をお見せしましょう」
執事服の男が革袋に入った硬貨を1枚ずつ持ってきて机に乗せる。銀色に青みがかったものが聖銀で、金色に赤みがかったものが魔金らしい。
(90%以上識別不明を含有だと? 謎金属すぎるだろ……『教授』に見せたら喜ぶだろうなぁ。とりあえず、分析結果と外観データだけは保存しておくか。研究のために1枚ずつ譲って……くれないだろうな。価値が高そうだし)
ダメもとで頼んでみたのだが、快い返事はもらえなかった。
「代わりと言ってはなんですが、今度、王都で開催される武術会で上位者には聖銀製の武具が付与されるそうですよ。腕に自信があれば挑戦されてみてはいかがですかな?」
「ほう? それはどういったものですか?」
詳しく聞けば、年に1回の武術品評会のようなもので、今年開催するのは約1か月後。
武器、魔法、体術など手段に規制はなく、相手を意図的に重傷もしくは殺害しなければ何をしてもオッケー。ケガをしても治癒士が治してくれる。
ニブルタール王国挙げての国家行事で、毎年他国から国賓や武術会への参加が多数あり、前回優勝者は聖王国という国の人。
景品は色々で他国からも様々なものが提供される。
「ほうほう、それは例えば私のペットのニッグがブレスで相手を吹き飛ばしても?」
「いえ……それは……ちょっと」
どうやらニッグを嗾けて相手を倒すのはダメのようだ。純粋に武術を競う場のようなのでさもありなんである。
「何というか、面白い取り組みですね」
「純粋に力試しや一獲千金という目的が第一なのですが、国力の誇示や外交、スカウトといった目的も同時に行われるのです。国を代表して参加される方もいますが、大半は自薦ですから、隠れた人材発掘の場でもあります。勿論、民の息抜きや不満解消といった意味合いもありますが」
(この話には乗っておきたいが、問題なのは私たちが出場したとしてどれくらい勝ち抜けるかだな。それも含めて調査ということになるが、出来れば聖銀製や魔金製、それ以外この星特有の物質を手に入れたいところだ。これは『参謀』と相談だな)
「おっと、そろそろ夕食の時間ですので移動しましょうか」
出された夕食は肉、野菜、果物を中心に素材を生かした調理法で、あとは硬めのパンだった。質素とも言えないが、裕福とも言えない、そんな印象を受ける。
「食事の時も、兜を外されないのですな……いえ、相応の理由があるのでしょうから深くは言いません。それにしても、形状変化までするとは珍しい装備ですな」
「不快にさせて申し訳ない、我々は素顔を誰にもさらすことが許されていないのです」
口元だけを変形して、マスクをつけたまま食事をする光景は異様だろう。
しかし、これは彼らにとっては致し方ないことで、唯一無二のルールなのだから。
お互いの素顔を暴こうとしない、お互いの過去を詮索しない。
謎の組織として活動するにあたって、5人で最初に決めたルールだった。
(それにしても、これは何の肉なのかなぁ、識別が不明なんだが……まぁ美味いから問題ないんだけど。やっぱり家畜にできそうな生物が必要だよなぁ、俺一人だけこんなの食べてるのがバレたら顰蹙……でも報告しないわけにはいかないんだけど)
両者が食事を食べ終わったのを見計らって、ウエストバーンが何気なく質問した。
「ところで、ボス殿はお一人ですかな?」
「ええ、残念ながら。中々良い縁に恵まれません。まぁ、こればかりは運なので」
「ほうほう、それは結構。では、私の娘などを嫁に如何ですかな?」
「ぶふぉ!?」
(この親父、いきなり何をぶっこんできやがる!? 娘って昼間会ったあいつだろう? 見た目、まだ子供だったぞ、こいつ正気か!?)
