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第十二話
あちらの世界のお客様と癒しの力・その一
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雨だ。10月初め、今朝から雨が降る。しとしと、しとしと。街全体が切りに覆われたように白濁する。こんな日は決まって、来客は無い。故に、アルバイト達も臨時のお休みとなる。
店内ではオーナー夫妻がスタッフルームに居て伝票整理を行い、みのりと蒼介は店内の厨房近くの席で隣り合って座り、オリジナル本を読み耽っている。彰仁と真帆は、入り口に近い部分に向かい合って座っており、彰仁もオリジナル本を読み、真帆はボールペンを片手にノートに何やら書いてた。趣味で書いて居る小説の新作のプロットを立てているのだ。
文豪達は、それぞれ興味のある本の棚の前に立ち、手に取ってパラパラと中を見ている。
こんな風に、大降りの雨の日は先にやるべき事を済ませれば、来客があるまでは自由が許されているのだ。
……それにしても、みのり先輩と小椋先輩、上手く言って本当に良かったなぁ。人外のものからの助けを借りる。「悪魔」の示すカード通りだったな……
いつも仲睦まじい様子の2人を見て、改めて思う。
……太宰先生たち、試験に合格したら「プロ・アマを問わず物書きにインスピレーションを与える精霊」になられるのかぁ。是非とも、私の元に訪れてくれないかしら。なーんてね。せっかくの閃きを頂いても、私が生かし切れなければ意味が無いわよねぇ……
登場人物の名前を考えながら、ぼんやりとそんな事を思った。
ヒタヒタヒタ……
雨のさ中、何者かが物静かに「本源郷」に近づいていた。
文豪達は本を棚に置いて入り口近くに集まり、姿を消す。真帆はサッと立ち上がりノートとボールペンを厨房の境にある棚に置きに行く。ついでに桜色のバスタオルを手にした。それを見て彰仁も素早く本を戻し、テーブルの上を拭く。みのりと蒼介も席を立って本を棚に戻しに行くと、そのまま厨房へと戻った。そしてみのりはオーナー夫妻にある事を知らせに行く。
そう、真帆のこの行動。これは文豪達がやってくるずっと前からの合図なのだ。その合図とは……
カランカランカラン
来客を知らせるベルと共にドアが開く。サーッと細かい雨が降り注ぎ、ひんやりとした空気が一瞬流れ込んだ。その冷気でガラスが一瞬曇る。ドアが閉まると、またすぐに透明に戻った。
「いらっしゃいませ」
「いらっしゃいませ」
真帆と彰仁を始めに、挨拶が店内に山びこのように響く。彰仁やみのり、そして蒼介や、みのりから知らせを受けて店内に戻って来た華乃子には、ドアは開いたが誰も居ない、ただ外が見えただけにしか見えない。
けれども真帆や文豪達には、えんぴつのようにスマートで背の高い学ラン姿の少年の姿が視えていた。
「いらっしゃいませ。雨の中有難うございます」
真帆は笑顔で声をかけ、そのものにタオルを渡した。
『有難うございます』
礼儀正しく礼を述べ、タオルで濡れた体を拭く。そして真帆に返した。彰仁達には、こ透明人間がタオルで体を拭いている? と見える。
そう、こんな雨の日は決まって「目には視えないあちらの世界のお客様」が来店するのだ。よって、飲み物や料理は通常通り出すが、接客担当は真帆と彰仁が行う。会計についてはこの日は0なのだが、後日不思議と客単価が上がったり、回転数が増えたりしてこの日の分は取り返せるようになっているのだ。これは、あちらの世界流の代金の支払い方法らしい。スタッフ達は暗黙でこの法則を理解していた。
店内ではオーナー夫妻がスタッフルームに居て伝票整理を行い、みのりと蒼介は店内の厨房近くの席で隣り合って座り、オリジナル本を読み耽っている。彰仁と真帆は、入り口に近い部分に向かい合って座っており、彰仁もオリジナル本を読み、真帆はボールペンを片手にノートに何やら書いてた。趣味で書いて居る小説の新作のプロットを立てているのだ。
文豪達は、それぞれ興味のある本の棚の前に立ち、手に取ってパラパラと中を見ている。
こんな風に、大降りの雨の日は先にやるべき事を済ませれば、来客があるまでは自由が許されているのだ。
……それにしても、みのり先輩と小椋先輩、上手く言って本当に良かったなぁ。人外のものからの助けを借りる。「悪魔」の示すカード通りだったな……
いつも仲睦まじい様子の2人を見て、改めて思う。
……太宰先生たち、試験に合格したら「プロ・アマを問わず物書きにインスピレーションを与える精霊」になられるのかぁ。是非とも、私の元に訪れてくれないかしら。なーんてね。せっかくの閃きを頂いても、私が生かし切れなければ意味が無いわよねぇ……
登場人物の名前を考えながら、ぼんやりとそんな事を思った。
ヒタヒタヒタ……
雨のさ中、何者かが物静かに「本源郷」に近づいていた。
文豪達は本を棚に置いて入り口近くに集まり、姿を消す。真帆はサッと立ち上がりノートとボールペンを厨房の境にある棚に置きに行く。ついでに桜色のバスタオルを手にした。それを見て彰仁も素早く本を戻し、テーブルの上を拭く。みのりと蒼介も席を立って本を棚に戻しに行くと、そのまま厨房へと戻った。そしてみのりはオーナー夫妻にある事を知らせに行く。
そう、真帆のこの行動。これは文豪達がやってくるずっと前からの合図なのだ。その合図とは……
カランカランカラン
来客を知らせるベルと共にドアが開く。サーッと細かい雨が降り注ぎ、ひんやりとした空気が一瞬流れ込んだ。その冷気でガラスが一瞬曇る。ドアが閉まると、またすぐに透明に戻った。
「いらっしゃいませ」
「いらっしゃいませ」
真帆と彰仁を始めに、挨拶が店内に山びこのように響く。彰仁やみのり、そして蒼介や、みのりから知らせを受けて店内に戻って来た華乃子には、ドアは開いたが誰も居ない、ただ外が見えただけにしか見えない。
けれども真帆や文豪達には、えんぴつのようにスマートで背の高い学ラン姿の少年の姿が視えていた。
「いらっしゃいませ。雨の中有難うございます」
真帆は笑顔で声をかけ、そのものにタオルを渡した。
『有難うございます』
礼儀正しく礼を述べ、タオルで濡れた体を拭く。そして真帆に返した。彰仁達には、こ透明人間がタオルで体を拭いている? と見える。
そう、こんな雨の日は決まって「目には視えないあちらの世界のお客様」が来店するのだ。よって、飲み物や料理は通常通り出すが、接客担当は真帆と彰仁が行う。会計についてはこの日は0なのだが、後日不思議と客単価が上がったり、回転数が増えたりしてこの日の分は取り返せるようになっているのだ。これは、あちらの世界流の代金の支払い方法らしい。スタッフ達は暗黙でこの法則を理解していた。
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