リアルにファンタジーのほうがやってきた! ~謎の異世界からやってきたのは健気で可愛いモフモフでした~

ねこのにくきう

文字の大きさ
10 / 278
第1章 灰色の男はファンタジーな生き物と出会う

1-7 灰色の男と屋敷の地下にある謎エリアの説明②

しおりを挟む
 扉の先は10畳くらいの部屋になっていた。部屋に入ってすぐのところにロッカーが置いてある。奥には自動扉のような両開きの扉があり、そのすぐ手前に穴の開いた床があった。いわゆる、クリーンルームに入る前の足の裏洗浄機みたいな感じだな。

「この奥にあるプラントエリアは土が敷き詰められていますので、ここで一旦、履物を変えます。また、衣服に土が付く可能性がありますので、上着があればロッカーにお入れください。その後、この室内作業着を着用します。」

 靴は真っ白な運動シューズで、室内作業着?は見た目は完全に白衣のような感じだ。

「着替えましたら、中に入ります。ああ、扉の前にあるのは足の裏を洗浄する装置ですが、戻ってきた際に使用しますので、入るときには不要です。ちなみに作業着とシューズは1回使用したらクリーニングしますので、足の裏洗浄後に隣にある回収ボックスにお入れください。」

 さて、いよいよか。鬼が出るか、蛇が出るか。3人の態度を見ている限り、危険はなさそうだが。
 
 両開きの自動扉を抜けた先は、かなり広い空間だった。しかも、オレンジ色の照明があるがやや薄暗いために余計に不気味に感じる。2メートルくらい先から地面は土だった。

「このプラントエリアでは、現在3匹の樹木を栽培しています。3匹ともに我々『来訪』するもの達に必要な魔素を含んだ果実が取れる樹木ですね。今から呼びますので、少しお待ちください。」

 そういうと、橙花が手を2回たたく。空間が広いからか、かなり大きく反響して聞こえた。しかし、何かとても不安な発言があったような。なぜ、樹木を呼ぶ?のか。そして、なぜ3『匹』と言ったのか・・・。

 しばらくすると、ズシズシと重量物が移動する音が聞こえてきた。移動してきたのは3本の木。目視でわかるのは、幹が直径で1メートル以上はありそうな木。見えてきたのは高さが3メートルくらいで6本の根がねじれて絡みついたような不思議な形をした木。

 それを見たときの衝撃がお分かりになるだろうか、6本?ある根っこを器用に、足のように動かして歩いてきたのだ。本来は、絶対に、歩くはずのない樹木が歩いてきたときの衝撃は、俺の頭がついにおかしくなったんじゃないかと思ってもしょうがないと思う。

「これが現在プラントエリアで栽培している樹木となります。我々はこれを『モンスタープラント』と命名しました。好物は肉ですね。もちろん、光合成のようなものをしておりますので基本的に水と疑似日光を当てておけば枯れることはありません。ただし、飢餓状態にはなるらしく、定期的に肉を与えないと若干気性が荒くなります。また、魔素を含む魔核を与えなければ実をつけることはありません。」

 ・・・・モンスタープラント。しかも肉食。お分かりになるだろうか、幹の真ん中くらいに縦に口がある植物の恐怖を。やっぱりバイオ〇ザードじゃねぇか。誰だよ、樹木なんて言ってたやつは、完全に植物の形をした大型肉食獣じゃねぇか。植物の概念が壊れるわ。

「ちなみに、一番外側にある枝からつるのようなものを伸ばして獲物を拘束して、幹の中央部にある口で捕食します。12時間ほど前に食事を与えておりますので、現在はおとなしいものです。」

 そんな説明は聞きとうなかったわ。肉食樹木とか、どんな地球外生命体やねん。

「魔核をエサとして与えると、定期的に幹のほぼ真上の部分に実をつけます。たいだい1週間に1回くらいでしょうか。我々は特に消耗しなければ、1か月に1回程の摂取で問題ありませんので、現在はかなり余裕がありますね。」

 最初は肥料とか言ってたのに、ついにエサとか言いきっちゃったよ。でもまぁ、1か月1回でいいなら問題ないだろう。1匹?当たり5個くらい実をつけているのが見えるし。

「司様、何かご質問はありませんか?」

「・・・・・ああ。このモンスタープラントは本当に大丈夫なんだよな?」

「ええ、適切に扱えばおとなしいものですよ。言うこともよく聞きますし。さて、プラントエリアの説明は以上ですので戻りましょうか。次は、地下3階ですかね。」

 橙花たちはそういうと、もときた部屋に引き返していく。この流れでいくと、地下4階には何があるのか。ここがこれだけショッキングなだけに不安がよぎるのだった。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。

三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎ 長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!? しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。 ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。 といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。 とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない! フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!

敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています

藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。 結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。 聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。 侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。 ※全11話 2万字程度の話です。

間違い召喚! 追い出されたけど上位互換スキルでらくらく生活

カムイイムカ(神威異夢華)
ファンタジー
僕は20歳独身、名は小日向 連(こひなた れん)うだつの上がらないダメ男だ ひょんなことから異世界に召喚されてしまいました。 間違いで召喚された為にステータスは最初見えない状態だったけどネットのネタバレ防止のように背景をぼかせば見えるようになりました。 多分不具合だとおもう。 召喚した女と王様っぽいのは何も持っていないと言って僕をポイ捨て、なんて世界だ。それも元の世界には戻せないらしい、というか戻さないみたいだ。 そんな僕はこの世界で苦労すると思ったら大間違い、王シリーズのスキルでウハウハ、製作で人助け生活していきます ◇ 四巻が販売されました! 今日から四巻の範囲がレンタルとなります 書籍化に伴い一部ウェブ版と違う箇所がございます 追加場面もあります よろしくお願いします! 一応191話で終わりとなります 最後まで見ていただきありがとうございました コミカライズもスタートしています 毎月最初の金曜日に更新です お楽しみください!

おっさん武闘家、幼女の教え子達と十年後に再会、実はそれぞれ炎・氷・雷の精霊の王女だった彼女達に言い寄られつつ世界を救い英雄になってしまう

お餅ミトコンドリア
ファンタジー
 パーチ、三十五歳。五歳の時から三十年間修行してきた武闘家。  だが、全くの無名。  彼は、とある村で武闘家の道場を経営しており、〝拳を使った戦い方〟を弟子たちに教えている。  若い時には「冒険者になって、有名になるんだ!」などと大きな夢を持っていたものだが、自分の道場に来る若者たちが全員〝天才〟で、自分との才能の差を感じて、もう諦めてしまった。  弟子たちとの、のんびりとした穏やかな日々。  独身の彼は、そんな彼ら彼女らのことを〝家族〟のように感じており、「こんな毎日も悪くない」と思っていた。  が、ある日。 「お久しぶりです、師匠!」  絶世の美少女が家を訪れた。  彼女は、十年前に、他の二人の幼い少女と一緒に山の中で獣(とパーチは思い込んでいるが、実はモンスター)に襲われていたところをパーチが助けて、その場で数時間ほど稽古をつけて、自分たちだけで戦える力をつけさせた、という女の子だった。 「私は今、アイスブラット王国の〝守護精霊〟をやっていまして」  精霊を自称する彼女は、「ちょ、ちょっと待ってくれ」と混乱するパーチに構わず、ニッコリ笑いながら畳み掛ける。 「そこで師匠には、私たちと一緒に〝魔王〟を倒して欲しいんです!」  これは、〝弟子たちがあっと言う間に強くなるのは、師匠である自分の特殊な力ゆえ〟であることに気付かず、〝実は最強の実力を持っている〟ことにも全く気付いていない男が、〝実は精霊だった美少女たち〟と再会し、言い寄られ、弟子たちに愛され、弟子以外の者たちからも尊敬され、世界を救って英雄になってしまう物語。 (※第18回ファンタジー小説大賞に参加しています。 もし宜しければ【お気に入り登録】で応援して頂けましたら嬉しいです! 何卒宜しくお願いいたします!)

酒好きおじさんの異世界酒造スローライフ

天野 恵
ファンタジー
酒井健一(51歳)は大の酒好きで、酒類マスターの称号を持ち世界各国を飛び回っていたほどの実力だった。 ある日、深酒して帰宅途中に事故に遭い、気がついたら異世界に転生していた。転移した際に一つの“スキル”を授かった。 そのスキルというのは【酒聖(しゅせい)】という名のスキル。 よくわからないスキルのせいで見捨てられてしまう。 そんな時、修道院シスターのアリアと出会う。 こうして、2人は異世界で仲間と出会い、お酒作りや飲み歩きスローライフが始まる。

『冒険者をやめて田舎で隠居します 〜気づいたら最強の村になってました〜』

チャチャ
ファンタジー
> 世界には4つの大陸がある。東に魔神族、西に人族、北に獣人とドワーフ、南にエルフと妖精族——種族ごとの国が、それぞれの文化と価値観で生きていた。 その世界で唯一のSSランク冒険者・ジーク。英雄と呼ばれ続けることに疲れた彼は、突如冒険者を引退し、田舎へと姿を消した。 「もう戦いたくない、静かに暮らしたいんだ」 そう願ったはずなのに、彼の周りにはドラゴンやフェンリル、魔神族にエルフ、ドワーフ……あらゆる種族が集まり、最強の村が出来上がっていく!? のんびりしたいだけの元英雄の周囲が、どんどんカオスになっていく異世界ほのぼの(?)ファンタジー。

最低のEランクと追放されたけど、実はEXランクの無限増殖で最強でした。

みこみこP
ファンタジー
高校2年の夏。 高木華音【男】は夏休みに入る前日のホームルーム中にクラスメイトと共に異世界にある帝国【ゼロムス】に魔王討伐の為に集団転移させれた。 地球人が異世界転移すると必ずDランクからAランクの固有スキルという世界に1人しか持てないレアスキルを授かるのだが、華音だけはEランク・【ムゲン】という存在しない最低ランクの固有スキルを授かったと、帝国により死の森へ捨てられる。 しかし、華音の授かった固有スキルはEXランクの無限増殖という最強のスキルだったが、本人は弱いと思い込み、死の森を生き抜く為に無双する。

処理中です...