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第十七話
トラウマと希望の追憶
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『お前、姉ちゃんと違って超ブスだな』
『しかも姉ちゃんも弟も超がつくほど優秀なんだと。コイツはダメダメだけど。母ちゃんが言ってた』
『お前なんで生まれてきたの?』
小学校に入学して間もなくの事だ。集団下校をしている際、一緒に帰路についていた子たちと別れてたまたま一人になった頃、クラスでも悪戯好きな男子トリオがわざわざ絡んできたのだ。登下校の班は別だが、家の方向が途中まで一緒だった事もあるのかもしれない。歩道を歩く真凛に付きまとう男子たち。
彼らに指摘されるまでもなく、既に自分というものが如何にカスで出来上がっているのか嫌というほど自覚していたので、反論する事なく俯きながら家路を目指す。
(本当にそうなんだ。どうして私だけこんなにダメな子なんだろう? どうして生まれて来たんだろう?)
言われても反論できない。本当の事だからだ。ただ俯いたまま、家路を目指す。
『やーい、だんまり決めこんで何も言え無いのかよー』
『ブース、バーカ、ブース、バーカ』
『ブース、バーカ、ブース、バーカ』
一人が言い始めると、もう一人が手拍子を取り、
『ブース、バーカ、ブース、バーカ』
『ブース、バーカ、ブース、バーカ』
『ブース、バーカ、ブース、バーカ』
三人全員で手拍子を取りながら歌うようにして囃し立てた。いたたまれなくてグスンと鼻をすする。喉の奥と胸が痛くて瞳に液体の膜が張る。
『あー。コイツやっと泣いたー。泣くと余計にぶっ細工だなぁー』
『すっげーブス』
『福笑いみてーだ』
ハッハッハッやーい、やーいと嬉しそうに大笑いする三人。そう言われる事が分かっていたから、泣かないように耐え忍ぶつもりだった。そんな自分が惨めで、消えたくて。もう歩く気力もなくなってその場にしゃがみこんだ。
『コイツ、ブスの癖に本格的に泣いてやんの』
『ウォー、目が腐る』
『コイツ、もしかして臭かったりもするんじゃね?』
益々調子に乗って好き勝手にある事ない事揶揄する男子たち。
(ブスで馬鹿だけど、臭くなんかないもん!)
心の中で叫んだ。けれども体は男子たちの悪口雑言に絡めとられてしまったように身動きが取れない。ただただ体を丸めてシクシク泣く事しか出来なかった。
『ブース、バーカ、ブース、バーカ』
『ブース、バーカ、ブース、バーカ』
『ブース、バーカ、ブース、バーカ』
再び手拍子をしながら楽しそうに囃し立てる。
(もう、やだ……消えたい。死んじゃいたい……)
本当にそう思った。舌を噛み切ろうかと思った瞬間、
「こらっ!」
大人の男の声が響いた。低めで張りがあるよく通る声。真凛にはその声が神のように思えた。
「よってたかって男が三人がかりで女の子一人虐めるなんて、何て情けない奴らだ!」
真凛はほんの少しだけ顔を上げてみた。自分を助けてくれようとしている男の姿が見たいし、お礼を言わねばならない。すぐ目の前に、大きなスニーカーが二つ映る。緑や黒、黄緑色の葉っぱのような模様がついている。黒の紐でしっかりと結んであるその靴の模様は、『迷彩柄』と言うものだと後から知った。草色の作業着を着ているようだ。
「だってコイツ、すっげーブスだもん」
「そうそう、すっげー馬鹿なんだもん」
「そう、で、コイツの父ちゃん母ちゃんは美男美女で、弟も姉ちゃんも美形で超優秀なんだぜ!」
口々に不満を訴える男子たち。まるで正義は自分にある! とても言いたげに。
「そうかそうか。だから何だ? お前らだって大して美形でも賢くもないだろ?」
皮肉たっぷりに答える大人。口ぶりからしてまだ若そうな感じを受ける。
(あれ?)
