3 / 8
第二話
出会い
しおりを挟む
三週間ほど過ぎた。売れ残ったままだと、一週間ごとにAIの値段は下げられてく。当初一緒にショップにきたAIの子供たちはほとんど売れてしまったようだ。
……今日も退屈な一日が始まる。もう、テレビも見飽きたな……
アマンダはぼんやりとパソコンの画面を見つめた。
メタリックブルーの、見るからに高級そうな車に乗った男が地上に降り立つ。コツコツと靴の音が軽快に響く。黒の皮靴を履いている。そして紫紺色のスーツに身を包み、長い手足を優雅に裁きつつ。どうやら背が高く、小麦色の肌の持ち主のようだ。腰あたりまで伸ばされた漆黒の髪はストレートで見事な艶を誇る。高く上品な鼻、形の良い唇、面長の輪郭、やや先端が先細りになった耳。品良く整えられた眉……相当な美形であろうと期待が高まる。瞳は何色であろうか?
残念な事に、男の黒いサングラスで瞳が隠されてしまっていた。ガラス張りのショップ「AI専門店『Dorothy』」へと入店した。自動ドアが開くと同時に、「いらっしゃいませ」とスタッフたちが声をかける。するとスタッフ全員、作業中ぼ手を止め、男の元へと走り寄った。
「これはこれは、Licht(ドイツ語・光)様、ご来店有難うございます。わざわざいらっしゃらずとも、ご希望のお品をおっしゃって下されば選りすぐりを何点かお持ち致しましたのに」
初老の男が店内の奥より足早にやって来て愛想よく話しかける。この店のオーナーである。
「今日は思うところがあってな。自分の目でじっくりと確かめたい」
男の声はコントラバスを思わせる。低めだがよく通りそして印象深い声だ。
「どうぞどうぞ心行くまでご覧下さいませ」
オーナーは深々と頭を下げた。コツコツと軽快に靴音を鳴らし、男は端からガラスケース内のAIと、ケースに貼られている特徴を読む。男が読み終わった頃、オーナーが補足していく。男は一つ一つじっくりと観察した。
男はあるガラスケースの前で立ち止まる。ガラスケースの説明書きに興味を示したようだ。
『Amanda《アマンダ》(愛すべきもの・大切なもの)。姉と適合する新鮮な心臓を提供する為に両親が依頼。2207年11月11日、工授精にて試験管で生まれる。心臓移植をされた後、ドクター・レオンに遺体を引き取られ、AIとして再生する。
『【特徴】※喜怒哀楽すべて有り
※主《あるじ》の命令には絶対服従であるが、意思の力を備えている
※手の平を翳したり手を握ったりするだけで患部或いは傷口に手を翳すのみ
で、想いを治癒の力に変える事が出来る。 』
「リヒト様、この子が気になりますか?」
オーナーは意外そうに声をかけた。
「あぁ、この子を直接見てみたいのだが」
熱っぽく答えるリヒトと呼ばれる男。オーナーは少し戸惑い気味に答える。
「しかしこの子は、三週間ほど前に入荷して売れ残りで……。お隣の子の方が……」
「安くなっているものを私が買うのが気に入らないのか? なら元値で払おう。見せるのか? 見せないのか?」
男は鋭い声で詰問した。途端に震え上がるオーナー。
「め、滅相もございません! 大変失礼致しました。ただ、どなたも素通りしていく子なので、リヒト様には相応しくないかもと……」
「言い訳はいいから、サッサと開けろ」
男は冷たく遮った。
「は、はい! 大変失礼致しました!!」
オーナーは紺のブレザーのポケットから鍵を取り出した。
