生真面目上司の乳首からしか食事できない(最高!)監禁生活

蒼宮ここの

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後編

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「はあ~~~あ」

ベッドに倒れ込み、露わになったお腹をでんでんと叩いて大きな声で嘆く。俺のそんなだらしがない様子を、課長は軽蔑の眼差しで遠くから見つめている。

「さすがに太ってきちゃったな~~」
「どうしてあまり食べていないのに太るんだ?」
「さあ……幸せ太り?」
「どういう意味だ」

そこは察してくださいよ。なんて言いたいが、言葉の使い方が間違っているのは俺でもさすがに気付いている。精神論だけで人間は痩せたり太ったりしない。俺が食事量を減らしても体重増加している原因は明らかだ。

「運動不足だ~~~~」
「確かに……私も少し気になってきた」
「課長は変わらないじゃないですか。なんで?」
「だから太れない体質だと言っただろう」

ガリガリのお腹を撫でる課長を恨めしく見つめる。食べ過ぎたらすぐに腹が出る一般的な体質の俺には羨ましさしかないが、課長は太れなくて悩んでいるんだものな。人間結局、ないものねだりか。
それにしてもこのままでは本当にヤバイ。痩せられるかも、という下心もあってこの生活を始めたのに……やはり地上で健全にサラリーマンとしての生活を送っていたらかなりのカロリーを使っているんだな。しばらく体重が安定していたのにここにきてこれは、さすがに焦る。

「吉野さん」
『……ハイ?』
「運動がしたいです」
『めんどくさ。……ご用意があります、お待ちください』

はっきりとした「めんどくさ」が聞こえたものの、何か用意してくれるらしい。ありがたい。ここは一つ、彼の本音は聞かなかったことにしよう。
少しして吉野さんが代車を引いてやってきた。そこに乗っているのは自転車のような器具。普段ジムに通っている俺にはすぐにピンときた。

「ルームランナーだ……!?」
「地下生活でご所望になるかと思い、用意してあります」
「なら最初から出してくださいよー!」
「面倒くさいので」

重ねて言われてしまったが、無法地帯のこの地下には体面も何もあったもんじゃないので俺も気にしないことにする。素直に笑顔で感謝の意を伝えて、それを部屋の隅に設置する。課長はその一部始終をちょこんとソファーに座りながら見守っていた。

「…………魔法?」
「はい?」
「この部屋、時間になったら美味しいご飯がでてくるし、望めば薬やルームランナーまで出てくる……まるで魔法の部屋みたいだな?」
「それ吉野さんが聞いたらキレますよ。全部あの人の人力なんですから」
「あ、そうだな。申し訳ない……」

どこに監視カメラが仕掛けてあるかわからないので、課長は四方八方に頭を下げた。相変わらず律義なことだ。以前まではそんな感想で済んでいたこの人の仕草も、今となっては俺をときめかせてしょうがない。なんで中年男のサラリーマンのくせにそんなに可愛いんだよ。
ルームランナーと一緒に届いた運動着に着替える。こんなものまで用意してくれるなんてさすがは吉野さんだ。突然俺の着替えシーンが目の前に繰り広げられて、課長は慌てて後ろを向く。別に女の子でもあるまいし、いいのに。上司って大変だよな。

「はい、課長の分も」
「え!? 私はやるつもりないんだが……」
「とりあえず一緒に汗流しましょ? きっと気分も明るくなりますよ」

運動不足は鬱の元だ。とくに課長、なんだか元気がないみたいだし。
俺は自分というよりむしろ課長に運動をさせたかった。なんせ細すぎて心配なのだ。太るのは無理にしても、筋肉をつければもう少し頑丈になるはず。今の枯れ木のような体では転んだだけで骨が折れそうで、見ていて本当にハラハラする。
それにもうちょっと逞しい肉体になれば……俺も遠慮なくパンパンできる未来があるかもしれないし? ……あくまで、かもしれない、だけど。

「うーん……わかった」
「じゃあ俺がお手本を。見ててくださいね」

勝手知ったるメーカーのルームランナーだったので、俺は先輩風を吹かせてそう申し出た。足場に乗って操作すると、すぐに稼働を始める。課長は隣に立って、興味深そうに俺の手元のパネルを覗き込んでいた。
まさか俺が藤野課長に指南できることがあるなんて、なんか優越感。いくつかの質問に答えながら、俺は張り切っていつもよりかなり速度をあげていく。

「宮西、こういうの慣れてるんだな。自己管理できていてえらいじゃないか」
「へへ。まあ俺は太りやすい体質なんで……筋肉もつけたいし?」
「確かに。ベンチプレスなんかもやっているのか?」

ムギュッ。課長の手が不意打ちで俺の二の腕を握る。確かにベンチプレスはやっているけど、ちょっと待って、いつもより早い速度で走っているのにそんなことされたら、動揺して、足がもつれっ、
バタン! 派手に転倒して、顔面が足場の外に流された。課長が慌てて助け起こしてくれる。

「大丈夫か!? どうした!?」
「課長に触られて、動揺しました……」
「はあ? 何を、言ってんだか……」

そこで照れるところがまた可愛いんですよね~~~。すぐに俺からぱっと手を離す仕草にそそられながら、なんとか自力で立ち上がる。

「俺は休憩します。課長どうぞ」
「ええっ、できるかな……」
「できますよ。一番遅い速度で設定しますね」

課長が乗ったことを確認して、有無を言わさずパネルを操作してやる。課長は必要以上にグリップを強く握ってへっぴり腰で走り始めた。さりげなくそこを手で撫でて「姿勢」と囁きかけると、恥ずかしそうに背筋を伸ばしている。
課長、走る姿も可憐だ。慣れていないのがまるわかりだけど、まっすぐ前を見て、懸命に脚を動かしている様子がなんとも健気で。
あ~~~~これは専属トレーナーになってセクハラいっぱいしたいな~~~~。
お留守になっている腰やわき腹を舐めまわすように見つめる。今なら走ることに必死になっているからバレないだろう。悪くない立ち位置だ。

「もうちょっと早くしますね」
「え!? ちょっとまっ、宮西っ」
「できるできる、ほら」
「うう~~~~」

少し息が上がってきたか。課長と同年代であるアラフォーの成人男性の平均値よりはかなり下回っていそうだが、少し癖をつければすぐに体力はつくだろう。なんせこの人は真面目なのだ。ルーティーンに組み込んでしまえば、毎日欠かさずやってくれるに違いない。
はあはあ。はあはあ。ペースは落ちていないが、課長の苦しそうな息遣いが部屋に響き渡る。エッチなことしている時もこんな息遣いだったなあなんて思い出してつい股間が膨らんでしまう。
出しちゃおっかな……シコりたいなあ~~~……けど一生懸命走ってる横でチンポ出してシコってるのバレたら怒られるだろうなあ……やめとこう。代わりにこのエロい光景、目に焼き付けとこ。
少し背伸びして上から課長の胸元を覗き見る。無防備な乳首がツンと主張していて、その元気そうな様に一見乳首禁止令を出すほど傷んでいるのかと疑問に思う。まあ、心当たりはおおいにあるしな……課長がいいって言うまでは、従うしかないか……。

「課長、もっと早くしますよ」
「あ、ダメだっ、宮西~~~」

一気に三段階あげてやった。俺がコケたのと同じくらい。課長は手すりにしがみついて、上半身を倒した状態で今にも倒れそうだ。後ろから肩を受け止めて、バランスを崩したところで受け止めてやった。
空回りする機械の横で、俺は課長の下敷きになったまま喉仏を撫でる。少し押し潰す真似をすると、いやらしいことを思い出したのか「ヒッ」と高い声を上げて逃げ出した。

「おい、ひどいぞ!」
「仕返しですよ。いいじゃないですか助けたんだから」
「助かってない! 変なところを触るな!」
「変なところって……課長にとって喉仏って変なところなんですかあ?」

ググッ。言い淀んだ結果、課長は俺に何も言い返せず、ルームランナーの電源を落とすだけに留まった。喉仏を抑えられただけで思い出したんだろうな、圧迫されながらセクハラされたこと。いいぞいいぞ、この調子で全身性感帯にしてやるからな。

「次は宮西がやれ」
「パネル触らないでくださいよ?」
「お前と一緒にするな。危ないことはしない。わかったな?」
「はーい」

そうして俺と課長は代わりばんこに室内ジョギングを続けた。久々の運動は気持ち良かったし、何より休憩中に課長のランニング姿をどの角度からでも堪能できるのが最高だった。
課長、ここを出たら俺と一緒にジムに通ってくれないかなあ……彼女と来てる男見て、憧れてたんだよなあ……この人を恋人にして、常連に見せびらかしたい……。

「お食事をお持ちしました」

気付けばかなり時間が経過していたらしい。時計を見て夕飯であることを確認すると、俺と課長はルームランナーから離れる。

「吉野さん、明日からタオル余分にお願いできますか」
「わかりました。あの、あまり近付かないでください」
「え、俺臭い?」
「かろうじて臭いませんが、臭う気がするので」
「ヒッデーなあ。もしかして潔癖スか?」

俺が吉野さんに軽薄に絡んでいる間に、課長は自身の身体を気にしてすんすんとシャツの中を嗅いでいる。確かに俺も課長もかなり汗をかいた。だがそれがなんだ。課長の汗はきっとフローラルなので気にしないでどんどん俺に舐めさせてほしい。
ん? ちょっと待て、今から食事ということは……課長の身体をお皿にできる俺は、今から汗かきまくった課長の身体を舐め放題ということか!?
計算していなかったが、嬉しい誤算だ。運動中、ずっとムラムラして我慢していた甲斐があった。興奮しすぎて襲ってしまわないか心配だが、とりあえず、汗だくプレイができることは確定した。
吉野さんが出て行くと、課長は食卓とは反対方向の脱衣所へと向かう。いち早く察知して強く肩を掴んだ。課長は疲れ果てた顔で俺を振り向く。

「なんだ」
「今から食事でしょう。俺腹ペコです。早く席についてください」
「いやいや……さすがにこんな汗かいた身体から食べられないだろう? さっと行ってくるから少しだけ待っ」
「待てません」

これはマズイ。課長の表情がそう言っている。一気に焦りに塗り替えられた瞳が、脱衣所を見つめて身体を強引に前に動かす。すかさず後ろから羽交い絞めにした。筋肉量は俺のほうが上だ。行かせるわけない。
まだまだ痩せっぽっちの課長の全身の熱を感じて、つい首筋を舐め上げた。素っ頓狂な声としょっぱい汗の味。ムラムラが復活してしまった。変にごねる課長のせいだ。

「言うこと聞かないと犯しますよ」
「おかっ……!?」
「この状態で食べたいです。課長の汗トッピングして腹いっぱい食べたい。ねえお願い。それともこれ断って興奮した俺にレイプされたい?」

ハアッ……課長の熱い吐息が二の腕にかかる。明らかに期待した顔つきに、本当にこのまま床に突き倒してしまおうかと魔が差した。いやダメだ。それより今は汗プレイしたい。恥ずかしがる課長の汗味わって、ジワジワとセクハラの領域を広げたい。

「へ、変態……ッ」

涙が混じった声でそう言われて、締め付ける力を強くする。絶対に逃がさない。ややあって、課長は観念し、脱力した。半ば俺に抱きかかえられるようにして椅子につく。
今日の献立はステーキとサラダとパンナコッタだ。どうでもいい。俺の今日のメインディッシュは課長の汗だ。

「まずは課長が食べてください。俺待っているので」
「……ッ」

課長は俺が手を出すと食事どころではなくなってしまう。だから気を遣って先を譲ってやっているのに、いっこうにナイフとフォークを手に取ろうとはしない。
じれったいな。課長の手元にあるそれを俺が手に取ってステーキを切り始めた。そして自分の口に放り込む。肉の味を噛み締めながら咀嚼して、青ざめる課長の顔を堪能する。

「お前……! 普通に食べたらダメだろう!?」
「わかってます。これは課長の分です」
「え……」

れえっ。噛み潰した肉塊を舌の上に乗せて見せつけた。「あ」と声を漏らして課長が後ろ手で椅子の背もたれにしがみつく。「下にきて」と声をかけて腰を掴み、身体をずり下ろした。そして俺は課長の顔の上で、たくさんの唾液を作る。

「口開けて。課長が食べてくれないと俺、これ飲み込んでクビになっちゃいます」
「うう……なんでぇ……」
「さっさと食べないから食べさせてあげようとしてるんですよ。ほら、早く」

ぼとっ。不意打ちで課長の鼻の下に落としてやった。課長は半泣きで顔の角度を変えて、それを慎重に口の中に滑り込ませる。もぐ、もぐ、もぐ。俺の唾液がたっぷり染み込んだステーキを、課長が咀嚼してる……。
遠慮なくいやらしい目で見つめていると、だんだん課長の瞳が虚ろになって、こくこくと唾液を飲む量が多くなる。興奮してるのかな。俺の唾液の味、思い出してくれたのかな。

「美味しい?」
「……ン、フォーク貸せ。自分で食べる」
「はい、どうぞ」

課長は勢いよくステーキを頬張る。運動して腹が減ったのかな。いいことだ。微笑ましくその様子を見つめながら、俺は乾いていく課長の汗を惜しんでいた。
会話もなく夢中になって課長が食べ終えた。これ見よがしに音を立ててフォークを置き、こちらをうかがう物欲しそうな瞳。思わず舌なめずりしてしまう。俺が近づくと、恥ずかしそうにパッと視線を逸らす。

「じゃあ俺も、いただきます」
「ああ……」

まずはステーキ。肩に置いて首筋までしゃぶり倒す。俺の肩に手を置いて縋ってくる仕草がたまらない。これってなんなの。誘ってますよね?
この辺は汗が豊富だ。ステーキなら岩塩派の俺には都合が良い。分厚い肉を乗せては食べ、乗せては食べを繰り返す。首筋の右側も左側も舐め尽くすと、少々乱暴に腕を引いて立たせた。

「さ、脱いでください」
「……全部肩では、ダメか?」
「ダメです。犯しますよ」

耳元に忠告すると、課長は顔を真っ赤にしてあっという間に脱衣する。パンツだけ残しているのが不服だが、吉野さんも許可を出したことだしまあ仕方ないか。いい雰囲気になったらすぐに剝いでやる。
ソファの横まで俺の食事を持っていく。寝そべる課長の身体を見てもう一度舌なめずり。さあてどこからいただこうかな。目が合うと課長はコクンと唾を飲んで、恥ずかしそうに目を伏せた。
そんなことでどうするんですか。アンタが知らんふりしているうちに、俺、アンタのこと食べちゃいますよ?

「まずはここね」

声をかけてから、鎖骨の辺りにサラダを乗せる。もうまどろっこしいから右側にも左側にも広げて全部乗せた。レタスやトマト、パプリカにコーンにベーコン……色とりどりの装飾はまるでネックレスのようだ。俺のプリンセス。感じ入って手の甲に口付けると、課長がピクリと動く。
こんなので感じていて大丈夫だろうか。俺、今からアンタの全身舐めまわすんですけど?

はぐ、レタスを歯で掴んで飲み込む。じゅるじゅると肌を舐めながら小さな野菜たちを口の中に入れていく。うまい。野菜嫌いなのに。うまくて仕方ない。
豪華絢爛な野菜のネックレスを纏った課長の身体が、裸になっていくかのような錯覚に俺は夢中になった。耐え切れず、課長が目を開けたタイミングで触れるだけのキスを唇にしてやった。ああ……驚いてる、驚いてる。

「俺、野菜嫌いだけど……課長がお皿になってくれたらいくらでも食えます」
「そ……そうか……?」
「ここを出ても、こうやって食べさせて欲しいなあ」

まだ激しいキスはダメだ。両頬を包み込んで、最大限まで顔を近づける。唇が掠るか掠らないかの距離で「課長」「好きです」「愛してます」と囁く。ここを出てもこうしたいって、伝えたかった。
課長はなぜだかまた涙目になって、何か言いたげに唇を震わせた。させない。汗が残っているところを探すように、耳の付け根、髪の生え際に至るまで舐め取る。

「ほら課長、腕あげて」
「ふえ……?」
「これ、すごい楽しみだったんで」

課長の手を取り、天高く上げさせる。そうしてそのまま頭の後ろで手の平を握り込んで下ろせないように固定した。もう片方の手で、大量のご飯を課長の脇にセットして……丁寧に握り込む。課長はすぐさま腕を降ろそうとするけど、もう遅い。

「宮西、そこは、さすがにっ」
「課長の脇おにぎり、いただきまーす」
「やだ、や~~~っ……!!」

可愛らしい声に煽られて大口でかぶりついた。だだくさにかためたおにぎりに、そして課長の柔らかい肌に。薄い毛をしゃぶって、舌でこれでもかと凹みを抉って塩成分を奪い取る。ああ、合う…………母ちゃんの塩むすびの百倍はうまい……!!
「やだ、やだ」とわめき続けて課長が暴れるけど、もう上半身でのしかかって抑えつけて右の脇を舐め倒した。
どれくらいしゃぶっていたかはわからない。精も根も尽き果てた課長の左腕を取って同じように上げさせ、今度は左脇におにぎりを作った。毛を唇で引っ張ると、また泣き声が漏れ出す。もしかして腋毛食べられて恥ずかしいのかな。可愛い。

「んま、んま……ふふ……こんなのさせるの、俺が最初で最後ですよね?」
「あ、当たり前だあっ……」
「課長の塩味、世界で一番好き」

見せつけるようにベロベロと舐め上げた。課長は横目でそれを見てきてにわかに呼吸を乱す。抵抗はない。俺にバレないように盗み見し続けて内股をもじもじさせているもんな。まあ、バレてるんですけど。
課長、絶対俺に変態なことされて喜んでいるよな……早く素直になればいいのに。
課長の肌に食らいつかんばかりに歯を立てる。小さく悲鳴が上がったので満足して、髪を撫でながらしっとりと柔らかな脇を舐めてやった。

「ここきもちい?」
「きもちく、ない…………」
「俺は気持ちいいよ。課長の味が濃くて、すげー勃起してる」

腰を上げて下半身の状況を見せる。露出してしっかり扱いていたのでマジでビンビンだ。ウン、我慢できませんでした。課長は慌てて起き上がる。

「しまいなさい!」
「なんで? 課長舐めながら扱くのすげーイイのに」
「食事中に露出するやつがあるか……!」
「ふーん」

腰を突き出したまま近付く。課長はソファの端っこに追い詰められて必死で見ないように顔を逸らしている。これって一般社会で言えば確実に重度のセクハラなんだけど、ここに至っては無法地帯だからな。そもそも課長、本気で怒ってないし。
だんだん課長のいやらしさがわかってきた。この人、俺が自分に欲情すると喜んでる。両手を腰につけて、ぐいと課長の眼前に押し出した。

「見て。課長のエッチな味でこうなったんだよ」
「見せるなっ……」
「しまわなきゃダメ?」
「ダメだ……!」
「じゃあ課長がしまって」
「えっ……!?」

「ほら」ともう課長の胸元につきそうなくらいに突き出す。課長は怒っているのとは程遠い……蕩けた瞳で俺の顔を見つめて、そしてもう一度、そそり立った肉棒を見下ろした。こわごわと、手が伸びてくる。

「だ、出すなよ……」
「怖いの?」
「誰が……!」

俺のパンツを引っ張ってノータッチでしまい込もうとする。しかしどうしても先端が飛び出てしまい、課長は手の平で強引に押し込めてきた。って課長、自分から触った! 有頂天の俺はニヤケ顔を隠せない。
下ろしていたズボンも引き上げられて、俺の下半身は外出もできる状態に戻った。テントはめちゃくちゃ張ってるけどね。
ああ、そんなことより課長に触られてしまった…………。勢いで、ドンと課長の身体を後ろに押し倒す。

「ちょうどいい体勢だね」

ソファの端にもたれて座って、大きく足を上げている状態。俺は課長の片足を掴んで顔の前に掲げた。足裏にデザートのパンナコッタを垂らして、抵抗される前に啜りつく。
几帳面な課長は目を白黒させている。足の裏を舐めるなんて……いくら好きな人相手でも無理だろって俺も思っていたけど、全然いけるな……? なんかほろ苦くて……興奮する……!

ジュルルッ、ジュルルッ、ジュッジュッ

「うう、う、う~~~」

かかとを丸く舐めて、足の指を一本ずつしゃぶる。パンナコッタは土踏まずに溜めて少しずつ味わった。さんざんしゃぶり尽くした後に、すべての足指を口の中に収めて歯を立てる。課長、今までにないくらい跳ねてる……さてはくすぐりとか無理なタイプかな? すっごい震えてるぞ……。

「やめっ、汚い……」
「美味しいですよ?」
「ああっ……」

開脚して顔を隠しながら悶えてるのが可愛くて、ますます見せつけるように舐めまわす。反対の足もくまなく唾液を塗り付けて、そのまま脛や内股へとパンナコッタを垂らしていく。
そこでふと違和感を覚える。この間までとどこかが違うような。さらりと脚の表面を撫でて唐突に気付いた。毛が無い。薄く生えそろっていたすね毛が、綺麗に剃られている。

「毛が……なくなってますね……?」
「お前が舐めるからっ……ツルツルにしておかないとと思ってっ……」

恥ずかしさで死にそうになりながら課長が声を荒げる。
まさか俺のために剃毛までしてくれるなんて。愛おしくて手で撫でたくる。足らずにまたパンナコッタを垂らして何度も舌で往復した。課長が半分泣きながら声を絞り出す。

「なのにお前、脇なんか舐めるから……しかも、洗ってないのに――――!」
「俺のために処理してくれたんですね。嬉しいです」
「ううっ……」
「けど、俺は生えててもツルツルでもどっちも好きですよ。課長もともと毛薄いし、色素も薄いし。綺麗です」
「よくこんなオッサンにそんなこと言えるな……!?」
「あなただけです」

足の甲に口付ける。俺って普通の王子様じゃないかもしれないけど、課長だって普通のお姫様じゃないからお似合いなんじゃないかって思うんだよね。課長はもう可哀想なくらいに茹だって、また涙目になっている。
もしかして前回すね毛を咥えた時に泣いてしまったのは、俺に毛を見られたくなかったからなんだろうか。さっきの腋毛の時も泣いてたし。こんなことで恥じらうオッサンなんていねーのよ……やっぱり藤野課長は、俺のお姫様だ。

「俺のためにって思ってやってくれたのがマジで嬉しい」
「じょ、上司として当たり前だっ……」
「へー。エロい上司ですね」

クスクスと嘲笑してやると、枕代わりにしていたクッションを顔面に投げつけられた。だから本気で怒ってるなら怒鳴ればいいのに。そんな可愛い彼女みたいなリアクションされたら、煽られるだけだっつーの。
「うつぶせになって」と言ってひっくり返すと素直にソファに顔を埋める。まだ残っていた大きなステーキを背中に全部乗せておおいに味わった。もちろん課長の背中を舐めたくって塩分を浚うことも忘れない。
まるで課長自身を食べてるみたいだな……俺、カニバリズムとかそういう趣味ないんだけど、課長の背中を舐めながら大きな肉塊を口の中で転がしていると、なんだか変な気分になってくる。いっそ本当に食べてしまって、課長と、一つになりたい……。

「腋毛も剃るの?」
「……次は剃ってくる……!」
「そんなに、俺に毛見られるのいやなんだ」

耳元に囁いて、耳朶から中のほうまでくまなく舐めた。気を張っていた課長の身体が一気に脱力する。低音で囁きかけるといつもこれだ。課長、俺の声好きなのかも。
気を良くして「可愛いね」って追加する。抵抗されなさそうなので、パンツをめくって尻を丸出しにした。ボクサーパンツがTバックに早変わりだ。

