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第九話
ツクヨミ様の想い人 其の二【三】
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「公園の正面入り口で待ち合わせ、て約束していたのに居ないし。携帯もつながらないから心配したよ」
ここから少し歩いた先に正面入り口がある事を思い出し、話しを取り繕う。この公園は東、西、南、そして正面と四つの入り口があるのだ。
「ん? あれ? お知り合い?」
頼む、話しを合わせてくれ。適当にこの場を切り抜けたいから空気を読んでくれ! と、切に願いながらチャラ男二人と美女に向かって出来るだけ無邪気に目を合わせる。美女はハッとしたように目を見開くとふわりと破顔した。花が綻ぶとはまさにこのような笑みを言うのだと見惚れる。身長はあたしより十センチくらい高いんだな。それにしても本当に綺麗だ。『実は花の精霊なんです』と言われても信じてしまうほどに浮世離れしている。
「御免なさい、携帯を忘れてしまって。待ち合わせより早く着いたので、温かいお飲み物を買おうとお店を探していましたの」
良かった、自然に話に乗ってくれた。上手く少し先に行くとあるお店に誘導しよう。それにしても、鈴の音みたいに転がるように綺麗な声だなぁ。上品な物言い、どこぞやの深窓の御令嬢に違いない。天は二物も三物も与える、相変わらずいい加減なものだ。
「そっか、見つかって良かった。じゃぁ、お店に行こうか。確かあそこ、喫茶店もあったと思うし」
と歩みより、ポカンとして彼女手を放したチャラ男どもから空いた、その華奢な白い手を引こうとした。だがその時、
「おっと! まだ俺達との用は終わってねーんだよ」
「そうだ! すっこんでな」
と肩を怒らせてあたしと美女の間に割り込んできやがった。やっぱり、穏便に済ます事は無理そうか……でもなぁ、警察沙汰は御免被りたいんだよなぁ。
「いや、先に約束していたのはこちらですし」
と穏やかな笑みで応じてみる。姉のボディーガードをしていた頃の経験を活かして。こういう奴らは下手に刺激しない方が良い。頭の弱い短絡思考のお馬鹿共め。
「あ? お前みたいなちんちくりん、彼女の友達な訳ねーだろ!」
……はっ? 今何て言った?!……
「そうだ、でしゃばんなよ、このチンチクリン!!」
「は? もう一度言ってみろ……」
グォー―――ッとガスバーナーみたいに腹の底から湧き上がった怒りで、全身が打ち震えた。
「あ? 何だ? いっちょまえに怒ったのか? ちんちくりん、本当の事だろうが!」
……チンチクリン……
その単語に、ブチッと堪忍袋の緒が切れる音を聞いた気がした。
「そうだ、邪魔だ! 大人しく言ってやってる内に消えな! このチンチクリンのチンクシャ女がっ!」
「……ざけんな……」
後はもう、怒りに身を任せるだけだ。警察沙汰は避けたかった。下手したら傷害事件になるかもしれない。
「あ? なんだこのちんくしゃ……」
「黙れ!」
腹の底に力を入れて、通常よりも三オクターブほど低い声で命じる。
「は? 何言ってんだ怪我すっぞ……」
「うるせーーーーーーーっ!!! 口を閉じろって言ってんだよこの不細工野郎共がっ!!!」
最大級のボリュームで怒鳴り散らし、傘を投げ捨てて一歩後ろに飛びのき、戦闘体勢に構えを取った。
文字通りポカーンと阿保丸出しで口を開けたチャラ男共があたしを見ている。全身の血が沸騰し、ドクドクと脳や心臓が激しく脈打ち始めた。
ごめんなさい粋蓮、迷惑かける……なるべく重傷は負わせないように努力ははするけど……
保証は、出来ない。
ここから少し歩いた先に正面入り口がある事を思い出し、話しを取り繕う。この公園は東、西、南、そして正面と四つの入り口があるのだ。
「ん? あれ? お知り合い?」
頼む、話しを合わせてくれ。適当にこの場を切り抜けたいから空気を読んでくれ! と、切に願いながらチャラ男二人と美女に向かって出来るだけ無邪気に目を合わせる。美女はハッとしたように目を見開くとふわりと破顔した。花が綻ぶとはまさにこのような笑みを言うのだと見惚れる。身長はあたしより十センチくらい高いんだな。それにしても本当に綺麗だ。『実は花の精霊なんです』と言われても信じてしまうほどに浮世離れしている。
「御免なさい、携帯を忘れてしまって。待ち合わせより早く着いたので、温かいお飲み物を買おうとお店を探していましたの」
良かった、自然に話に乗ってくれた。上手く少し先に行くとあるお店に誘導しよう。それにしても、鈴の音みたいに転がるように綺麗な声だなぁ。上品な物言い、どこぞやの深窓の御令嬢に違いない。天は二物も三物も与える、相変わらずいい加減なものだ。
「そっか、見つかって良かった。じゃぁ、お店に行こうか。確かあそこ、喫茶店もあったと思うし」
と歩みより、ポカンとして彼女手を放したチャラ男どもから空いた、その華奢な白い手を引こうとした。だがその時、
「おっと! まだ俺達との用は終わってねーんだよ」
「そうだ! すっこんでな」
と肩を怒らせてあたしと美女の間に割り込んできやがった。やっぱり、穏便に済ます事は無理そうか……でもなぁ、警察沙汰は御免被りたいんだよなぁ。
「いや、先に約束していたのはこちらですし」
と穏やかな笑みで応じてみる。姉のボディーガードをしていた頃の経験を活かして。こういう奴らは下手に刺激しない方が良い。頭の弱い短絡思考のお馬鹿共め。
「あ? お前みたいなちんちくりん、彼女の友達な訳ねーだろ!」
……はっ? 今何て言った?!……
「そうだ、でしゃばんなよ、このチンチクリン!!」
「は? もう一度言ってみろ……」
グォー―――ッとガスバーナーみたいに腹の底から湧き上がった怒りで、全身が打ち震えた。
「あ? 何だ? いっちょまえに怒ったのか? ちんちくりん、本当の事だろうが!」
……チンチクリン……
その単語に、ブチッと堪忍袋の緒が切れる音を聞いた気がした。
「そうだ、邪魔だ! 大人しく言ってやってる内に消えな! このチンチクリンのチンクシャ女がっ!」
「……ざけんな……」
後はもう、怒りに身を任せるだけだ。警察沙汰は避けたかった。下手したら傷害事件になるかもしれない。
「あ? なんだこのちんくしゃ……」
「黙れ!」
腹の底に力を入れて、通常よりも三オクターブほど低い声で命じる。
「は? 何言ってんだ怪我すっぞ……」
「うるせーーーーーーーっ!!! 口を閉じろって言ってんだよこの不細工野郎共がっ!!!」
最大級のボリュームで怒鳴り散らし、傘を投げ捨てて一歩後ろに飛びのき、戦闘体勢に構えを取った。
文字通りポカーンと阿保丸出しで口を開けたチャラ男共があたしを見ている。全身の血が沸騰し、ドクドクと脳や心臓が激しく脈打ち始めた。
ごめんなさい粋蓮、迷惑かける……なるべく重傷は負わせないように努力ははするけど……
保証は、出来ない。
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