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第四話
ついてない=憑いてない?! その五
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「……なるほど、そんな状態だったのかぁ。この髪留めに何かあるのかと思ったら……」
東は呟くように言った。太宰は続ける。
『運気が落ちて段々とツイてない事が起こり、益々気分も落ち込み、色々と宿主を求めてさまよい浮遊している魑魅魍魎系を呼び込んでしまい、ツイていないコトの悪循環なのですよ』
「運気が落ちて段々とツイてない事が起こり、益々気分も落ち込み、色々と宿主を求めてさまよい浮遊している魑魅魍魎系を呼び込んでしまい、ツイていないコトの悪循環なのですよ」
「え? マジかぁ。どうしたら離れてくれるかなぁ?」
『時期が来たら……つまり運気の流れが好転する時期が来たら自然に離れていきますが、その時までに気分が落ち込み過ぎてしまうと回復が難しい場合もなくはありません』
「時期が来たら……つまり運気の流れが好転する時期が来たら自然に離れていきますが、その時までに気分が落ち込み過ぎてしまうと回復が難しい場合もなくはありません」
「え? 無理矢理笑うとか、楽しい事するとか?」
東の問いかけ通りに、真帆も感じていた。
『「もちろん、その方法も有効ですが、まるで強迫観念に襲われたように必至にプラスの事を考えるのは非常に苦痛ですし、かえって多大なストレスになってよくありません。ですから無理ない範囲で笑顔を心掛け、物事をポジティブに明るく捉えるようにする事』」
「なるほど! 納得!」
『「それと』」
真帆は他にもアドバイスがあるのか、と感じながら彼の言葉を真似る。
『「運気がノリに乗っている、まさにプラスの意味にツイている時人から運のお裾分け、つまりラッキーを貰うのもありですよ』」
「へぇ、憑いてる。今ツイてるんだ! て言うもんね。プラスとマイナスの意味があるんだ! でも、今ツイてる人に運気を貰う、て……どうするの?」
……でも、運気を分けたらその人はマイナスになって影響でないかしら?……
真帆は東の疑問に同調しつつ、ふと今ツイてる男彰仁の事を思い浮かべた。太宰は『大丈夫だよ』とまずは真帆を安心させ、ゆっくりと説明を始める。引き続き真帆は、彼から繰り出される言葉をそのまま繰り返した。
『「それはとても簡単な方法ですよ。今とてもツイている人と話したり、傍に行くだけです』」
「え? それだけでいいの?」
『「ええ、簡単でしょ?』」
真帆もそれを聞いて、あまりにも簡単で拍子抜けしてしまった。
「でもさぁ、ツイてない人がラッキー運のお裾分け頂いちゃったら、そのラッキーな人の運気まで吸い取ってさぁ、その人もアンラッキーになったりしないのかなぁ?」
……そうそう、それよそれ……
『「それは一理ありえますね』」
「えー? ヤバいじゃん。悪いよ、それじゃぁ」
……そうよそうよ、それよ……
太宰はフフッと笑うと、自信たっぷりに答えた。
『「大丈夫! あなたのように他者への気遣い、思いやりの深い人なら。何故なら、アンラッキーのお裾分けを頂きます、有難うございます、という謙虚さと素直に感謝する気気持ちで接すれば、無意識にラッキーを分けた側も益々運気アップしちゃうからです。その反対に、分けて貰う側が強欲だったり自分勝手に運気を丸々貰おうとか、自分の悪運をその人に丸投げしようとして接したら、自分自身が益々悪運という妖が憑いて八方塞がりになってしまうんですよ。まさに悪運の蟻地獄となりますね』」
「それは怖い。だけど当然というかなんというか、因果応報? というか」
『「その通り。コツは私利私欲なし! 文字通り自然体で素直かつ純粋な気持ちで接する事。これですね! あちらの世界は、驚くほど分かり易くシンプルですから。あ、そうそう、彰仁さんが今ちょうど超ツイてるみたいですよ!』」
と太宰は締めくくった。
「え? 彰仁君が? そっかぁ。ちょうど話したいと思ってたし! 有難うね、真帆ちゃん」
東は嬉しそうに立ち上がった。
「いいえ。運気回復、お祈りしてますね」
「うん、また報告に来るよ。彰仁君の手が空いてそうなら少し話しして来よう、でも忙しそうだったら傍に行くだけでもいいんだもんね。じゃ、また!」
東は嬉しそうに手を振ってその場を辞した。真帆は笑顔で会釈して答える。
『ここでこうして話して、気持ちが前向きになっただけで憑いてる存在が離れかけてるし、大丈夫だろう』
と太宰は言った。
「有難うございます、助かりました」
真帆は改めてお礼を述べた。
『いや、礼には及ばないよ。必要な時、またあんな感じでアドバイスしてあげるよ』
何故かほんの少しだけ寂しそうに彼は答えた。そしてスッと消えた。
「どうしたのかしら? 太宰先生……」
真帆は気になりながらも窓を開け、テーブルの上を片付け始めた。整理整頓と軽く床掃除を終え、ホワイトセージやシナモン、ミント等のハーブ系オイルに水晶などの天然石を付けこんだものに水と無水エタノールで希釈した浄化スプレーを部屋にまく。すぐにお客様を迎え入れられる準備を整えてから個室を出た。
