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第三話
その男、異端につき……・その一
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(「これは夢だ!」て自覚してるだけじゃなくて、私の意思通り話せるみたいだから、ここは自由に振る舞ってみよう)
薔子は思い切って目の前の超美形キャラに話しかける。
「ところで、あなたは何てキャラですか? 見たところ……うーん……堕天使系かな? ベリアル? アステマ? まさかルシファー様とか?」
(ふむふむ、夢の中の私って大胆だわー。現実だと、こーんなイケメンを前にしたら萎縮して赤面してモジモジごにょごにょ、だわね)
「堕天使だと? 失礼な。私は元々神の奴隷ではない。従って堕とされてなどいない。そもそも独自に進化・発展して来たのだ」
男はその美しい眉をひそめ、不機嫌そうに応じた。
「あら、何か気に障りましたか? ごめんなさい。でも、堕天使って何だか影のある美形が多いですし、堕天使系が好きな子、沢山いると思いますよ。褒め言葉で言ったつもりです。だってとても美形キャラ様ですもの」
(オタク女子の間では特にねー)
薔子はうっとりと見つめた。男からは、電気が彼女の眼鏡レンズに反射して眼鏡自体が光っているようにしか見えないのだが……。
「そういうものなのか……まぁ良い。まだ自己紹介もしていなかったものな。すまなかった」
男は気を取り直して、言葉を続ける。
「私の種族名は、俗に言う『ヴァンパイア』と呼ばれるものだ」
と言って二ッと歯を見せて笑った。
「あっ! 本当だ。犬歯が長く発達してる。牙ですよね?」
薔子は目を輝かせ、スッと立ち上がると男の傍へと歩き始めた。
「ん? 怖くないのか?」
彼は不思議そうに問いかけた。
「いいえ、全く。だって凄く美形キャラですし」
(ていうか、夢の中だもんねー)
薔子は迷わず真ん前に歩み寄ると、彼を見上げた。
「あ、いや、これは夢などでは無いんだが……」
男は困惑気味だ。しかし、その言葉は薔子の耳には右から左に流れてしまったようだ。端から夢だと信じて疑っていないらしい。
「生き血を啜られるかも、とか。ヴァンパイアの仲間にさせられたどうしよう、とか。怖くならないのかい?」
「あ、でも確か、ヴァンパイアって……。男性経験がなくても18歳以下は手を出さない、て掟がありましたよね? 未成年は仲間にしない、てやつ。日本だと成人は20歳からになりますけど、外国だと18歳としてるところが多いですよね。私は17歳なのでセーフですし。何よりも美人しか手を出さない。どの道私は問題外ですから」
男は、彼女が自虐的に話しているにも関わらず得意気に頬を上気させて熱っぽく語る事が不思議でならなかった。
「随分詳しいのだな」
「はい、前に美形のヴァンパイアの乙女ゲームにハマって。色々ヴァンパイアについて調べたんですよ。……あ、でもヴァンパイアは大抵は黒髪にローズレッドの瞳、て……」
薔子は考え込むように口をつぐんだ。
「あぁ、大抵はそうなのだ。だが、例外もある。金髪碧眼、プラチナブロンドの髪に金色の瞳、等々……」
「へぇ?」
「中でも私は『異端者』と言われる存在でね……」
「異端者? ですか?」
「そうなのだよ……」
彼は少し寂しそうに、そして何か思い悩むようにして語り始めた。
薔子は思い切って目の前の超美形キャラに話しかける。
「ところで、あなたは何てキャラですか? 見たところ……うーん……堕天使系かな? ベリアル? アステマ? まさかルシファー様とか?」
(ふむふむ、夢の中の私って大胆だわー。現実だと、こーんなイケメンを前にしたら萎縮して赤面してモジモジごにょごにょ、だわね)
「堕天使だと? 失礼な。私は元々神の奴隷ではない。従って堕とされてなどいない。そもそも独自に進化・発展して来たのだ」
男はその美しい眉をひそめ、不機嫌そうに応じた。
「あら、何か気に障りましたか? ごめんなさい。でも、堕天使って何だか影のある美形が多いですし、堕天使系が好きな子、沢山いると思いますよ。褒め言葉で言ったつもりです。だってとても美形キャラ様ですもの」
(オタク女子の間では特にねー)
薔子はうっとりと見つめた。男からは、電気が彼女の眼鏡レンズに反射して眼鏡自体が光っているようにしか見えないのだが……。
「そういうものなのか……まぁ良い。まだ自己紹介もしていなかったものな。すまなかった」
男は気を取り直して、言葉を続ける。
「私の種族名は、俗に言う『ヴァンパイア』と呼ばれるものだ」
と言って二ッと歯を見せて笑った。
「あっ! 本当だ。犬歯が長く発達してる。牙ですよね?」
薔子は目を輝かせ、スッと立ち上がると男の傍へと歩き始めた。
「ん? 怖くないのか?」
彼は不思議そうに問いかけた。
「いいえ、全く。だって凄く美形キャラですし」
(ていうか、夢の中だもんねー)
薔子は迷わず真ん前に歩み寄ると、彼を見上げた。
「あ、いや、これは夢などでは無いんだが……」
男は困惑気味だ。しかし、その言葉は薔子の耳には右から左に流れてしまったようだ。端から夢だと信じて疑っていないらしい。
「生き血を啜られるかも、とか。ヴァンパイアの仲間にさせられたどうしよう、とか。怖くならないのかい?」
「あ、でも確か、ヴァンパイアって……。男性経験がなくても18歳以下は手を出さない、て掟がありましたよね? 未成年は仲間にしない、てやつ。日本だと成人は20歳からになりますけど、外国だと18歳としてるところが多いですよね。私は17歳なのでセーフですし。何よりも美人しか手を出さない。どの道私は問題外ですから」
男は、彼女が自虐的に話しているにも関わらず得意気に頬を上気させて熱っぽく語る事が不思議でならなかった。
「随分詳しいのだな」
「はい、前に美形のヴァンパイアの乙女ゲームにハマって。色々ヴァンパイアについて調べたんですよ。……あ、でもヴァンパイアは大抵は黒髪にローズレッドの瞳、て……」
薔子は考え込むように口をつぐんだ。
「あぁ、大抵はそうなのだ。だが、例外もある。金髪碧眼、プラチナブロンドの髪に金色の瞳、等々……」
「へぇ?」
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「異端者? ですか?」
「そうなのだよ……」
彼は少し寂しそうに、そして何か思い悩むようにして語り始めた。
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