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 マンションには六人の男達が居た。
 オヤジの横では、見守られるように若い男がPCを操作し、他の四人は思い思いに装備を広げ手入れをしている。


 ガチャ……

 扉が開き浅葱が戻って来たのを見ると、男達は口々に「おう」「久しぶりだな」と声を掛けた。
 オヤジの隣の男も振り返り、軽く会釈をする。


「今回は本当にすまない」
 部屋に入るなり浅葱は立ち止まり頭を下げた。

 いつになく神妙な口ぶりの浅葱にその中の一人が近付き「気にするな」と、ポンと肩を叩いた。
 他の者もその通りだと言わんばかりに頷いている。
 その手に促されるように浅葱が顔を上げた。

 懐かしい顔もあった。
 生死の間を一緒に潜り抜けてきた顔もあった。
 全員が今回の事の成り行きを理解していた。
 組織より、オヤジや浅葱を信じる男達だった。


「久々の再会だろうが時間が無い」
 オヤジが浅葱に声をかける。

「今現在、仕事が入ってない奴で、今回のこのヤマを任せられるのはこれだけしか居ねぇ……。
 任務中の奴を引き抜くと上にバレるかもしれねぇし、テキトーな人材じゃあ信用できねぇからな」
「ああ、わかっている、オヤジ。十分だ」 
 正直、このメンツなら20人、30人の大部隊より心強かった。


「よし、じゃあ早速だが……」

 オヤジが言い掛けた時、一人だけ面識の無い男と目が合い浅葱は動きを止めた。
 あのPCを操作していた男だ。
 男の方も浅葱の持つ雰囲気に呑まれたのか、目が離せないと言った風でじっと浅葱を見上げている。

「あぁ、こいつは初めてだったな」
 その様子に気が付いたオヤジが隣の男の頭にポンと手を置いた。


「この若いのは、りゅう……深月流之介みづきりゅうのすけ
 縁あって、ちっとばかり一緒に仕事をしたことがあってな。
 今じゃ俺の弟子を名乗ってやがる。
 実戦要員じゃねぇが、情報収集の腕は……まぁ、俺の次ってとこだな」
「一番弟子の深月です」
 そう言って男は頭を下げた。

「浅葱だ。よろしく頼む」
 浅葱の声に深月はもう一度、深々と頭を下げ直した。


 二人の挨拶が済むのを待って、オヤジは深月にPCの画面を壁の大型モニターへ映させ、説明を始めた。


「とりあえずだ……ビルから出た車の行き先は既に数ポイント判明している。
 まぁ完全に姿を消しちまうと、恭介を誘い出す目的にはならねぇから、わざと痕跡を残してるってぇ感じだ。
 かと言って素直に目的地までドーゾって訳でもねぇ……。
 このポイントはほぼ全部が罠、もしくはダミーだと考えるのが妥当だろうな。
 ……どうする? 恭介」

 オヤジが点々と赤い印の付いた地図画面を指し示す。

「みんなには申し訳ないが、それでも行くしかない。 
 今までに判っている場所を一つずつ潰す。
 出るのは二人ずつ、二班で編成。
 オヤジと深月はここで情報をまとめてくれ。
 俺は一人で行く。
 途中で手がかりを見つけ、一気に四手五手先に飛べれば、奴等の思惑より早く辿り着くはずだ」

「申し訳ないなんて、お前らしくない。俺達はその為に来たんだぜ」

 一人がそう言うと皆、同様に頷いた。


「あの……! 僕も浅葱さんと一緒に出ます。現場での情報収集も必要です」
 深月が振り返った。

 一瞬考えて「よし、来い」とだけ浅葱が答え、全員が身支度に取り掛かった。
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