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第6章 時の揺り籠
6-44 当主が不在の干支神家
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宗司たちが干支神家の屋敷に戻ると、兎神たちが今か今かと待ち受けていた。
司の状態を見て最初こそ宗司に対して侮蔑な視線を向けていたが、説明すると即座に理解して協力してくれることになった。
「納得はいきませんが、今はそれどころではありません。全面的に協力しましょう」
やるべきことはたくさんある。
まず宗司は、クーシュの姉妹に協力を依頼すると同時に、橙花に司の身体を部屋に運んでベッドに寝かせる。
これから3匹で司の身体からエネルギーをハムハムしてもらうことになるのだが、問題になるのは司の身体のお世話である。
「それについては、私が責任を持ってお世話いたします。ええ、司様のオシメを代えたこともありますので、問題はありません。ええ、ありませんとも」
そんなわけがない、司が干支神家に来たのは6歳頃である。
司が目覚めた時に恥ずかしさで|心の傷(トラウマ)を負わないか、不安は残る。
が、今はそうは言っていられないので橙花に一任するしかない。
源の対応は兎神に任せることになった。
「お館様、お久しぶりです。今は司様のお傍でゆっくりとお休みください。それから、今後のことを一緒に考えましょう」
兎神は気落ちする源の身体を支えながら司の部屋へ誘導していき、ベッド脇のソファーに座らせて温かいお茶を用意した。
ララも心配そうに2人について行き、源の足元で丸くなって側に付き添った。
源には兎神とララがついていれば、きっと大丈夫だろう。
ルーヴのケガはそれほど酷いものではなく、栄養の高い物を食べて安静にしていれば数日でよくなる状態であった。
「お母さん、大丈夫? もう少ししたら蒼花さんが食べ物を持ってきてくれるからね。それを食べたらゆっくり休んで。ララの事は私に任せてね」
「ありがとう、リリ。でも、司さんの事が心配なんでしょう? あなたがしたいようにすればいいわ。ララの事はヴォルフに任せて、ね?」
「お母さん……わかった、司さんのお部屋に行ってきます」
リリはウルの仲間にルーヴの事をお願いして、すぐに司の部屋に向かって行った。司の事が心配で心配で堪らなかったのだろう。
残るは舞だが、
「舞、話しておくことがある」
宗司が言葉をかけるが、呆然自失する舞はどこかを見たまま視線すら向けることはない。
司があんなことになったというショックは、舞に計り知れないほどのダメージを与えていた。
宗司は干支神家の応接室を借りて2人で話をすることにした。
ここは防音設備が完璧に機能しているので、これから宗司が舞に話すことが外部に漏れる心配はない。
「舞、すまなかった。司があのようになってしまったのは、全面的に私の責任だ」
明確な反応はしないが、話は聞いている気配がある。
「今回、司が使ったのは、初代の術式。私が教えたものだ。そして、あれを使えば司の身体が破壊されることを、私は知っていた。知っていて、それでも司に教えたのだ」
なので、宗司はそのまま話を続けることにした。
「術式の仕組みは、身体の外側から気を取り込むものだ。ただし、その対象は惑星そのもの。膨大なエネルギーを直接取り込んで、自身のものとする禁術。一時的に肉体は強化されるが、その後に待っているのは身の破滅」
「もちろん、それは司に説明したし、絶対に使用しない禁忌の術として伝授した。しかし、結果として司がそれを使用したことは、教えた私に責任がある」
事実関係だけを明確に、責任は全て司の師匠である自分(そうじ)が持つと。
「事前に舞やリリちゃんたちに相談していれば反対をされるだろう。だから、私の独断で行った。故に、それに伴って生じる誹りは全てを受け取るよ」
「もし、舞が私に責任を取って死ねと言うなら、私は喜んで命を断とう。だが、今はまだ待ってほしい。司の元気な姿を見届けるまでは」
これは少し狡い言い方だ。
普段の宗司であれば絶対に言わないことだろう。
それだけ宗司も今回の件を重く受け止めていて、余裕がないということか。
しかし、舞が本当に聞きたかったことはそんなことではなかった。
「……司さんの身体は、治るのですか?」
「わからない。手は尽くすが、こればかりは前例がない」
司は元気になるのか、目を覚ますのか、前と同じように動けるようになるのか。
あの優しい笑顔でまた自分を見てくれるのか、手を繋いで家まで送ってくれるのか。
今時、小学生でもしない恥ずかしそうな顔でキスしてくれるのか。
これから永い時間を2人で共有して、本当の家族と呼べるものになって、そのうち子供ができて、その子を強く立派に育てて。
時々は喧嘩もするだろう、でも司と2人なら笑顔の溢れる温かい家庭を築けるだろうと確信していた。
そんな矢先に、全てを破壊する出来事が起きてしまった。
舞たちが倒れている司を発見した時、既に息は無く、司の心臓も止まっていた。
舞の常識の中では、司は既に死亡しているという認識なのだ。
その時の絶望感といったら、まるで世界が砕け散ったようだった。
