王子の僕が女体化して英雄の嫁にならないと国が滅ぶ!?

蒼宮ここの

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第30話 癖になる

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ジャオが三日も学校を休んだ。
当然だ、腕ばっくり裂けてたもんな‪……‬いくらジャオでも‪……‬と思っていたら四日目の朝に涼しい顔して城まで僕を迎えに来た。何重にも巻かれた包帯が痛々しいが、それすら様になる逞しい佇まいに、僕と会えて本当に嬉しそうな笑顔、朝から悶えるほどにときめかされてしまう。
さすが僕のジャオ、強い男だ。通学路を歩きながら、なぜだか奴の腕に縋りつきたい衝動に駆られてしまい必死で耐えた。近頃僕は身体だけじゃなく心まで女性化しつつあるようだ。危ない危ない。まだ付き合ってもいないのに自分からそんなふうにくっつくだなんて‪……‬ない。ないぞ僕。
きっと僕は恋しかったのだろうな。見舞いには毎日行っていたけど、二人で歩くのは久しぶりだったから。

「もう大丈夫なのか?」
「平気だ。心配をかけたな」
「無理するなよ。何かあったら手伝う」
「‪……‬ベルが気に病む必要はないんだぞ」

くしゃ。頭を撫でられた場所からジャオの優しさが沁みてくる。こんな時にまで僕のこと考えてくれてるんだな。自分はひどい怪我を負ったのに‪……‬。

早くジャオと平穏に暮らしたい。敵の正体を突き止めて打ち砕いてやりたい。それまで、僕には‪……‬ジャオの気持ちに応える資格はないんだと思っておいたほうがいいだろう。

どのみち今のままじゃ、いつか壊されてしまう。僕とジャオの未来が。





学校に着くとユーリとルシウスが久々のジャオを温かく迎えてくれた。ベルをかばって大怪我を負うなんてカッコイイ! とユーリは大騒ぎだ。だけど他のクラスメイトは、不気味そうに僕らを見つめている。怪鳥の噂は‪……‬もう出回っているのだろうか。
あんな化け物が出たのも僕のせいだと皆は思っているだろう。当然、僕のせいだと僕自身も思う。だからこそ、今こうして普通に接してくれる二人の存在がなによりもありがたい。

「そうだベル。今度四人でダブルデートしない?」
「ダブルデート?」
「皆で街へ出掛けるだけだろ。妙な言い方するなよ」

ルシウスに軽く頭を小突かれてユーリは嬉しそうに笑う。この二人、ほんとうに周囲に関係を隠さなくなったよな。清々しいほどにオープンになった。
その影響だろうか。近頃校内でも男同士のカップルの存在が目立つ。皆潜んで付き合っていたのだろうが‪……‬ユーリ達、ひいては僕とジャオがきっかけになったのなら何よりだ。
男とか女とか関係なく、人を好きになること、今の僕にならちゃんと理解できる。愛し合っている人との関係を周囲にも認めてほしい。その気持ちは誰だって同じだ。

「ねえ! ダブルデートいつにする?」
「ああ、街はちょっと‪……‬もう少し先になる、かな?」
「えー! なんで!?」
「いや‪……‬」

僕とジャオは何者かに狙われている。ユーリとルシウスを巻き込むなんて絶対にいやだ。
口籠る僕に察したのか、ルシウスがはしゃぐユーリを諌めてくれた。

「こらこら。ベルにも色々あんだろ」
「色々って?」
「落ち着いたら行こう。必ず」

そう言って曖昧にしか笑えない僕を、ジャオはじっと見つめていた。僕はその視線に気付かないふりをしていたけれど‪……‬ジャオって、こういう時は鋭いからなあ‪……‬。





帰り道。公園の横を通り過ぎる時はつい早足になり、ジャオを置き去りにしてしまう。慌てて戻って隣に並ぶ。ジャオも繋いだ手を硬くして緊張しているようだ。

「あの鳥は‪……‬なんだったのだろうな」
「わからない。けど‪……‬魔力のある者の仕業だってことだけは‪……‬」

あの後、公園の真ん中に転がっていた怪鳥の死体は、普通サイズの鳥の死骸とすり替わっていたそうだ。フロストが言った通り、普通の鳥が魔力で力を増幅させられ操られていたのだろう。罪のない生命が喪われたことには、胸が痛む。
僕が唇を噛むのを見て、ジャオが制するように手を伸ばしてくる。