真凛の目に、男の大きな二つの靴の隣に、小さな子供の靴がちょこちょこ動いている事に気付いた。
(子連れパパさん、かな……)
既に涙は乾き、自分を救ってくれつこの男、いや親子だろうか、に興味津々だ。
「なんだよ! 俺達のどこが不細工で馬鹿なんだよ!」
「そうだ! 失礼じゃないか!」
「父ちゃん母ちゃんに言い付けてやる!」
食ってからる三人組。
「ハッハッハッ。自分たちはもっと酷いこと女の子に言ってただろう。人を弄るのはよくて自分は駄目ってか? どうしようもない甘ったれだなぁ」
男は小馬鹿にしたように応ずる。
「お父さんお母さんに言い付けてもいいけど、僕、少し前から君たちの虐める姿と今に至るまで、動画におさめっちゃった。てへへ」
突然、可愛らしいボーイソプラノと呼べそうな声が響く。悪戯っ子みたい無邪気な語り口だ。
「え……」
絶句する三人組。
「これさぁ、ソイッタ―とかコンスタントグラムとか、チックトックとかに流せばさぁ、モザイクはかけたとしても、すぐに身元割れるし。あっと言う間に拡散しちゃうよねー。困るのはどっちかなー」
嬉しそうに語る男の子。
「うあ、やべー、ずらかるぞ!」
「お、おう! なんだよ生意気な」
「覚えてろ!」
バタバタと走り去る足音。捨て台詞が滑稽だ。
「はっはっは」
「うふふふふ」
男の男の子の笑う声。続いて
「大丈夫? 酷いことする奴らだね」
しゃがみ込んで真凛と目線を同じ高さにして語りかける男の子の声。
「もう大丈夫だぞ。立てるかな?」
男の声が頭上より響いた。慌て眼鏡をとり、涙を手の甲で拭う。
「あ、はい。大丈夫です。有難うございます」
そう答えながら、ゆっくりと立ち上がった。
(あ……)
自分より頭一つ分ほど背の高い男の子が微笑みかけた。青みがかった象牙色の肌に、鳶色の髪が小波のように波打っていて顎のあたりで切り揃えてある。彫の深い整った顔立ち、オリーブグリーンの瞳が印象的だ。
(うわぁ、綺麗な男の子! ハーフかクォーターかな……?)
続いて男の方をみた。
(カッコイイ人だなぁ……)
男は背が高く、細身の筋質の体形と見受けられる。作業服の長袖を肘までまくりあげており、肘から手首にかけての筋肉のつき方で予測が出来た。男の方は日焼けした艶のある小麦色の肌に、長めにカットした漆黒の髪、アーモンド型の瞳は澄んだ明るい茶色だ。瞳の色は違えど、目元は男の子とよく似ている。イタリア人を思わせるほど彫りが深く端正な顔立ちだった。
(やっぱり親子だろうな……)
二人はお揃いの作業着とスニーカーを履いている事もあり、しみじみと思った。
「怪我はないかい?」
男は優しく尋ねる。真凛は漸く自分がポーッと目の前の親子に見惚れている事に気付いた。
「あ、は、はい! 大丈夫です。あ、あの、助けていただいて、ありがとうございました」
(恥ずかしい、みっともなく見惚れて。まずはお礼が先なのに)
ぺこりと頭を下げた。そして何だか申し訳ない気持ちになった。
(あーぁ。漫画やアニメやラノベの世界なら、ブスブスって虐められていた女の子は実は超可愛くて。ていうのはお約束だけど。私みたいなブス助けたら、がっかりしちゃうよね……。目の毒というか)
「あの、すみませんでした」
思わず謝罪の言葉が口をついで出てしまう。
「どうして謝るの?」
「なんで謝るんだい?」
父子は不思議そうに尋ねる。
「いや、あの……私、あの男の子たちが言った通りで。父も母とも似て居ないし、弟も姉とも真逆で。本当にブス……」
「はい、そこまで!」
男は笑顔で遮った。
「人間ね、本当に美人かそうでないかは、もう若さでは勝負出来なくなる中年になって現れるんだ。生き方が顔に出るからね。だから、さっきいた三馬鹿トリオはあのまま大人になったら醜い顔になるだろうね。いい事教えてあげよう。ほら、アスファルトの僅かな隙間から雑草が伸び伸びと生えてるだろ?」
男は道路の真ん中を指さす。そこには確かに、ひと塊の雑草が勢いよく生えてる。
「車に潰されもへっちゃら。人の手を必要としない見事な生命力だ。厳しい環境をバネにして逞しく生きる。『オオバコ』、ていうんだけどね。落ち込みそうになったり、しんどい時には雑草の事を思い出すといいよ」
真凛は話に惹き込まれた。以前から草や花、植物は大好きだったが、もっと雑草について知りたい、俄然興味が湧いた。
「有難うございます。参考にします」
真凛が再びお礼を述べると、男は軽く右手をあげ、男の子と去って行く。だが、突然、男の子は思い出したかのように降り返ると、
「僕のパパね、庭師なんだ! お庭を魔法みたいに綺麗にしちゃうんだよ!」
と得意そうに言った。
「へぇ?」
何だか男が魔法使いのように思えた。
「こらこら」
男は照れたように子供をたしなめる。
「動画は本当に撮ってあるから、あいつら大人しくなると思うよ。バイバイ。またね!」
男の子は朗らかにそう言うと、右手をあげて大きく振った。
真凛はぽっかりと目を開けた。白い天井が目に映る。
「あ、気が付いた。良かった」
心配そうに覗き込む副部長と、養護教諭の姿が目に飛び込む。一瞬、自分がどこにいるか理解出来なかった。
『しかも姉ちゃんも弟も超がつくほど優秀なんだと。コイツはダメダメだけど。母ちゃんが言ってた』
『お前なんで生まれてきたの?』
小学校に入学して間もなくの事だ。集団下校をしている際、一緒に帰路についていた子たちと別れてたまたま一人になった頃、クラスでも悪戯好きな男子トリオがわざわざ絡んできたのだ。登下校の班は別だが、家の方向が途中まで一緒だった事もあるのかもしれない。歩道を歩く真凛に付きまとう男子たち。
彼らに指摘されるまでもなく、既に自分というものが如何にカスで出来上がっているのか嫌というほど自覚していたので、反論する事なく俯きながら家路を目指す。
(本当にそうなんだ。どうして私だけこんなにダメな子なんだろう? どうして生まれて来たんだろう?)