アマンダはパソコン画面に映し出される「およそ100年前の映像」というものをボーっ眺めていた。優しい青空、黄色い菜の花畑、ソメイヨシノ。賑わう花見客。今となっては貴重な映像だ。地球温暖化に伴い氷河期がやってきて、生態系は崩れてしまった。故に害虫や鳥の大量発生により、四季折々の花々は咲かなくなってしまった。個人では鉢植え、集団では植物園に行って花を見る。これが常識となっている。
子ども達の教育は、深刻な虐めや差別問題、教員不足から通学は廃止。2101年から自宅でパソコン画面に授業が一斉配信されるようびなっていた。授業内容は年齢別、質問は24時間いつでもメールで。教師はAIが勤めた。
ガチャカチャ
不意にガラス扉の鍵を開ける音で、アマンダは我に返った。オーナーだ。
……少し早いけど、廃棄処分行きか……
ほんの少しだけ寂しく思いながらも、覚悟を決めた。
「アマンダ、お前を見たいというお客様だよ」
オーナーの意外な言葉に、夢ではないだろうかと思った。小麦色の肌。紫紺のスーツに包み込んだ背の高そうな男が、アマンダを見つめていた。男のかけているサングラスに、アマンダの姿が映し出されている。
小柄で痩せた、目ばかりが大きい少女。ミディアムボブヘアーはプラチナブロンド。髪とお揃いの色の睫毛に囲まれた瞳の色は菫色だ。サングラスの奥の彼の瞳に、自分はどう映っているのか……。
アマンダは恐怖に身を振るわせた。廃棄処分にするなら、早くして欲しい、とすら思った。
「こんにちは、アマンダ。私はリヒト。ドイツ語で『光』と言う意味があるんだ」
男は笑みを浮かべ、ゆっくりと名乗る。低めで重厚な、されどよく通る柔らかな声だ。そして右手で自らのサングラスを外す。
……なんて綺麗な、コバルトブルーの瞳……
アマンダは息を呑んで見つめた。男のサングラスの下の瞳は、漆黒の長い睫毛にくまどわれた得も言われぬほど神秘的なコバルトブルーであった。まるでアウイナイトの宝石を彷彿させるようだ。上品な二重瞼、涼やかな切れ長の瞳だ。男の浅黒い肌とその瞳のコントラストは、非常に神秘的で浮世離れしており、詩人を魅了し画家を虜にする妖しいほどの魅力に溢れていた。
……けれどこの方、どこか寂しそう……
誰もが羨むような美貌、そして恐らく地位や頭脳を持っているであろうと推測される彼。けれどもその瞳の奥に深い憂いの影があるのを感じ取った。
リヒトと名乗る男は、ガラスケースの中のアマンダに右手を差し伸べた。反射的にビクッと怯えつつ
「こ、こんにちは。アマンダと申します」
と応じ、彼を見つめた。そして右手をおずおずと伸ばす。男は差し出された右手を優しく握ると、左腕をアマンダの両膝の下に差しいれそのまま抱き上げた。
アマンダは呆然としていた。何も考えられなかった。こんな風に優しく抱き上げて貰った経験は無かったので、どう反応して良いのか分からなかった。
「私のとこに来るかい?」
男は優しく尋ねた。
「はい、ご主人様」
アマンダは反射的に応えた。
これが、二人の最初の出会いであった。
……今日も退屈な一日が始まる。もう、テレビも見飽きたな……
アマンダはぼんやりとパソコンの画面を見つめた。
メタリックブルーの、見るからに高級そうな車に乗った男が地上に降り立つ。コツコツと靴の音が軽快に響く。黒の皮靴を履いている。そして紫紺色のスーツに身を包み、長い手足を優雅に裁きつつ。どうやら背が高く、小麦色の肌の持ち主のようだ。腰あたりまで伸ばされた漆黒の髪はストレートで見事な艶を誇る。高く上品な鼻、形の良い唇、面長の輪郭、やや先端が先細りになった耳。品良く整えられた眉……相当な美形であろうと期待が高まる。瞳は何色であろうか?