あまりの急展開に飲んでいたお茶を拭き出した『統領』。
その後も、迂闊に返事して藪蛇になりかねない『統領』と薄っすらと微笑みながら何を考えているかわからないウエストバーンの静かな攻防が続く。
こういうネタにおいては、老獪な貴族に勝ち目はなさそうな『統領』だった。
速度が需要になるから、共に連れて行くのは屋敷の衛兵の一部と、騎士団を1小隊くらい、戦闘は想定しない。そもそも、目撃談がかの黒竜王ならば、どう足掻いても勝ち目はない。
「ウエストバーン伯、出立準備が整いました。先ほどの件、ギルドに伝令を出しましたが、真実の剣の方々は不在のようでした」
真実の剣が捕まらなかったのは残念だが、先ほども呼びつけたばかりだからな。しょうがない。
なぜ、捜索隊に息子がおる。儂は指示しておらんぞ、誰の手配だ?
こやつは真面目だが、頭が固くて融通が利かぬ。交渉事には不向きだから、今回の件は情報を伏せておいたのだが、問題を起こしてくれるなよ……。
言い争いをしている時間が惜しい、すぐに出発する。
目的の竜はすぐに見つかった。
魔術師に遠見の魔法で姿を確認してもらったが、確実に亜竜や幼体ではない。
確認した魔術師が青ざめた顔をして震え続けているくらいの魔力量を持つ成体、しかも外見の特徴から推測して、真なる竜族だ。
黒竜王かどうかは判断ができぬが、伝承通りならば、あの個体1つで国が亡びる。何としても王命を果たさねばならぬ。
しかし、すぐに問題に気づいた。
どうやって連絡を取ればいいのだ?
相手は遥か上空を飛翔している。大声での呼びかけは気分を害された場合が恐ろしい。
魔術師と騎士団長と連絡方法について相談していると、周りが騒がしくなった。
何? 降りてきているだと? 本当ではないか……。
落ち着け! うろたえるな! 儂が前に出る! 皆は後ろに控えておれ。
竜は、凄まじい地響きを伴って我らの前方に着地し、同時に鳥たちが一斉に逃げ出した。
大きい……ここまで巨大な竜は見たことがない。
「私たちに何かご用かな?」
驚いたことに、儂たちに話しかけてきたのは竜の背に乗っていた男だった。
奇妙な黒い服と兜をかぶっているので素顔は知れないが、声は……若い。
そんなことよりも、この男に巨大な竜が素直に従っていることが信じられぬ。
顔を隠していることは気になるが、話している印象は悪くない。
これは相手に合わせて対応を変えるタイプの人間だな、最初から丁寧に対応しておいてよかったの。この手の人間は最初の対応を間違えて悪印象を与えると挽回ができないから注意しなくてはならない。
早速、問題が起こった。
懸念していたバカ息子だ。よりにもよって、捕らえるとか言い出しおった。
そういう傲慢な態度が出るから未熟者だと言っておるのに、なぜ理解しようとしない。
そして、案の定、竜が怒ってしまった。
先ほどまで驚くほど穏やかだったのに、背筋が凍りつく凄まじい咆哮を浴びせられたので、馬たちが暴れ始めてしまった。
しかし、男がすぐに竜を窘めてくれたので事なきを得た。
こちらも馬たちを落ち着かせて、ついでにバカ息子を屋敷へ返すことにした。
本当に、どうしたら学んでくれるのか。今のままでは、とてもじゃないが領を任せられん。いっそのこと放逐したほうが皆のためか?
ふむ、男はボスというのか。変わった名だが仮名か?
