花篝
その花木は周囲に囲まれた森と、朱華(はねず)神社の境内一体に守られるようにして立つ「ヤエベニシダレ」という類の『一本桜』だった。一本桜とは言っても、枝垂れ桜の大樹三本分はあろうかと思われるほど見応えがあるものなのだが。
それは光の加減で朝、昼、晩で花の色の印象が移り変わって見える事から朱華色を連想させ、『朱華の八重桜』。通称、樹齢一千年余を誇る一本桜【朱華の八重の滝桜】と呼ばれていた。更に、そのサクラに寄り添うようにして立つ花篝。サクラと花篝、これらには悲しくも美しいとある物語があった。
そこは知る人ぞ知る隠れた名所となっており、毎年この花が咲く時期になると口伝えで知った観光客がひっそりと訪れる。訪れた人々は皆静かにサクラを愛でるのだ。
出原若葉は、そんな地元をこよなく愛し、その環境を守り次世代へと繋げていけたら、と神職を目指している。一つ年上の彼、九十九猛と共に。
ある日、参拝客が何の気無しにSNSにあげた写真が地元から離れて過疎化が心配された。猛はそんな状況を打破すべく、学びの為に都会の大学進学を選ぶ。
不安になる若葉。その予感が的中し、春休みに猛はバービー人形のような美女と共に帰省したのだ。
果たして猛の目的は? サクラと篝火の行く末は? 最終的に若葉が出した応えは?
それは光の加減で朝、昼、晩で花の色の印象が移り変わって見える事から朱華色を連想させ、『朱華の八重桜』。通称、樹齢一千年余を誇る一本桜【朱華の八重の滝桜】と呼ばれていた。更に、そのサクラに寄り添うようにして立つ花篝。サクラと花篝、これらには悲しくも美しいとある物語があった。
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