「なっ、やめ」
「お尻小さいですね……そそられます」
「ハアッ……だめ……」

課長の指がソファの腕置きに食い込む。先ほど投げられたクッションを寄越してやると、すぐさま顔の下に敷いて抱き込んだ。かわいいかわいいかわいい。脳内で連呼するだけで我慢して、両手でお尻を揉みしだく。
まったく肉がない、相変わらず骨と皮だけのようだけど、引き締まっていてこれもまた課長らしい。こんなに細いなら女物のパンティも似合いそうだな。今度吉野さんに頼んでみよっかなあ。もう俺、自分の欲望が満たされるなら、あの人にどんだけ軽蔑されたっていーし。

「穴、見たいなあ……真ん中めくってもいい?」
「絶対、だめだっ」
「ケチ~~」

揉みながら顔を埋めて深呼吸。課長のケツの匂い……こんなふうに直に嗅げるなんて夢みたいだ。絶対パンツ脱いでくれないの逆にエロい。Tバック状態を強調するように、線にした真ん中の部分を持ち上げる。ぐふ、横から穴見えてる。ああ、挿れてえ~~ッ…………。
パチン。さんざん伸ばしてから離すと、ゴムみたいに課長のケツ穴を打って刺激になったみたいだ。腰をみだらに揺らめかせている。
残った白米を全部ぶちまけて、底面が丸いお尻のお皿を時間をかけて舐めた。時には米粒を塗り広げるようにして、自分たちがどれだけ異常なことをしているか感触でわからせた。挿れられているかのような大げさな声で、課長はずっと鳴いていた。

「ハア……お尻、素敵です……次は女物のパンティ履いてくださいね」
「な……な……!」

さんざん鳴いてぐったりとしていたのに、俺の一言で課長はうつぶせのまま振り向いてギロリと睨んでくる。だけどタオルでベタベタのお尻を拭きとってやると、悔しそうな表情を残してうつぶせに戻った。俺が少しお世話しただけでこれだもんな。怒っている最中くらい、負い目を感じなくてもいいのに。
拭き終わると、肩を抱いて仰向けにする。おとなしく従う課長に胸がキューッと締め付けられて、思いのままに両手でそのこけた頬を包んだ。撫でまわして……至近距離で見つめて……ふうと唇に息をかけると、キュッと引き結んで目を閉じてしまった。キス待ちかよ。唇禁止じゃなきゃ朝までぶちゅぶちゅしてやるのに、クッソ。
苛立ちをぶつけるかのように残りのパンナコッタをすべて課長の顔面にぶちまけた。ビチャッ。突然の冷たい衝撃に課長の全身がビクンと揺れる。間髪入れずに乗り上げて抑え込み、顔の横に手をついた。

「いただきまあす」
「ンッ……あ…………あ、あ」

ぴちゃ。ひとまずはソファに垂れそうになっていた目尻の部分を舐め上げる。んん美味し。課長の顔面でデザート食べられるなんて世界で俺一人だろ。光栄すぎる!!!
興奮して鼻息荒くしながら瞼やおでこも舐め取った。どさくさに紛れてでこチューしたりかたく瞑った目の筋に舌先をレロレロしたりと変態セクハラノルマもこなして、
無事、課長を怯えさせることができた。
「め、いや、め、いや」とか細く訴えている。俺が眼球にパンナコッタなすりつけるとでも思ったのだろうか。さすがにしないって。されてる課長本人よりすっ飛んできた吉野さんに怒鳴りつけられそうだ。

「目、終わったよ。大丈夫」
「うう~~」

両手首を胸の上で拘束して、今度は頬をナメナメした。チュッチュッ。頬へのキスってなんだか可愛らしいイメージだよな。課長もいくぶんか呼吸を落ち着けて、受け入れてくれている。
そしてまだ大きな塊がベチョッと引っ掛かっている、鼻先へ。ジュルッ。鼻の頭ごと吸い上げてまたまた課長を驚かせる。食むたびに「うう、うう」と泣き声が出るのが面白くて、ジュッジュッ、ジュッジュッ、カミカミ、ジュッジュッ、しつこくしつこく弄ってやった。
舌が離れると安心したため息。まだ終わりじゃないよ。また両頬を包んで、課長の鼻の穴に舌先を突っ込んだ。ジタバタする身体をなんとか脚で抑え込んで、できるだけ奥へいこうと舌を尖らせる。

「課長、鼻水出して……舐めたい」
「う、う、ううう」
「泣いたら出るよ。泣くの? 全部飲むよ」
「うっ、うっ、うっ」

ふるふると首を横に振って懸命に耐えている。涙の気配はあれど、中のしょっぱさは少ししか味わえなくて諦めて舌を抜いた。ああ残念。次泣き出したら容赦なく抑えつけて舐め取ってやろ。
未練がましく鼻の下をべろんべろん舐める。少しヒゲの硬い感触がするけど……肌はふにふにでやーらかい……唇にはみ出したくなるけどグッと堪えて、そこが性感帯でもあるかのようにしつこくしつこく、時間をかけて舐め尽くした。

「美味しい、美味しいよ、課長っ」
「アッ……まっ」

後頭部を支えて顔を固定した。課長の制止も聞かず顎を舐めしゃぶってそのまま首筋にしゃぶりつく。ふりだしへ戻る。課長の身体、何周も何周も何周もペロペロしたい。また顔面に戻ってだだくさに舐めまくって、あらんばかりの熱い息を吐きかけた。
ピクン。課長が小さく震える。もう完全に脱力してソファに預けてしまっている。眠っているかのように無防備に目を伏せて、ふうふうと唇を尖らせている。あーーーーキスしたい。口の中も舐めたい。こんなどこでも舐めていいのに口だけはダメなんておかしいだろ。なんだよこの世界観。
イライラムラムラが募って、ついにパンツに手をかけた。課長は抵抗しない。だらりと伸びた下肢を持ち上げて一気に脱がしてしまった。ポロン、と尖った陰茎が出てくる。相変わらず小さめで可愛い。至近距離で凝視して息を吹きかける。
……おや。課長、怒ってこないぞ…………?

「あの、課長……チンコ出ちゃってますよー……?」
「……………………」
「舐めていいの? もうご飯残ってないけど」

ムクリ。ひとりでに頭をもたげる課長自身は口よりも雄弁だ。
この人顔舐められてよっぽどヨかったんだな。変態。変態変態変態。心の中で罵りながら、レロ~ッ、裏筋を舌先で舐め上げる。
ビクビクビクッ。跳ね上がる太腿を両手で抑えて犬のように竿をペロペロした。ああ、いい味だ……雄特有の生臭さがあるのに、なぜだか清楚で、上品で、馨しい匂い……内股をソファに押し付ける手の平につい力が入る。もう全部欲しくて一気に口内に全部納めた。

「ハア、ハア、ハア、ハアッ……」

今にも出そうなくらいに腰をビクビクさせている。いいですよ。出しても。伝わるように内股を撫でて、ジュポジュポとピストンを始める。
フェラ~~~~~。気に入ったネコちゃんにしかやらないけど課長は別格だわ……土下座してでも舐めてやろうと思ったけどまさか顔面舐めで落ちるとは。稀に見る淫乱ちゃんだ。
舌を巻きつけて、アイスキャンデーにもせんだろこんなことという勢いで味わいまくる。ジュポジュポジュポジュポ、ジュッジュッジュッ、ジュ~~~~ッ、チュポン。ちょうど口を離した瞬間に発射した。この人、堪えてたのかな。可愛い。すぐに食らいついて、精子ほとんど俺の口の中に収めてやった。

「ああ~~~~」
「へへ……」

少しずつ飲み下しながらもグチュグチュと精液で口の中をゆすぐ。俺の口の中で課長のがいっぱい、広がってるんだ。実感して悦に浸っていると、ようやく課長が起き上がってくる。見せつけるように口の中のものをだらりと課長の竿に垂らして、また激しいフェラを再開した。
衝撃的なシーンを見せつけられた課長は、もう何も見たくないと言わんばかりに腕を顔の前で交差して目を塞いでしまう。いいよ。顔隠したって俺、今アンタのチンポしゃぶりまくってるんだから。恥ずかしいね。無様だね。

「やらあ、あっあっ、いやあ、イッ、ちゃ」

ジュポジュポジュポジュポジュポ!!! 唇で扱いてやったらあっけなくイッた。腰を掴んで吸い尽くす。俺の情熱的な手つきに課長が余計にビクつく。射精を終えても痙攣が止まらない。
落ち着かせるために抱き締めた。そうすると課長は「あ、」と引き攣れた喉で漏らして、反射的にといった感じできつく、縋り付くように、抱き返してきた。課長の手が、力いっぱい俺の背を抱いて、引き寄せてきて……胸の中の固い温もりにじんと浸り切る。
そのままでいるとなんと課長、脚まで俺の腰に巻き付けて、まさに全身で俺にピッタリとくっついてくるではないか。こ、これって……噂のだいしゅきホールドってやつ……?
閉じた視界のはずなのにビカビカと激しい光があちこちに点滅する。ちょっと俺には刺激が強すぎる。だってこれってもろセックスの体勢じゃん。あとはもう挿入れば成立じゃん。
へこへこと腰をゆすってアピールする。すると驚くことに課長もやり返してきた。へこへこへこへこ。裸の下半身を俺に擦り付けてきて止まらない。その感触を味わいたくて、やり返すのは我慢した。代わりに、課長の上半身を力の限り抱き締める。応えるように、課長はずっとへこへこへこへこすりすりすりすりしてくれた。

「みや、みや、みや」

さらに甘い囁きまで追加されて、俺は、もう。
鼻がツンとして上を向く。あ~~~~鼻血出てるわコレ。でも動きたくない。垂れ流しでもいっか。いや喉の奥で飲めばいっか。懸命に上を向くが、ついに鼻の穴から垂れ落ちてきてしまった。いや、口開けて全部飲めばいい。
「かひょう」と応えて下半身を擦り寄せる。すると俺の変なフガフガ声に気付いたのか、課長が目を開けてぎょっとした。そのかっ開きようといったら。どうやら思ったより出血していたらしい。

「バカッ、ティッシュ!!」

慌てて俺の下から這い出てあてがってくれる。ちぇーーーーー。鼻血なんて垂れ流したままでよかったのに。ってそういうわけにはいかんか。
課長が俺の血まみれになるとか、上司を庇って殉職するバディ刑事ものみたいでカッコイイと思ったけど、流血っていうか鼻血だし、鼻血出した理由がしょーもなさすぎるし……変な妄想はやめよう。これじゃあもうスケベもドラマ撮影も続行は無理だ。

「ふんまへん……」
「すぐ言いなさい、まったく」
「課長がエロかったから、離れがたくて」
「……………………止まったら、また」

言いかけて課長は口をつぐむ。顔を逸らされたのをいいことに、俺はおおいににやけて心の中で手足ジタバタ狂喜乱舞した。止まったらまたしてもいいの!? あと寝るだけですけど!? そ、そういうこと!?
嬉しすぎて身動きできずに固まっていると、課長が俺の顔を見てギョッとする。そしてぐいぐいとティッシュを鼻に押し付けてきた。あヤベ、鼻血のこと忘れてたわ。
詰め物をするが、すぐに先っぽまで真っ赤に沁みて滴りそうになる。課長が冷蔵庫からケーキ用くらいの小さな保冷剤をハンカチに包んで持ってきてくれた。なんでこんなものまで入ってるんだろう。ありがたいけど。
てか俺の鼻血一緒に止めようとしてくれているとか、課長も早くまた俺とイチャつきたいってこと!? ベッドの上で続きしてほしいってことじゃないのか!?
興奮するとまたジュッと手元のティッシュに大量に出る感覚がして、慌てて呼吸を落ち着ける。早く止めないと課長とイチャイチャできない。止めたらイチャイチャ。止めたらイチャイチャ……。

「…………先に風呂に行ってくるな」

いっこうに鼻血を止められない俺を課長は冷めた目つきで一瞥して、ふいと脱衣所に消えてしまった。呆れているように見えたけど……あれはきっと照れ隠しだ。早く俺とイチャつきたくて、風呂場で身を清めて待っているんだよな。
想像するとまた血が速くなる。よくない。落ち着け俺。部長のハゲ頭ドブ口臭を思い出すんだ俺……!






課長が脱衣所から出てきた。すぐさま飛び掛かろうとした俺をビシッと手の平で制して「お前も風呂行け!」と厳しく言い渡してくる。こんなに強く命令されたのははじめてかもしれない。仕事上ですら、課長、いつも俺に優しかったのに。
ドキドキムラムラが最高潮に達していたが、すぐさましゅんとして落ち着いた。

風呂ではいつもより念入りに身体を洗った。汗舐めプレイはスゲー楽しかったけど、夜の営みともなれば話は別だからな。課長のあの勢いからして、きちんと清潔にしていったほうが好感度は上がるはずだ。本来几帳面な人なんだから。
本来は几帳面……だけどここでは俺の不潔なセクハラ受け入れて、だらしなくヨダレ垂れ流したり、身体擦り付けたりしてその淫乱っぷりをいかんなく発揮してくれている。改めて、たまらんよな。俺ってなんて幸せ者なんだろう。

上機嫌で部屋を出る。そして愕然とした。こんもりと膨らむベッド。
エッ課長寝ちゃったの!? ウソでしょ!? エッチするって言ったよね!?(言ってない)いやいやでもあんなに盛り上がっておいてまさかオアズケなんて……!?!?
絶対起こすという気概でガバッと布団をめくる。そして二度、愕然とした。
そこには一糸纏わぬ、全裸の課長が……シーツの裾を握りしめて、恥ずかしそうに腕で身体を隠している……!?!?!?!?

「あ……え……!?!?」
「…………」
「か、課長……!」

シーツを戻そうとする気配に、慌てて課長の身体とシーツの間に潜り込んだ。ちなみに俺はちゃんとパジャマ着ているけれど。エッ課長ハダカって? そ、そういうこと…………で、いいのか……!?!?!?!?!?!?
両手の指を絡めてギュッと握る。課長は恥ずかしそうに顔を逸らして何も言おうとしない。押し倒されているのに、ちっとも抵抗しようとしないし。

「あの、あの……!」
「な、んだ」
「綺麗です……!」

無我夢中で抱き締めた。肩口に熱い吐息を感じてぶるりと震えてしまう。こんな不格好な体勢で抱き締めるだけなんて、どんだけ無計画なんだよ、俺よ。今までならもっとスマートに順を追って、愛撫して、じょじょに深くしていって、そんでつつがなくゴールインしていったというのに。
頭が茹だっている。なんも考えられない。わかんねーよ。課長が俺の風呂あがるのをハダカで待っててくれたってこと、以外は。

「宮西……」

課長の指先が俺の背筋をなぞる。その誘うような動きに、俺は耐え切れずそろそろと離れて課長の顔を見つめた。課長、いやらしい顔。期待してる……。
唇を親指で撫でながら、思い出した。まだキス禁止なんだ。じゃあ、えっと、えっと。耳元にキスを落とす。すると今度は課長、俺の肩を掴んでくる。珍しく火照ったその手の平に、じわりと興奮が掻き立てられる。

「ハア……」
「ン、っ」
「脱いで、待っててくれたんだ……?」

ベロリ。耳を舐め上げて囁きかける。にわかに課長の息が乱れた。この問いかけを待っていたのだろうか。それとも、聞かれたくなかったのかもしれないけど。泣きそうな声が伝えてくれる。

「どうせ、お前、脱がすから……」
「パンツまで脱いじゃって……あんなに嫌がってたのに、もういいんだ?」
「あンッ……」

手探りでその先端をペロンと持ち上げた。肩を掴む力が強くなる。ハアハアハア。課長興奮してるな。俺もつられる。その吐息ごとキスで飲み干したくなるのをグッと堪えて、本格的に耳へのキスを始めた。チュッ、チュッ、チュッ。体内に響かせるように、唇と耳の隙間をなくして音を閉じ込める。
気持ちいい。俺、課長に一方的に愛撫しているだけなのに。密着した身体がプルプル震えて、相手が感じている振動が伝わってくるだけで……こんなにも、気持ちいいなんて。

「今夜、どこまでシてもいいの?」
「あ、あ、あ…………」

うわ。課長…………俺の腰を足で挟んできてる……これが答えってことでいいの……? 下半身重ね合わせてゆらゆらしようってお誘いと捉えていいんですかねこれは……!?
またも鼻の奥がツンとして、させるものかと慌てて上を向く。どうも俺は課長からのアクションをもらうとダメだ。幸福値がカンストして、キャパオーバーしてしまう。

「セックスしたい?」
「あ、や、やっ…………ああんっ……」

懲りずに問いかけると、課長が頬ずりしてくる。ウッ、やばい。スゲー甘えてくるじゃん。年上のくせに。こんなことするの俺だけですよね。そうですよね課長。
勝手に己を高めて追い詰めてしまう。ああ鼻血出る。イチャイチャやめたくないのに……。
観念してサイドテーブルのボックスティッシュから数枚取り、鼻に押し当てた。課長は顔を離してきょとんとするが、俺の鼻血に気付いたらしい、クスクスと喉を鳴らして笑い出した。

「子どもか?」
「くそ……こんなの大人になってからはじめてですよ。誰のせいだと思ってんですか」
「保冷剤取ってくるな」

ベッドから抜け出そうとする課長の腕を掴んで引き留めた。離れたくない。幸いさっきよりは量も少なさそうだし、放っておいてもすぐ止まるだろう。それより今、俺に必要なのは。

「課長。俺に耐性をつけてください」
「耐性……?」
「課長が可愛いことすると出ちゃうので……この際いっぱいそういうところ見せてほしいです」
「可愛いって……お前より一回りも二回りも上のオッサンだぞ?」
「関係ないです。だって現に、出てるじゃないですか」

これ見よがしにティッシュを外して俺の興奮の証を見せつけると「わかったから」と押し戻される。そして下唇を前に押し出して、少し不満げな表情を浮かべた。

「……耐性って言っても、どうすれば?」
「課長から俺に触ったり……俺が喜ぶようなこと、言って欲しいです……」
「ええ~~……難しいなあ」
「俺の腰に脚巻き付けてカクカクしてるのスゲー興奮したんで、それよりもっとソフトなやつで」
「ああ…………」

自分が興奮しきった時の行為を掘り返されて課長は心底恥ずかしそうだ。こういう羞恥プレイもいいな? なんて口に出したらぽかぽか殴られてモエでまた鼻血出ちゃいそうなので、自重しておく。
期待して顔を前に突き出すと、課長はおずおずとした手つきで両頬から包み、そして俺の顔をじっと見つめた。課長と見つめ合う……それだけで、こんなにも幸せで……ああ、好きだなあなんて実感する。俺、重症だよな。

「宮西、って」
「はい」
「顔、整っているよな……」
「え」

正直その自覚はある。だから今までセフレにだって困らなかったし。
だけど課長までそう思ってくれていたのは驚いた。俺の頬を両手で撫でながら、真剣にずっと見続けてくる。この人がこんな真面目な顔でお世辞言うわけないんだから、ここは素直に喜んでおこう。にっこりと満面の笑みで返す。

「嬉しいです」
「モテるだろう」
「それなりに?」
「いいなあ……」

いいなあ?

「課長も、モテたいんスか……?」

純粋な疑問を口にしただけなのに、途端にカッと課長の顔が赤く染まって、俺まで居た堪れなくなった。ずいぶん実感のこもった「いいなあ」だったから。
やっぱりモテたくない男なんていないんだな。恋愛ごとにまったく興味なさそうな仕事人間の藤野課長だってこんなふうに仰っておられるんだから。

「べべべ別にっ……ただ、人から好かれやすいのは仕事でも円滑な人間関係をっ」
「俺、課長のこと好きですよ。誰が言い寄ってこようと今は課長が一番」
「あ……あああっ……」
「俺にモテて嬉しいですか? 課長」
「グッ‪……‬」

悔しそうに口篭ったまま、課長は俺を睨みつける。ちょっと嬉しそうだよな、なんて思っちゃうのは俺の願望だろうか。俺も頬を包んで撫でかえす。耳もコリコリしたら「アッ‪……‬」と目を伏せてすぐに感じ入ってしまった。
この人、すぐにエロモードに入るよな‪……‬俺が相手だから?

「課長、大好きです」
「やめっ‪……‬私が、お前にしてやるんだろう‪……‬!?」
「ああそうでした。耐性でしたね。俺が思う存分エロい課長を受け止められるように色々してください?」
「エロい‪……‬」

また烈火のごとく怒り出すかと思って身構えるけど、課長は何か考え込んでいるようだった。口元に添えた手を遠慮がちに俺の腰に回してくる。この人から俺にナニしてくれるんだろ。なんだって僥倖なんですけどね。

「宮西‪……‬出して、くれないか」
「出してって」
「ペニス‪……‬だ」

ペニスて。ヒトの口からはじめて聞いたその言葉に一瞬ぽかんとしてしまって、だから喜び遅れた。今課長が俺にチンポ出せって言ったの!?
理解すると同時に、嬉々としてズボンとパンツを一息にずり下ろした。考える余地などない。あらゆる期待に胸が爆発しそうになる!!

「あ、あの‪……‬触っても、いいか? 私の手で‪……‬」
「はい喜んで!!」

例のダンスを踊り出しそうになるのを堪えて、俺は股間を前に突き出した。課長は深呼吸をしてから、えいやっと俺のを握り込む。ああんっ。そんなに強く握らないで‪……‬出ちゃいそうになる。
課長は俺のブツと俺の顔を交互に見ながら、探るようにいろんな擦り方を試してくる。

「気持ち、いいか‪……‬?」
「ハイ‪……‬あ~~、すっげ‪……‬」
「なら、よかった‪……‬」
「課長。マジで俺に抱いてほしいんスね」

わざと軽薄に言い放つ。俯いて俺のチンポしか見れなくなった課長のつむじに手を翳して、イラマさせたい欲望と必死に闘った。
マジでこの人虐めたくなる‪……‬全身で俺に虐めてって言ってるんだもんな~~ッ‪……‬たどたどしい手つき、可愛い‪……‬オナるのも慣れてないのかな‪……‬エロいくせに経験浅いの萌える‪……‬俺色に染めまくれるじゃんっ‪……‬!

「あ~~、もうちょっと湿り気欲しいなあ‪……‬課長、ツバ垂らしてくださいよぉ」
「へ‪……‬」
「課長のツバ欲しいよお、ああ、ああ」

腰を揺らしてわざと変態っぽくおねだりすると、課長はゴクリと唾を飲む。だから飲んじゃダメだって。垂らすんだってば。
「お願い‪……‬」と後頭部を抑えつけてチンポに近付けると、わずかにその頭が、頷いた。

「ん………………れ」
「おおっ……‬!!」

課長の唇から脱落した透明の雫がべちょりと俺の竿にヒットする。すかさず課長の手コキで塗り広げられて‪……‬あまりの光景と刺激にビクビクと下半身が痙攣してしまう。ヌルヌルと滑りが良くなって、上下する手が明らかに速くなった。
俺の感じてる姿、見せつけたくて「お、お」と仰け反り、人より大きな喉仏を惜しげもなくさらけ出す。課長の視線、感じる‪……‬ますます唾液が垂れ落ちてきて、もうヌルッヌルで‪……‬ローションみてえに粘着質な課長の唾が俺のチンポに絡みついてクチュクチュって音立つのがたまらね~ッ‪……‬!

