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第二話
さて、白黒ハッキリ付けようじゃないの!①
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「あぁ、やっぱりそうですか……」
推測した通りの結果に呆れ返る。例の匿名掲示板に書き込まれた人物が判明した調査書を見て、溜息をついた。
「スクールカウンセラーと相談しますか? お母さまには秘密で、との事ですからスクールカウンセラーとは相談される事をお勧めします」
担当してくれたサイバーポリスの女性は気遣わし気に問いかけた。細い銀縁眼鏡がよく似合う、小豆色の髪と瞳を持つ知的美人という言葉がピッタリの女の人だ。
弱者を積極的に保護する秘された国、ここテネーブル小国ではインターネットに関する誹謗中傷や虐めなどの書き込みにもくまなく目を光らせている。特に子供同士の事に関しては気を配っていた。今から凡そ1000年以上昔に、度ソーシャルネットワーキングサービスなどを通して度々発生したという子供同士の壮絶な虐めについてのデーターから研究し尽くしたのだという。故に、サイバーポリスと各学校に配属が義務付けられているスクールカウンセラーは密に連携が取れる体制にあった。
これは、テネーブル小国を創設した初代女王の意志を受け継いでいるのだそうだ。小等部の歴史の教科書に載っている事なのだが、殆どの人は軽く流して忘れてしまう。だからインターネットやソーシャルネットワーキングサービスの匿名性に安心し、面と向かっては言えないような罵詈雑言、誹謗中を深く考えずに書き込む愚か者が絶えないのだ。古今東西、いつの時代も人間のやらかす事はさほど変わらないように思う。
「はい。自分で解決する予定ではいますが、学園に関する事なので報告はしておこうかと思います」
正直に答えた。自力で解決させる算段は立ててはあるが、万が一拗れてしまった場合を考えると学園に話を通していないのは拙い。その場で手続きを済ませ、学園内のスクールカウンセラーとの相談する日時も決めてしまった。明日の放課後に取り付けたから、思ったより早く解決しそうだ。私を蔑ろにする奴らとは一刻も早く縁を切りたい。住んでいる場所もそう遠くないし、同じ学園内だから視界に入る事はあるだろうけれど、顔見知り程度の関係に戻したい。
帰り道。昼下がりのあぜ道にはクローバーが生い茂り、甘い香りが風に乗って辺りを包み込んでいる。右手には小麦畑、左側には桃や葡萄、枇杷など季節ごとに楽しめる果樹園が連なっている。ラインゲルト辺境伯の
「あれ? ミルティアちゃん?」
不意に小鳥を思わせる可愛らしい声が私を呼ぶ。足を止め、声の方向を見つめた。鮮やかなオレンジ色のふわふわした髪をキリリとポニーテールに結い上げ、紺色のパンツスーツに身を包んだ小柄な女性が居た。丸味を帯びた大きなグレーの双眸がキラキラと輝いる。
「ガーデニアのお姉様!」
嬉しくなって自然に声が弾んだ。彼女は兎系獣人族のガーデニア・グランデ。現ラインゲルト辺境伯の奥様にお仕えしてる侍女で、更には『国境なき世直し魔導士』としても御活躍中だ。その世直し魔導士とは何ぞや? という説明は後に回すそう。何故なら、憧れのお姉様に偶然お会い出来たからだ。今はほんのひと時でも会話を堪能したい。
「休日なのでちょっとその辺りを散策していました」
詳細を濁し、無難に応じながらお姉様に歩み寄る。お姉様、色白のお肌が一段とすべすべになってるし。鼻筋の中心に散らばる雀斑も白百合みたいで益々魅力的になっている。
……やっぱり、良い恋愛をすると女は美しくなって魅力が増すって本当なのかな……
「そう。ミルティアちゃん、歩くの好きだものね」
「はい、そうなんです。お姉様はこれからお仕事ですか?」
「そうなの。これからアエラス王国へね」
「これからですか! 気をつけて行って来てください」
「うふふ、有難う」
私たちは微笑みあった。
「ガーデニア、お待たせ。おっ、ミルティアちゃん、久しぶりだね」
通り道の邪魔にならないよう、果樹園寄りに避けて話をしていた私達。お姉様の背後から、グレーのスーツに身を包んだ背の高い男がやって来た。心地よいテノールが響く。
「ラウル様、こんにちは。お久しぶりです」
軽いカーテシーで応じた。ラウル様は自然にお姉様に寄り添うようにして並ぶと、二人は微笑み合う。誰が見てもお似合いの恋人同士だ。ラウル様は、現ラインゲルト辺境伯、ジルベルト様の専属護衛騎士も兼ねていらっしゃる。
……はぁ、素敵なお二人……
いつ見ても、お似合いのお二人だ。ラウル・ヘイワード様は短くカットされた紺色の艶髪に、切れ長の金色の瞳を持つ狼系の獣人族だ。冷たい印象を受けるほど整った顔立ちから、氷の美形騎士様という異名を持つ。女の子や奥様方のファンも多い。
「じゃ、またね」
「気を付けて帰れよ」
「はい、有難うございます、ではまた」
立ち去るお二人をそっと見送る。お姉様たちみたいに恋人同士だったり、ラインゲルト辺境伯御夫妻のようにパートナー同士でお仕事をするのも素敵だ。
……いつか私にも、まともな男と相思相愛になれる日が来るのだろうか……