「そう気負うな。俺はもっと強くなる。もうベルを心配させたりしない」
「ジャオ‪……‬」

それならお願いだ。もう自分の身を投げ打つようなことはしないでくれ。僕のためにジャオが死んだらと思うと‪……‬胸が苦しくって、それこそ、死んでしまいそうになるんだ‪……‬。
伝えたかったけど、何も言わなかった。伝える資格さえ今の僕にはないのだ。僕だけに出来ることが、あればいいのに‪……‬せめて魔法が使えるとか、剣術に長けているとか‪……‬幼い頃から色々やらせてもらったのにどれもからっきしだ。
強くなりたいな。どうしたらいいんだろう。

「‪……‬ベル。家に来るか?」
「いやっ‪……‬森に行こう?」
「え」
「あ、ダメかっ?」

僕らの中で「森」というのは城の敷地内にある、僕たち以外は誰も足を踏み入れないであろう場所。よっていつもそこで思う存分イチャイチャしている。そのおかげで「森へ行く」の意味合いが「エッチなことしよう」に聞こえてしまうのは、仕方のないことなのだが‪……。
‬だって、フロストに森は安全だと言われたんだ。断じてやましい気持ちはない。久々にジャオと会えたからって、二人きりで触れ合いたいだなんて淫らな願望を抱いているわけじゃないんだ、僕は‪……‬‪……‬。

「行こう」
「‪……‬‪……‬ッ」

ジャオがわざわざ繋いだ手に指を絡めて握り直してきた。

これってつまりそういう? 
恥ずかしくて顔が熱い‪……‬。





シートの上に座り込んだ僕らは、さっそくチュッチュッと唇を啄み合っていた。
ジャオとのキス、四日ぶり‪……‬いや五日ぶりくらいかな‪……‬? 嬉しくて心臓破裂しそう‪だ……うう、‬気持ちいい‪……‬。
ジャオも興奮しているのは同じのようで、いつもより唇に噛みついてくる回数が多い。ふいに僕の首筋を舐めあげて驚かせてきて、僕が「ひゃんっ」って情けない声をあげたところで唐突にキスはやんだ。

「な、なに‪……‬」
「もう限界だ‪……‬抜いてもいいか‪……‬?」
「え‪……‬? あ‪……‬うん」

ジャオがゴソゴソと下半身を出す。僕は恥ずかしいからいつもそれを見ない。キスに集中するべく目を閉じてふたたび唇をくっつける。ジャオが擦ってる振動がくると、僕まで興奮してくる‪……‬竿で得る快感はもう忘れつつあるけど、ジャオが僕に欲情してくれてるのが、嬉しい‪……‬。

「――――ッ」

ふと、ジャオが息をのむ。もう達したのかと思ったがどうやらちがう。中途半端なところで途切れた振動、痛みにしかめられた顔を見て、気付いた。

「ジャオ、腕、痛いのか?」
「いや、平気だ‪」

平気なものか。キスしながら抜くの、いつもジャオは夢中なのにこんなふうに中断するなんてよほど痛むのだろう。

「逆でやれば?」
「利き手でないと勝手が違うからな‪……‬大丈夫、問題ない」
「そんなこと言ったって‪……‬」

気持ちいい行為のはずなのに、痛いのに耐えながらなんてかわいそうだ。
そこで僕は一つの名案が浮かんだ。いや名案というか妙案‪……‬口に出すのも憚られるが‪……‬そのことが頭を支配してしまって、考え込む。提案するべきだろうか。いやしかし。完全に動きを止めた僕を気遣って、ジャオが顔を覗き込んでくる。

「ベル?」
「し、しようか」
「ん?」
「僕の手で、しようか……?」

声が震える。だって今までしっかりと見たこともないのに、触って、しかも扱いてやるなんて。無理がありすぎる。だけどジャオが怪我したのって僕のせいだし‪……‬ジャオだって溜まっているだろう。抜いてやりたい。ジャオのために何かしてあげたい。
呆気にとられるジャオを前に、僕は羞恥で心臓が捻じ切れそうになる。

「いやか? 敏感な部分だもんな‪……‬」
「いやじゃない。ベルがいいなら、その、してほしい」

ジャオも顔が真っ赤だ。かわいい。こんなことで喜んでくれるんだ。
気持ち良くしてやれるかな。僕なんかの手で。

不安はあったが、まずはえいやっとブツを視界に入れる。
おわ‪……‬え‪……‬? コイツ本当に同い年‪……‬? ものすごい巨根なんですが‪……‬!?