残念な事に、男の黒いサングラスで瞳が隠されてしまっていた。ガラス張りのショップ「AI専門店『Dorothy』」へと入店した。自動ドアが開くと同時に、「いらっしゃいませ」とスタッフたちが声をかける。するとスタッフ全員、作業中ぼ手を止め、男の元へと走り寄った。
「これはこれは、Licht(ドイツ語・光)様、ご来店有難うございます。わざわざいらっしゃらずとも、ご希望のお品をおっしゃって下されば選りすぐりを何点かお持ち致しましたのに」
初老の男が店内の奥より足早にやって来て愛想よく話しかける。この店のオーナーである。
「今日は思うところがあってな。自分の目でじっくりと確かめたい」
男の声はコントラバスを思わせる。低めだがよく通りそして印象深い声だ。
「どうぞどうぞ心行くまでご覧下さいませ」
オーナーは深々と頭を下げた。コツコツと軽快に靴音を鳴らし、男は端からガラスケース内のAIと、ケースに貼られている特徴を読む。男が読み終わった頃、オーナーが補足していく。男は一つ一つじっくりと観察した。
男はあるガラスケースの前で立ち止まる。ガラスケースの説明書きに興味を示したようだ。
『Amanda《アマンダ》(愛すべきもの・大切なもの)。姉と適合する新鮮な心臓を提供する為に両親が依頼。2207年11月11日、工授精にて試験管で生まれる。心臓移植をされた後、ドクター・レオンに遺体を引き取られ、AIとして再生する。
『【特徴】※喜怒哀楽すべて有り
※主《あるじ》の命令には絶対服従であるが、意思の力を備えている
※手の平を翳したり手を握ったりするだけで患部或いは傷口に手を翳すのみ
で、想いを治癒の力に変える事が出来る。 』
「リヒト様、この子が気になりますか?」
オーナーは意外そうに声をかけた。
「あぁ、この子を直接見てみたいのだが」
熱っぽく答えるリヒトと呼ばれる男。オーナーは少し戸惑い気味に答える。
「しかしこの子は、三週間ほど前に入荷して売れ残りで……。お隣の子の方が……」
「安くなっているものを私が買うのが気に入らないのか? なら元値で払おう。見せるのか? 見せないのか?」
男は鋭い声で詰問した。途端に震え上がるオーナー。
「め、滅相もございません! 大変失礼致しました。ただ、どなたも素通りしていく子なので、リヒト様には相応しくないかもと……」
「言い訳はいいから、サッサと開けろ」
男は冷たく遮った。
「は、はい! 大変失礼致しました!!」
オーナーは紺のブレザーのポケットから鍵を取り出した。
アマンダはパソコン画面に映し出される「およそ100年前の映像」というものをボーっ眺めていた。優しい青空、黄色い菜の花畑、ソメイヨシノ。賑わう花見客。今となっては貴重な映像だ。地球温暖化に伴い氷河期がやってきて、生態系は崩れてしまった。故に害虫や鳥の大量発生により、四季折々の花々は咲かなくなってしまった。個人では鉢植え、集団では植物園に行って花を見る。これが常識となっている。
子ども達の教育は、深刻な虐めや差別問題、教員不足から通学は廃止。2101年から自宅でパソコン画面に授業が一斉配信されるようびなっていた。授業内容は年齢別、質問は24時間いつでもメールで。教師はAIが勤めた。
ガチャカチャ
不意にガラス扉の鍵を開ける音で、アマンダは我に返った。オーナーだ。
……少し早いけど、廃棄処分行きか……
ほんの少しだけ寂しく思いながらも、覚悟を決めた。
「アマンダ、お前を見たいというお客様だよ」
オーナーの意外な言葉に、夢ではないだろうかと思った。小麦色の肌。紫紺のスーツに包み込んだ背の高そうな男が、アマンダを見つめていた。男のかけているサングラスに、アマンダの姿が映し出されている。
小柄で痩せた、目ばかりが大きい少女。ミディアムボブヘアーはプラチナブロンド。髪とお揃いの色の睫毛に囲まれた瞳の色は菫色だ。サングラスの奥の彼の瞳に、自分はどう映っているのか……。