真実の剣に聞いていた名前と一致するが、真名を隠すのは何か理由があるようだな。
視察と食料を求めているらしいが、本当か? 竜がいればどれだけでも調達できそうな気がするのだが……こちらにも何か理由があるのかもしれん。
竜のほうは思った通り、黒竜王ニグドヴァギラス様だった。
いくつもの伝承があるが、最も有名なのは、悪い事をするとニグドヴァギラス様が現れて罪人の身体を罪ごと焼き尽くし、煉獄へ連れて行く、というものだ。
これは、かつての魔導帝国が黒竜王の島へ討伐隊を送り、怒りを買って帝都もろとも滅ぼされたことが由来する実話だ。
儂が子供の時、よく婆様から人道から外れた行いをするな、ニグドヴァギラス様がやってきて火炙りにされるぞ、と脅されたものだ。
思いの外、時間が過ぎていて、王への定期連絡の時間になってしまった。
もう少し話をしてみたかったのだが……ダメ元でボス殿に屋敷へ誘ってみたら、了解をもらえた。
そして、またもや驚くことに黒竜王が男の肩に乗るくらいの大きさに変身した。儂の目の前でだ。この数時間で、どれだけ驚けばいいのか、世界は広いということか。
騎士団長に先導させて屋敷へ帰還する。
果たして、我が家のもてなし程度で満足頂けるかが謎だが、しょうがあるまい。
着く前までにバカ息子をどこかに監禁しておかなければならぬ。2度目の失態は許さん。
いっそのこと、これを機に娘を嫁がせて友誼を結んでおくのも手か?
少し見ただけだが覇気を感じる佇まいに、所作も洗練されておる。黒竜王を従えておる時点で力量は儂なんぞ足元にも及ばんだろう。
これだけの男だから正妻は無理でも側室くらいはどうじゃ? どこぞのモヤシ貴族に嫁がせるよりは妙案な気がしてきたの。うーむ、妻と相談してみるか。
『統領』たちはウエストバーン辺境伯の屋敷に到着した。
領主の館だけあって周りと比べると立派だが、特に変わった技術使っているわけでもなく、木材と石材を使用した建物だった。
(それにしても、ここの領主は民に随分と慕われているのだな。ウエストバーンと言ったか? 騎士団の対応も悪くはなかったし、目も十分行き届いているんだろう。今のところは、息子だけが要注意なくらいか)
「着いて早々に申し訳ないが、用事でしばらく席を外します。1時間ほどで戻りますので、少しお待ちくだされ。メイドをつけますので、何かあればご用命くだされば対応します」
「お気になさらず、急に押しかけた身ですのでゆっくり待たせてもらいますよ」
そう言ってウエストバーン辺境伯は部屋を退出していき、代わりにメイド服の女性が飲み物を運んで来た。
しばらくお茶をおかわりしながら、これまでの経緯を報告用にまとめていると、扉の向こうが騒がしくなってきた。
「ここですか! 真実の剣の方々が言っていたお客人がいらっしゃるのは!」
「お嬢様! お客様の休まれているお部屋に勝手に入るとは何事ですか!?」
扉を壊すような勢いで唐突に部屋に入ってきたのは、見た目が12歳くらいの少女だった。
その後を急いで追いかけてきた様子のメイド服の女性が続いて部屋に駆け込んできた。
「わぁ! 可愛い! 何ですか、このちっちゃな竜は! 鱗はつるつるしているんですね! お名前は何ですか?」
ただ純粋に竜を見て喜び、はしゃいでいるので、どう対応していいかわからないニッグ。
「申し訳ありません、お客様! お嬢様っ! いい加減になさらないと、旦那様と奥様に言いつけますよ!」
「うっ……だってぇ」
「だって、ではありません! 辺境伯のご令嬢ともあろうお方が、そんな無作法をすれば、お父様である旦那様の評判が下がるのです! もっと、ご自分の行動に責任をお持ちください! 第一、お嬢様からは女性の慎みが全く感じられません!」
「ははは、私は別に構いません。子供はこれくらい元気なほうが良い。この竜はニッグと言います。大人しいので、乱暴に扱わなければ少し触るくらいは大丈夫ですよ」