言われても反論できない。本当の事だからだ。ただ俯いたまま、家路を目指す。
『やーい、だんまり決めこんで何も言え無いのかよー』
『ブース、バーカ、ブース、バーカ』
『ブース、バーカ、ブース、バーカ』
一人が言い始めると、もう一人が手拍子を取り、
『ブース、バーカ、ブース、バーカ』
『ブース、バーカ、ブース、バーカ』
『ブース、バーカ、ブース、バーカ』
三人全員で手拍子を取りながら歌うようにして囃し立てた。いたたまれなくてグスンと鼻をすする。喉の奥と胸が痛くて瞳に液体の膜が張る。
『あー。コイツやっと泣いたー。泣くと余計にぶっ細工だなぁー』
『すっげーブス』
『福笑いみてーだ』
ハッハッハッやーい、やーいと嬉しそうに大笑いする三人。そう言われる事が分かっていたから、泣かないように耐え忍ぶつもりだった。そんな自分が惨めで、消えたくて。もう歩く気力もなくなってその場にしゃがみこんだ。
『コイツ、ブスの癖に本格的に泣いてやんの』
『ウォー、目が腐る』
『コイツ、もしかして臭かったりもするんじゃね?』
益々調子に乗って好き勝手にある事ない事揶揄する男子たち。
(ブスで馬鹿だけど、臭くなんかないもん!)
心の中で叫んだ。けれども体は男子たちの悪口雑言に絡めとられてしまったように身動きが取れない。ただただ体を丸めてシクシク泣く事しか出来なかった。
『ブース、バーカ、ブース、バーカ』
『ブース、バーカ、ブース、バーカ』
『ブース、バーカ、ブース、バーカ』
再び手拍子をしながら楽しそうに囃し立てる。
(もう、やだ……消えたい。死んじゃいたい……)
本当にそう思った。舌を噛み切ろうかと思った瞬間、
「こらっ!」
大人の男の声が響いた。低めで張りがあるよく通る声。真凛にはその声が神のように思えた。
「よってたかって男が三人がかりで女の子一人虐めるなんて、何て情けない奴らだ!」
真凛はほんの少しだけ顔を上げてみた。自分を助けてくれようとしている男の姿が見たいし、お礼を言わねばならない。すぐ目の前に、大きなスニーカーが二つ映る。緑や黒、黄緑色の葉っぱのような模様がついている。黒の紐でしっかりと結んであるその靴の模様は、『迷彩柄』と言うものだと後から知った。草色の作業着を着ているようだ。
「だってコイツ、すっげーブスだもん」
「そうそう、すっげー馬鹿なんだもん」
「そう、で、コイツの父ちゃん母ちゃんは美男美女で、弟も姉ちゃんも美形で超優秀なんだぜ!」
口々に不満を訴える男子たち。まるで正義は自分にある! とても言いたげに。
「そうかそうか。だから何だ? お前らだって大して美形でも賢くもないだろ?」
皮肉たっぷりに答える大人。口ぶりからしてまだ若そうな感じを受ける。
(あれ?)
