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 ――ドォオオオ――ン!

 激しい爆発音と同時に浅葱の体は吹き飛ばされ、壁に激突し落ちていた。

「……っ!」

 匠が「自分が行く」そう言って走り出した瞬間、いや、もっと正確に言えば、背後でピシリ。と音がした瞬間には “爆発する!” ……直感でそう思った。
 
 咄嗟にガードの姿勢をとった。
 ガードしていなければ、すでに自分の心臓は停止していたかもしれない。
 だが利き腕の右手をかばったせいで左腕をられ、指先からポタポタと血が滴り落ちている。

「くそっ!」
 浅葱は血の滴る左腕で崩れ残った壁を思い切り殴っていた。
 その怒りは傷を負わされたからではなく、匠を止められなかった自分への怒りだ。
 
 とにかく匠を探さなければ……!
 手早く装備を確認した。
 幸い銃も通信機器もまだ使えそうだ。



「オヤジ! 俺だ!」
「おっ! 待ってたぜー。首尾はどんな具合だ?」
 任務完了の一報を待っていたオヤジの、待ち侘びた声が聞こえた。

「すまん。ヘマをした。爆発だ。手配頼む」
「お前がヘマ? ……珍しいな。
 わかった、後始末は任せとけ。で、お前達は大丈夫なのか?」
「……俺はいい。匠を探す」
 一瞬の間の後、浅葱が答えた。

「探す?」
 オヤジはその一言で事態の全てを理解していた。

「おい、いいってな……! 
 とりあえず一度戻って来い! お前もどこかられたんだろ!」
「俺より匠の発信機は!」
 今、浅葱が知りたい情報は一つだった。

「……坊ヤの発信機は、数分前まで移動してた」 
「移動? 数分前まで? ……確実に移動はしていたんだな!?」
「あぁ、確かに移動してた。
 発信機が壊れてねぇって事は、それは坊ヤがはしてねぇって事だ。
 自分の意思で動いたかそうでないかは、わからねぇがな……」
「途中で発信が途絶えた、と言うなら後者だ」
「まぁ、そういうことだな……」
 二人の結論は同じ“最悪の状況”だった。

「くそっ! ……で、どっちへ行った!? すぐに追いかける!」
「おい! ちったぁ冷静になれ、お前らしくねぇぞ!」
「仲間が奴等に拉致られたんだぞ! これが冷静で居られるか!
 いいから早く匠の……」
「バカヤローが! 恭介!」
 久しぶりのオヤジの怒鳴り声にハッと我に返った。

「お前が焦るのはわかる。
 だがな、奴等が坊ヤをその場で殺らずに拉致したって事たぁ、目的は一つ……。
 わかるな? お前だ。
 それが判っていて、一人でのこのこと出て行く気か?
 こうなった以上、人員を増やして万全の体制で救出する。
 指揮を執るお前が冷静でなくてどうする」

 判っていた。そんな事は百も承知だった。

「全ては一旦戻ってからだ、いいな?」
「…………了解。……一度……戻る」

 もう一度、壁を思い切り殴った。

 ビルの外に出ると、既に通報で駆けつけた警察、消防車両が集まり始めていた。
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