がーん、という表情をして『統領』に助けを求めたニッグだったが、アイコンタクトで諦めろと返ってきてしまった。尻尾がだらりと垂れさがって、脱力したぬいぐるみとなった瞬間であった。
「ニッグさん、とおっしゃるのですね。可愛いお名前です」
予想通り、抱き枕と化したニッグは既に抵抗することを諦めたようだ。
そこからは辺境伯の娘と追加のメイドを交えて、お茶を煎れてもらいながら談笑となる。
どうやら街の外の世界に興味があるようで、どんな生き物がいるのか、海は見たことがあるのか、空から見た景色はどんな感じなのか、など話題は尽きない。
「まぁ、では、ボス様たちはその島からいらっしゃったのですか?」
「ええ、ここからだと相当遠いですね。移動はニッグに乗せてもらって空を飛んでいますが、それでも数時間というところです。船で移動したら3日以上かかるでしょうね」
「いつか、誰かのところにお嫁に行く前に、外の世界を見てみたいです」
「お嬢様……」
遠い目をして窓の外を眺めると、鳥が羽ばたいて飛び立つところだった。
貴族の娘は、他の家に生まれたものたちよりも生活は裕福だろう。しかし、貴族の娘には貴族の娘にしかわからない葛藤があるようだった。
「お待たせしました、思ったより時間が伸びて……メア! なぜ、ここにいる! マリア、お前もか! お前がついていながら、このようなことになるとは何事だ!」
「旦那様、申し訳ありません!」
「お父様、ごめんなさい」
「まぁまぁ、怒らないであげてください。美しいお嬢様たちとお話をしていたら、つい時間を忘れてしまいました。おかげで暇を持て余さずにすみましたよ。ははは」
「まぁ!」
その場を取り繕うために適当にお世辞を言っておく『統領』。どう考えてもリップサービスなのだが、メアと呼ばれた娘はまんざらでもなさそうだった。
「お客人のご迷惑にならなかったのなら幸いでしたが、これを軽々と許すわけにはいかんのですよ。メア、マリア、後で話があるので自室で控えておれ」
「はい……、ボス様、それでは失礼させてもらいますね。色々なお話が聞けて楽しかったです。ニッグさんもまた会いましょうね」
華やかな2人が客室から退出して行くと、ウエストバーンと『統領』のむさ苦しい2人が残ることになる。そして、なぜか重苦しい沈黙が数秒。
「まぁ、気にしないでください。私は別にどこかの王族とかではないのですから、気を遣う必要なんてありませんよ」
「……そう言って頂けると、少しは気が休まりますな。それでは……」
この後、『統領』たちが具体的に何を必要としているのかを話し合ったわけだが、途中で重要なことに気づいた。
「ここまで話しておいて申し訳ないのですが、もし調達頂いても支払いができる通貨を持っていないのですよね……うっかりしていました」
「お金ですか……まぁ、問題ないでしょう」
お金を持っていないことが何で問題ないのか、ウエストバーンのその言い回しに『統領』は少し不安になってしまった。
「ちなみに、これが我が王国の通貨です。主に金貨、銀貨、銅貨ですな。これ以外にも聖銀貨、魔金貨がありますが、金額が大きすぎて実用には向きません」
(ふむ、街を見た限り、鉄や青銅も使われているようだが、貨幣は貴金属か。だが、白金がないのは加工技術の問題か? 意匠は単純だが、偽造防止はどう考えているのか。それに聖銀と魔金とは何だ……実物が見てみたいな)
「ほうほう、勉強になります。それに聖銀と魔金ですか、初めて聞きますね」
「現物をお見せしましょう」
執事服の男が革袋に入った硬貨を1枚ずつ持ってきて机に乗せる。銀色に青みがかったものが聖銀で、金色に赤みがかったものが魔金らしい。
(90%以上識別不明を含有だと? 謎金属すぎるだろ……『教授』に見せたら喜ぶだろうなぁ。とりあえず、分析結果と外観データだけは保存しておくか。研究のために1枚ずつ譲って……くれないだろうな。価値が高そうだし)
ダメもとで頼んでみたのだが、快い返事はもらえなかった。