「みやにし、はあ、きもちよさそ」

ハアハアと息を吐きかけられて、自然と「イクイクイクイク」って無様な声が漏れてた。
課長の声、にやけてるんだもんよ。マジ、エロい。こんなエロ中年マチアプで探してもそうそういないって。ああスゲ。ああ出る。

「イクッ‪……‬!」

ピュッ、と放物線を描いた白濁が、課長の顔面を覆い尽くす。
スゲ~~、出た‪……‬‪……‬前が見えなくて手を伸ばしおぶおぶする様子に、見られる心配ないからってだらしなくニヤけて余韻でもう少し擦り上げた。

「宮西、拭いてくれ‪……‬」
「課長、まって、俺」
「なんだ?」
「顔コキ、したいですっ」
「う‪……‬」

ガシッと顔を掴んでチンポ押し付ける。了承を得ていないのに身体が勝手に動いて、いやらしく腰が蠢いてしまう。課長は意外にもされるがまま、ドロドロの顔を俺に差し出して、ふうふうと鼻で激しく息をしている。
清潔が服を着て歩いているようなこの人が、俺の精子まみれで、顔でコかれて興奮しているなんて‪……‬ああ、課長の額、鼻先、頬‪……‬亀頭だけで感じるのは物足りなくて、膨張した竿の全長で殴るようにゴシゴシと擦り付ける。
ハア気持ちいい。ハアやばい。こんなの絶対やばいって。でも。だけど。課長もメッチャ勃起してる‪……‬悦んでるデショこれ絶対‪……‬。
都合よく解釈して思いの丈をぶつけた。「課長の鼻気持ちいい」「課長のほっぺ気持ちいいっ」って一個ずつ口に出して言うと、その度に課長はくぐもった声をあげて胸を逸らす。

「課長の顔、最高ですっ‪……‬こんなんしていいの俺のチンポだけですよねっ!?」
「うう、うう~」

コクコクと頷く振動で軽くイった。もっと盛大にイきたい。乱暴に突き倒して後ろ抱きにした。背後から手を伸ばして、課長の顔面に俺の精子塗りたくって‪……‬汚れた手の平で自分のを二、三回往復する。ヌルリと湿ったそれを、俺は‪……‬課長の太腿の間に挟み込んで腰を揺すった。素股‪……‬‪……‬。
課長がキュッと意識して股を締めてくれる。合意すぎる。「いい子」って耳に囁いて、感じさせて、思う存分そこでシコった。
セックスだ。これもうセックスだろ。課長を後ろから抱いて、下半身ぴったりと重ねて、腰振って‪……‬顔に精子塗りたくる手を止めずに、ひたすら内股の肉を愉しむ。
ほとんど脂肪なくてかったいな‪……‬でもこれが課長のカラダ‪……‬わずかな柔らかい老いた肉が、遠慮がちに俺の肉棒に絡み付いてきて‪……‬エロいっ‪……‬。

「ああイくっ、かちょ、エロいよ、イイよっ‪……‬!」
「ンン~~~~」

ドクンっ。課長の股の間から射精して思いっきりシーツを汚した。かまうもんか。仰向けにシーツに縫い付けて、ハアハアと息を荒げながら頬擦りする。キスしたいけどできないから‪……‬俺の興奮、伝えたくて必死に絡みつく。スンスンと鼻を鳴らしてくせぇ顔面を嗅ぎまくる。

「俺の精子の匂いぷんぷん撒き散らして、課長‪……‬マジ変態だね‪……‬♡」
「ああ‪……‬ご、めんなさい‪……‬」
「もう俺じゃないとダメだよね? ‪……‬嬉しかったんだろ?」

顔を掴んで強制的に頷かせる。俺は一人で盛り上がって「どエロ」「変態」「お前みたいな変態と付き合えるの俺だけだよ」っていっぱい吹き込んだ。見下ろすと、課長の勃起は彼なりの最大級だ。手の平で押し潰して刺激すると「やぁああああんっ‪……‬」とメスの声で鳴く。

「マジでこんな変態はじめて。ずっと閉じ込めて可愛がってやりたい」
「あ、う、みや、ゆるし、てぇ」
「感じるか? 虐められて」
「か、んじ、るぅ」

マジかよ。認めやがった。頭にカッと血が昇る。ペッ! ペッ! ペッ! と殴りつけるように唾液をチンポに吐き捨てて手で擦り上げた。さっきのお返しだ。課長は口を「お」の形にしたまま無様に仰け反って感じまくっている。どマゾが。
顔にもいっぱい唾吐きかけたら唐突に射精しやがった。そんでグズグズと泣き出す。

う………………やりすぎたかな…………。

射精させるとスッと冷静になった。抱き寄せて頭を撫でる。「ごめんね」「可愛くてつい」「愛してるよ」と宣って。まるでDV男みたいだ。それでも課長は力なく俺の背中に手をまわして、自分からもわずかに擦り寄ってくれる。

「大丈夫?」
「ん‪……‬」
「もっかいお風呂入る?」
「入る‪……‬」

言いながら、課長は俺から離れない。ぎゅうと俺に抱きついたまま、熱い吐息で俺の胸を湿らせている。

「い、一緒に‪……‬入る‪の……‬?」
「ウン‪……‬」

あ、甘えてる‪……‬課長が、俺に‪……‬‪……‬。
不意の鼻の奥がツンとして危機感に襲われる。俺は懸命に鼻を啜って見事に赤い悪魔を撃退し、密着度満点で課長を浴室までエスコートした。腰にまわした手でたまに骨ばったお尻を撫でまわしても「ハア……」と悩まし気なため息が出るだけで、咎められない。
どうしよう。お風呂でナニしよう。いきなり本番というのはさすがに無理だろうし、何よりこんな場所でガチ恋してる課長を抱きたくないし……でも乳首もキスも封じられているとなると、さすがに…………。

「課長、俺が顔洗っていいんですか?」
「ん……」

椅子に座って目をつむり、じっと待っている。全裸でなんという無防備な格好。ギリギリまで唇を突き出して、俺は耐えた。耐え切った。だってまだ課長の唇腫れてるし……キスしたいけど……クソッ。
洗顔料をいつも以上に泡立てて課長の顔にくっつける。真っ白な泡に包まれた課長、天使みたいだな……中年の男に思うようなことじゃないのはわかってるんだけど。俺もヤキがまわったね。愛おしすぎる。
課長の顔のパーツ一つ一つを丁寧に撫でていく。さっきはこれをチンポでやったんだよな、俺。なんて考えてたら勃起してきたので、慌ててシャワーで洗い流した。

「顔、拭いてください」
「ん……ありがとな」

乾いたタオルを差し出した。拭き終わると課長は微動だにせず、俺の顔をじっと見つめている。えーーと次は。なんで好きな人と二人っきりで風呂入っててこんなテンパってんだ俺は。はじめてじゃないだろこんなシチュエーション。
だってだって、今までと違いすぎる。俺のガチ度が。ただ抱いて欲望を満たすだけじゃなくて、課長の仕草や言葉の一つ一つ、声の響きまで、大切に拾って宝物にしたい。急に少女漫画みたいな世界に来てしまった。緊張で心臓がうるさい。

「あの……」
「はい!?」

まさかの、課長からの話しかけに声が裏返ってしまう。情けないぞ俺、しっかりしろ。課長は蕩けた瞳で、傍らの俺の膝に手を置く。濡れた肌同士がしっとりと触れ合う感触に、一気に体が熱くなる。

「さっきの、手でしたやつ……」
「て、手コキ?」
「……それ。気持ち良かったか?」
「めっちゃ気持ち良かったです!!!!!!!!」
「あれで、足りたか……?」

え。これもし「足りなかった」って言ったら、もっとしてくれるやつ……!?!?
タオルで隠した股間がグッと白い表面を持ち上げる。課長はそれを目視で確認して、恥ずかしそうに顔を逸らす。

「もう一回、してやろうか……?」
「もう一回……!?」
「ああでも、手は飽きたか? とはいえまだ、口使えないし……」

口が大丈夫ならフェラしてくれるんですか!?!?!?!?!?
頭が爆発しそうだ。嬉しい気持ちが溢れそうなのにうまく外に出せなくて溜まっていくから。
どうすることもできず、普通に手を握った。指を絡めて何度も握り直す。課長の瞳はますます蕩けて、俺から目を離さない。俺今どんな顔してるのかな。課長みたいにエロい顔? いやケダモノのように目を剥きだしてヨダレ垂らしている気しかしない。
セックスしたい。あなたを抱きたいです課長。喉まで出かかって飲み込んだ。課長はきっとサセてくれるだろう。だけどなあなあじゃいやだ。ちゃんと思いを通じ合わせたい。だけど……。

「課長、課長……」
「うん……」

俺も課長も何も言えない。ただただ手を絡め合って、次へ進むことを躊躇している。全裸だし二人きりだし、こんな状況で告白していないのは異常だ。だけど勢いで、この人を抱きたくはない……。
俺は意を決して息を吸った。課長の指がキュッと俺の手に強く縋る。

「課長の、お尻……弄らせてください」
「へ……お尻……?」
「抱きたいので……準備……」
「あ…………」
「いいですか……?」

下半身を撫でまわしながら見つめる。課長は溺れそうにハッハッと朧げな息をして、少し泣いている。怖いのかな。可愛すぎる。首を傾げて見せると、小さく何度も頷いてくれた。

「大丈夫ですよ、今日は抱きません。何日間かかけてじっくりと、痛くないようにしますから」
「……わかった……」

少し安心したようだ。口元が僅かに緩む。たとえ処女だろうとその日のうちに抱いてその日のうちにサヨナラするのが俺のスタイルだったのに……課長、マジで罪な人。どれだけ時間かかってもいい。この人と心の底から、愛し合えるなら。

「四つん這いになってください。お尻の中洗うんで」
「え……!?」
「お湯入れて、カンチョーみたいに中のモノ出すんです」
「そ、それはっ……」
「見せて。課長の全部、俺に」

一世一代の口説きだった。椅子に座ったままの課長の隣に跪いて手を取る。うやうやしく手の甲にキスをして、愛を込めて頬ずりした。
好きな人に一生懸命になるってこういう感覚なんだ。うわべだけの言葉や愛撫でなあなあに抱くんじゃなくて、本気で好きだからこそ、俺の想いをわかってもらって、それで、許されたい。
課長が横目で俺を盗み見る。バッチリと目が合うと、なんと飛びつかれた。椅子から崩れ落ちるようにして俺の懐に入り込んできて、そのままギュッと抱きついてくる。

「か、課長……?」
「宮西……宮西っ」
「…………大丈夫ですよ」
「こわいっ……恥ずかしいっ」
「だーいじょうぶ……俺が全部……ね……?」
「はあ、はあ……ッ」

そうっと課長の後孔を爪の先でひっかく。ピクンと跳ねてますます縋り付いてきたので、そのまま指の腹でじっくりと撫でて解してやる。
すごい力で抱きついてくるな、震えてるし……けど四つん這いより、こっちのほうが安心するならこれでいいかもしれんな……なんか、愛し合ってる感じ、するし……♡

「課長、ココ……俺に貫かせて……?」
「うう……うう」

コクコクと頷いて俺の首筋に頭を擦り付けてくる。ああもう守りたいのに口説いてしまう。だってこの可愛い人を早く俺のものにしたい。課長だって俺に抱かれたがってる。つらい思いさせたくないけど……だったら気持ち良くなれるように、俺が責任もって慣らしてやらないと…………。
グプッ。指の先っぽがめり込む。課長がガクンと仰け反って背中に爪を立ててくる。こわいね。大丈夫だよ。いつも堂々としていた課長がこんな……ああカワイイ……よだれ出る……優越感ドバドバやばい。

「力抜いて……痛かったらすぐに抜くよ」
「うう、うう」

またコクコク頷いて、少しだけしがみつく力を弱めてくれた。指を1ミリずつ進める。課長が震える。頭を抱き込んで撫でてやる。
かなり長い時間をかけて、解した。ローションでも用意してやったほうがよかったのだろうが、課長が俺にしがみついている時間が幸福すぎて抜け出せなかった。全裸で密着し合う気持ち良さに、溺れてしまった。

「シャワー入れようか。大丈夫だよ、お漏らしじゃないから。準備だからさ」
「うぅ、うぅ」

今度こそ四つん這いにして、シャワーヘッドを外して準備する。少しでも苦しくないように、少しずつ……お湯を注入する。課長の四肢がビクビクと震えて、すごく、倒錯的だ。
行為の前にネコの手伝いをするのは思えばこれがはじめてだ。他の奴のは興味ないけど、課長が……苦しそうに我慢している姿、泣き声漏らしている姿、スゲーいい……俺のために、頑張ってくれてる…………。

「トイレ、行こっか」
「うぅ」

俺の指で栓をして、全体重預けてくる課長を支えて今度はトイレにエスコートする。すっかり乾ききった太腿を便座に下ろして、課長は頭を抱える。

「う、出てって、出てって」
「課長…………見たい」
「ダメって~~~~~……!? うあ、ああ、あああっ」

突如、乱暴な水音。課長がお腹を抱えて俯く。ビチーーーーーーツ。下品に響き渡る音をかき消さんばかりの勢いで、課長が泣き声をあげる。そこはかとなく漂う便の臭いにはなんの不快感もなく……なんなら少し、エロティックすら感じる。
だらしのない音は続き、課長ははひはひと顔を歪ませながら俺が無理やりつないだ両手に力を込めている。課長、ここまでして俺と……嬉しくて、拝むようにその手を顔の前まで持ち上げる。

「えらいですね。ちゃんとできてますよ」
「あ、あ、みやにし、っ」
「吉野さんにローションもらってきますね。洗ったら部屋に戻ってきて」
「まって……!」

解きかけた手を掴み直された。ギュルギュル鳴るお腹の音に混じって、課長が涙交じりに訴えかけてくる。

「今日は、これで、」
「おしまい?」
「だ」

コクコクと頷く様が可愛くて、つい顔が緩んでしまう。
最初からちょっと刺激が強すぎたかな。でも課長は覚悟を見せてくれた。俺まだ告白もできない情けない男なのに。いや好きとか愛してるとかは言ってるけど、まだ付き合ってもらってるわけでもなくて……。
………………あ。改めて考えたらバッド入ってきたわ。
なんで俺こんなにこの人に手出して許されていんだろ? 尻開発より先にやることがあるだろーが……!?

「……わかりました。無理させてすみません」
「平気だから……少ししたら出る」
「はい。待ってますね」

頬にキスしてトイレを出た。だいぶ小さくなったが依然漏れ聞こえてくる下痢便サウンドを愛おしく思いながらベッドに戻る。
ややあって課長は戻ってきた。キッチンで丁寧に手を洗ってから、そっと俺の隣に潜り込む。後ろから抱き込んで温めた。いや、本当は俺が温めてもらっていた。こうして常に愛を伝えていないとなんだか、不安だ。

「課長……俺のわがまま聞いてくれて、ありがとうございます」
「ン……」

課長の胸にまわした腕を、抱き込んでくれる気配。俺たちもう立派なカップルじゃないのか。言ってもいいんじゃないのか。付き合って欲しいって。けど……。
課長、はじめてエロいことされて夢中になっているだけという可能性も捨てきれない。たまに恋する乙女のような目で俺を見るのも、俺じゃなくて恋に恋しているだけなのかもなって……俺、課長に好かれるような魅力的な人間じゃないし……顔がそこそこ良くてテクもあるけど、課長はそんなんに靡く人じゃない……俺、俺がもっと、ちゃんとした大人にならないと、この人に釣り合わない……。
最初は抱ければラッキーくらいに思っていたのに、この人が俺に近付くたびに、俺ももっと、この人に近付きたくなって……離れがたい、一度だけじゃいやだ……ずっと、ずっとそばにいて、愛してあげたい……護りたい……。

「……ゲンメツして、ないか」

押し殺したような声が俺に問う。ゲンメツって、俺が、課長に?
逆ならいくらでもあるだろうけど、俺が課長になんてあり得ない。知れば知るほど課長を好きになる。淫乱なところも愛せる自信ある。やべ、俺マジで恋しちゃってるんだわ……。
腕の力を強める。安心したような吐息が手にかかる。そのまま頬や顎を撫でて愛でた。

「大好きです、課長」
「……また、そんな……」
「早く、このカラダに全部教えてあげたいな……」
「う……!」

耳元にエロっちく囁きかけると、課長は身体を強張らせてしまう。リラックスして。もう一度囁きかけて身体中を包み込む。スッポリ収まる……というわけにはいかないけど、細身の身体はそのほとんどを隠せてしまう。

「明日も、いっぱいエッチなことしましょうね」
「ばか……」
「おやすみなさい」
「……おやすみ」

頬にキスして擦り寄る。課長はまんざらでもなさそうにそれを受け容れてくれた。
あとは繋がるだけなのに。制約が多くてもどかしい。早く、早く……この人が欲しい。雄としてこの人を征服したい。課長は俺のものなんだって、認めさせたい……。





ぱか。自分でも驚くくらいにハッキリと覚醒した。
陽の光なんてもう何日も浴びていないのに、やけに身体に力が漲っている。その正体は隣にある温もりのせいだとわかり、顔を傾けた。
眠っている課長、が……俺の腕に縋り付いて、ヨダレ垂らして寝ている…………。
ぶわりと湧きあがった多幸感に、一瞬息をするのも忘れた。昨晩は確か俺が課長を後ろから抱きかかえて寝ていたはず。
たまに共寝をするセフレにそうしてと頼まれた時も、朝になると必ず抱擁が解けているのはセフレ曰く「寝入ったらすぐにそっけなく寝返り打たれた」からとのこと。俺って暑がりだしもともと人と寝るの慣れていないからそうなっちゃうのよね。
だけど今は課長から俺に抱きついて来てる。俺の腕に、両腕を絡めて、まるで街中でデートするカップルのように…………。こんな朝っぱらからこんなに顔熱くなることあるのだろうか。好きな人と迎える朝、マジでいい。しかも課長から俺に、こんな、密着して。
寝ぼけただけかもしれないけど、今この状況になっているのがマジで嬉しい。潜在的に課長が俺とくっつきたいと思ってしてくれたのかもって学者レベルで分析してしまう(学者には後で謝る)…………僥倖だ…………。
そっと髪に触れてみた。色素の薄い短髪。前髪はすごく短いけど後退しているという感じではない。これがより課長の儚さを際立たせている…………丸見えのでこ、カワイイ…………。

「ン…………」

見つめていると覚醒した。俺に撫でられていると知ると、気持ち良さそうに目を伏せて擦り寄ってくる。「なんでくっついてるの?」って耳元で揶揄ったらすぐにハッとして離れてしまったけれど。そういう迂闊なところも、キュートすぎる。
向かい合った状態で耳を撫でる。コリコリと骨を摘まむと、小さく息が漏れた。

「おはようございます、課長」
「おはよう…………」
「昨日マジで可愛かったね」

コクン、と唾を飲み込む課長。何か言いたげに上目遣いで見上げてくる。無自覚なんだろうな。なんで俺にそんなにも可愛い表情見せてくれるようになったの。「……なに?」ってこちらから聞いてあげると、おもむろに課長は俺の両手を取る。

「あの…………」
「ん?」
「内緒の話があるん、だが」

内緒の話って。響きまで可愛すぎる。もうこの人この場で食べちゃおっかな。クスクスと笑ってその口元に耳を寄せた。課長は緊張した様子で息を弾ませながら、そっと、俺の耳に囁く。

「乳首、治ったぞ…………」
「え!?!?」
「しー……」

ビックリした。いや、乳首が治ったことにではない。課長が素直に俺にそれを教えてくれたことにだ。だって俺がそんなの知ったら、またしつこくしゃぶり倒すに決まってるのに…………。
どうやら課長もその気みたいで、俺の手を自ら自分の服の中に導いてきた。俺があんまり顔見るから、恥ずかしがって俺の肩に埋めてしまう。恋人の距離感でしかない。
ああマジで。課長、マジですか。どこまで俺をときめかせたら気が済むんですか、もう!

「課長……」
「ンッ」
「朝から、大胆ですね……」

カリ。爪の先で先端を引っ掻く。課長があんまりにも良い反応をするから、くつくつと喉の奥で嗤うだけで、それ以上はしてやらない。その代わりに服の中で指を絡めて、耳を粘着質に舐めてやった。
「ンッ」「ンッ」と気持ち良さそうに喘ぐ。この人って欲張りなんだな。俺からもらえるものは全部欲しいんだ。そう思うと、なんだか急にイジワルしたい気持ちになってきた。

「おっぱい出してくださいよ」
「だ、ダメだ……!」
「え~?」

俺のニヤケ顔に抗議するかのように課長が強く言い渡してくる。からかって顔を近づけると、そのまま耳元にコソコソと囁かれた。

「監視カメラ、あるだろ……?」
「何を今さら」
「そうじゃなくて。私の乳首が治ったとバレたら、また食事が乳首の上限定に戻ってしまうぞ」
「あ……!」

なるほど。確かにそれはちょっと不便だな。課長の乳首チュパチュパしながら食事できるなんて途方もない喜びだが……それはそれ、これはこれ。
だいたい現状、課長の全身(乳首と唇以外)をお皿にして食事をしてもいいなんて好条件を手にしているのだから、天秤にかけるならやはり利便性的にも面積的にも、今のままを選ぶだろう。

「そっか。じゃあ堂々とおっぱい触ったりチュパったりできねーじゃん」
「お前、言い方」
「服の中ならセーフですかね?」
「はンッ」

課長のパジャマの胸元が俺の手によって膨らみ、卑猥に動いている。もちろん中では乳首を摘まんでグニグニと久々の感触を愉しんでいる。
ああ、やっぱりココは格別だな……思えば課長の乳首は俺たちが触れ合うキッカケをくれた神聖な場所だ。今度こそ傷つけないように愛さないと。でもさすがに、見ることもできないのは生殺しすぎるぞ……?

「今は、あん……乳首に薬塗ってるようにしか見えないと、思う……んっ」
「気持ちいいですか?」
「シー……宮西、もっとこっち来い」
「? はい」

バサッ。突然視界が暗くなる。シーツを被された俺とそれから課長自身は向かい合って視線を交わす。きょとんとする俺を見て、焦れるように課長がパジャマを胸元までまくった。
薄暗く狭い空間に課長のおっぱいがゆらゆらと揺れて……一瞬、気絶したように見入ってしまった。気絶したようにというのは息も忘れてという意味だ。籠ったシーツの中は課長の発情した匂いでいっぱいで……一気に勃起する。

「……触らないのか?」

不安そうに見上げてくる目元を撫でて、片手で強く腰を抱き寄せた。「そんなに触って欲しいんですね」なんてからかい言葉ももう言えない。そりゃそうだろと当たり前のように返されてしまいそうで。
もちろん課長がそこまではっちゃけるわけはないのだけど……聞くのも愚かなほどに、課長が俺に乳首を愛撫して欲しいのは明らかだ。
自分でも無意識に食指が伸びて、触れる直前でグッと留まった。こんなおいしいシチュエーション、すぐにいつもと同じようにがっついてたまるか! 俺は課長にお仕置きしなければならない。中年男のくせに、こんなにも淫乱なんだからっ!

