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第五話
不思議な館・後編
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小野篁と名乗る人が、先に立ってドアを開けてくれる。途端にふわっとハーブの香りが漂った。同時に優しく響く……
「あ、この音……」
水琴窟の音だ。何だか凄く心地良い。
「さぁ、どうぞ」
彼に促されるままに室内に足を踏み入れる。靴のまま入れるようだ。床は白い大理石で出来ているみたい。中は白いテーブルと椅子のセットが、五組ほど。こじんまりした披露宴の会場みたいな感じで綺麗に並んでいる。各テーブルの真ん中には白い花瓶が置かれ、ミニ向日葵や千日紅、白百合や霞草の花がセンス良く活けられている。奥のカウンター席みたいな場所は、ガラスのショーケースとアクセサリーコーナー(多分ね)が並んでいた。どうやら喫茶店も営んでいるらしい。各テーブルに、メニュー表と思われるチョコレート色のものが置かれていたから。
「どうぞ、気軽に手に取って見てみてね」
彼はにっこりと微笑んだ。いいのかな……でも、正直言って物凄く興味がある。だって、実は密かな天然石マニアで。天然石のブレスレットとかワイヤーアートのペンダントトップ作りとか。占い同様秘かな趣味だもんね。
「有難うございます、では、お言葉に甘えまして」
素直に見せて貰う事にした。あまりにもリアルで忘れかけていたけど、これ、夢だもん。覚めるまでこのまま楽しもうっと。
「うわぁ……」
品を見るなり感嘆の溜息を漏らす。紫紺色のベルベッド布が敷かれた五段程の棚。そこには天然石作られたブレスレットや、ワイヤーアートで装飾された天然石のペンダントヘッド、スワロフスキーと天然石を組み合わせて作られたサンキャッチャー、天然石リングなどがところ狭しと、されどセンス良く並べられていたからだ。更に、棚の上には可愛らしくラッピングされたハーブティーに、ガラス細工の天使や妖精、女神の置物が置かれている。
続いて左隣のショーケースに目を移す。
「これは……」
更に簡単の溜息が漏れる。ガラスケースには天然石マニアには流涎物のレアストーン……アイスラリマーやデンドリティッククォーツ等の、原石、或いは研磨されて、またはブレスレットやペンダント、リングなどに加工されて燦然と並んでいたからだ。この透明感、色合い、絶対A5ランク以上の超高級品と見た。
「気になるものがありましたら、お気軽にお手に取って見てみて大丈夫ですよ」
小野篁さんはそう言ってショーケースの鍵を開けた。夢の中なんだし、直接手に取ってじっくり見ても良いかなぁ……でも、万が一落としてガシャーン、で目が覚めたらそれはそれで縁起悪そうな目覚めになりそう。これ以上運気が落ちたらまさにドン底過ぎて浮上出来なそうだし……
「有難うございます」
取りあえず、扉だけ開けて中を見る事にした。このアイスラリマー、10m丸玉のブレスレット。綺麗、凄い透き通ったブルーだ。値段は……一、十、百、千、万、十万……二十四万円也。やっぱりそのくらいはするわよね、もしかしたら安いくらいかも。妙にリアルな夢ね。
「あら、可愛らしいお客様ね」
ガラスケースの奥、厨房かスタッフルームから出て来たのか、お琴の音を思わせる女の人の声が響いた。
「あ、この音……」
水琴窟の音だ。何だか凄く心地良い。
「さぁ、どうぞ」
彼に促されるままに室内に足を踏み入れる。靴のまま入れるようだ。床は白い大理石で出来ているみたい。中は白いテーブルと椅子のセットが、五組ほど。こじんまりした披露宴の会場みたいな感じで綺麗に並んでいる。各テーブルの真ん中には白い花瓶が置かれ、ミニ向日葵や千日紅、白百合や霞草の花がセンス良く活けられている。奥のカウンター席みたいな場所は、ガラスのショーケースとアクセサリーコーナー(多分ね)が並んでいた。どうやら喫茶店も営んでいるらしい。各テーブルに、メニュー表と思われるチョコレート色のものが置かれていたから。
「どうぞ、気軽に手に取って見てみてね」
彼はにっこりと微笑んだ。いいのかな……でも、正直言って物凄く興味がある。だって、実は密かな天然石マニアで。天然石のブレスレットとかワイヤーアートのペンダントトップ作りとか。占い同様秘かな趣味だもんね。
「有難うございます、では、お言葉に甘えまして」
素直に見せて貰う事にした。あまりにもリアルで忘れかけていたけど、これ、夢だもん。覚めるまでこのまま楽しもうっと。
「うわぁ……」
品を見るなり感嘆の溜息を漏らす。紫紺色のベルベッド布が敷かれた五段程の棚。そこには天然石作られたブレスレットや、ワイヤーアートで装飾された天然石のペンダントヘッド、スワロフスキーと天然石を組み合わせて作られたサンキャッチャー、天然石リングなどがところ狭しと、されどセンス良く並べられていたからだ。更に、棚の上には可愛らしくラッピングされたハーブティーに、ガラス細工の天使や妖精、女神の置物が置かれている。
続いて左隣のショーケースに目を移す。
「これは……」
更に簡単の溜息が漏れる。ガラスケースには天然石マニアには流涎物のレアストーン……アイスラリマーやデンドリティッククォーツ等の、原石、或いは研磨されて、またはブレスレットやペンダント、リングなどに加工されて燦然と並んでいたからだ。この透明感、色合い、絶対A5ランク以上の超高級品と見た。
「気になるものがありましたら、お気軽にお手に取って見てみて大丈夫ですよ」
小野篁さんはそう言ってショーケースの鍵を開けた。夢の中なんだし、直接手に取ってじっくり見ても良いかなぁ……でも、万が一落としてガシャーン、で目が覚めたらそれはそれで縁起悪そうな目覚めになりそう。これ以上運気が落ちたらまさにドン底過ぎて浮上出来なそうだし……
「有難うございます」
取りあえず、扉だけ開けて中を見る事にした。このアイスラリマー、10m丸玉のブレスレット。綺麗、凄い透き通ったブルーだ。値段は……一、十、百、千、万、十万……二十四万円也。やっぱりそのくらいはするわよね、もしかしたら安いくらいかも。妙にリアルな夢ね。
「あら、可愛らしいお客様ね」
ガラスケースの奥、厨房かスタッフルームから出て来たのか、お琴の音を思わせる女の人の声が響いた。
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