「あ‪……‬デカい、な‪……‬?」
「ベルに興奮してこうなってる」
「わ、」

指先でちょんとしただけで大きく振れた。赤黒く、猛々しくて、しかも勝手に動く‪……‬もうなんだか一個の生き物のようだ。

「触るぞ?」

そっと真ん中部分を握ってみる。硬い‪……‬カチカチだ‪……‬こんなにも硬くなったことないぞ僕‪……‬やっぱり構造から何から違うんじゃうないだろうか‪……‬?

「ンッ‪……‬」
「すご‪……‬」

片手じゃ追いつかない。両手で上半分と下半分を分担して擦り始めた。すぐに喉元をさらけ出してピクピクと内股を震わせるジャオ。感じてるんだ。もっと強くしてもいいかな。痛くないかな。ゴシゴシと強めに手を動かす。ドクンと脈打つがまだ発射はしない。というか、我慢してる‪……‬?

「ジャオ‪……‬気持ちいいか‪……‬?」
「あ、ううっ‪……‬いい、ぞ‪……‬」
「キスしよ‪……‬?」
「う、う、」

苦しそうなジャオの膝に乗り上げて、唇を柔らかく食んだ。ジャオの息、熱い。僕の手に感じてるジャオに感じる。息が乱れててジャオらしくない‪……‬かわいい。

「ジャオ、べろ出して‪……‬?」
「べ、ベル、出る、ッ」
「ンン~~‪……‬」

ジュルルルルル! 控えめに出てきたジャオの舌に激しく吸い付いた。僕のほうが興奮しちゃってるかも。ジャオの腰全体が震えて、ドクンドクンと僕の手の中に発射した。
すごい、たくさん‪……‬うっとりと見つめていると、乱暴に手を拭われる。

「ジャオ、よかったか‪……‬?」
「ああ‪……‬不甲斐ない。もっともてば、もっとベルに触ってもらえたのに‪……‬」
「もう一回、する‪……‬?」

僕らは見つめ合って寄り添う。今度はジャオが膝立ちになって、上から僕の唇を覆うようにキスしてきた。ねばねばと舌を絡めながら、僕はジャオの早くも勃ち上がった竿を両側から包んで丁寧に扱き上げる。

「んふ、ジャオ‪……‬ビクつきすごいな‪……‬」
「ハア、ベルっ‪……‬」
「かわいい、ジャオ」

べろり。口の端を舐め上げて囁きかけると、ジャオが僕の頭を引き寄せてキスを激しくする。溺れる、息、できないっ‪……‬扱いてやるどころじゃない。僕はジャオの胸に手を置いて応えながらもなだめる。
結局ジャオは発射することなくキスを終えた。切羽詰まった顔してる‪……‬怒っているみたいに見えるけど、これは違う。今までにないくらい欲情しているんだ。出したいのかな。ならおとなしく扱かれてればいいのに。

「ジャオ‪……‬?」
「ベル‪……‬可愛いのはお前だ」

また唇を奪われてしまった。チュクチュクと愛情深く頬の裏側まで舐められて、骨抜きになる。飲み込みきれなかった涎を垂れ流す僕の口を両手の人差し指でこじ開けて、ジャオはじっと凝視してくる。

「ひゃお‪……?」
「この口で、して欲しい‪……‬」
「ひぇ‪……‬?」

何を、して欲しいのだろう。ジャオが立ち上がる。デカい竿が目の前にぶら下がる。恥ずかしくて顔を逸らすけど、手で頭を固定されてしまった。

「舐めてくれ、ベル‪……‬」
「へ‪……‬?」

ええええええええええ?
舐めてって‪……‬もしかして‪……‬ジャオのを‪……‬??????

切なく歪められた顔を見ると胸が締め付けられる。
叶えてやりたい。ジャオのこと、気持ち良くしてやりたい。だけどちょっと待ってくれ。アレを舐めるって‪……‬性行為では普通なのか‪……‬?

「ど、どう舐めれば‪……‬?」
「‪……‬舌で、触れてくれるだけでいい‪……‬」

頭を押さえ付ける力が徐々に強くなってくる。どうやら本当に限界のようだ。ジャオの雄の匂い‪……‬これを舐めるのかって想像すると、涎がドバドバ出てくる。なぜ? 生臭くて、ちっとも美味しそうじゃないのに‪……‬。
ぺと。試しに竿の中程に舌をあててみる。それだけでジャオの全身にグッと力が入る。わからないながらも、僕はそこに口付けたり、仔犬のようにペロペロ舐め上げたりして様子を見た。

ジャオ、僕のことガン見してる‪……‬刺激が足りないのかな‪……‬。

手も使ってもう少し強く吸い付くと「ウッ」と声が降ってきた。もっと感じて欲しい。もっと強くすればいいのかな。唾液をたっぷりと塗りつけるようにレロレロ往復する。裏側まで持ち上げて丁寧に濡らした。すると僕の唾液ではない液体が先端から溢れてて‪……‬達してはいないようだけど、結構気持ち良さそうだ。
そういえば先端も擦るとよかったような気がする。根本を扱きながら、もう片方の手の平で先端を擦ってみる。どんどん汁が滲んで僕の手を濡らした。

舐めたい‪……‬。

ハッ。無意識に手を口元に持っていってて、ジャオが見ていることに気付き間一髪で止めた。恋人の我慢汁を舐めたいなんて、男同士とか関係なく変態じゃないか。
でも‪……‬ジャオのなら全部味わいたいと思ってしまう‪。僕も大概重症だ。

「そこ‪……‬口に含んでくれないか‪……‬?」

ドキ一!!! 心を読まれたかと思った。いや撤回。考えてもみなかった。そうかわざわざ手を舐めなくとも直接ジャオのを舐めればいいんだ。
僕は唇を湿らせて前のめりになる。そしてまずはちょんと舌先でつついてみた。

苦ッ‪……‬‪……‬これが、ジャオの味‪……‬?

舌を回して先端を全部舐めとる。生臭い、けど同時にジャオの清潔さもわかる‪……‬匂いや味はまったく不快じゃない。ジャオの青い雄の匂いがここに凝縮されてる。そう思うと我慢できなかった。
僕はジャオの先端を口に含む。口の中でペロペロと舐め上げてたっぷり可愛がってやる。そうするとどんどん我慢汁が溢れてきて‪……‬おいしい。ん、おいしいな‪……‬?
震える腰を抱きかかえてどんどん口の中に入れていく。舌を這わせながらゆっくり、じっくりと‪……‬もうジャオので口の中がいっぱいだ。一回全部出して呼吸を整えると、ジャオが急かすように頭をぐいぐい押してくる。

「ベル、唇で扱いて‪……‬」
「へ‪……‬?」

そう懇願するジャオは艶っぽい瞳にうっすら涙すら浮かべている。
ああもうかわいい。全部叶えてやりたくなる‪……‬!

大きく口を開けて、なるべく奥まで咥え込む。唾液を絡めてジュッジュッと顔を前後した。これで合ってるんだよな? 唇で扱くって。僕の後頭部に置かれたジャオの手が、縋るように指先に力を入れてくる。抽送を繰り返すたびに鼻の奥にふわんと広がるジャオの雄臭が美味しくてどんどん涎が出た。
こんな行為、さっきまで知らなかったのに‪……‬どうしよう、ハマっちゃいそうだ‪……‬。

「ンッ、ンッ、ン」
「ああ出る、ベル」
「ンッンッ」

上半分を口の中に残して根本は手で擦ってやる。口の中では舌を絡めて吸い付きまくる。口でするのってバリエーション豊富なんだな‪……‬僕、勉強嫌いだけど、この行為については勉強したくなっちゃうかも……。

「グッ‪……‬!」

ピシャ。喉に叩きつけられる精液。身体が勝手に激しく咳き込むけど、嫌なわけじゃないって言いたかった。おろおろするジャオの手をそっと握る。

「……ンッ、気持ち良かったか?」
「ああ。‪……すごく」
「腕の怪我が治るまで毎日やってやる」
「え……!」
「‪……‬いやか?」
「いやなわけない‪……‬ああ、ベル」

想いが溢れ出したように、ジャオが僕の唇を攫う。
さっきまでお前のモノを口に含んでいたんだぞ? もう‪……‬それなのにジャオはまったく気にしていない様子で、これでもかと舌を絡めて貪ってくる。
愛されているよなあ‪……‬この愛情を受け取ることで、僕ももっともっとジャオに愛情を返したくなる。

これが本物の恋愛といえるのだろうか。僕の運命は歪められていないだろうか。
でも、もうなんだっていい。今の僕はジャオが大好きで、ジャオも僕に惜しみなく愛を注いでくれる。僕たちには、それで十分なんだ。
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