アマンダは恐怖に身を振るわせた。廃棄処分にするなら、早くして欲しい、とすら思った。
「こんにちは、アマンダ。私はリヒト。ドイツ語で『光』と言う意味があるんだ」
男は笑みを浮かべ、ゆっくりと名乗る。低めで重厚な、されどよく通る柔らかな声だ。そして右手で自らのサングラスを外す。
……なんて綺麗な、コバルトブルーの瞳……
アマンダは息を呑んで見つめた。男のサングラスの下の瞳は、漆黒の長い睫毛にくまどわれた得も言われぬほど神秘的なコバルトブルーであった。まるでアウイナイトの宝石を彷彿させるようだ。上品な二重瞼、涼やかな切れ長の瞳だ。男の浅黒い肌とその瞳のコントラストは、非常に神秘的で浮世離れしており、詩人を魅了し画家を虜にする妖しいほどの魅力に溢れていた。
……けれどこの方、どこか寂しそう……
誰もが羨むような美貌、そして恐らく地位や頭脳を持っているであろうと推測される彼。けれどもその瞳の奥に深い憂いの影があるのを感じ取った。
リヒトと名乗る男は、ガラスケースの中のアマンダに右手を差し伸べた。反射的にビクッと怯えつつ
「こ、こんにちは。アマンダと申します」
と応じ、彼を見つめた。そして右手をおずおずと伸ばす。男は差し出された右手を優しく握ると、左腕をアマンダの両膝の下に差しいれそのまま抱き上げた。
アマンダは呆然としていた。何も考えられなかった。こんな風に優しく抱き上げて貰った経験は無かったので、どう反応して良いのか分からなかった。
「私のとこに来るかい?」
男は優しく尋ねた。
「はい、ご主人様」
アマンダは反射的に応えた。
これが、二人の最初の出会いであった。
0
あなたにおすすめの小説
「『お前に書く手紙などない』と言った婚約者へ、私は7年間手紙を書き続けた——ただし、届け先は別の人でした」
歩人
ファンタジー
辺境伯令嬢リゼットは、婚約者に7年間手紙を書き続けた。返事は一度もなかった。
「お前に書く手紙などない。顔も覚えていない」——婚約破棄。しかしリゼットは
泣かなかった。手紙の本当の届け先は、最初から別にあったから。前世の情報分析
能力で辺境の異変を読み解き、暗号として織り込んだ7年分の手紙。それを受け取り
続けていたのは第一王子。リゼットは誰にも知られず、王国を守っていた。
婚約破棄の翌朝、王子からの手紙が届く。「7年間、ありがとう。迎えに行く」
「がっかりです」——その一言で終わる夫婦が、王宮にはある
柴田はつみ
恋愛
妃の席を踏みにじったのは令嬢——けれど妃の心を折ったのは、夫のたった一言だった
王太子妃リディアの唯一の安らぎは、王太子アーヴィンと交わす午後の茶会。だが新しく王宮に出入りする伯爵令嬢ミレーユは、妃の席に先に座り、殿下を私的に呼び、距離感のない振る舞いを重ねる。
リディアは王宮の礼節としてその場で正す——正しいはずだった。けれど夫は「リディア、そこまで言わなくても……」と、妃を止めた。
「わかりました。あなたには、がっかりです」
微笑んで去ったその日から、夫婦の茶会は終わる。沈黙の王宮で、言葉を失った王太子は、初めて“追う”ことを選ぶが——遅すぎた。
【完結】冷酷伯爵ディートリヒは、去った妻を取り戻せない
くろねこ
恋愛
名門伯爵家に政略結婚で嫁いだ、正妻エレノア・リーヴェルト。夫である伯爵ディートリヒ・フォン・アイゼンヴァルトは、
軍務と義務を最優先し、彼女に関心を向けることはなかった。
言葉も、視線も、愛情も与えられない日々。それでも伯爵夫人として尽くし続けたエレノアは、ある一言をきっかけに、静かに伯爵家を去る決意をする。
――そして初めて、夫は気づく。
自分がどれほど多くのものを、彼女から与えられていたのかを。
一方、エレノアは新たな地でその才覚と人柄を評価され、