ふと、サイラスとユリアナの事が頭を掠め、ほんの少しだけ憂鬱な思いで空を見上げた。
推測した通りの結果に呆れ返る。例の匿名掲示板に書き込まれた人物が判明した調査書を見て、溜息をついた。
「スクールカウンセラーと相談しますか? お母さまには秘密で、との事ですからスクールカウンセラーとは相談される事をお勧めします」
担当してくれたサイバーポリスの女性は気遣わし気に問いかけた。細い銀縁眼鏡がよく似合う、小豆色の髪と瞳を持つ知的美人という言葉がピッタリの女の人だ。
弱者を積極的に保護する秘された国、ここテネーブル小国ではインターネットに関する誹謗中傷や虐めなどの書き込みにもくまなく目を光らせている。特に子供同士の事に関しては気を配っていた。今から凡そ1000年以上昔に、度ソーシャルネットワーキングサービスなどを通して度々発生したという子供同士の壮絶な虐めについてのデーターから研究し尽くしたのだという。故に、サイバーポリスと各学校に配属が義務付けられているスクールカウンセラーは密に連携が取れる体制にあった。
これは、テネーブル小国を創設した初代女王の意志を受け継いでいるのだそうだ。小等部の歴史の教科書に載っている事なのだが、殆どの人は軽く流して忘れてしまう。だからインターネットやソーシャルネットワーキングサービスの匿名性に安心し、面と向かっては言えないような罵詈雑言、誹謗中を深く考えずに書き込む愚か者が絶えないのだ。古今東西、いつの時代も人間のやらかす事はさほど変わらないように思う。
「はい。自分で解決する予定ではいますが、学園に関する事なので報告はしておこうかと思います」
正直に答えた。自力で解決させる算段は立ててはあるが、万が一拗れてしまった場合を考えると学園に話を通していないのは拙い。その場で手続きを済ませ、学園内のスクールカウンセラーとの相談する日時も決めてしまった。明日の放課後に取り付けたから、思ったより早く解決しそうだ。私を蔑ろにする奴らとは一刻も早く縁を切りたい。住んでいる場所もそう遠くないし、同じ学園内だから視界に入る事はあるだろうけれど、顔見知り程度の関係に戻したい。
帰り道。昼下がりのあぜ道にはクローバーが生い茂り、甘い香りが風に乗って辺りを包み込んでいる。右手には小麦畑、左側には桃や葡萄、枇杷など季節ごとに楽しめる果樹園が連なっている。ラインゲルト辺境伯の
「あれ? ミルティアちゃん?」
不意に小鳥を思わせる可愛らしい声が私を呼ぶ。足を止め、声の方向を見つめた。鮮やかなオレンジ色のふわふわした髪をキリリとポニーテールに結い上げ、紺色のパンツスーツに身を包んだ小柄な女性が居た。丸味を帯びた大きなグレーの双眸がキラキラと輝いる。
「ガーデニアのお姉様!」
嬉しくなって自然に声が弾んだ。彼女は兎系獣人族のガーデニア・グランデ。現ラインゲルト辺境伯の奥様にお仕えしてる侍女で、更には『国境なき世直し魔導士』としても御活躍中だ。その世直し魔導士とは何ぞや? という説明は後に回すそう。何故なら、憧れのお姉様に偶然お会い出来たからだ。今はほんのひと時でも会話を堪能したい。
「休日なのでちょっとその辺りを散策していました」
詳細を濁し、無難に応じながらお姉様に歩み寄る。お姉様、色白のお肌が一段とすべすべになってるし。鼻筋の中心に散らばる雀斑も白百合みたいで益々魅力的になっている。
……やっぱり、良い恋愛をすると女は美しくなって魅力が増すって本当なのかな……
「そう。ミルティアちゃん、歩くの好きだものね」
「はい、そうなんです。お姉様はこれからお仕事ですか?」
「そうなの。これからアエラス王国へね」
「これからですか! 気をつけて行って来てください」
「うふふ、有難う」
私たちは微笑みあった。
「ガーデニア、お待たせ。おっ、ミルティアちゃん、久しぶりだね」
通り道の邪魔にならないよう、果樹園寄りに避けて話をしていた私達。お姉様の背後から、グレーのスーツに身を包んだ背の高い男がやって来た。心地よいテノールが響く。
「ラウル様、こんにちは。お久しぶりです」
軽いカーテシーで応じた。ラウル様は自然にお姉様に寄り添うようにして並ぶと、二人は微笑み合う。誰が見てもお似合いの恋人同士だ。ラウル様は、現ラインゲルト辺境伯、ジルベルト様の専属護衛騎士も兼ねていらっしゃる。
……はぁ、素敵なお二人……
いつ見ても、お似合いのお二人だ。ラウル・ヘイワード様は短くカットされた紺色の艶髪に、切れ長の金色の瞳を持つ狼系の獣人族だ。冷たい印象を受けるほど整った顔立ちから、氷の美形騎士様という異名を持つ。女の子や奥様方のファンも多い。
「じゃ、またね」
「気を付けて帰れよ」
「はい、有難うございます、ではまた」
立ち去るお二人をそっと見送る。お姉様たちみたいに恋人同士だったり、ラインゲルト辺境伯御夫妻のようにパートナー同士でお仕事をするのも素敵だ。
……いつか私にも、まともな男と相思相愛になれる日が来るのだろうか……
ふと、サイラスとユリアナの事が頭を掠め、ほんの少しだけ憂鬱な思いで空を見上げた。
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