「あらゆる手で、何をしてでも救いなさい」
だが、まだ望みは潰えてなかったようだ。
司の状態を見て最初こそ宗司に対して侮蔑な視線を向けていたが、説明すると即座に理解して協力してくれることになった。
「納得はいきませんが、今はそれどころではありません。全面的に協力しましょう」
やるべきことはたくさんある。
まず宗司は、クーシュの姉妹に協力を依頼すると同時に、橙花に司の身体を部屋に運んでベッドに寝かせる。
これから3匹で司の身体からエネルギーをハムハムしてもらうことになるのだが、問題になるのは司の身体のお世話である。
「それについては、私が責任を持ってお世話いたします。ええ、司様のオシメを代えたこともありますので、問題はありません。ええ、ありませんとも」
そんなわけがない、司が干支神家に来たのは6歳頃である。
司が目覚めた時に恥ずかしさで|心の傷(トラウマ)を負わないか、不安は残る。
が、今はそうは言っていられないので橙花に一任するしかない。
源の対応は兎神に任せることになった。
「お館様、お久しぶりです。今は司様のお傍でゆっくりとお休みください。それから、今後のことを一緒に考えましょう」
兎神は気落ちする源の身体を支えながら司の部屋へ誘導していき、ベッド脇のソファーに座らせて温かいお茶を用意した。
ララも心配そうに2人について行き、源の足元で丸くなって側に付き添った。
源には兎神とララがついていれば、きっと大丈夫だろう。
ルーヴのケガはそれほど酷いものではなく、栄養の高い物を食べて安静にしていれば数日でよくなる状態であった。
「お母さん、大丈夫? もう少ししたら蒼花さんが食べ物を持ってきてくれるからね。それを食べたらゆっくり休んで。ララの事は私に任せてね」
「ありがとう、リリ。でも、司さんの事が心配なんでしょう? あなたがしたいようにすればいいわ。ララの事はヴォルフに任せて、ね?」
「お母さん……わかった、司さんのお部屋に行ってきます」
リリはウルの仲間にルーヴの事をお願いして、すぐに司の部屋に向かって行った。司の事が心配で心配で堪らなかったのだろう。
残るは舞だが、
「舞、話しておくことがある」
宗司が言葉をかけるが、呆然自失する舞はどこかを見たまま視線すら向けることはない。
司があんなことになったというショックは、舞に計り知れないほどのダメージを与えていた。
宗司は干支神家の応接室を借りて2人で話をすることにした。
ここは防音設備が完璧に機能しているので、これから宗司が舞に話すことが外部に漏れる心配はない。
「舞、すまなかった。司があのようになってしまったのは、全面的に私の責任だ」
明確な反応はしないが、話は聞いている気配がある。
「今回、司が使ったのは、初代の術式。私が教えたものだ。そして、あれを使えば司の身体が破壊されることを、私は知っていた。知っていて、それでも司に教えたのだ」
なので、宗司はそのまま話を続けることにした。
「術式の仕組みは、身体の外側から気を取り込むものだ。ただし、その対象は惑星そのもの。膨大なエネルギーを直接取り込んで、自身のものとする禁術。一時的に肉体は強化されるが、その後に待っているのは身の破滅」
「もちろん、それは司に説明したし、絶対に使用しない禁忌の術として伝授した。しかし、結果として司がそれを使用したことは、教えた私に責任がある」
事実関係だけを明確に、責任は全て司の師匠である自分(そうじ)が持つと。
「事前に舞やリリちゃんたちに相談していれば反対をされるだろう。だから、私の独断で行った。故に、それに伴って生じる誹りは全てを受け取るよ」
「もし、舞が私に責任を取って死ねと言うなら、私は喜んで命を断とう。だが、今はまだ待ってほしい。司の元気な姿を見届けるまでは」
これは少し狡い言い方だ。
普段の宗司であれば絶対に言わないことだろう。
それだけ宗司も今回の件を重く受け止めていて、余裕がないということか。
しかし、舞が本当に聞きたかったことはそんなことではなかった。
「……司さんの身体は、治るのですか?」
「わからない。手は尽くすが、こればかりは前例がない」
司は元気になるのか、目を覚ますのか、前と同じように動けるようになるのか。
あの優しい笑顔でまた自分を見てくれるのか、手を繋いで家まで送ってくれるのか。
今時、小学生でもしない恥ずかしそうな顔でキスしてくれるのか。
これから永い時間を2人で共有して、本当の家族と呼べるものになって、そのうち子供ができて、その子を強く立派に育てて。
時々は喧嘩もするだろう、でも司と2人なら笑顔の溢れる温かい家庭を築けるだろうと確信していた。
そんな矢先に、全てを破壊する出来事が起きてしまった。
舞たちが倒れている司を発見した時、既に息は無く、司の心臓も止まっていた。
舞の常識の中では、司は既に死亡しているという認識なのだ。
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「あらゆる手で、何をしてでも救いなさい」
だが、まだ望みは潰えてなかったようだ。
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