「代わりと言ってはなんですが、今度、王都で開催される武術会で上位者には聖銀製の武具が付与されるそうですよ。腕に自信があれば挑戦されてみてはいかがですかな?」
「ほう? それはどういったものですか?」
詳しく聞けば、年に1回の武術品評会のようなもので、今年開催するのは約1か月後。
武器、魔法、体術など手段に規制はなく、相手を意図的に重傷もしくは殺害しなければ何をしてもオッケー。ケガをしても治癒士が治してくれる。
ニブルタール王国挙げての国家行事で、毎年他国から国賓や武術会への参加が多数あり、前回優勝者は聖王国という国の人。
景品は色々で他国からも様々なものが提供される。
「ほうほう、それは例えば私のペットのニッグがブレスで相手を吹き飛ばしても?」
「いえ……それは……ちょっと」
どうやらニッグを嗾けて相手を倒すのはダメのようだ。純粋に武術を競う場のようなのでさもありなんである。
「何というか、面白い取り組みですね」
「純粋に力試しや一獲千金という目的が第一なのですが、国力の誇示や外交、スカウトといった目的も同時に行われるのです。国を代表して参加される方もいますが、大半は自薦ですから、隠れた人材発掘の場でもあります。勿論、民の息抜きや不満解消といった意味合いもありますが」
(この話には乗っておきたいが、問題なのは私たちが出場したとしてどれくらい勝ち抜けるかだな。それも含めて調査ということになるが、出来れば聖銀製や魔金製、それ以外この星特有の物質を手に入れたいところだ。これは『参謀』と相談だな)
「おっと、そろそろ夕食の時間ですので移動しましょうか」
出された夕食は肉、野菜、果物を中心に素材を生かした調理法で、あとは硬めのパンだった。質素とも言えないが、裕福とも言えない、そんな印象を受ける。
「食事の時も、兜を外されないのですな……いえ、相応の理由があるのでしょうから深くは言いません。それにしても、形状変化までするとは珍しい装備ですな」
「不快にさせて申し訳ない、我々は素顔を誰にもさらすことが許されていないのです」
口元だけを変形して、マスクをつけたまま食事をする光景は異様だろう。
しかし、これは彼らにとっては致し方ないことで、唯一無二のルールなのだから。
お互いの素顔を暴こうとしない、お互いの過去を詮索しない。
謎の組織として活動するにあたって、5人で最初に決めたルールだった。
(それにしても、これは何の肉なのかなぁ、識別が不明なんだが……まぁ美味いから問題ないんだけど。やっぱり家畜にできそうな生物が必要だよなぁ、俺一人だけこんなの食べてるのがバレたら顰蹙……でも報告しないわけにはいかないんだけど)
両者が食事を食べ終わったのを見計らって、ウエストバーンが何気なく質問した。
「ところで、ボス殿はお一人ですかな?」
「ええ、残念ながら。中々良い縁に恵まれません。まぁ、こればかりは運なので」
「ほうほう、それは結構。では、私の娘などを嫁に如何ですかな?」
「ぶふぉ!?」
(この親父、いきなり何をぶっこんできやがる!? 娘って昼間会ったあいつだろう? 見た目、まだ子供だったぞ、こいつ正気か!?)
あまりの急展開に飲んでいたお茶を拭き出した『統領』。
その後も、迂闊に返事して藪蛇になりかねない『統領』と薄っすらと微笑みながら何を考えているかわからないウエストバーンの静かな攻防が続く。
こういうネタにおいては、老獪な貴族に勝ち目はなさそうな『統領』だった。
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その日も体の調子が良くなり、親友と久しぶりの学校に行きHRが終わり先生が出ていったとき、クラスが眩しい光に包まれた。
そして僕は一人、違う場所に飛ばされいた。
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