「……俺に触って欲しくて、どうしたら見つからずにデキるか考えてくれたんだ」
「宮西……ッ」
「でもどーしよっかなあ。俺、今乳首より素股の気分なんですよねえ」
「~~~ッ、もういいっ、触らないならっ……」
「いいの? ホントに」

こんなに薄暗くても課長が顔を真っ赤に染めているのがわかる。今まで俺がみっともないほどがっついていたから、まさか自分から誘って食いつかないなんて思いもしなかったんだろうな。
今、すごく恥ずかしいのだろう。プライドはあるけど、乳首は愛撫されたくてウズウズしているだろうし……ああ、もっと明るいところで顔見たかったなあ。シーツ少し開いているから、十分シコい表情は確認できてますけどね。

「もっと俺のこと誘惑してくださいよ。乳首治ったって教えてくれて、こんなシーツの中にまで連れ込んだんですから」
「ゆ、誘惑って……!」

課長、また泣き声あげて怒ってる。かーわい。スリ、と頬を撫でる。もっと腰を抱き寄せる。監視カメラからはさすがに俺たちがシーツの中でイチャついてることくらいしかわからないだろ。
課長の胸元に顔を寄せてふーと息をかけた。まくったままの乳首に直撃して「あ……!」って女みたいな声が漏れる。たまんない。ここまでされてまだおっぱい出したままだし。諦めきれないんだよな、わかってるよ。

「俺に触って欲しい場所アピールしてよ。手で掴んだり、自分で弄ったりしてさ」
「そ、そんな……そんなっ……」
「大丈夫。俺しか見てないよ。昨日だってさんざん恥ずかしいところ見せてくれたじゃん」
「無理だっ、私は……!」
「もっと課長のエッチなとこ見せて」

乳首に囁きかけた。湿気で濡れるほどに近い。課長は顔を覆って悶えながら、ドスドスと俺の足を蹴り出してくる。いて、いててて。ハア幸せ。まるでか弱い女の子とじゃれ合ってるみてぇ。
「咥えて」と課長のパジャマの裾を唇に持っていく。そうするとなんと課長、おとなしく言いなりになって裾を咥えてくれた。自由になった手を俺が掴んで胸元に導いてやる。女のたわわな胸を掴むように、下から持ち上げて、揉みだして……羞恥でほとんど開ききらない目が、どろりと俺に迫ってくる。

「宮西……頼むッ……」
「何をお願いしてるんですか? 言って」
「私の、乳首…………お願い………………」
「乳首を? どうするの?」
「ああッ……」

はくはくと課長が唇を開閉させる。言う。言うぞ。課長が自分の乳首を餌に俺を誘惑す、る、ぞ!!
なんて言うのかな。やっぱりどストレートに「触って」かな? 言い回しが独特な課長なら「愛して」とかもあるかも? ク~ッそそられる~!  大穴は「舐めて」だが……もしこんなこと言われたら俺、冷静でいられる自信ないよ……飯抜きで夜中まで舐め続けちゃうかも……。

「宮西、私の、乳首……」
「はいっ」
「メチャクチャに、して……」

は。
息が、できないっ……………………

ドダッ!!!
シーツの中で突き倒して首筋を舐め倒した。課長は「くぅうん~~」と子犬のように鳴いて弱々しく押し返してくる。媚びやがって!!!!!!!!!!! 可愛いなチクショウ!!!!!!!!!!!! それでいて、ドスケベ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!

「いいんだな? 時間無制限でやっちゃうぞ?」
「あぁ……みやにし」
「は~~~~~マジでっ…………悪い上司だあ~~~~」

俺も今思いっきりスケベな顔してると思う。だってメチャクチャにしてって。あの藤野課長がだよ? 今こんなに乳首疼いてるのだって俺に開発されたからで……ああ、マジで役得すぎる……天がすべて俺に味方してる……課長が乳首の才能しこたまに持ってたっていうのも含めて、もう森羅万象すべてに感謝!!!

「これがメチャクチャにして欲しい乳首チャンですか~~???????」
「あ、ああ~~~~、みやにし~~~~~~」
「クッ、クカッ、グググッ」

手始めに指先でグッグッと押し潰してイジメている。すぐにぷっくりと尖る感触に興奮してしまってうまく息が吸えない。変な笑い声が出て俺自身限界を感じている。
本当はもっと焦らしたかったのに、すぐにパクッと口で迎えに行ってしまった。俺の完全敗北だ。あんなふうに煽られて、どうしても我慢できなかった…………。
ジュルッ、ジュルッ、ジュルッ。唾液を塗り付けて激しく吸い取る。乳首ごと。課長は何度も胸を押し上げて声を震わせる。それすらできないように上半身を乗せて拘束状態にする。覆い被さって、もうほんとうにメチャクチャにしゃぶった。
許さんからな。治った記念にギッタギタにしてやる。こんのマゾ乳首が。中心を舌で強く突いて周囲に歯を立てる。課長、感じすぎて泣いてら。もうマジでメチャクチャだ。
顔に手をあてて涙を確認して、少しだけ優しく舐めまわしてやる。声が甘やかになる。今度はトロトロに融かしてメチャクチャにしてやろ。レロレロレロ……チュパ、チュパ、チュパッ……。

「ああ、ああ、みやにし、イィ」
「ハア、ハアッ、美味しい……嬉しい? 課長、俺にこうされて、嬉しいっ?」
「う、うれ、しい」
「あ~~~~~~~~ヤバ、頭くらくらしてきた…………もうずっと舐めますからっ」
「みやにしぃ、ずっとお、ダメ、もおぉ」
「動かないで、ン~~~……チュポチュポ……好き、コレ……大好き……チュポチュポ」
「うぅうう、ううぅぅ」

指と舌と言葉でツンツンと愛を示す。課長はこもった空間から顔だけ出して、だらしなく息を荒げる。そのくせ俺の胸元をガッチリと脚でホールドして、俺だけをこの蒸れた空間に閉じ込める。
ハア、酸欠……でも、イイ……課長の乳首舐めながら死ぬなら…………ああ美味しい……カワイイ……プリップリだあ~~……へへ……俺の、俺のかわいこちゃん……!

「みやにし、みや、あぁン、もぉやめて~~~~~」
「なんで? フンッ、チュパッ、課長がやってって、ジュジュッ、言ったよっ?」
「また痛くなったら、また触ってもらえなくなるぅ……やだあ~~」
「へえ、えへ、えへへへへ……理由それなんだ……!?!?」

乳首お預けになるのイヤだから程々にしてね♡ ってことか!! ああ!!!脳バグる!!! ずっとシていたいけどそれは未来の自分の首を絞めるし課長もこう言っているし、ああでも、やめらんねえ~~~!!!!!!

「課長、カワイイよっ……!」
「の、のびてる、いやあっ、みや、みや~~~~~~~」
「ハアハア! ハアハアッ……!!」

コンコン、ガチャ。ノックからノータイムで扉が開く。ガラガラと配膳台の音も。吉野さんだ。俺たちはピタッと行為を止めて息を潜める。これ見よがしなため息が俺たちを容赦なく襲う。

「……念のため聞きますが、お二人は今何を?」
「よ、吉野さん! 違うんです、これはっ」
「カラダ舐めまわしながらチンコ扱いてあげてます! 朝食あざっす!」
「まったく……猿どもが」

バタン。ものすごい罵声を残して吉野さんは行ってしまった。俺は性懲りもなくぺろぺろと舐め上げながら、少しだけ拘束を緩める。

「はあ~~~、焦りましたね」
「アッ、アンッ、みやにし、もう、っ…………」
「ん。また布団の中で可愛がってあげますからね」
「………………」

布団から俺も顔を出してじっと見つめる。課長は羞恥に塗れた顔で黙って組み敷かれたままだ。期待しちゃって。もうマジで食事中以外はずっと乳首レロレロしちゃってよっかな。
そうしていつも通りの濃厚な食事タイムが始まった。我慢できなくて布団に連れ込んで、何も乗っていない乳首をチュパチュパして、また食卓に戻って全身を舐める……これを繰り返した。
吉野さんにはもう布団の中で挿れているとでも思われているかもしれない。ああ早く挿れてえ~~~~~~。乳首だけにかまけていないで、ちゃんと後ろの開発もしないとな……!





それからというものの。


「みやにし」

くいくいと袖を引かれて振り返る。好きな雑誌を供給されて珍しく読みふけってしまっていた。食事の時間だろうか。顔を上げてすぐ目に入った衝撃的な光景に俺は顎が外れそうになった。
課長が…………膝立ちの状態で、上の服全部めくりあげて、乳首露出させている……!?
しかもツンと俺のほうに突き出してきて、明らかに俺を誘っている。引力に逆らえない林檎のごとく、俺は課長の胸の中に落ちた。ああしかし。監視カメラの前で弄ってはダメだ。
息を荒げる俺の頭を抱き込んで、課長は満足げに髪を撫でてくる。

「布団、いかないか……?」
「課長……課長課長課長」
「ハア、早く……」

ギュッと抱きつく俺の腕をはがして、焦れるように立ち上がる。そうして課長自ら俺たちの身体にシーツをかけて、俺は薄闇の中で、課長の生乳首と至近距離でご対面する。

「なに。さみしかったの?」
「そういうわけじゃ、ない……」
「こんなに尖らせて。いやらしいです」

コネコネコネコネ。息を吐きかけながら親指と人差し指で揉みまくる。あっという間に息が上がって、課長の脚が俺にだいしゅきホールドしてきた。
ここのところ、課長の乳首へのおねだりがもうすんごい。直接的な言葉は絶対に言わないけど、俺が欲情するようにわざと大胆な仕草で誘惑してきて……俺が何をしていたって、絶対その気にしてくる。
別に俺がチョロすぎるわけじゃない。そりゃ俺は大好きな課長の乳首しゃぶれるならいつだってウェルカムなんですけどね? きっとこの色気にはノンケだって傾くと思う。それくらい、課長の色香が爆発して、もうすんごい。

「べろつけるよ? ほら、れ~……」
「ンッ、あ、あ」

わざと焦らして舌先を掠らせる。課長が強引に俺の頭を引き寄せるもんだから、思いっきりブチュッと衝突してしまった。そのまま舌で撫でて、吸って、唇で弾いて……課長の甘い声に触発されて、もっともっとしてやりたくなる。
この人の乳首、ほんとう美味しい。特別な味がするわけじゃないけど、小さい分張り詰めてプリップリだし、小粒で硬くてエロいし……細身にこの立派な乳首、俺が開発しました感がすごくて、もうたまらない。

チュッチュッチュッ……レロレロ……ジュルッ、ジュルッ

「いやあ……アッアッ」
「ホントはキスもしたいけどまだできないから……代わりに乳首といっぱいキスするね」
「ハア、みやにし、アアアア~~ッ」

監視カメラから見たらセックスしているように見えるように、下半身をバタバタと上下して擦り付ける。そうすると課長は俺の頭頂部に顔を埋め、くんくん、ハアハア、くんくん、ハアハアっていっぱい息してくる。
俺の匂い嗅いで興奮してんのかな……もう俺、課長のオナペットでもいいや……こうやって続けていたら、いつか刷り込み効果で俺しかダメになるかもしれないし。
つむじに課長の子犬みたいな声が降り注ぐ。脳天突き破って心臓までキュンキュン締め付けてくる。ずりーよ。

「くふん、くん、くぅん」
「あ~~おいし……全部脱がすよ……?」
「ん、ん、」

コクコクと頷く振動。するするとパジャマが取れていって、俺はシーツの隙間からそれを投げ捨てる。そして手始めに首筋にむしゃぶりついた。ジュルジュルジュルジュル!! ジュッジュッ!! チュパチュパチュパッ!!!

「あ~~~~~……!」
「ハア、すっげ……エロいエロいエロい……!! 雌フェロモン垂れ流してる自覚ある? 外行ったらぜってー他の男にこれ嗅がすなよ……!?!?!?!?!?」
「ああ、みやにし、みやにしぃ……」

ここで俺の名前を呼びながらギュウッ……て全力で抱き締められたりなんかしたら、もう……了承の意味だと取っちゃうけど、いいんでしょうか……?
ああ、まだ付き合ってもいないのにこんなにも独占欲丸出しでみっともねー俺。てかまだ抱いてもねーし。それなのにこんなメロメロにさせてくれんのマジで課長がはじめて。絶対にこの人を離してはいけないとビンビンに感じている。

「ハア、ハア、ハア……」
「はあ……はあ……あ…………」

唇を至近距離まで近づけてわざとらしく息を吐きかけた。課長も同じようにしてくれる。キスできないというのも結構いいかもしれん。俺までマゾに開花しそう。
課長の顔があまりにエロくてヨダレが垂れてしまう。課長の口の中にインして、課長はそれを目で追い、しっかりと喉を鳴らして――――よりいっそう、瞳を蕩かせる。

ああ、もうダメだ。一刻も早く抱きたい。

「課長、コッチ……準備、する?」
「あっ……」

手探りで尻を撫でまわして、グッと掴み開いてみせる。すると課長は上に身体をずらして、わざわざ俺の目の前に胸元を持ってきた。俺が愛したテカテカ熟れ乳首を乳房ごと掴み上げて、舌をだらしなく出したまま……濡れた声で、言う。

「……私の乳首、飽きたか?」
「あ、あ、あ、飽きるワケっ……!!」
「飽きるまで、シて欲しい…………」

そんなこと言ったら…………俺、生涯アンタの乳首咥えたままだけどいーんですか!?!?!?!?!?!?!?
そんで課長はどんだけ俺に乳首舐められたいの!?!?!? 俺の意思に任せるってことは、課長は無限に乳首して欲しいって思ってるってことよな!?!?!? 異論は認めん!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!
まんまと術中にハマって、がっぷりと咥え込んだ。乳輪を囲うように歯形がつくほど食い込ませて、それでも乳首だけは舌で丁寧に舐めまわす。茨の中でお姫様を愛するみたいに、重厚に護って、愛して…………すべてを俺に支配されて、課長は嬉しそうに喘ぎを続行させる。
この喘ぎ声がまたいい。喉の調子が良くないのかいつも掠れていて、でもそこが妙に色っぽい。いつもはあんなに整然と喋るのに……ずっと媚びている雌犬でしかない甘い響き、ずっとこれ聴いてたい。

「あっあっあぁん…………あ、やっ、やらあやっやっやっやぁ~~~~」
「ヂュウウウウウウッ!!!!!! ポンッ!!!!! ヂュウウウウウウウウウ」
「吸い過ぎ、だっ…………うう、こらあっ…………!」

ガチの強さで頭を押し返されて、俺は仕方なくペロペロ舐めに移行した。許しを乞うように見つめてみる。課長は俺の頭を優しく撫でて、安心したように微笑んでいる。

「また、痛めてしまう……」
「スミマセン……れるれる……」
「もうあんなのはいやだ……そうなったら、お前にこれ、シてもらえないだろう……?」

乳首が痛いからやめろではなくて。また乳首禁止期間があるのが嫌だから大切に扱えと? …………課長、どんだけ俺に乳首して欲しいんだよ!!!!!!
ああ~~~ッまた鼻の奥がツンとしてきたっ…………我ながら変態なタイミングで催すよな~~ッ…………。
懸命に鼻を啜りながら課長の乳首を舐めて己を落ち着ける。好きな人の乳首を舐めて落ち着くワケがないんだけどね。もはや直接的な行為より、課長からの好意を感じた時のほうが昂ってしまうのは、もう認めざるを得ないよな…………。

「課長……ンッ……幸せです、俺……」
「……お前、鼻血出ているだろう。ティッシュを詰めなさい」
「詰めたらまた舐めさせてくれますか?」
「わかったから……」

そういうと課長はティッシュを持ってきて詰め物を手ずから作ってくれる。俺がそれを詰めるのを確認すると、またシーツを被って胸を出してくれた。遠慮なく、しゃぶりついた。
ああ、課長。課長。マジで両想いだったらいいのに。性欲だけじゃなくて……俺のこと、好きになってくれたら……俺たち一生、相思相愛で居られるのに…………。




マズいぞ。

色惚けしすぎて忘れていた。この生活には、期限があるということを。
この部屋に連れてこられてもう二十日間が過ぎていた。当初、ここで過ごすと了承した時の約束では一ヶ月間という話だった。つまりおよそ三十日間。すでに三分の二を経過している。
つまり、あと十日間ほどでこの生活は解消……俺と課長は地上に出られて、今まで通り業務に忙殺される日々…………。

って、そんなの無理なんですけど??????????????????

この曖昧な関係のままここを出て、もう一度課長に言い寄れる気がしない。だって課長、本来の生活を取り戻したら正気を取り戻すに決まってるもん。また元通りの仕事人間。俺はただの部下。部下にセクハラされたりましてやセックスなんてとんでもない。
そして俺と課長は、今までと変わらない部下と上司の関係に戻る…………。

いやいやいや、耐えられないって。大体なんでこんな生活が降って湧いてきたのか今でも謎だけど、これは間違いなく現実だ。俺と課長は現状さんざん乳繰り合う関係になっている。
この関係が消えるなんて……いやだ。もちろん性欲解消したいというのもあるけれど、一番は、課長のこと本気で好きになってしまったから…………俺、もう普通の部下ではいられないよ。耐えて耐えて、それでも最後には告白してしまうと思う。
そして十中八九振られる。顔を合わせる度に課長が気まずい顔をするのに耐えられなくて、俺はあえなく辞職……なんて未来がありありと視える。

あと十日間で、付き合わなければ。
最低でも、セックスをしなければ…………!
既成事実さえあればグンと攻めやすくなる。「動画がある」とか言って騙して関係続行を強要させることだって…………まあ、できたらそんなことはしたくないけどさ~……。
それでも課長と離れ離れになる未来よりはマシだ。まずはセックス。セックスだ。
自分が完全に間違えているのはわかっているけど、この期に及んで「付き合ってください」の一言が言えない俺はもう既成事実に頼るしかないのだ。課長が俺に身体を許してくれたら、俺も自信が持てるかもしれない。行為の中で、分かることもあるかもしれないし。

なんて正当化して、俺は暇さえあればネチネチネチネチと課長の身体を触った。課長は、いつでも受け入れてくれた。
食事中も全身舐めまわしながら美味しくいただいたし、そのうちもうベッドに寝転んで課長を後ろから抱き締め、横たわった首にどんどん食事を盛り付けてはぐはぐとかっ食らいながら、下半身裸同士で素股まで愉しんだ。
性的快楽を得ながらの食事…………課長は今までこんな背徳的なことをさせられてきたのか。一人にしてゴメンネ。これからは俺も一緒にシてあげるから。あ~~~~~~、気持ちいっ……………………。

「ハメたい……課長……開発させて?」
「宮西、ダメ……こっちがいいぃ~」

お尻にまわした手をすぐさま乳首に持っていかれる。その魅惑のぷりぷりに触れると、一瞬で理性が吹っ飛んで捏ねまわしてしまう。これは仕方ない。だって、課長が俺に乳首されたがたっているのに放っておけるわけないじゃないか!!!
俺はお尻のことなどすっかり忘れて、課長の服の中に頭を入れる。運営(というものが存在するかわからないがおそらく吉野さんはその立ち位置だろう)はすでに課長の乳首が完治していることに気付いていると思う。それでも何も言わないのは俺にとってラッキーでしかないので、当初よりもうかなり明け透けに課長の乳首を愛撫してしまっている。
課長がそれに喜びすぎて足をバラバラさせるものだから、その……俺の股間をグリグリしてきて……わざとじゃないんだろうけど、また……下半身がいきり立つようなムラムラが蘇ってきてしまう。
抱きたい。この人の表面を触るだけじゃなくて、もっと奥まで……グチャグチャにして、鳴かせて、俺のモノにしたい…………!

「課長、やっぱり俺」
「アッ……みやにし、まって」

尻肉を掴んでアピールすると、また腕を掴んで制された。
……調子に乗るなよ。こっちはアンタみたいな痩せっぽっちいつでも好きにできるんだからな。黒い欲望が俺を支配する。しかし課長は完全に俺の両手を絡め取ってしまって、真っ直ぐに俺を向いた。
まるでキスのような距離感にドキッとする。こんな……どうせ、できないのに……。

「あの……唇、治った、から……」
「!?!?!?!?!?!?!?!??!!?!?!?!?!?」
「するか…………?」

ハァハァ言いながら課長が舌を差し出してくる。ヤッッッッッッバイ。なにこの視覚の暴力!!!!!!!!!!! また鼻血出させる気か!?!??!?!?!?!?
両肩を掴んで顔を寄せると「あ」と口角が上がる。マジでエロすぎる。乳首どころか唇まで付き合ってもいない同性の部下に好きにさせるなんて、本当にありがとうございます!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!


チュッ。課長の舌先に吸い付いてそのまま目を開く。課長も目を開いていて、俺と目が合うとみるみるうちに潤んで…………なんと自分から、俺の肩を掴んでチュッチュッと仕掛けてきたではないか。け、け、けしからん!!!
息が震える。情けない。俺らキスなんてはじめてじゃないのに……はじめての時以上の興奮に突き動かされて、完全に課長を腕の中に閉じ込め羽交い絞めにして吸いついた。
柔らかい……薄くてほとんど肉付きないけど、それが逆にエロい……。
口の端まで舐め取って、ハァハァ息吐きかけて見つめると、また課長からチュッチュしてくれる。相思相愛だ。これ間違いないわ。セックスする前に実感してしまった。

「課長……好きです」
「ン…………」
「好きだよ……」

あと一歩が踏み込めない。それでも課長は満足げに俺のキスを受け止めて、唇をペロペロと舐め返してくれる。
蕩ける……………………。俺はもう微動だにもせず、涙目でその世界一幸福な感触に酔いしれた。課長も息を荒げて興奮していた。マジでこのまま、死んでもいいと思った。






あ、あと一週間…………!


俺が課長の乳首と唇にかまけている間にも、期限は刻々と迫ってくる。欲望に負けてだらしないと言われても何も言い返せない。その通りだ。だって誘惑がデカすぎるんだもの。
清楚なはずの会社の上司が、エロ顔晒してヨダレ垂らしながら俺にキス迫ってきたり、乳首露出して「触って」って頼んできやがる。しかも最近課長、よく食べるから少しずつ肉がついてきて、妙に触り心地がいい。
俺や課長自身が手の平で掴むから、乳房も少し発達してきて、痩せているくせに雄っぱいっぽいものが出来つつある。女性ホルモンでも注射しているのかよこの人。歴代セフレでもこんなエロい体の奴いなかったわ。それとももしかしてこれって、愛の為せる力…………?

なんて浮かれている場合ではない。

なんだか課長は俺と触れ合うのは好きだけど、最後まではしたくないような素振りをする。最近ようやくそれに気付いた。
俺が開発目当てでお尻に手を伸ばすと、過剰に誘惑してきて他の部位に興味を逸らしてくるのだ。セックスというより開発が嫌なのかな? まあこの間洗浄だけ教えてあげた時は、俺の目の前で脱糞させられてさんざんだっただろうしなあ……。

己の浅はかな行動が憎い。きっと課長、アレでトラウマになってしまったんだな。最近は快楽漬けで性に奔放になったとはいえ、もとは潔癖っぽいし、あんな姿を他人に見られるのは抵抗しかなかっただろう。
俺、今でもアレで抜いてるんだけどなあ…………だから後悔しているかと聞かれると素直に「はい」とは言いにくいところがさすがのクズさである。言っておくが俺はスカ◎ロ系にはまったく興味がない。ただ課長の恥じらう姿、みっともない姿が俺の琴線をかき鳴らしまくっただけのことだ。

とにかく、今日こそ開発しなければ。
後ろの開発って処女だと時間かかるって聞いたことあるし、それに日数取られることによってせっかくヤリまくりの環境なのに数日間しか楽しめないとかつらすぎる……マジでもっと早くヤッておけばよかった。なんて最低なこと考えたくないのに、男って悲しい生き物よな。
課長のことが好きなのは本当だ。だからできれば合意の上で、穏やかに事に及びたい。課長の機嫌が良さそうなら、少々強引にでも抑え込んで剥いてしまおう。そして、あらかじめ用意しておいたローーーーーーーーションで(吉野さんに土下座して調達しました)快楽を教え込むッ……! よし、これしかない!!