「必要とされる存在」として歩き始めていた。
去った妻を想い、今さら後悔する冷酷伯爵。前を向いて生きる正妻令嬢。
これは、失ってから愛に気づいた男と、
二度と戻らないかもしれない夫婦の物語。
――今さら、遅いのです。
夫と息子に邪険にされたので王太子妃の座を譲ります~死に戻ってから溺愛されても今更遅い
青の雀
恋愛
夫婦喧嘩の末に置き去りにされた妻は、旦那が若い愛人とイチャついている間に盗賊に襲われ、命を落とした。
神様の温情により、10日間だけこの世に戻った妻と護衛の騎士は、その10日間の間に心残りを処分する。それは、娘の行く末と……もし、来世があるならば、今度は政略といえども夫以外の人の妻になるということ。
もう二度と夫と出会いたくない彼女は、彼女を蔑ろにしてきた息子とも縁を切ることを決意する。
生まれかわった妻は、新しい人生を強く生きることを決意。
過去世と同じ轍を踏みたくない……
「君は有能すぎて可愛げがない」と婚約破棄されたので、一晩で全ての魔法結界を撤去して隣国へ行きます。あ、維持マニュアルは燃やしました。
しょくぱん
恋愛
「君の完璧主義には反吐が出る」――婚約者の第一王子にそう告げられ、国外追放を命じられた聖女エルゼ。彼女は微笑み、一晩で国中の魔法結界を撤去。さらに「素人でも直せる」と嘘を吐かれた維持マニュアルを全て焼却処分した。守護を失いパニックに陥る母国を背に、彼女は隣国の軍事帝国へ。そこでは、彼女の「可愛くない」技術を渇望する皇帝が待っていた。
物置部屋に追いやられた伯爵令嬢ですが、公爵様に見初められて人生逆転しました〜妹の引き立て役だったのに、今では社交界の花と呼ばれています〜
丸顔ちゃん。
恋愛
伯爵家の令嬢セレナは、実母の死後、継母と義妹に虐げられて育った。
与えられた部屋は使用人以下の物置、食事は残飯、服はボロ。
専属侍女も与えられず、家の運営や帳簿管理まで押し付けられ、
失敗すれば鞭打ち――それが彼女の日常だった。
そんなある日、世間体のためだけに同行させられた夜会で、
セレナは公爵家の跡取りレオンと出会う。
「あなたの瞳は、こんな場所に閉じ込めていいものではない」
彼はセレナの知性と静かな強さに一瞬で心を奪われ、
彼女の境遇を知ると激怒し、家族の前で堂々と求婚する。
嫁ぎ先の公爵家で、セレナは初めて“人として扱われ”、
広い部屋、美味しい食事、優しい侍女たちに囲まれ、
独学で身につけた知識を活かして家の運営でも大活躍。
栄養と愛情を取り戻したセレナは、
誰もが振り返るほどの美しさを開花させ、
社交界で注目される存在となる。
一方、セレナを失った伯爵家は、
彼女の能力なしでは立ち行かず、
ゆっくりと没落していくのだった――。
虐げられた令嬢が、公爵の愛と自分の才能で幸せを掴む逆転物語。
つまらない妃と呼ばれた日
柴田はつみ
恋愛
公爵令嬢リーシャは政略結婚で王妃に迎えられる。だが国王レオニスの隣には、幼馴染のセレスが“当然”のように立っていた。祝宴の夜、リーシャは国王が「つまらない妃だ」と語る声を聞いてしまい、心を閉ざす。
舞踏会で差し出された手を取らず、王弟アドリアンの助けで踊ったことで、噂は一気に燃え上がる――「王妃は王弟と」「国王の本命は幼馴染」と。
さらに宰相は儀礼と世論を操り、王妃を孤立させる策略を進める。監視の影、届かない贈り物、すり替えられた言葉、そして“白薔薇の香”が事件現場に残る冤罪の罠。
リーシャは微笑を鎧に「今日から、王の隣に立たない」と決めるが、距離を取るほど誤解は確定し、王宮は二人を引き裂いていく。
――つまらない妃とは、いったい誰が作ったのか。真実が露わになった時、失われた“隣”は戻るのか。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる