【銀梅花の咲く庭で】~秋扇の蕾~
秋の扇、それは秋になって不要となった扇。転じて男の愛が薄らいだ為に捨てられた女を雅に例えてる慣用句だ。ミルティア・フェリシティ・エクオールの母親、ルアナ・ノーラの事でもある。母親は娘に元夫に対する不満や恨み言は一切言わなかった。奪っていった女に対しても同じく。「私がお父さんを繋ぎ留めて置ける魅力が無かったばかりに、寂しい思いをさせてごめんね」とただ悲しそうに微笑むだけだった。ミルティアはそんな母の事が嫌いではないが苦手だった。
ルアナは侯爵令嬢で、幼馴染の公爵子息との恋が実り新婚生活を送っていた。ある日子宝に恵まれた事を喜びと共に夫に告げようとしたその時、突如彗星の如く出現した聖女と夫が恋に落ちてしまう。周りからは、どういう訳か周りから、実の家族からも聖女と夫の恋を邪魔する悪女とののしられ冷遇されるようになっていったと言う。ルアナは妊娠を告げる事なく、記入した離縁届を自室の机に置いて逃げるようにこのテネーブル小国へと亡命したのだそうだ。
つい先日、「聖女」と名乗り認定する事は世界各国で禁止する、と帝国の皇帝から発表があった。数年前に帝国で起きた聖女絡みに関する重大事件が発端で、聖女に関する歴史を徹底検証、魔術師たちが色々と調べ尽くしてその対策がやっと完成したのだという。聖女の力について歴史の紐を解いてみると、魅了、魅惑、マインドコントロール、洗脳といった魔力に近いもので周囲を虜にし、それによって人生を狂わされる人が多かったのだとか。どうせなら母親の結婚生活の際に発表、聖女の名乗る事を禁じて欲しかった、と心の底から感じた。
人伝に聞いたところによると、男と聖女は二人の子宝に恵まれ幸せに暮らしているらしい。……理不尽だ、なんだかモヤモヤする……と常々感じていた。
時が過ぎ、ミルティアが十六の誕生日を迎える頃……胸に秘めていた思いを実行する決意を固める。それは、愛し合っていた筈の妻を平気で捨て去った男と、略奪女の元へ足を運ぶのだ。勿論、母親には内緒で。
ミルティアはただ、真実を知りたかった。別に、復讐や断罪をしたい訳ではない。略奪女との間に生まれた子供たちに罪はない。しかし、子供たちは知らされているのだろうか? 『当たり前のように享受できる幸福』な日常は、踏み台にされ犠牲になった哀れな女がいるという事実を。もし何も知らないなら、真実を知っておくべきだと感じていた。
ミルティアたちの事情を昔から知っており、協力的な周りの力を借り、少しずつ明るみに出て来る真実。やがて迎える結末。果たしてそれは因果なのか? それとも復讐なのか……? そしてミルティア自身の恋の行方は?
※R指定は念の為です。
※拙作【エデンの果てに】と同じ世界観の物語です。勿論、お読みにならなくてもこの作品のみで成立しています。
※他サイトにも載せております。
ルアナは侯爵令嬢で、幼馴染の公爵子息との恋が実り新婚生活を送っていた。ある日子宝に恵まれた事を喜びと共に夫に告げようとしたその時、突如彗星の如く出現した聖女と夫が恋に落ちてしまう。周りからは、どういう訳か周りから、実の家族からも聖女と夫の恋を邪魔する悪女とののしられ冷遇されるようになっていったと言う。ルアナは妊娠を告げる事なく、記入した離縁届を自室の机に置いて逃げるようにこのテネーブル小国へと亡命したのだそうだ。
つい先日、「聖女」と名乗り認定する事は世界各国で禁止する、と帝国の皇帝から発表があった。数年前に帝国で起きた聖女絡みに関する重大事件が発端で、聖女に関する歴史を徹底検証、魔術師たちが色々と調べ尽くしてその対策がやっと完成したのだという。聖女の力について歴史の紐を解いてみると、魅了、魅惑、マインドコントロール、洗脳といった魔力に近いもので周囲を虜にし、それによって人生を狂わされる人が多かったのだとか。どうせなら母親の結婚生活の際に発表、聖女の名乗る事を禁じて欲しかった、と心の底から感じた。
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