店内は数名のお客様が寛ぎ、周りに配慮しながら楽しそうに歓談する東と彰仁が居た。ベートーベンの交響曲「田園」が心地よく店内に響く。
東は呟くように言った。太宰は続ける。
『運気が落ちて段々とツイてない事が起こり、益々気分も落ち込み、色々と宿主を求めてさまよい浮遊している魑魅魍魎系を呼び込んでしまい、ツイていないコトの悪循環なのですよ』
「運気が落ちて段々とツイてない事が起こり、益々気分も落ち込み、色々と宿主を求めてさまよい浮遊している魑魅魍魎系を呼び込んでしまい、ツイていないコトの悪循環なのですよ」
「え? マジかぁ。どうしたら離れてくれるかなぁ?」
『時期が来たら……つまり運気の流れが好転する時期が来たら自然に離れていきますが、その時までに気分が落ち込み過ぎてしまうと回復が難しい場合もなくはありません』
「時期が来たら……つまり運気の流れが好転する時期が来たら自然に離れていきますが、その時までに気分が落ち込み過ぎてしまうと回復が難しい場合もなくはありません」
「え? 無理矢理笑うとか、楽しい事するとか?」
東の問いかけ通りに、真帆も感じていた。
『「もちろん、その方法も有効ですが、まるで強迫観念に襲われたように必至にプラスの事を考えるのは非常に苦痛ですし、かえって多大なストレスになってよくありません。ですから無理ない範囲で笑顔を心掛け、物事をポジティブに明るく捉えるようにする事』」
「なるほど! 納得!」
『「それと』」
真帆は他にもアドバイスがあるのか、と感じながら彼の言葉を真似る。
『「運気がノリに乗っている、まさにプラスの意味にツイている時人から運のお裾分け、つまりラッキーを貰うのもありですよ』」
「へぇ、憑いてる。今ツイてるんだ! て言うもんね。プラスとマイナスの意味があるんだ! でも、今ツイてる人に運気を貰う、て……どうするの?」
……でも、運気を分けたらその人はマイナスになって影響でないかしら?……
真帆は東の疑問に同調しつつ、ふと今ツイてる男彰仁の事を思い浮かべた。太宰は『大丈夫だよ』とまずは真帆を安心させ、ゆっくりと説明を始める。引き続き真帆は、彼から繰り出される言葉をそのまま繰り返した。
『「それはとても簡単な方法ですよ。今とてもツイている人と話したり、傍に行くだけです』」
「え? それだけでいいの?」
『「ええ、簡単でしょ?』」
真帆もそれを聞いて、あまりにも簡単で拍子抜けしてしまった。
「でもさぁ、ツイてない人がラッキー運のお裾分け頂いちゃったら、そのラッキーな人の運気まで吸い取ってさぁ、その人もアンラッキーになったりしないのかなぁ?」
……そうそう、それよそれ……
『「それは一理ありえますね』」
「えー? ヤバいじゃん。悪いよ、それじゃぁ」
……そうよそうよ、それよ……
太宰はフフッと笑うと、自信たっぷりに答えた。
『「大丈夫! あなたのように他者への気遣い、思いやりの深い人なら。何故なら、アンラッキーのお裾分けを頂きます、有難うございます、という謙虚さと素直に感謝する気気持ちで接すれば、無意識にラッキーを分けた側も益々運気アップしちゃうからです。その反対に、分けて貰う側が強欲だったり自分勝手に運気を丸々貰おうとか、自分の悪運をその人に丸投げしようとして接したら、自分自身が益々悪運という妖が憑いて八方塞がりになってしまうんですよ。まさに悪運の蟻地獄となりますね』」
「それは怖い。だけど当然というかなんというか、因果応報? というか」
『「その通り。コツは私利私欲なし! 文字通り自然体で素直かつ純粋な気持ちで接する事。これですね! あちらの世界は、驚くほど分かり易くシンプルですから。あ、そうそう、彰仁さんが今ちょうど超ツイてるみたいですよ!』」
と太宰は締めくくった。
「え? 彰仁君が? そっかぁ。ちょうど話したいと思ってたし! 有難うね、真帆ちゃん」
東は嬉しそうに立ち上がった。
「いいえ。運気回復、お祈りしてますね」
「うん、また報告に来るよ。彰仁君の手が空いてそうなら少し話しして来よう、でも忙しそうだったら傍に行くだけでもいいんだもんね。じゃ、また!」
東は嬉しそうに手を振ってその場を辞した。真帆は笑顔で会釈して答える。
『ここでこうして話して、気持ちが前向きになっただけで憑いてる存在が離れかけてるし、大丈夫だろう』
と太宰は言った。
「有難うございます、助かりました」
真帆は改めてお礼を述べた。
『いや、礼には及ばないよ。必要な時、またあんな感じでアドバイスしてあげるよ』
何故かほんの少しだけ寂しそうに彼は答えた。そしてスッと消えた。
「どうしたのかしら? 太宰先生……」
真帆は気になりながらも窓を開け、テーブルの上を片付け始めた。整理整頓と軽く床掃除を終え、ホワイトセージやシナモン、ミント等のハーブ系オイルに水晶などの天然石を付けこんだものに水と無水エタノールで希釈した浄化スプレーを部屋にまく。すぐにお客様を迎え入れられる準備を整えてから個室を出た。
店内は数名のお客様が寛ぎ、周りに配慮しながら楽しそうに歓談する東と彰仁が居た。ベートーベンの交響曲「田園」が心地よく店内に響く。
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