真凛の目に、男の大きな二つの靴の隣に、小さな子供の靴がちょこちょこ動いている事に気付いた。
(子連れパパさん、かな……)
既に涙は乾き、自分を救ってくれつこの男、いや親子だろうか、に興味津々だ。
「なんだよ! 俺達のどこが不細工で馬鹿なんだよ!」
「そうだ! 失礼じゃないか!」
「父ちゃん母ちゃんに言い付けてやる!」
食ってからる三人組。
「ハッハッハッ。自分たちはもっと酷いこと女の子に言ってただろう。人を弄るのはよくて自分は駄目ってか? どうしようもない甘ったれだなぁ」
男は小馬鹿にしたように応ずる。
「お父さんお母さんに言い付けてもいいけど、僕、少し前から君たちの虐める姿と今に至るまで、動画におさめっちゃった。てへへ」
突然、可愛らしいボーイソプラノと呼べそうな声が響く。悪戯っ子みたい無邪気な語り口だ。
「え……」
絶句する三人組。
「これさぁ、ソイッタ―とかコンスタントグラムとか、チックトックとかに流せばさぁ、モザイクはかけたとしても、すぐに身元割れるし。あっと言う間に拡散しちゃうよねー。困るのはどっちかなー」
嬉しそうに語る男の子。
「うあ、やべー、ずらかるぞ!」
「お、おう! なんだよ生意気な」
「覚えてろ!」
バタバタと走り去る足音。捨て台詞が滑稽だ。
「はっはっは」
「うふふふふ」
男の男の子の笑う声。続いて
「大丈夫? 酷いことする奴らだね」
しゃがみ込んで真凛と目線を同じ高さにして語りかける男の子の声。
「もう大丈夫だぞ。立てるかな?」
男の声が頭上より響いた。慌て眼鏡をとり、涙を手の甲で拭う。
「あ、はい。大丈夫です。有難うございます」
そう答えながら、ゆっくりと立ち上がった。
(あ……)
自分より頭一つ分ほど背の高い男の子が微笑みかけた。青みがかった象牙色の肌に、鳶色の髪が小波のように波打っていて顎のあたりで切り揃えてある。彫の深い整った顔立ち、オリーブグリーンの瞳が印象的だ。
(うわぁ、綺麗な男の子! ハーフかクォーターかな……?)
続いて男の方をみた。
(カッコイイ人だなぁ……)
男は背が高く、細身の筋質の体形と見受けられる。作業服の長袖を肘までまくりあげており、肘から手首にかけての筋肉のつき方で予測が出来た。男の方は日焼けした艶のある小麦色の肌に、長めにカットした漆黒の髪、アーモンド型の瞳は澄んだ明るい茶色だ。瞳の色は違えど、目元は男の子とよく似ている。イタリア人を思わせるほど彫りが深く端正な顔立ちだった。
(やっぱり親子だろうな……)
二人はお揃いの作業着とスニーカーを履いている事もあり、しみじみと思った。
「怪我はないかい?」
男は優しく尋ねる。真凛は漸く自分がポーッと目の前の親子に見惚れている事に気付いた。
「あ、は、はい! 大丈夫です。あ、あの、助けていただいて、ありがとうございました」
(恥ずかしい、みっともなく見惚れて。まずはお礼が先なのに)
ぺこりと頭を下げた。そして何だか申し訳ない気持ちになった。
(あーぁ。漫画やアニメやラノベの世界なら、ブスブスって虐められていた女の子は実は超可愛くて。ていうのはお約束だけど。私みたいなブス助けたら、がっかりしちゃうよね……。目の毒というか)
「あの、すみませんでした」
思わず謝罪の言葉が口をついで出てしまう。
「どうして謝るの?」
「なんで謝るんだい?」
父子は不思議そうに尋ねる。
「いや、あの……私、あの男の子たちが言った通りで。父も母とも似て居ないし、弟も姉とも真逆で。本当にブス……」
「はい、そこまで!」
男は笑顔で遮った。
「人間ね、本当に美人かそうでないかは、もう若さでは勝負出来なくなる中年になって現れるんだ。生き方が顔に出るからね。だから、さっきいた三馬鹿トリオはあのまま大人になったら醜い顔になるだろうね。いい事教えてあげよう。ほら、アスファルトの僅かな隙間から雑草が伸び伸びと生えてるだろ?」
男は道路の真ん中を指さす。そこには確かに、ひと塊の雑草が勢いよく生えてる。
「車に潰されもへっちゃら。人の手を必要としない見事な生命力だ。厳しい環境をバネにして逞しく生きる。『オオバコ』、ていうんだけどね。落ち込みそうになったり、しんどい時には雑草の事を思い出すといいよ」
真凛は話に惹き込まれた。以前から草や花、植物は大好きだったが、もっと雑草について知りたい、俄然興味が湧いた。
「有難うございます。参考にします」
真凛が再びお礼を述べると、男は軽く右手をあげ、男の子と去って行く。だが、突然、男の子は思い出したかのように降り返ると、
「僕のパパね、庭師なんだ! お庭を魔法みたいに綺麗にしちゃうんだよ!」
と得意そうに言った。
「へぇ?」
何だか男が魔法使いのように思えた。
「こらこら」
男は照れたように子供をたしなめる。
「動画は本当に撮ってあるから、あいつら大人しくなると思うよ。バイバイ。またね!」
男の子は朗らかにそう言うと、右手をあげて大きく振った。
真凛はぽっかりと目を開けた。白い天井が目に映る。
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