「課長ッ……!!」

トイレから出てきたところに抱きついた。さっきまでのぬるいイチャコラの続きだと思っているのか、課長はヘラヘラしながら頭を撫でてくれる。そのまま寝室まで引きずって突き倒した。
ベルトを外して脱がす。すると突然顔色を変えてバタバタと暴れ出した。させるか。下半身スッポンポンにして、その上に乗り込んで、上半身も全部脱がしてしまう。
全裸になった課長はやっぱり綺麗で……思わずため息が出る。今では体毛全部剃ってしまっているし、骨の上に薄く乗った肉がピチピチと肉感を現わしてきていて正直最高だ。間髪入れず首筋を舐めたくった。

「課長! もう我慢できないです、俺……!」
「ン、あっ、わかった、宮西…………乳首か? 脇? あ、それとも……私が、口でシてやろうか…………?」

ッッッッッッッッッ。
突然のフェラチオ誘惑に反射的に鼻を抑える。…………ヨシ、なんとか持ち堪えたな。頑張ってるぞ、俺。
すぐさま課長の眼前にいきり立ったチンポを突きつけたいのを堪えて、グッと顔を寄せた。課長、焦ってる。やっぱりお尻を弄られるのが嫌なんだ。今までだって乳首とか唇とか脇とか足の裏とか、嫌がったけど……内臓触られるとなるとやっぱり話が違うよな。
だけど、俺だって本当にもう限界だ。


「課長のお尻、俺とセックスできるようにしてあげます」
「なっ…………そ、それはこの間……」
「あれは洗っただけでしょ? 指を挿れて慣らさないと、俺のチンポ挿入らないんですよ」
「わかってる……!!!!!!!!!!」

存外、課長の声が大きくて驚いた。課長自身も驚いたみたいで、口に手をあてて目を白黒させている。今「わかってる」って言ったよな。やっぱり課長も、俺とのセックスを意識してくれているんだよな?
手を外してじっと目を覗き込む。ちゃんと、説明して欲しかったから。課長だってきっと俺とシたいはずなのに、どうしていつも誤魔化してしまうのかって。俺がよほど不満げな顔をしていたのか、課長は申し訳なさそうに今度は目を伏せてしまう。

「すまない…………大きな声を」
「いえ……それより、課長、そんなにいやですか? 俺との」
「そういうわけでは、なくて……」

話してくれるのだろうか。課長は俯き、意を決したように俺を見る。そしてまた俯き、俺を見て、口を開きかけて…………それを何度も何度も繰り返した。
まったく進展がないその数分間も、課長の葛藤から来ているのであろうその仕草がなんだか可愛くて、俺はちっとも退屈しなかった。じっとそれを見つめたまま、呑気な気持ちで待っていられた。
だから俺は、自分がぶつけた質問がいかに重大なものか、そしてこれから返ってくる課長の答えが二人の運命を決めるものかを、忘れていた。

「や、やめよう……やっぱり、こんなのは」
「…………え」
「宮西、おかしくなっているんだよな。私のような枯れた中年男に欲情するなんて……こういう閉鎖的な空間ではよくあることだ。今までのことはお互い水に流そう」

そんな。待ってくれよ。俺の欲情を勘違いだとか、監禁による異常行動として片づけないでくれ。俺何回も言ってきたよね? 課長が好きだって。そのたびに課長が泣いたり受け入れがたい顔をするから、ああきっとダメなんだろうなってうっすらわかってはいたけれど…………俺を理由にするのは違うんじゃないか。
フるならもっとちゃんとフってほしい。じゃないと俺、諦めきれないよ。課長のこと、ずっと忘れられない……………………。

「なんで。さっきまで脇とかクチとか言ってたじゃないですか」
「だから……最後までシてしまうのは問題があるんだ。いくらお前が経験豊富でも、上司である私が部下であるお前を穢すわけにはいかない」
「課長を好きにしているのは俺です。でも俺は課長を穢しているという認識ありません。課長、どんどん綺麗になっていっているし」
「何の話だ……!?」
「だって全身の毛剃ってるのも、あかすりタオル使い始めたのも、ボディクリーム塗っているのも、全部俺のためですよね?」
「そっそれは……マナーかと…………!」
「正直スゲー期待してます。課長、俺とセックスしてもいいって思ってくれたのかなって」

言ってしまった。今まで言ったら可哀想だと思って言わなかった課長のボディケアについて。風呂に入る前にいちいち持ち込んでコソコソとやっていたから気付かないフリをしていたけど、覗きなど俺には朝飯前だ。
課長は本当に見違えた。髪もツヤツヤだしお肌もピチピチだし……ここに入る前はまさに枯れた中年だったのがウソみたいだ。俺に触れられて、意識してくれたんだと思うのは自信過剰なのかな?
最近の課長を見ていたら、自分から誘惑してくるし、どんどんエロのハードル下がっているし……これで勘違いだなんて言われたら、正直自分でもナニするかわかんねーぞ。

「私が、恥ずかしいのと……お前に不快感を抱かないようにやっていた、だけだ……」
「お尻洗わせてくれたじゃないですか」
「あれはっ……その場の雰囲気に、流されて…………」

ああダメだ。これは課長のきかんぼうモード。素面の時にこちらが積極的に攻めるとどんどん逃げていく。それを俺は快楽で酔わせてごり押しでここまできた。そのツケが今、まわってきている気がする。
真剣に告白するべきだ。俺の中の天使が大声で叫ぶ。だけどそんなの考えただけで、ブワッと汗が吹き出して、顔が爆発しそうになる……………………そういえば俺、自分からちゃんと告白したこと、人生で一回もねーわ…………。
こういうのは勢いだ。課長の肩をグワッと掴む。指の力で俺が今から言うこと、本気だって言外に伝えた。ギョッとした目が俺に焦点を合わせたのを確認して、俺は、声を絞り出す。

「好きなんです……!」
「あ…………」
「課長、俺……本気ですよ……? 本気で課長のこと、好きで……ここを出ても、今の関係続けたいし……ていうか、付き合いたい、です、ちゃんと」

『ちゃんと』の意味が今までに一番重くて、重圧に耐えきれず俯いた。それでも手の力は緩めない。俺の指が課長の肩に食い込む。ふと、これは暴力みたいで、脅しのようだと思いついてそっと離す。行き場のなくなった腕を力なくぶらりと垂れ下げた。
課長からの返事はない。当然だ、ここまで二人揃って結論を避け続けてきたんだ。課長だって性行為を愉しみたかっただけ。不慣れだから、簡単に俺の愛撫に陥落しただけ。
勇気を出して目を開ける。膝の上で握り締めた課長の手が震えている。そこにぽつりと雫が落ちた瞬間に、ハッと俺の意識が醒めた。反射的に顔を上げると、課長は……号泣していた。

「ヒッ……う…………ううッ…………」
「へっ!? そ、そんなに……!?!?!?!?!?!?」

どうしよう。今俺、ものすごく課長を困らせている。そうだよな。今までなあなあにしてきた部分、俺が追い詰めてしまったんだもの。
俺の欲だけで……だけど、妙に焦るんだ。ここにいるうちに俺、課長と結ばれないと……もう二度と、課長に触れられない気がして……………………。

「課長、ごめんなさい。忘れてください」
「忘れなきゃ、ダメか…………?」

慌ててティッシュを顔にあてがってやると、課長は大量の真っ白な布で顔を隠したまま、消え入りそうな声でそう言った。俺は咄嗟にその意味が理解できない。課長は俺の両腕を掴み、突然身を乗り出してくる。

「私も、好きだ……!」
「……………………へ」
「ごめんっ……好き…………う~~~っ…………」

好き、って。天使の羽が落っこちてくるみたいにティッシュの舞う中で、泣きながら縋ってきた課長の顔がリフレインされる。「私も」「好きだ」
私も、好きだ……!?!?!?!?!?!?!?!?!?

顔から、煙が出ている、気がする。熱暴走してオーバーヒートだ。
課長俺のこと好きなの!?!?!?!?やっぱり!?!?!?!?!?!? でもっ……あまりに自分に都合が良すぎて、そうは思わないようにしていた。だって期待が裏切られたら間違いなく死にたくなるから。
ドンドンドンと胸の内側から激しくノックをされて、喜びも思考も押し止められる。全部がその音に支配されて何も考えられない。
課長は何も言わない俺の手元を見つめて、すいと手指を掬った。遠慮気味に絡め取って……俯きながら発した濡れた声は小さく儚かったけれど、かろうじて俺の耳には届いた。

「思い出…………くれないか」
「へ?」
「頼む…………こんな私のことを、少しでも哀れに思うなら…………」

どういう、意味だ…………?
何も返せずにいると、焦れたように課長が俺のブツを握り込む。オッッッ。細い指に包まれて上下に慎ましく擦られて、このまま身を任せてしまいたくなる。まさか課長が自ら俺に触れてくれるなんて。しかも、チ、チンポにっ…………。
喜びに浸りながらも、このままではいけないような気がしてグッと下唇を噛み、理性を呼び戻した。このまま誘惑に負けてしまったら、今までと同じだ。

「課長……ま、待って」
「いやだ」
「思い出って、どういうことですか」

欲望に塗れた声は上擦っていたけれど、言うべきだと思ったからできるだけ喉を抑えつけてそう投げかけた。課長はそろりと俺から手を外す。所在なさげに視線を彷徨わせて、明らかに挙動不審だ。
「課長」と囁きかけて、両頬を手で包む。もう逃げないで。そんな願いを込めて。
長い溜息は震えていて、泣くのを堪えているのは明白だ。それでも、俺は答えをもらわなきゃならない。かなり待った後、課長はようやく口を開いてくれた。

「お前に、抱いてもらえたら…………その思い出だけで、私は生きていけるから」
「…………なんで? なんで、思い出だけ?」

付き合おうって言ってるじゃん。課長も俺のことが好きなら、付き合えばいいだけじゃん。一緒に住むことだってできる。たくさんデートもできる。エッチだっていくらでも…………どうして、ここで関係を断ち切ろうとするんだ?

「だって、ずっと一緒にいられる保証なんてないだろ」

課長の顔が苦しそうに歪む。涙がだくだくと溢れて、この人にもこんな激情があったのかと内心驚いてしまう。羞恥や快楽で泣かせたことは何度もあるけど、これは違う。課長の心の底から溢れ出た、俺のような若造には“救い難いもの”だ。
一瞬、決心が鈍る。この人が抱えた重い重い感情を、俺のような人間が余すことなく癒せるだろうか。だけど俺がこんなふうにした。自分を殺して生きてきた課長をここまで壊して、あまつさえ己を差し出せと要求したのだ。
俺は、応えなきゃ。そのためにはもっと、この人を知りたい。

「…………恋人にこっぴどく捨てられたり、したんですか?」
「逆だ。今までに恋愛なんてしたことがない。一方的に好きになることはあったが、他人と情を交わすなんて……私には無理だと思っていたから」

課長、やっぱり童貞処女だったッ……………………!
場違いな喜びを押し隠す。別に処女厨じゃねーしなんなら面倒だから経験済みの奴ばかり選んできた俺だけど、課長に限っては別だ。俺以外の男を知らなくてよかった。女とさえ触れ合ったことがなくてよかった。
思わず抱き締めたくなるが、悲しそうな課長を見るとやっぱり俺には荷が重い気がして怯んでしまう。課長は俺を見ず、気まずそうに顔を俯かせながら、ぽつりぽつりと言葉を続ける。

「怖いんだ……いつかは絶対別れなきゃいけない、死ぬほどつらい思いをするくらいなら、良い思い出に浸っていたほうがマシだ……お前は一回り以上年下で……私が性行為をできなくなったら? お前にとってメリットはないだろう? 哀れみだけで付き合ってもらったって、老後の介護までお前に任せなきゃいけないのは申し訳なさすぎる、だから、付き合うことはできないっ…………」

課長の恐怖が、全部全部吐きだされて、俺を濁流に飲み込んでいく。この人そこまで考えて……いや、考えることなのか、当然……俺はまだ大学出たばっかの世間知らずだから、そんなところまで考えが及ばなかった。
アラフォーの課長にとっては、介護とか身近な問題だろう。ご両親だってもうそういう年齢だろうし。温度感が違いすぎる。好きだからというだけで付き合える俺と、自分のすべてを委ねられる相手を求めている課長とでは。
だけど。だけどだけどだけど。ここで諦めるなんて、できない。こんな重いこと言われても、俺、やっぱり好きだよ…………課長と付き合いたい。ヤリ捨てする気なんてないし、一緒に歳を重ねていきたい。たとえ課長が先に要介護になったとしても、俺は…………。
震える手を握って胸に置く。これは性欲云々の簡単な問題ではない。俺は人ひとりの人生を背負う覚悟で、課長にアタックしなければならないんだ。務まるのかなんてわからないけど……俺、課長を幸せにしたい。
ずっと一人で生きていく覚悟をしていたこの人に、温もりをあげたい。俺の愛で、包んであげたい…………。

「課長」

もう一度頬に手を伸ばして、手の平全体でグイッと涙を拭ってやった。それでも全然追い付かなくて、後からどんどん溢れてくる。こんなにも大きな悲しみを背負った課長が愛おしくて、つい笑みが零れてしまった。

「俺、介護でもなんでもできるよ。課長の人生丸ごと欲しい」
「う~~~~~っ…………」
「信じて。こうやって、諦めずに、涙拭き続けるよ」

こんなふうに重い気持ち突きつけられて、それでも泣いている顔を見て笑ってしまうくらいには、この人が好きだ。幸せにできるかなんて本当はわからない。だけど俺は間違いなく幸せになれるだろう。課長は同じように、俺が幸せなのを見て幸せになってくれるのだろうか。

「課長の思う幸せって、なんですか?」
「え…………?」
「俺はね。課長の傍にいれること。課長のいろんな表情が見れること。身体に触れること。あとは、一緒に美味しいもの食べたりすることかな」
「…………私は、」

俺は俺が思うよりずっと、頭の中が課長でいっぱいになっているみたいだ。マジでこれ以外浮かばなかった。俺の描く未来には、絶対に課長が必要なんだ。今の若返った肌も、これから老いていく肌も、ずっとずっと体温を感じながら、触れていたい。
課長は真っ直ぐに俺を見つめたまま、またうるっと涙を浮かべる。俺が拭うと、絞り出すように話してくれた。

「お前に、見つめられて、触れられて……好きって、言われて……求められる、こと」

最後の方は声になっていなかったけど、ちゃんと伝わった。少し気を遣わせちゃったかな。俺のほうが課長ばっかりだっただけに。苦笑して、優しく手を重ねる。

「俺のことばっかりじゃなくてもいいんですよ。旅行行くとか、猫飼うとか、そういう課長自身の幸せ、教えてください」
「…………無理だ、今はお前のことでいっぱいで、他に何も、考えられない……」

マジですか。俺が課長でいっぱいなのと同じってこと? え? ちょっとそれならもう一回言って欲しいんですけど。無意識に遠慮しちゃってちゃんと聞けてなかった。課長の思う幸せって、俺に見つめられて、触られて……あとなんだっけ!?!?!? ウワーーーーーーー今度また絶対言ってもらう!!!
頬に触れる。どちらからともなく目を伏せて、唇を重ねた。それはまるで神前式のように清らかな、触れ合うだけの、しかしとても永い、キスだった。
すぐに課長が目を開く。切れ長の艶のある瞳が俺を映した瞬間、ゾクリと鳥肌が立った。何かを決心したような課長の瞳は俺を捉えて離さない。きっと、一生、永遠に、俺はこの時の課長の瞳に囚われたまま、課長に、奉仕し続ける………………。

「みやにし、すきだ」

その言葉が、瞳が、あまりに妖艶で何も言えない。そんな俺に、課長は眉を下げてもう一度キスをくれる。ぬと、と這う舌に一瞬で燃えるような欲望が呼び起こされた。
この人の匂い、味、体温……すっかり覚えてしまったそれに、条件反射でぐらりと股間が熱くなる。

「もう、自分でも制御できない……お前で満たされたい……もっと、お前と、」
「課長……俺もです。愛してます」

両手を絡めて、深く、互いの口内を探り合う。いつもは唾液に執心してしまうのに、今となっては課長自身の感触が恋しいから、垂れ落ちるそれは無視して口の端が切れそうになるまで大きくかぶりつく。
課長も同じみたいだ。俺の歯茎をレロレロ舐めて、熱い吐息を俺の口内に漏らして、夢中で舌同士を絡めてくれる。どちらにも飲まれなかった唾液がだくだくと二人の顎を伝ってシーツに落ちていく。それでも、離れたくない。
舌がだるくなるまで求め合って、ようやく離れる。すかさず課長が熱い身体で俺に縋り付く。痩せっぽっちの身体で、健気に愛を伝えてくれている。

「抱いて…………」

ドクン、と心臓が揺れた。もともとそのつもりだったのに、こうやって課長から懇願されるなんて思ってもいなかったから。興奮のせいで震える手が情けない。抑えつけるように課長の背中をかき抱いた。

「絶対、抱きます……!」
「ふふっ。嬉しい」
「けど、今日は無理ですよ……? ちゃんと馴らしましょう」
「え~」

こんなふうにだだをこねられる相手も俺だけなんだろうな。優越感に胸が満たされる。
俺は用意しておいたローションを手の中で温めて、課長の脚の間に割り入った。課長の窄まり、見られただけでヒクヒクって反応してる……こんなところまで愛おしいなんて。
周囲の皴に塗り込めて「今からここに挿れますよ」と予告をする。課長は嫌がっていない。むしろ期待に震えて甘い声を漏らし続けている。いける。確信した。舌なめずりしながら、指先を突き入れた。

「ンンっ……」
「痛くないですか? 大丈夫?」
「だい、じょうぶ、ああンっ」

振り向いた表情は意外と柔らかくて余裕がありそうだ。安心してグッと奥まで突き入れた。ローションに助けられてズブズブと出し入れできてしまう。スムーズなのに、抜くたびにギュウウッと締め付けてきてたまらない気持ちになる。
尻の穴弄っているだけでこんなにも心臓締め付けられるなんて、マジではじめてだ。この人のことを心から可愛いと思う。早く抱きたい。

「はあ、はあ…………ああっ、も…………」
「…………ッ」

課長の足が俺の尻を引き寄せてくる。エロすぎんだろこれ。
下半身に力を入れているわりに、穴のほうはズポズポと指を動かせる。トロトロのフワフワで、まるで経験済みみたいだ。
………………。

一瞬嫌な予感がよぎるが、課長はさっき恋人もできたことがないとはっきり宣言していた。直近は俺とここに監禁されていたから、他の奴と関係を持ったなんて考えられないし…………
と、いうことは、導き出される答えは一つなのだが……………………マジか?

「あの~~~~……課長、もしかして…………自分でイジりました?」
「……………………」

沈黙は肯定の証だ。顔を覗き込むと恥ずかしそうに両手で隠してしまったので、無理やり剥がしてじっくりと見つめた。課長の頬のこけた顔、生真面目に引き締まっていたそれが、今では泣きそうに歪んで……。
同じ会社の誰もこの表情を知らない。きっとこの人の友人だって、親族だって。愛おしさが爆発して唐突に唇を塞ぐ。舌を引っこ抜く勢いで吸い上げて、しまえなくなった出しっぱなしのそれを繰り返しジュコジュコとフェラする。
だらしなく開いた口から大量のヨダレが垂れ落ちて、課長の首筋を濡らしていく。それらもすべて綺麗に舐め取って、悶える課長の頬を少し乱暴に上から掴んだ。

「イジったんですね?」
「……………………はい」
「あ~~~~~あ。俺がじっくり馴らしてやろうって楽しみにしてたのになあ」
「だって………………恥ずかしいし、時間も……なかったし…………」

俺の雰囲気が変わったのに気付いたらしい、か細い声で弁明が始まった。
というか時間もなかったしってなんだ。ここを出るまでのタイムリミットのことか? 課長もここにいる間に俺と関係を持ちたいと思ってくれていた? それで焦って自分で尻穴開発したとか…………それってすっげえ健気じゃねぇ?
浸っていると、おもむろに課長が起き上がって俺の腹の上に跨ってきた。その頼りない重さにドキドキと何かを期待する。課長からアクションを起こされるなんてマジで数えるほどしかなかったから、その一つ一つを待ってしまう。

「気持ち良くできるよう、頑張るから…………許して、ほしい…………」
「え…………!?」

課長が後ろ手に俺のチンポを握って上下に扱き始めた。その先端の真上に腰を浮かせて……もはや挿入寸前だ。そんな、いきなり、まだ心の準備が。にやける顔と対照的に内心メチャクチャ焦る。ハジメテの課長にそんなことさせられないッッッ。
両側から腰を鷲掴みにするとビクンと全身が揺れた。「あ」「あ」と小刻みに声を漏らして震えている。もしかして強引にハメられると思ったんかな……それも捨てがたいけど、課長はセフレじゃないからやらない! 大切にしたい……!
チンポが挿入ってしまわないように、元通り俺の腹の上に座らせた。安心して緩んだ頬を撫でて笑いかける。

「だーめ。もっと前戯させてよ」
「それは……しただろう? この一ヶ月さんざん……」
「あれ前戯だったんだ。俺とエッチするのをゴール地点だと定めてたんだ?」
「と、途中から…………」
「かわいい。こんなかわいい人に雑な初体験させるわけにいかないよ」

課長がトロトロの瞳で俺を見つめている。ときめいてくれたのだろうか。心からの言葉で相手が喜んでくれるのウィンウィンすぎる。両想いってこんなにいいものだったんだな……!?!?!?
思えば俺も今までにまともな恋愛なんてしてこなかったのかもしれない。それなら一つずつちゃんと考えて、大切に、大切に進まないと。本命相手に失敗できない。グッとハードルが上がるけれど、それより遥かに跳ね上がっている課長好き度数のおかげで、俺は穏やかなままでいられた。

「脱がして?」
「あ……わかった…………」

全裸の課長に対してしっかりと服を着ている俺。両腕を広げて求めると、課長は目の前に正座した状態で俺のシャツのボタンを外してくれる。上半身裸になると、またトロトロの瞳で見つめてきて停止してしまった。
一度だけ軽くキスをする。そうして膝立ちになると、恥ずかしそうにパンツに手をかけて下ろしてくれた。
ブルン!! 待ってましたと言わんばかりに飛び出した俺の凶悪棒から飛沫が飛んだのか、課長が冷たそうに目を伏せる。その隙に膝の上に抱き込んで、全裸同士でしっとりと肌を合わせた。
課長の手がおずおずと俺の背中にまわされる。相思相愛の姿だ……課長の体温、形、柔らかさ……全部わかる……このまま一つに溶け合ってしまいたい、なんて、乙女みたいなことを考える自分に驚いてしまう。

「気持ちいい……」
「うん……私も、思ってた……」
「このままキスしたら、どうなっちゃうんでしょうね……?」
「ん、わからない……して、みたい…………」
「課長…………」

夢にまで見た瞬間だ。課長と両想いになって裸でイチャイチャだなんて。唇を一息に塞いで、上から奪うような格好であえて体重をかける。課長はしっかりと俺の首に両腕をかけて、絡めた舌に応えてくれた。
そうしている間にも二人でスリスリと肌を擦り合わせて…………マジで、二人で溶けてなくなっちゃいそう。ここにはしっかりと男二人分の肉体があるのに、フワフワと心が浮かんでもう何の重力も感じない。飛んでいるのかもしれない。
うなじまで伸びた毛を柔く掴みながら見つめる。課長、ヨダレ垂れてる……飲み込まずそのままにするのがもうすっかり癖になったよな。いつかの命令をまだ従順に聞いているの、ほんと調教のし甲斐がありそう。今日は、しないけどね。

「どうだった……?」
「きもち、いい……幸せだ…………」
「俺も……ああ課長……今日は飯食わない。ずっと課長食べてる」
「あっ、やんっ、みやにし……」

首筋に唾液塗り付けてジュルジュルと吸い戻す。たったそれだけで課長はブルブルと震えて感じまくっている。期待してるのかな。いいよ。たっぷり可愛がってあげるからね。
もう一度キスをしてから乳首に降りた。チュッ。レロレロレロ。目を見上げながら舌先を使う。課長が俺の手を導いてもう片方の乳首にあてがってくる。「触って欲しいの?」って聞くとこくんと頷いた。もうそのだらしない顔つきに羞恥の色はない。
興奮してるんだな…………あの課長が、自分から堂々とおねだりするなんて……。考えていたら俺も興奮してきた。唇で強く弾いて、指でデコピンして乳首をいじめる。それでも課長は悦んでただただ喘いでいる。

「ここ、好きだよね…………この乳首イジリで俺に堕ちたんだよね?」
「い、いわないでえ」
「ハアッ、マジなんだ……部下に乳首セクハラされて嬉しかったの?」
「うれしかった…………ずっとああいうの、だれかにサレてみたくて」
「誰でもよかったんだ?」
「いまはみやにしがいい、みやにしだけぇ」
「ふふ。よくできました」

慌ててフォローしてくる課長、俺を傷つけてしまったとでも思ったのだろうか。全然だよ、俺もあの時は下心しかなかったし。
だけど俺が最初に課長の寂しさを埋めたんだ。だから今こうして、愛し合っている。課長がスケベでよかった。そんで乳首に素質あってよかった。課長は俺がおかしくなったって言っているけど、おかしくなったのは課長のほうだと思う。
俺のことなんてただの部下としか思っていなかったくせに……こんな異様な空間で変態行為させられて、まんまと最初から変態の俺に絆されてしまった。かわいそうで可愛い課長。この乳首、一生俺だけのモノだよ。

親指と人差し指で両乳首を限界まで引っ張り上げる。「おお、おお」と目玉ひっくり返したあられもない顔で感じる課長、「お」の口が淫靡で実に良い。
指の腹に力を入れて思いっきり捻り上げる。課長はもう声も出ないようだ。伸ばされた乳首と連動するように喉を晒して伸び上がる。「ちゃんと自分のおっぱい見て」と囁きかけて、俯いたところで最大限に伸びた乳首の先端をクニクニと捏ねて、見せつけてやった。

「ほれほれ……気持ちいいねえ」
「……ゥッ! ……ッッ!」
「大丈夫? ヘンタイな感じ方してるよ?」
「ヒッ、う……ヒュ」

手を離してもだらしなく伸びきったまま戻らない。癒すように唇で食んでチュッチュッと吸った。課長は俺の後頭部を引き寄せて「りょうほう、」「りょうほうして」と甘い声でおねだりしてくる。あまりの可愛さについ、焦らすのも忘れて、頭ブン回しながら左右平等に舐めてしまう。

「痛くなかった?」
「みやにし、みや、にし、ああ、あ…………」

ギュウウウッ。ゆっくりと課長の腕に力がこもっていく。乳首に口をつけたまま抱き締められて、俺は今度こそ召されるかと思った。課長の乳首とゼロ距離なのに、今、課長は拒むどころか自分から俺に密着していて……ああ、ああ……ああ……………………。
舌先しか動かせないのでチロチロと乳頭を撫でて、スローな時間に酔いしれた。さっきまで暴力くらい乳首伸ばしまくっていたのに緩急が凄い。でもこれ、いいな…………今の俺達には無限に時間があるんだからできることだ…………。

やがて課長が腕を解く。もう一度乳首を舐め直してから、今度は脇に移行した。「両腕を上げて頭の後ろで手を組んで」と耳元で要求したら課長はおとなしく従ってくれた。
なんというエロい光景……会社の上司がつるつるの脇を晒して、ハアハアと息を荒げながら期待に満ちた眼差しで俺を見つめている…………。
綺麗に手入れされたそこに両手をあてがって指をワシャワシャしてみる。くすぐられているだけだというのに、課長は「あん」「あぁん」って喘いでみだらに身体を揺らしている。
そんな腰つき、するんだ…………なんて考えてたらまた鼻血出そうだから、見ないようにそこに顔を寄せた。

「汗、かいてるかな?」
「あ…………ダメ」
「ダメじゃないでしょ」

期待してたくせに。唇をすぼめてジュウウウと吸いつく。ほんのわずかにしょっぱさがあったけどまだあまり汗ばんではいないみたいだ。残念。もっとすごいことしてからまた改めて舐めてやろう。
しかし課長があんまり嬉しそうに喘ぐので、凹んでいる部分をまんべんなく舐めまわしてやった。この人全身リップも癖になっているよな。まあ俺もしてあげるの好きだからいいんだけど。もちろん課長限定で。

「気持ち良かったね」
「うん…………あの、みやにし」
「可愛いです、課長」

抱き締めて頬ずりする。たまたま目の前に耳があったからこれも舐めしゃぶった。「好きだよ」って百回くらい言った。課長は蕩けた。液状化して、もう俺にへばりついて離れられなくなってる。

「課長、もっと舐めたいから離して」
「やだ……みやにし、シて…………」
「ん~? 何をするの?」
「セックス、シて…………」

ドキリ。確かに矢が刺さった衝撃があって胸を抑えてしまった。さっきから何か言いたげだったけどこれだったのか。焦らされてると思ったのかな。俺そんなつもりなくて、初夜だから大事にしたいし、イチャイチャしているだけで満たされてるから、まったく焦ってなかったんだけど…………。

「…………シたいの?」
「うん…………」
「まだダメだよ」
「なんで? なんでぇ……?」

「シたくないのぉ……?」と掠れた声で詰められて、一気に押し倒したくなってしまう。
シたくないわけないだろ。シたいに決まってる。けど、好きな人とするのってたぶん俺もハジメテだから……一生の思い出にしたい。最高の体験にしたい。だから……。

「みやにしのペニス、なめたい~~」
「なっ……!!!!!!」

出たペニス。ちょっと面白いのに茶化す気になれない。だって課長半泣きだし。俺だって舐められたいし。
思えば課長にフェラしてもらうのもはじめてだ。今まで何回か申し出てくれたけど断ってた、その先を我慢できる自信ないから。けど課長、そんなに俺のを舐めたいと思ってくれてたんだ…………!?

「舐めたら、ダメか……?」
「その前に。ペニスじゃなくてチンポって言って」
「そ、そんな下品なこと……」

言っている内容は十分下品だと思うが。大体男は普通にチンポって言うだろ。この人きっと学生時代に友達と下ネタ話したこともないんだろーな。人一倍スケベなくせして。ああもうこの人の溜まりに溜まった性欲俺が全部引き受けるんだと思うと、腕が鳴るぜ~~~ッ!

「言わないと舐めさせてあげないよ?」
「う…………ち、ちんぽ…………」
「ちゃんともう一回お願いして?」
「み、みやにしの、ちんぽ、舐めたい……舐めさせて、ください……」

敬語になった勢いで、なんと課長は真正面から俺に土下座をかましてきたではないか。ウッワ~~~~~~~~~なんという…………勘弁してください…………加虐心がぁ~~~~~ッ……いや今はお前の出番じゃない出てくるな…………俺は、俺は甘々初体験エッチをまっとうするんだ……!
こんなにかたく決意しているのに、課長は一体何を考えているんだ!?!? 俺のことこんなにメチャクチャにしてェ~~~ッ……くゥ~~~~~~~~~ッ…………………………。

「いいよ」
「…………!」

平静を装ってチンポを突き出した。頭を上げた課長は、突然目の前にチンポが現れてたいそう驚いたが、反射的に、といった感じでパクリと中ほどまで咥えてくる。エッいきなり!?!?!?!?!?
咥えた後でじっと俺の顔を見上げて、困ったように口内でチロチロと先端を舐め上げてくる。ウッいいッ………………もうすぐにでも出そう…………いやでもさすがにそれは早漏すぎるな~~~~?????? たとえ愛の証となれど、男のプライドは守りたいッ……!!

死に物狂いで射精を我慢して、どんどん激しくなる課長の舌の猛攻に耐えた。不器用ながらも唇で扱いて、舌を巻きつけてくる健気な仕草に胸のキュンキュンと股間のキュンキュンが連動してもう俺は死にそうです。
あげくに唾液を絡められてジュルジュルと吸いつかれちゃったりしたらそりゃ、

「アア、出る、ッ、課長」
「ンッ…………」

必死にギリギリまで我慢して予告してあげたのに、課長は咥えたまま、目を伏せて動かない。なんでだよ。早く避難しろよ出ちゃうって。ああもう…………!
ドクンッ…………。好きな人の口内で射精するという素晴らしい瞬間に、俺はついに一瞬気絶した。一瞬だけどね。秒で目を覚まして、俺の股間でゴクゴクと喉を鳴らしている課長を見る。ん? ゴクゴク?

「の、飲んでる……!?!?」
「ン~~~~~」

プハッ、と口を外して、課長は満足げに微笑んでいる。
この人飲ザーもいけるとかマジかよ。マジで処女なんだよな? 誰にも教えられたりしてねえよな? 不安になるくらい淫乱ビッチなんだが!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!

「課長…………平気なんですか……!?」
「ずっと……のみたかった、から」
「え!?!?!?」
「みやにしのにおい、すき……あじも、すきだ……ヘンタイで、すまない……」

アア…………アアアアアア…………理性が崩壊していく音がする~~~~~~~~~
性行為がはじめてで、俺のチンポここまで愛してくれるなんて…………飲むのにもまったく抵抗がないなんて、マジで才能の塊では!?!?!?!? もしくは、そんなんになっちゃうほどに俺のことが好き!?!?!??!?!?!?!?!?!??!

「みやにしのなら、なんでも、うけいれられるぞ……?」

パカッ。そう言って脚を開き、秘められし薔薇の門を見せつけてくる課長。俺と繋がる場所をこんなにも大胆にさらけ出して……全力で誘惑しにきているのがわかる……ああ、こんな淫乱、さっさとコマして辱めて俺のモノにしないと男がすたる……!!
押し倒してその身体をシーツに縫い付けた。課長の瞳がいっそう蕩ける。幾度も見てきた雌の顔。だけどこの雌だけはダメだ。大事にしないと。大事に、大事に、大事に、

「もう洗ってあるから……早く、キて……」

そう言って細い指をチュポ、チュポと出し入れして見せてくる。俺の脳内はもはや宇宙に侵されていた。あの課長が、あの藤野課長が。俺に……俺に…………!!!!!!
俺に!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!

「アアッ! 少しは待ってくれってもお~~~~~~~!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」
「…………ッ!?!?!?!?」

理性なんてもうないはずなのに、俺の魂が、失ってはいけないものが身体を突き動かしたようだ。組み敷いた課長を上下反対こにして、俺は上からそのケツに顔を埋めている。フーフーと鼻息をかけながら、見えないくらい近い距離でその蕾を堪能した。
未経験だ、間違いない。だけど、確かに慣らした痕跡はある…………!

「洗ってあるならいいよな!?!? 舌挿れるぞ!?!?!?」
「ヘッ……!?!?!?」
「アアすげ、こんなとこまで綺麗だな……!?!?」
「ひゃううううううんっ…………!!!!!!!」

ジュルジュルジュル!!!!!! 唾液を送り込んで周辺を舐めたくる。特徴的な匂いはしない、よっぽど念入りに洗ったみたいだ。いつの間に……もしかして常にこうだったのか? 課長、俺に襲われたくて……いつでも準備万端にしていたのか!?!?
別にこうしてほしくて洗い方を教えたわけじゃないのに、ないんだけども!!! 課長、もしかして無理やりして欲しいのかな……レイプ願望あったりする!?!? だからいつ俺が来てもいいように備えてたの!?!?!?
マッッッッッッッジで変態…………!!!!!!!!!!! 絶対に俺が一生飼い殺す!!!!!!!!!!! 求められるだけレイプしまくってやる!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!

「んんん~~~~、んまっ、課長、んまいよっ」
「みやにしダメ、ほんとに、ぃぃ~~~~」
「お前もボサッとせずにチンポ様舐めろ!!! オラッ!!!!!!!!!」
「んごオッ」

腰を引いて課長の口にズドンと突き入れる。勢いが良すぎて喉まで突いてしまったかもしれない。それでも俺は衝動を抑えられず、腰を入れて課長の口内を犯しまくった。後ろの穴にも舌を挿入して同じリズムでピストンしてやった。夢中だった。
課長、苦しいよね、ごめんね。でもお前が悪いんだからなこの淫乱が。ああこんな奥まで入れたらえずいちゃうかな。人のチンポゲロまみれにしたらわかってんだろなお仕置き千回すっぞ??????????
課長ラブで優しくしたい俺と興奮しきったレイプ魔の俺が交互に出てきて、結果腰振りをやめられない。下になった状態でズコズコとくちの中犯されてる課長は、もはや声も絶え絶えでたまにビクンと大きく跳ねる。あ、俺喉仏で課長のチンコ扱いてたわ…………んでなんか股間ヌルヌルになってるし……こんなんされて射精してんのこの人……!?!?!?!?!?

「強制フェラかケツ穴舌でほじくられたのか人の喉仏でシコったのか、どれでイッたんだ!?!?!?!? ンンン!?!?!?!?!?!?!?」
「んご、んご、ぷあっ………………」

腰を浮かせて唐突に口から引き抜く。課長は死にそうな息をまき散らしてぐったりと脱力してしまっている。一瞬その衰弱ぶりに心配になるが、パン!!!! 強めに尻を叩くと「あああっ」と甘い声で鳴いたので、きっと大丈夫だろう。
上からローション垂らして指二本でかき回してみる。まだ狭いけど……信じられないくらいに吸い付いてくる。これは名器だ。早く挿れたい。心臓が自分のものじゃないみたいにうるさい。俺は俺を支配している黒い感情が鬱陶しくて、「アアッ!」と振り払うように咆哮した。課長がビクリと縮こまる。

「あ、課長…………ごめんね、ひどくして……だって課長が悪いんだよ……!?」
「ウ、ウ、みや、にし、い」
「反省して? エロすぎるよ? 優しくしたいのにほんと勘弁して?」
「ごめ、なさ…………やさしくして、ください…………」
「ハアッ…………かわいーなあ…………今べろでケツ穴ほじっちゃったけど、俺とキスできる?」

覆い被さって顔を寄せると、課長は迷いもなく俺の後頭部を引き寄せてきた。深く唇が重なる。課長の口内は俺のチンポ臭くてお互い様だった。だけど俺は変態だから、課長の口から俺のチンポの臭いがするの、最高に興奮した。
味わうように互いの舌をねっとりと絡める。愛しさが溢れ出して、抱き込んだ頭をよしよしすると、課長も脚でまた俺の腰を蟹バサミしてきて、俺たちはまた全身で密着することとなる。
触れ合った傍から冷えていって、だいぶ汗をかいていることに気付く。ああ、楽しいなあ……好きな人と触れ合うのって、マジで楽しい…………!

「みやにし……」
「ン?」
「すき…………」

課長もだいぶ盛り上がっているみたいだ。目の開ききらないいやらしい表情で、俺をうっとりと見つめている。
すきだって。何度聞いても嘘だろって思う。課長が俺を本気で好きでいてくれるなんて…………幸せすぎる。俺も大好きです。返そうと思ったら、それより先に課長が言葉を続けた。

「わたしのナカ……はいって、ほしい」
「…………!!!!!!!!」
「みやにし……ち、ち、ちんぽ……おねがい…………」

たどたどしい声にご指名されて俺のブツは一気にエレクトした。身体が勝手に動く。ローションを手の平に足して、グチョグチョとゆっくり最終慣らしをしてやって、俺のをあてがって。
どこか他人事のように動く手とは裏腹に、股間だけがとんでもなく熱を持って今までにないほどに尖っている。これ、挿れていいのかな……マジで……課長、処女なのに大丈夫なのかな……?

「お、俺で、いいんですね……!?」
「みやにしがいいっ、おねがい、はやくう……」
「~~~~~~~~ッ」

挿れる。挿れる。課長に挿れる。心の中で唱えて信じがたい事実を必死に受け入れようとする。
本当にいいのか。俺で。こんな可愛い人、俺がエロに覚醒させたから爆モテするに決まってる、俺より幸せにできる人がいるかもしれない。俺、俺なんてまだ若造で収入もたぶん課長の半分以下で頼りなくて性欲だけはいっちょまえにあって、だから俺、俺なんか、

「はやく…………」

ググググッ。おそるべき力で課長の踵が腰を締め付けてくる。下半身が勝手に前に進んで、あてがっていた先端がツプッ、課長のアナに埋まっていく…………。
あ、あ、あ、気持ちいい。これが課長のナカ。課長、課長。数秒前の葛藤なんてすべて吹っ飛んで、欲望に頭が支配された。セックスしたい。俺、この人とセックスする。そのためにこれまで頑張ってきたんじゃないか。今さら逃すバカがいるか!!!
何より、課長が、こんっっっっっっっなにも俺を…………求めてくれている…………。
焦れて泣きべそをかく頬を包む。思い切って前に突き出すと簡単に柔肉に飲み込まれてしまった。胎内でグプグプと捕食する勢いでしゃぶられる。ああ。仰け反って、一瞬真っ白になった頭に、今さらなことが浮かんだ。

「あ……ゴム、してない…………」
「いらないっ…………みやにし、き、きもちいいか」
「いいっ……ああ、スゲー、かちょう、ゴムいいの、ほんとにっ」
「いいから……だきしめて、くれ…………」

課長が、ゴムより俺のハグを求めていらっしゃる……!
慌てて覆い被さって抱き締めた。そうだよな。恋人同士のはじめての挿入、身も心も繋がるものだ……課長は性行為したことないと言っていたけど、俺よりよっぽどその本質がわかってる……課長、マジで俺のこと好きなんだ…………。
体温から伝わってくるその事実にじんとする。こんなにも隙間なくくっついていて、下半身まで繋がっちゃって…………ああ、幸せだ…………愛してる…………。
もっと課長を感じたくて無意識に身体を揺すってしまう。スケベ心とかなくて純粋に課長と一つになった実感が欲しかったから。しっかりと抱き締めたまま、腰だけをグニャグニャとまわして、さらに締め付けてくる感触に微笑むように吐息を漏らした。
課長もさらに強く脚で俺の腰ホールドしてきて俺にしっかりと抱きついている。マジで課長を手に入れてしまった…………男としての誇らしさで、ジワジワと末端まで熱く綻んでくる。

「好き……大好きです」
「わたしも、すき……もっときつく、だきしめて……」
「はい…………ああ、すごい……」

腕の力を強くして腰振りを大きくすると、グチュグチュと卑猥な音が鳴り始める。課長スッゲエ濡れてるのかも…………エッチな人だ、ほんとに…………可愛い…………。
顔が湯たんぽみたいに熱くなってる。煙出ているかもしれない。今俺の腕の中にいるこの人が愛おしすぎて、本当に、本当に幸せだ。セックスってこんなにイイものだったんだな。俺、マジでホンモノを今まで知らなかったわ…………。

「そろそろ動きたいな……ねぇ、いい……?」
「も、うごいてる~……ひぃン……」

グチュッ、グチュッ、グチュッ。我に返ったら物凄い水音が鳴っていて、俺は課長を胸の中に閉じ込めたまま腰だけをメチャクチャに回転させていた。無意識って怖い。ああ~~~~~~気持ちいい…………課長、これが課長のナカの感触…………あ~~~~~~スッゲ…………止めらんねえッ……。

「気持ちいいよっ……ねえキスしたい……!!」
「あ、まっ……んむ~~~~~~~、ンッンッ……あ…………ン~~~…………」

もう課長の全部、俺のモノにしたくて夢中で口内を貪った。ツバ美味しい……チンポ気持ちいい……いい匂いする……課長の肌すべすべでドキドキする……!
気付くとケダモノのように口と胎内かき回してしまっていた。課長のほうから荒い吐息が返ってこなくなっているのに気づく。やべ。目を伏せてぐったりしていたのでペシペシと頬を叩くと、「ハッ」と息を漏らしてすぐに覚醒した。よ、よかった…………。

「すみませ……ヨすぎて…………っ」
「わたしも…………ビックリした……きもち、よすぎて……」
「えへ、えへへへへへへ」

課長ヨすぎて飛んでたんだ。何それ男の誉れすぎる。
不気味な笑いを抑えられず、細い肩をグッと掴んで腰を引いた。課長が目を見開いて身構える。わかってるよな。舌なめずりをして宣戦布告すると、コクン、課長は唾を飲んで覚悟を決めたようにシーツを掴んだ。

「イイとこいっぱい見つけてあげるからね」
「アッ…………!」

ズプン!! ついに奥まで挿入した。課長、目玉ぐるんってしてもう俺のこと見れてないじゃん…………フフ、かーわい。頭冴えてきた。ここからは経験豊富な俺のテクニックを見せつけてやるぜ。覚悟しろよ、ドスケベちゃん♡
腰を持ち直して奥を探る。ストロークを長くしてみる。課長はそのどれにも悶えてしまって、胎内すべてが性感帯みたいだ。こんなエロい人、他の奴に譲ろうとか一瞬でも思った俺がバカだった。絶対一生俺が面倒見る。俺ナシじゃいられない身体にしてやる……!!!!!!!!!!

「全部ヨさそう……っとにエロいカラダしてるよな~~」
「みやにし、まって、まって」
「待たない。気持ちヨすぎる!」
「ああ、アンッ、こんなの、こんなの~~~~~」

課長、泣いてる……カワイイ……。止めて欲しくて蟹バサミでギュッてしてるんだろうけど、これ、おねだりしてるようにしか見えないから。
調子に乗ってだだくさに突きまくる。課長が大きな声をあげてビクンと跳ねた。それきり脚がだらりとシーツに落ちてしまって……俺はナカの締まりですべてを悟ってしまう。

「イったね?」
「ひ、イ、った…………の…………?」
「俺もイかせて」
「ま、ま~~~~~~」

腰を掴んでいよいよ力を込めて撃ち込む。課長はいやいやしているけど抵抗しない。おそらくできないのだろう。イった直後にナカを激しく穿たれて。
きっと苦しいと思う。はじめてなのにこんな無茶な責め方されて。だけどまんざらじゃないのはエロっちい声の響きでわかるし、課長、いじめられるの好きだもんね。俺、あなたのエロいとこ全部わかってるからね。
俺は自分の欲望を満たすためだけの腰振りをした。ナカで弾ける直前に「しまった」と思うけど、止められなかった。ドクドクと注ぎ込みながら、意識があるのかないのかもわからない朦朧とした瞳の課長を見下ろす。かわいそう。かわいい。かわいい。
結局全部出し切って、顔中にひとしきりキスを落としてからようやく抜いた。コプッ。ぽっかりと空いた穴から流れ落ちる白濁に、俺はかつてない征服感を覚えた。

「出しちゃった……ごめんなさい」
「……きもち、よかったか……?」
「え」

怒られるかと思ったけど、課長はしおらしくそう問うてくるだけだ。どう答えて欲しいのかなんてわかってる。それに、嘘をつく必要もない。俺は幸せを前面に押し出した微笑みで、課長の頬を包む。

「気持ち良かったです」
「す、すてない……?」
「…………捨てませんよ。一生大事にします」
「あ、あっ……うれじぃ~~~~~~」

あらら、泣いちゃった。
身体を起こして抱き締める。その時に、ケツから漏れる精液用にティッシュを重ねて置いてやることも忘れない。そうして、胸の中に収めて、泣き止むまで頭を撫でてやった。
課長、ずっとさみしかったんだな。人の温もりを知らずにこの年齢まできて、マジで恋愛するの諦めてたんだ。俺が見つけてあげられてよかった。課長が、俺のこと好きになってくれてよかった…………。
腕の中の硬い身体が、世界で一番尊いものに思える。もう元の関係には戻れない。それでいい。もうこの人を離す気なんてないしな。その覚悟を持って抱いた。この人は俺にすべてを捧げてくれた。それなら俺だって、俺の一生をこの人に全部捧げる。

「愛してます、課長」

耳元に囁くと、ますます泣き声が大きくなってしまう。だけどこの涙は、今までに凝り固まっていた課長の「大人の部分」をすべてそぎ落とす儀式だと思った。
俺の前でなら泣いてもいいよ。みっともない姿も全部晒していいんだよ。課長の心はわからないけど、身体はもう、そう理解してくれているように見えた。





それから課長は腹を下してトイレにこもりっきりだったから、素直に反省した。いくら課長がいいって言ったって……あの人、初体験で舞い上がって前後不覚になっていた部分がある。セックスに関しては俺のほうが上級者であり先輩だ。こういうのは俺がしっかり歯止めをかけないといけなかったのに。
もう絶対欲望に負けないぞ。決意を新たに、課長の体調が良くなるのを待った。ぐったりと横になっているところを後ろから抱き締めて、ずっとお腹を擦ってやった。
そうすると課長は振り返って「舐めるか?」「キスする?」なんて聞いてきて……何、気を遣ってるんだか。早くヤリたいから優しくしているとでも思ったのだろうか。俺はマジでこんだけで、自分でも驚くほど満たされてるのに。
課長にくっついて、課長のために何かをしてあげてる。それだけで。

「無理しないで。俺、課長が元気ならそれだけで幸せですよ」
「……………………」
「なんか不満?」
「ン…………その、課長って…………」
「え?」
「………………なんでもない」

なんだろう。あ。もしかして、課長って呼ばれるのいやなのかな? もう俺たち、恋人同士になったから…………?
最後まで言えないところがまたこの人らしいよな。素面だと変な意地張っちゃってさあ。素直に言えばいいのに、名前で呼んで欲しいって。

「呼び方変えていい?」
「え? あ、えっ」
「昌春(まさはる)」

ひそ、と耳元に囁くと、途端にキュッと俺の腕を掴んで身体を硬くしてしまう。だからそんなに緊張しなくても。頭を撫でて宥めてやると、そのうちもとの柔らかさに戻った。
課長がこちらを向く。髪をセットしていない、腑抜けた表情の課長は確かにもう「課長」じゃなくて「昌春」だ。綺麗な名前だな。はじめて見た時もそう思った。この人にピッタリな、奥ゆかしくて、趣があって、美しい名前。
驚いた顔で硬直している頬にキスしてもう一度「昌春」と呼んだら、俺の胸に顔を埋めて恥ずかしそうに隠れてしまった。

「名前……知ってると、思わなかった……」
「知ってるに決まってるでしょ。好きなんだから」

あまり意識したことはなかったけど。そういえば会社の他の上司や同僚ですら、フルネームで覚えてる奴いないかもしれない。課長だけか。思えば俺、最初から課長のこと気になってたのかな……世話係として挨拶した後、わざわざ名簿で確認したし。
その時も綺麗な名前だなって、思った。この人にピッタリだって、少し微笑みさえ浮かべたような覚えがある。

「私も……た、た、匠馬(たくま)」
「おっ…………?」

課長、俺の名前知ってたんだ。いつも苗字呼びだし、他の奴らも皆そうだから俺の名前なんて知ってる奴いないと思ってた。セフレにだってハンネしか教えていないし。親や地元の友人にもしばらく会っていないからホント久々に呼ばれた。
だけどそれ以上に意味のある響きが胸にスッと沁みこんでくる。緊張したたどたどしい呼び方も愛おしくて、力いっぱい抱き締めてしまう。

「そっちこそ俺の名前知ってたんですね」
「なんか興味があって、名簿を見て確認した」
「ふーん。その頃から俺のこと気になってたとか?」
「そうかも…………うう、茶化さないでくれっ」

この人、もう完全に恋愛モードだな。俺のこと好きで好きで仕方ないくせに、甘え方がわからないからまだ変に我慢したり意地を張ったりしてしまう。セックスの最中はちゃんとおねだりできるのにね。
物欲しげに顎を撫でていると、期待したのかそっと顔を見せてくれた。見つめながら「昌春」と呼ぶ。あちらもトローッとした眼差しで見つめながら「匠馬」って呼んでくれる。ああ、マジで恋人同士じゃんこれ。嬉しすぎる!!!
期待された通りにキスをしてあげた。唇をつけながら乳首をこねると、俺の後頭部をワシャワシャしてくる。「もっとして」の合図だよなこりゃ。

「可愛い、昌春」
「ア、アッ、匠馬……」
「シたくなってきちゃった」
「わ、私も……」
「お腹とか腰とか、大丈夫?」
「大丈夫だから……きて」

広げられた腕の中に飛び込んで、激しく口付けながら押し倒した。いいほど口内を味わってから、頬を擦って目を開けさせる。しっかりと視線が通い合った状態で、呼びかけた。

「昌春……」
「ン……匠馬」
「舌出して」
「ウン……」

突き出された舌に歯を立てながら、先端を吸い上げる。電流が流れたように震えて俺に縋ってくるの、相変わらず可愛すぎる。俺は息継ぎのたびに目を見つめて「昌春」と呼んだ。あちらも「匠馬」と返してくれた。
「昌春」と「匠馬」は愛し合っていて、今俺が味わっている口内は「昌春」のもので…………回を重ねるごとに実感が増してくる。付き合ったらいきなり名前呼びって学生の時とかは違和感でしかなかったけど、こうやって慣れていくもんなんだな。
「昌春」「昌春」「昌春」…………俺の昌春…………もうただの上司なんかじゃない、下の名前で呼び合って、際限なくキスを繰り返す関係……俺の運命の相手って、昌春だったんだ…………。

「昌春、いちいちツバ飲まなくていいって教えたよね?」
「あ……ごめ……」
「いっぱい垂れ流して? ビチャビチャになっただらしない顔、俺に見せて」

上から覆って大量の唾液を流し込む。コク、と一度喉が鳴ったきり、昌春は目をとろんとさせてひたすら俺の求愛の舌吸いに応えた。飲まれなかった唾液がだくだくと昌春の顎を伝ってシーツに沁みをつくっていく。
唇を離すと、昌春は見せつけるように、さらに口内から唾液を溢れさせて壊れた笑顔を俺に向けた。きた。エロエロモードだ。食い入るように見つめる俺に甘えた声で擦り寄ってくる。

「見て…………匠馬」
「いいね。俺とのキス好き?」
「すき、匠馬とのキス、すき」

昌春も、俺の名前を噛み締めるように何度も呼んでくれている。「匠馬」「匠馬」と嬉しそうに呼ぶ顔は無邪気な子どものようだ。抱き寄せて、同時に後ろに指を忍ばせた。挿入る瞬間に驚いてしがみついてくるけど、出し入れするたびに俺の腕を掴む力が緩んでいく。代わりにお返しするように擦ってきて、甘えんぼさんだな、なんて心の中だけでからかった。

「あ、あ、あ……」
「柔らかいね~……もしかして、また?」
「洗って、ある……挿れて……?」
「っとに……スケベだな~……っ!?」
「あ、あン、あン……!」

なんで俺に手マンさせてくれないんだよコンニャロ。こうなったら強行突破だ。ナカまでトロトロでもう解す必要はなさそうだったけど、しつこく指で奥まで犯した。肩口にあたる吐息だけで射精しそうになる。二回目エッチがこんなに早くていいのか。ああ~~マジで幸せ。
十分に感触を愉しんでから抜き出した。課長はベッドを降りて俺をベッド際まで導く。そうして足元に跪くと、自分から俺の勃起チンポをその小さな口の中に咥え込んだ。
おおっ……最初っからジュルジュル吸ってきて、べろもヌルヌルできもち~~ッ…………ああ、ヤベ、なんかまた心配になってきた。

「ねえ……俺がハジメテ、ですよねっ?」
「ふ、ほうらろ……?」
「ウマすぎるんですけど……なに? 練習でもしたの?」
「…………ひへはいっ」

してないだって。じゃあなによこのテクは。才能? いや今の間は怪しいな。練習、したのかな。
そういえばこの人、俺のために乳首大きくしようとして夜中にコッソリ洗濯バサミに挟んでいたっけ。もしかして俺が寝こけてる間に性技磨いたり後ろ開発したりしてたっていうの!?!?!?!? 何寝てんだ俺!!!!!!!!!!!!!!!!! 起きてろよ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!??????????????????????????????

「あ~~~あ。見たかったなあ」
「してないって…………」
「出ちゃいそうだからもういいです。早く挿れたい」
「えっ…………」

立ち上がって昌春の背後にまわる。ベッドに手を突かせて腰を持つとにわかに慌て始めた。振り返って何か言いたげに口をパクパクしている。

「何か?」
「この体勢で挿れるのか……!?」
「そうだよ。男同士なら後ろからのがフツーなんじゃないの?」
「そう、なのか…………?」
「大丈夫。後ろからでもじっくり触ってあげますから」

先端を穴にぶるんぶるんと擦り付けると、小さな腰が揺れる揺れる。焦らすかと思いきや、両手で抑えつけてアッサリ挿入してやった。ビクンビクンと全身で揺れて感じているの、たまらない。
慣らすために何往復かしてから、両手を乳首に持っていって人差し指の腹でクニクニと押し込む。後ろからのが触りやすいといえば乳首だよな。
この人って体位の知識もまるでなさそうだし、まだまだ教え込むことはたくさんありそうだ。一通り試したらどの体位が一番好きか聞こう、楽しみだな。

「アアッ、やぁっ、やぁ~~~~~~~~~」
「イイでしょう?」

コク、コクと頷く昌春。素直で大変よろしい。可愛い反応を見ていたら久々に乳首ガンガンいじめたくなってきちゃった。指で摘まんでコリコリと丹念に捏ねる。「アァ、アァ、アァ」と悦んでいるでしかない喘ぎ声が耳に心地よい。

「可愛い声だね。録音したい…………」
「ああう、ウッ、ウッ……!」

急に力強く首を横に振り始めた。どうやらそれだけは断固拒否の模様だ。急に恥ずかしくなったのか口元を抑えて声を我慢し始めてしまった。もったいないことをした。軌道修正すべく、俺はふたたび課長の耳元に唇を寄せる。

「ウソだよ。録音しない。だからちゃんと声聞かせて」
「ああ、あッ……」
「……もし録音したらさ。課長のことそれでゆすって、一生俺から離れられないようにしちゃうかも。それくらい、好きだよ」
「やあ…………やあっ」
「締め付け強くなったね。マジで変態。脅されて凌辱されたいんだ?」
「やあ~~~~~~~」

“凌辱”という言葉に反応したような気がしたので、わざとパンパン音を立てて激しく打ち付けた。一気に締め付けが強くなる。わかりやすいドマゾ。俺マゾ大好き。性欲と支配欲同時に満たせるからね。
あられもない嬌声が部屋を満たす。仕事人間でしかなかったおカタい上司を恋人にして立ちバックしてる俺、男として誉れすぎないか? しかもこんなに激しくして……あ~~~ッ興奮する……もっと辱めたい……ッ!

「やあんっ……!」
「いい格好だね。会社だとこの体位がメインだろうから練習しとこうね?」

言ってて俺は何を言ってるんだと自問自答する。会社だとこの体位がメイン? 後ろから片足グワッと持ち上げて突き上げまくるこれが? 最高じゃねえか???
恥部をさらけ出した昌春は恥ずかしそうにチラチラとこちらを確認している。お察しの通りこちらからは接合部が丸見えだ。わざとそこから目を逸らさずにぺろりと舌なめずりして見せつけると、ビクンビクンと大きく揺れて脱力してしまった。

「見られるの好きなんだ。マジでエロいね」
「ハア、ハア……いじめ、ないで……」
「ねえ、マジで会社でこれやりたい。いい?」
「ダメ……アッアッアッアッ……」
「二人きりで残業していっぱいヤろ。昼間人がたくさんいたオフィスで射精しまくって、雄の臭いプンプンさせてさあ……そんで朝からまたしれっと普通にそこで仕事すんの。燃えるよ~」
「やだ、やだ、たくまあ」

倒れそうな身体を後ろから羽交い絞めにしてバツンバツンと打ちまくる。軽くて無抵抗で羽みたいだ。自由自在に犯せる。昼間は上司で夜はオナホ、エロすぎる……!
復帰後、社内で課長を粗末に抱く妄想してバカみたいに興奮してしまう。皆の知らない課長。俺の昌春。現実と夢の境界みたいだ。そんな幸せがこれから毎日。ハア、嬉しすぎて目眩してきた……。
勢い余ってそのまま昌春をベッドに突き倒す。四つん這いの状態で犯しているうちにダウンして上半身べったり寝てしまったので、上から覆い被さって体重かけて犯す。苦しそうで気持ち良さそう。
満足したら、耳の後ろに優しくキスして解放してやった。昌春は大きく呼吸するのに精いっぱいで顔を上げない。落ち着くのを待つ間、ずっと頭を撫でて、その薄い身体を視覚で堪能した。

「ハア、ハア……ああ……」
「気持ち良かった?」
「言いたくない……お前、すぐ調子に乗る……」
「気持ち良かったんだ。乱暴なの好きだね~。じゃあ次はラブラブ恋人えっちしよ」

隣に潜り込んでキスをした。もしかしたら拒まれるかと思ったけど、昌春はすぐに俺の頬に手をかけて積極的に舌を絡めてくる。もっとシてほしいんだ。マジでエッチな人。
ジュルジュルと唾液を交換して、わざと零しておおいにシーツを濡らす。トロ顔の昌春にチンポ扱かれて「ほしい」っておねだりされて、俺のブツは一瞬で臨戦態勢になる。
キスをしながら、正常位で挿入した。首をいやらしい手つきで撫でまわされて、いつの間にそんな技覚えたんだって怒鳴りつけたくなるのを必死で我慢する。だからあんまりムラムラさせないでって。優しくしたいんだってば。
ガン突きしたいのを堪えて緩く抜き差しする。有り余った性欲はキスと乳首イジリに分散した。いわゆる三点責めだ。昌春は気持ち良くて仕方ないみたいで、ずっと死にそうな声を出してる。そんなの聞かされたら永遠にしてやりたくなっちゃうって。

「どう? これも好きだろ」
「あ、しゅき、しゅきい…………」
「気持ち良すぎて泣いちゃったの?」

何か言いたげに口をパクパクさせてるけど言葉にならないみたいだ。耳を寄せてやっと「しあわせすぎて」って聞こえて、一気にまた俺のボルテージが上がってしまった。
幸せすぎて泣いてんだこの人。俺とエッチしてるだけなのに? うわヤッバイ……もっともっと幸せにしてやりたい、この人のこと……!!

「イかせたい……俺の名前呼んでイって?」
「へ……」
「ほら、速くするよ」
「ア、アッ?」

キスも乳首もやめて腰振りを徐々に強くしていく。ナカで感じるこの人の顔はまた格別だ。マジでメスみたいな顔になるんだから。こんなの見たら全男が犯さなきゃって思うに決まってる。絶対見て欲しくない。この人のオスは俺だけだ。
もっと俺の顔見て。俺の名前呼んで。俺のチンポでヨガってよ、なあ。

「今、昌春のナカ突いてるの誰?」
「た、たく、たくまっ」
「昌春のこと気持ち良くしてるの誰?」
「たくまっ」
「昌春が一番愛してる男は、誰?」
「たくまっ…………」

俺のこと、まっすぐ見てくれてる。涙でいっぱいの目で。快楽と幸福に塗れた視界に、俺のことだけを映して――――セックスって、こういうものだったんだ。まさに愛の確認。世界で俺と昌春だけみたいだ。
もうダメ。この人のナカに思いっきりブチまけたい……!

抑え込んでガツガツと貪る。抱き締めたら耳元で何度も「たくま」「たくま」って言ってくれて、俺が欲しいものわかってくれてる昌春のことますます愛しくなった。
ああ今日もゴムしてねえ……やべえっ……でも、もう、もうっ…………。

ドクンッ――――

出してしまった。密着した下半身が同時に跳ね上がって、昌春が余韻を追いかけるように濡れた先端を俺の腹に擦り付けてくる。この人も、イったんだ。
抜く気がしなくて、抱き締めたままグチュグチュと中に塗り付けるように腰を回転させる。「ダメ」「もう」って小声で囁きながらも、昌春はビクビクと感じまくっている。

「たくま、アアッ、たくまあ」
「昌春……昌春ッ……」
「イっちゃうから、またあ……アッアッ……」

昌春の全身が小さく震えて完全に脱力した。イッちゃったんだ、また。ぐったりとした体を完全に腕の中に収めて、獣同士だったらあとは食べるだけだななんて思い浮かべたら首筋に軽く歯を立ててしまった。
そのまま歯を食い込ませて、後が付くくらいに力を入れて……ずっと腰をグリグリと押し付けている。まるでマーキングだ。外にもナカにも、この人が俺のモノだっていう証を刻みつけたい。
縋るように見つめると、目も開ききれない中で舌を出してくれる。俺はそれに食らいついて粘着質にいつまでも啜っていた。一人で床オナしてるみたいにずっと腰グリグリ、舌ジュルジュルして余韻に浸りきった。
そのうちに力尽きて昌春の上にへたり込む。労わるように両腕を擦ってくれてマジで天使かと思ったね。マイエンジェル昌春。また無意識に腰を動かすけど、すぐにだるくて止まってしまった。ああもどかしい。もっともっと愛してあげたいのに。

「匠馬……無理をするな」
「やだ、抜きたくない。ずっと昌春のナカにいたい」
「わかった、いいぞ」

しっとりと背中に手をまわされて、俺が抱いたのに、まるで抱かれているみたいな気持ちになった。
甘やかされてる、俺……セックスなんて激しければ激しいほどいいと思ってたけど、こういうのも、いいな……はじめていいと思った。気持ちいいな……。

「昌春、もっとナカ、したげたい……」
「ん、無理するなって……」
「ねえ、俺の上乗って……? 昌春が動いてよ……」
「ええ……?」

明らかに表情に困惑の色が広がった。そうだ、昌春は俺がハジメテだもんな。行為自体に慣れていないのに自分から動くのは抵抗があるだろう。
だけど俺が「やっぱりいいよ」という前に身じろぐから、少し身体を起こしてやるとそそくさと下から抜け出てくる。そして何かを待つようにじっと見つめてくる。

「どうやればいい?」
「あ、シてくれるの……?」
「する。私も匠馬を、気持ち良くしたい……」
「ん……じゃあ、ちょっと待って」

俺はなんて幸せ者なんだ。噛み締めつつ、ごろんと仰向けになった。だらしなく垂れ下がる竿を何度か擦り上げれば、あっという間に勃起する。昌春が上に乗ってくれるなんて考えたらそりゃもう一発でしょ。エロい予感しかしない。
見守っていた昌春がごくりと唾を飲む。そそり立つそれを指し示して「ここに座って」と言うと「ええっ……!?」と驚かれてしまった。わかってなかったんかい。
恥ずかしそうにしながらも跨ってくれる昌春。下から両手を恋人繋ぎにすると、嬉しそうにへにゃっと口角を緩ませて、少しずつだけど、腰を落としてくれた。ツプ、ツププププッ…………トン。
俺の腹の上に着地した昌春はそれだけで満足そうに息をつく。だけど俺の手が腰に添えられると、緊張したように尻を浮かせた。
グチュッグチュッグチュッ。俺がさっきやったみたいに小さく回転されて、それだけでもう目がまわるほど気持ちいい。何より、昌春がの気持ち良さそうな顔がよく見えて絶景すぎる。

「いいよ、上手……スゲー気持ちいい」
「は……これでいいのか?」
「いいけど、落ち着いたらもっと腰浮かせて激しく出し入れしてほしい」
「う……できるだろうか……」
「できるよ。昌春エロいから」
「……もう喋らなくていい」

軽く小突かれてしまったけど、怒られた直後にアナルでチンポ扱かれるのって新鮮だな。何言われたって一瞬でどうでもよくなる。マジで説教とか意味ない。だってお前、俺のメスのくせに。
優越感に浸りながら、だんだんストロークが長くなる昌春の拙い腰振りを見守る。緊張で足がガクガクしてきたので、舌を出して誘うと、顔が降りてきてキスが始まった。
そんなにガチガチにならなくていいよ。リラックスして。優しく言い聞かせるように舌を包んでやると、また果敢に挑戦し始めた。かなり速度が上がった。少しは役に立てたのだろうか。
ああ気持ちいい……昌春が、自分で俺のを出し入れしてる……小せえケツ振って……もう自分の世界に入ってるのか目玉が上向いて全然コッチ見てねえよ、マジでエロいんだから……。
くすくすと笑うとにわかに腰振りが激しくなる。嘲笑われてるとでも思ったのかな。それで感じちゃったんだ。
もうたぶん本当に昌春に理性はない。ヨダレ垂れ流して微かに微笑みながらパンパンしてる。これでエロいって言われて怒るのは違うだろ、ちゃんと己を受け容れて欲しい。これから存分にわからせるぞ。

「あひ、あひ、ああ、ああッ」
「あ~~~イく……ケツマンコ締めて……? 昌春ッ」

おお、マジで締めてくれた。セックスの勘が良すぎる。俺も僅かに下から揺らして、より激しく肉がぶつかり合うように協力した。それだけで昌春の興奮がピークに達して、もう腰振りがメチャクチャだ。「イくイく」って締め付けられて、それがトドメで射精してしまった。

「おお……出てるよ……!」
「ひンッ……ああ、もうダメ、むりい~~ッ……」

昌春の先端からも力なくトクトクと白濁が漏れ出る。さっきから何回も同時にイッてる。嬉しい…………マジで最高の恋人、相性抜群…………もうこの人ナシじゃ生きていけない~~…………。
頭お花畑状態で笑いかけた。昌春はエロ面晒しながら、先ほど俺がやったのと同じようにしつこく腰を回転させて俺が感じる様を愉しんでいるようだった。
この人、育てたらどえらいことになるな…………? 頑張ろう…………。俺は新たな決意を胸に、最後の一滴まで最愛の人の胎に出し尽くした。





残りの数日間、ずっと俺と昌春はエロエロエロエロしていた。暇さえあればベッドでイチャイチャ、キッチンやリビングやお風呂でもヤっちゃって、トイレまで追いかけてムリヤリ気味にヤった時が昌春一番喜んでいるように見えた。俺、この人の性癖だいぶわかった気がするわ…………。
今もらぶらぶえっちの真っ最中なんだけど、昌春は俺に抱きかかえられながらも自分で腰を揺らしていじらしく行為に応えてくれている。マグロでも全然いいのに。こうやって頑張ってくれちゃうから、俺もっともっとこの人に夢中になっちゃうんだよね…………。

「昌春~。ココすき?」
「ん、うん……しゅき……ああ、しゅきぃ~~~~」
「俺にシてほしいことあったら言ってね。なんでもシてあげるよ?」
「あ……はずかしい…………」

お。なんかあるんだ。気まずそうに目を逸らしたので、そうはさせるかと両頬を掴んでこちらに向けさせる。
課長は俺と結ばれてからさらに綺麗になった。肉付きがよくなって触り心地抜群だし、お肌はすべすべだし、甘えるのも少しずつだけど上手になってきているし。こんな上玉他の男が放っておくわけない。今のうちに俺のモノだって自覚させておかないと。そのためにはまずサービス。サービスだ。
もちろん俺も昌春のためならなんだってしてあげたいんだけどね。ああ、幸せだ。乳首舐めたくてムラムラしてた初日が嘘のよう……今はいつだって乳首舐めれるし、引っ張れるし、もっとすごいことだっていろいろ。嬉しいな~~。
……ああいかんいかん。今は「昌春が俺にシてほしいこと」だ。

「なーに?」
「ン……私、匠馬に抱かれたくて……ムラムラしてた時にな……」
「うん」
「ずっとお前に抱かれる妄想して、後ろ、いっぱい大人のオモチャで……」

やっぱりそうだったか。俺が抱こうと決意した時はもう開発されきっていたもんな。上司として部下に身体を預けるのは情けないとか、この人なりにいろいろな葛藤があったんだと思う。
実際俺だって処女メンドクセー派だけど……相手が昌春なら手取り足取り教えてやりたかった。何日もかけてじっくりと、この身体を暴いてやりたかった。

「上司、なのに……お前のこと、穢してしまった…………」
「んなの今さら気にしなくていいですよ。んで? 妄想の中のプレイ、俺にシてほしーの?」

首を横に振る昌春。だったら今の話はなんだ。ただの懺悔? 要領を得なくて首を傾げていると、言い淀んでいた唇がキュッと引き結ばれた。そして突如、俺の胸の中に飛び込んで来る。顔を隠して、よく耳を澄まさないと聞こえないくらいの小さな声で……。

「お仕置き、してほしい」
「…………え」
「私は、悪い上司だから……軽蔑して、𠮟りつけて、叩いて……いっぱい反省できるように、いたぶって、ほしい……」

いやいやいやいやいやそれって完全に己の興奮材料にするためですよね??????
なんて聞き返すのはヤボなのだろう。この人なりに一生懸命口実を考えておねだりしてくれたんだ、叶えてやる以外の選択肢はない。
付き合う前も、度の過ぎたセクハラでだいぶドエスに振る舞っていた俺だけど、どうやらあれは最適解だったらしい。知らぬ間にこの人のツボを突きまくっていた過去の俺、グッジョブ……!!

バチン!!!!!!!!!

プレイ開始を告げるように、高らかに尻を叩いた。そのまま四つん這いにして片手で割り開いて、もう片方の手で何度も尻たぶを打つ。昌春はビクンビクンと腰を震わせて、媚びるような甘い声をひっきりなしに漏らしている。
そんなに躾してほしかったのかよ。そんなら早く言えよメスネコが。

「部下にいたぶられてそんな声出していいと思ってんの? ヘンタイ上司」
「…………ッッ」
「オラもっとだらしない声で鳴けよ!!」

パン! パン! パン! パン!

「ひゃぁあああああうんっ……ああ、おお、おおんっ」
「マジで上司の資格ないよ? こんなドマゾのいうこと聞く部下誰もいないから」
「ごめんなさい……ごめんなさい~~っ……ひうっ」

パンパンパンパン!! グニュグニュグニュニュ~~ッ!!

高速で叩き倒し、両手でちぎらんばかりに揉みしだく。結構痕が残るくらいにやっているが、昌春は抵抗するどころか悦に入ってずっと俺に謝ってくる。なんも悪いことしてないのに。
ああ、エロくてごめんなさいっていう謝罪なら何度でも受け付けるよ? 俺の心臓何度縮ませたかわかんないんだから。

「いいケツ……俺のために育ててくれたんだよね。仕事も何もかもほっぽり出してさ」
「ごめん、なさいぃ~~……ああ……」

それをいうなら俺だって同じだが、今はとにかく昌春がいかにダメな課長かを知らしめてやらないと。
もともとゲイで昌春にも性欲ムンムンだった俺を止められず、こんなことになってしまった。仕事人間として生きてきた藤野昌春としては明らかに失敗だ。
だけど、今まで真面目だったこの人が俺にオチてくれたのが俺にはたまらなく嬉しい。

我慢できずにいきなりブチ込んだ。「かは、」と昌春の喉が詰まり、それを手の平で締めて乱暴に突きまくる。前から後ろから圧迫していたぶってやる。全部この人が望んだことだ。

「エ、ウウ、ウグゥ」
「首絞められたらイけるようにしてあげる。無様なお前にはお似合いだよ」
「ウ、ウ、ウ」
「ふふ……これでもう女の子とセックスできないね。俺だけだ」

耳元に囁いて小さくキスをする。虐げられ、優しくされ、混乱してバケモノみたいに詰まった声で唸る。生きているな。はじめて見た。今までのこの人は全部ニセモノだった。これが本当の、藤野昌春なんだ。
執着を隠そうとせず、上半身を被せて顔を並べ、密着しながらピストンする。「俺だけだよ」って何度も言い聞かせた。喉から手を外してやると課長は壊れたようにガクガクと頷いてくれた。

「俺を狂わせた責任取れ。一生離さないからな……!」
「あ、あ、あ、あ~~~~ッ……」

満を持して中に出す。課長もビクビクと反り上がってシーツに吐精した。昌春が俺の言葉と中出しの感触にイかされたのは明確だった。
グッと顎を掴んで、指で口内をかき混ぜる。舌に俺の指先があたるたびに「ンッ」とくぐもった声が上がって四肢に力が入る。それを全部まとめて抱き締めて、俺の中で爆発しそうなこの人への愛おしさを宥めた。
落ち着け、落ち着け…………この人の仕草全部刺さりまくっているけど、一旦呼吸を整えろ。ハア、いたぶられて感じてるの可愛すぎる。いや落ち着けって。だって。こんなドエム絶対他の誰にも渡したくない。絶対俺が後に死んでこの人の生涯の性交相手俺だけにしたい。他を知って欲しくない。他の誰にもこの人のこれを知って欲しくない!!!!!!!!!!!!!!!!

「アアッ!!!!!」

昌春を満足させないとという使命感と、発散できない苛立ちのような感情に振り回された。昌春を仰向けにシーツに突き倒して覆い被さる。視界に俺しか映さないように腕で閉じ込めて、だだくさに挿入して、息もヨダレもまき散らして犯してやった。
悶えすぎて、肘からシーツに付けているはずの腕がガクガクと震える。だって昌春があんまり嬉しそうに目を細めて、ドエロい顔で俺のこと凝視してるから。またまた乱暴に唇をしゃぶってジュルジュルいわせていっぱい息吹き込んでやった。昌春は目玉が上向いちゃって、もうダメそうだ。

「好きだ!! アアッ好きだ昌春!!!!!!!!!!」
「ああ……ああ~~~…………」
「孕ませたい!! 孕ませたい!!!!!! 死ぬまで俺に縛り付けたい……!!!!!!!!!」

それは愛の言葉というより呪詛のようだった。昌春にはどうせ聞こえていないだろうと思ってわざとゲスな言葉で自分を慰めたのだ。想っても想っても、きっとこの人には届かないだろう。昌春は人の気持ちに鈍感すぎる。
それなら伝え続けるしかない。下品な言葉だろうと。それでより強い想いが伝わるならなんだっていいよ。「孕め孕め孕め」と囁いて何度も中に出す。ああもう中に出すの癖になってる。今だけだから。ここを出たら、もっと大事にするから…………。

「昌春、ずっと俺の傍にいて……結婚しよう……?」

え? 今のなんだ。俺が言ったのか?
頭が完全に焼き切れて不意にプロポーズしてしまったのか。何それ。チンポ挿入ったままでわざわざ後頭部持ち上げてじっと見つめながらって……本気みたいじゃねーか。本気だけど。それならもっとロマンチックに運びたかったよ夜景の見えるレストランとかでさ~~~~。
そんなの俺の性じゃないけど、この人にはきっとそういうのが似合う。だから俺だって背伸びしてそれくらいしたかったのに。
ああでも勢いで言っちまったんだから今さら引っ込めたらカッコ悪い。昌春、完全に真に受けてるし。どんどん顔グシャグシャになって、泣いちゃってるし……。

「はい……」
「はい?」
「結婚、したい……匠馬が、いいなら…………」
「あ…………」

どうしよう。同性婚ってどうやればいいんだっけ。日本ではまだ? いや去年改正されたアレがそうか? そんなん昌春は当たり前のように知っているんだろな。
まあ今大事なのは俺たち二人の気持ちだ。昌春は俺に人生を預ける覚悟をしてくれた。俺だってもちろん。しっかり者の年上カレシなんて暴走しがちな俺にピッタリじゃないか。
この人となら親へのカミングアウトだってできちゃう気がする。それくらいに……絶対に、手放したくない。ずっと一緒にいたい。

「ありがとう、ございます」
「ふふ……」

今さら手の震えが止まらなくなってしまった。勘付いた昌春に力強く両手で包まれて、どっちがプロポーズしたんだかわかりゃしねえ。
涙も拭かずに俺の手を握ってくれる俺の恋人は、綺麗だった。俺にはもったいないくらいに。だけどこんなふうに幸せそうに笑う昌春を見たのはきっと俺がはじめてだ。昌春自身も知らない、あどけなくて美しい表情。
壊さないように、両手で大事に輪郭に触れる。指先でなぞると「なんだよ」とまたくすぐったそうに笑う。「大切に、します」と零れるように口からまろび出た。慌てて抜き出して昌春の股座を拭いてやる。即、有言実行。

「もう中出ししないしひどいことしない」
「私が頼んだんだから気にしなくていいのに……」
「でも俺、すぐ調子に乗っちゃうし……うっかり傷つけたりしたら」
「私が頼んでもダメか?」

うぐ。ズルい。そんなふうに妖艶に目を細めて……これは自覚あってやっているんだろうな。
俺の昌春がどんどん悪いオンナになっていく。まあ俺のせいなんですけどね!!!

「じゃあ、そういうプレイの時だけは……します」
「うん。これからはしてほしいことやされたらいやなこと、ちゃんと共有しような」
「はい……」

上司、なんだよなあ。すぐ頭を垂れて従いたくなってしまうのは部下の性だ。二人の決め事は昌春に任せたら大丈夫な気がする。そうしよう。年下はハイハイ黙って言うこと聞いてればいいのだ。
もちろん男を見せる時は頑張るつもりだけど。そう、例えば、ベッドの上とかね!!!!!

舞い上がって昌春を抱き寄せ、何度も頬にキスを落とす。
このエッチなカラダも。おカタい性格も。意地っ張りなとこも快楽に弱いとこもドエムなとこも。全部全部愛すよ。
擦り寄ってくる温もりをさらにかたく抱き締めて、俺ははじめて「人生でこんなに安心したなあ」なんて、呑気に思ってた。







出所の日――――「出所」という言葉は適切か不明だが、その日はついにやってきた。
もう変な縛りのある食事は出てこない。代わりに朝から、吉野さんが神妙な顔で部屋に訪ねてきた。俺たちは前日に言われた通りに身支度をして、ここに入った時のスーツ姿で彼を迎え入れる。

「特別業務お疲れ様でした。晴れてお二人には通常業務に戻っていただきます」
「ヨッシャ!」
「お世話になりました。あの……」
「ご心配には及びません。ここでのことは誰にも言いませんから」
「助かります……!」
「まあ、皆様にとってはノイズですからね」
「「…………?」」

吉野さんの不可解な言葉に俺たちは顔を見合わせて首を傾げる。しかし吉野さんは穏やかな笑みを崩さず、腕を広げて好意的な様子で話し続けた。

「また、言わずとも分かると思いますが……今後、社内での性的行為は『どなたから誘われたとしても』すべて受け入れていただきますからね」
「は…………?」

吉野さん?
その言葉が下手な冗談であることを願って眼鏡の奥を覗き込むが、伏せられた瞳は相変わらず朗らかでしかなくて真意が読めない。懐疑的に呟いた俺はまだマシなほうで、昌春なんて顔を青ざめて絶句してしまっている。
吉野さんが昌春を向く。そして何の予備動作もなく――――バチン! その頬を強かに打った。ビンタしたのだ。俺の昌春に。
すぐさま間に入って背中に隠す。縋り付かれた背中から小刻みな震えが伝わってきて、理解不能な恐怖が俺たちを襲う。

「何……して……?」
「身の程を分からせてあげたのですよ。会社が揺らぐほどの大ミス見逃してもらえてさらにこんな隠遁生活で恋人ゲット? は? そんな都合よく終わるワケないでしょう」

ピリッ。明らかに場の雰囲気が変わった。吉野さんの笑みはいつの間にかきれいさっぱり消えていて、非情なほどに冷たく俺たちを蔑んでいる。
確かに――――吉野さんの言う通りだ。こんなの俺に都合が良すぎた。気になっている藤野課長とこんなエッチな生活を強いられて、まんまと結ばれて、また元通り職場に戻れるだなんて…………。

「やっぱり、噂は……」
「はい?」
「社内で男同士の性行為が蔓延していると……聞いたことがあります。その話を私にした者達は翌日にはいなくなりました。私自身は直接見たことはありませんが、いや……避けて、いたのかもしれません。彼らと同じになりたくなかった」
「そう、藤野課長は聡明なお方ですからね。社長からの信頼も厚いのですよ。あなたの中の“才能”にも気付いていらっしゃったので……これは是が非でも社内で行われる「息抜き」の一員になっていただこうと」
「は……?」

ちょっと待てよ意味が分からない。いや本当は理解していたけど、本能で理解することを拒んでいた。
LGBTを高らかに謳う社風に惹かれてここに入社したけれど、その実態は男同士の社内セックスが蔓延するエロ漫画みたいなぶっ飛んだ会社だったってことか?
そして社長の狙いは昌春。社長が抱きたいのか他の奴らにマワさせたいのかは知らないが、要するに俺はそのための単なる竿役だったってことだ。
そういうことだよな。そもそも社長が変な言いがかりで(食育だのなんだのっつー)俺らにエッチなことさせたのは昌春を男に目覚めさせるためで、もしかしたら俺が常日頃から昌春を性的な目で見ていることも、気付いて……?

あり得ない。なんつー会社だ。しかも目撃者は全員消すとか……狂ってるだろ。もしかしてそういう「不都合」がないように、吉野さんみたいに社内を常時監視する人がいて、俺らがどんな会話してるかとか盗聴しているってことか??????
俺が藤野課長ラブなこともそれで気付かれたし、おそらく……ゲイであることも、調べられていたのかも。自分で言うのもなんだが、遊び方激しかったしな。

「性差別の無い、立派な理念を掲げる会社だと信じていたのに……ひどい……!」
「そのおかげであなたのような潜在的な方も、宮西さんのようなバリバリのゲイもたくさん集まるんですよね。まあこれ自体、社長の息抜きのようなものですよ」
「ふざけないでくださいっ……」

俺の背に隠れていた昌春が、耐えかねて一歩前に進み出る。しかしまた吉野さんが手を振りかぶるモーションをしたので「ヒッ」と叫んで両手で顔を覆ってしまった。俺は腕を出して昌春を庇う。情けないけど、それしかできない。
だってどうすればいいんだよ。基本的に社員は、社長命令ならなんでもやらなきゃ。ましてや俺は数千万の損害を出して黙認されている状態。この一ヶ月間仕事をサボってとことんいい思いまでさせてもらった。
それを深読みせずにただただ浮かれて、昌春との恋愛に脳みそも下半身も持ってかれていた……情けない、ちっぽけな社会人二年目でしかないのだ。

「逆らえばクビですよ」

もう何の情も感じられない吉野さんの声に、昌春の肩がビクッと揺れる。クビなんて……それこそ藤野課長には無縁すぎる言葉だ。
今回、俺のせいで最悪の事態も考えたけれど、本来この人がクビになる要素など一つもない。なんせ人生のすべてをこの会社に捧げてきた人だ。今さらつまらないミスもしないし、それどころか仕事は完璧で、人望も厚くて、大きな取引先もたくさん抱えている。会社になくてはならない人材の筆頭だと思う。
やっぱり、俺は最初から間違えていたんだ。俺が自分から会社を去ればよかった。そしたらこの人を巻き込まずに済んだのに。今からでもまだ間に合うだろうか。土下座の一つでもかませば?
いや、だけど、昌春も会社の秘密を知ってしまった以上、これから社内で無事ではいられない……どうしたら、いいんだ…………?

「今の藤野さんは魅力的です。ひっきりなしにお偉方からお声がかかるでしょうね。もしかしたらセックスがメインの業務になるかも。本社に配属後は空いている会議室にいつでも呼び出して気軽に使えるオナホとして、重宝されるでしょうねえ」
「…………ッ」
「とくにドマゾは我が社の宝です。いつでもセックスできる環境にある彼らは変態性も抜群ですから。藤野さんも性に合っているんじゃないですか? これまで真面目に頑張ってきたんです、今後は身体を売って楽しく気楽に稼いでいきましょうよ」

いい加減にしろ。さっきから黙って聞いていれば昌春のことをオナホだドマゾだと。そう怒鳴りつけて啖呵切れたら、どんなによかっただろう。だがいかんせん俺はそんなふうに怒鳴れるほどの度胸もキャリアもない。対会社の話についても――――昌春に任せたほうがいいに決まっている。
もちろん怒りはまだ俺の中で燻ぶっているが、ここで俺がキレたって話の論点をずらすだけのような気がした。吉野さんの眼鏡の奥が挑戦的に光る。何かを待つように俺の顔を凝視していたが、やがてまた顔を覆ったままの昌春に話し始める。

「いい歳して若い男と恋愛ごっこができたのです、もう満足でしょう。年甲斐もなく夢を見ていないで、現実的な話をしましょうよ」
「ウウッ……」
「セックスはお好きですよね? 大丈夫、秘密は漏れませんよ」

その言葉はぐさぐさと昌春の胸に刺さっているように見える。俺の中の炎もふたたび怒りに揺らめき始めた。恋愛ごっこだと。吉野さんにはそう見えたのか。俺たちの真剣な恋愛がごっこ遊びに。
塞ぎこんだ昌春には見えていないだろうに、吉野さんがすらりと美しい手を差し伸べている。せめてもの抵抗で、俺は二人の間に立ちはだかって昌春が吉野さんの手を取れないようにした。
そこで気付いた。吉野さんがこれ見よがしにこちらに向けている手に、マジックペンで何か書いてあるのを。

『二人で今すぐ辞めろ』

は?
昌春を会社の性奴隷にしたいのに…………『二人で』会社を辞めろ、だと?
この違和感をどう言葉にしていいかもわからず、俺は吉野さんをじっと見る。彼は首を動かさず、意味ありげに何もない後方に視線だけを巡らせてから、真剣な顔つきで俺を見返す。
そこには、先程まであった冷酷な秘書の顔ではなく……俺たちに時折見せていた、ユーモラスで親しみやすいお世話係の切実な表情があった。
すべてを理解できていないまま、俺は後ろ手に昌春の手を握る。昌春がハッとして顔を上げる気配がしたが、もう打ち合わせをしている暇もないようだった。俺は震える声を吉野さんに投げかける。

「…………辞めます」
「はい?」
「俺と藤野課長、二人とも会社を辞めさせてもらいます」
「…………!」

驚きからか、昌春が強く手を握っている。もしかしたら抗議の意味もあったかもしれない。昌春は不穏な噂を知りながら、それを無視してこの会社で働き続けていた。それほどにこの会社での居場所が必要不可欠であり、転職する気などさらさらないのだろう。
だけれどこのままここに居たって、性奴隷になってしまったら…………今まで積み上げてきたキャリアなんて、何の意味もなくなる。むしろその尊い人間性まで奪われて、身体も心も根こそぎ搾取されるだろう。
吉野さんのモーションで発言したとはいえ、選択肢はこれしかないと今では思う。吉野さんは字の書かれた手をグッと握り込み、力なくそれをだらりと下げた。

「…………そうですか。我が社の社員でないのなら、我々はもうあなた方に何も強制することはできません。非常に残念です」

その言葉にますますこれは最適解ではないかと確信する。
しかし……『藤野課長』は長年この会社に尽くしてきた。二年目の俺なんかでは想像もつかないほどに苦労して今の地位を勝ち取ってきたのだろう。それだけは心が痛む。いくら恋人とはいえ、そんなこと俺に決める権利なんてないのに。
罪悪感で胸がジクジクと疼いて振り向くことすらできやしない。だけど昌春はまだ、俺の手を強く握ってくれている。それだけが、唯一俺を今この場に立たせていた。
そうだ、この人を性奴隷になんてさせやしない。そのためならこんな会社にしがみつかなくたって、いくらでも道はある……!

「藤野課長も……それでよろしいのですね?」
「はい」

淀みない返事をしながら、昌春は俺の隣に並び立った。俺とかたく手を結んだまま。ようやく勇気を出して顔を覗き込むと、最上級の笑顔が返ってきて、不意打ちで胸を射抜かれてしまった。なんだってこんな時にそんな幸せそうな顔……。
藤野課長、いいんですね、これで。

「仕方ない、それでは出口までご案内します。退社の手続きは後日勤務先にて行ってください」
「承知しました。吉野さん、今まで」
「吉野さん、ありがとうございました……!」

昌春よりも先に深々と頭を下げる。
きっと吉野さんは悪人じゃない。会社のために動いてはいるけれど、こうして俺たちを逃がしてくれた。俺たちの本気の恋愛が彼の心を打ったのかも……なんて考えるのは、ちょっと調子に乗りすぎかもしれないけど。
吉野さんはマジックの書かれた手をひらひらと見せながら、さりげなくカメラから横顔を隠しているのだろう、優しく俺たちに微笑んでくれた。昌春が怪訝そうにその手を覗き込もうとするが、俺が繋いだ手を握り込んで諫める。

来た時と同じように目隠しされ、手を引かれて地上に送り出された。
目隠しを外すと吉野さんの姿はもうどこにもない。溢れかえる一等地の往来に、改めて大きな自社ビルを見上げる。もう、俺たち、ここの社員じゃないんだな……。
昌春がギュッと俺の服の裾を握る。手を握るのはさすがに人目を気にしているのだろうが、その甘え仕草を地上に上がってもしてくれたのは俺史上最大の喜びだ。
これっきりの関係じゃないんだ。俺と昌春は、これからも…………。

「さっきの吉野さんとの意味深なアイコンタクト、なんだよ」
「へっ?」

感動していたところにふくれっ面でそう投げつけられて、出かけていた涙が引っ込んだ。意味深なアイコンタクト……? 地下でのやり取りのことか。
だってあれは監視カメラをかいくぐって意思疎通をしなければならなかった。吉野さんが味方をしてくれたから助かったんだ。あの調子だとリアルタイムで監視していなくても録画されているのだろう……吉野さんの苦労、今考えても計り知れない。

「それに手に何か書いてあった。電話番号か? ほとぼりが冷めたら二人で逢うのか?」
「は~~~? いや、何言って? なんで俺が、吉野さんと??????」

まさか俺と吉野さんの心温まる友情をそんなふうに捉えられていたとは。水面下でやり取りするためにはあの手段しかなかった。吉野さんはあらかじめ俺たちへのメッセージを手に書いて準備までしてきてくれて、本当に感謝してもしきれない。
もう晴れて自由の身だ。すべて説明すればこの人も納得してくれるだろう。
だけど…………激怒ではなく、少し悲しそうに頬を膨らませる昌春の顔がなんともいじらしくて、俺はつい言うべき言葉をためらってしまった。

「吉野さんは私と違って綺麗だし、色気もあるし……男同士の性行為にも詳しかった、きっと経験豊富なんだ……私と、違って……」
「あ~~~~~~~~~~~~~」

可愛い。もう一生こうやって嫉妬してほしい。だけど今すぐ抱き締めたい。俺は素直に己の欲望に従った。柔く抱き寄せて頬ずりする。周囲の訝し気な視線が刺さってきたけど、そんなことはもうどうでもよかった。

「昌春のほうが綺麗だし色気もあるよ。俺、大好き」
「ごまかすなっ! あと、ここ外……!」
「じゃあ俺のアパート行きましょう? 近いんで」

ひとまず二人きりになりたい。話さなければならないことはたくさんある。これから仕事をどうするか。それにできれば二人で暮らしたいし、結婚もしたいしその辺のこともいろいろ、いろいろ。
何より今は、上司と部下ですらなくなったこの人と早く愛を確かめ合いたい。あの地下での出来事が、夢じゃなかったんだと安心したい。とりあえず腹が減ったから朝飯からだな。…………久々に昌春の乳首からしか食事できない縛りで、イチャイチャしちゃおっかな。

「なんか買っていきますか。お腹空いたでしょう?」
「しょっ、食事は……普通に、だぞ……!?」
「え。…………期待してる~~~~~~??????」
「誰が……!!」

まだまだ意地っ張りは抜けないけれど、ベッドの上ではトロトロになるのもう知ってるんだからな。予告ホームランのようにキュッと乳首を摘まんですぐに離す。昌春の顔は真っ赤に茹だって、どう見たって明らかに期待してる。覚悟しとけよ。
手を繋いで往来に紛れる。もう、俺たちのことを気に留める人は誰もいなかった。
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