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ラスティアの街
魔力の根幹
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ギルドに向かうウルグを見送って、屋敷へと帰っていく。
話し合いが長引いて、もう外も暗くなっている。
まず、この屋敷で雇われていた住人達は全員、帰ってもらっていたらしい。
個人ではなく、街が管理する為に、人払いをしておく必要がある。
あの依頼主は退去を拒否したが、強制的に追い出したそうだ。
オレは屋敷の管理人として選ばれた事になった。
ウルグが保護し、仕事として労働させている。
――というのが表向きの理由になる筈だ。
細かい処理は全部ウルグに押し付けた事になって
少し、申し訳なく感じるが……適材適所という事で頑張ってもらおう。
問題の『旧下水道ダンジョン』についてだが。
入り口付近の魔物を少し掃除してから、封鎖しておいた。
といっても、安全が保障されたわけでは無い。
術符も使ったが、壁がいつまで維持できるかわからない。
それでも間違いなく、魔術陣のみで使った時よりは長く持つ。
「…………それは……何をしているんだ?」
オレの作業を眺めていた冒険者から声が掛かる。
未知に怯える目、怯えた声音が耳に届く。
「簡単に壊れないか、確認してるんだよ」
残っている冒険者は、見張り役で、交代で壁が消えないかを確認する為だ。
7重の魔術を、封鎖した壁に打ち込んで確認する様子は
異様で、近づきがたいだろう。
「……そんなに、危険なのか? この場所は」
「魔物が出てくるのが普通なら、危険じゃないさ」
何か異変が起きたら呼んでくれと伝えて、地上に戻る。
屋敷の中はかなり広く、部屋の数が多すぎるぐらいだ。
一通りの部屋を確認して、過ごしやすい部屋はどこか探している。
「レティー、もう次の部屋でいいんじゃないかなー」
フィーネの扱いだが……オレと同じようにウルグが保護する事になった。
今はオレはどこで寝てもいいから、少しでもマシな部屋を探している。
「そういえば……どこかで待っていた方が、楽じゃないのか?」
「だって、楽しそうだったし」
文句は言いつつも、どこかで待機しなかったフィーネと
言葉を交わしながら、屋敷の部屋、全てを確認し終わる。
「どこも趣味の悪い部屋しかないな」
「部屋、どこにきめたのー? 早くやすもうよー」
「……書斎が一番マシだろうな」
「ここ、隠し部屋もあるよー」
「は?」
改めて書斎を見渡すが、普通の部屋にしか見えない。
「そういえば、ご褒美は?」
ごほうび
「…………あの時は10分経っていないぞ?」
「そうやって、誤魔化すつもりだったんだ」
ジト目でこちらを見上げるフィーネ。
「いい事を教えてやろう、人間は感覚を鍛えれば、時間がわかる」
「……でも、魔力は約束してたよね?」
「ふむ……今、欲しいのか?」
「ほんとは、すぐに貰うつもりだったー」
さて、魔力を食べるというのはどういう事なのだろうか。
魔力、ゲームの時は、新感覚を体験しろってのが売りだったな。
その感覚は人によって様々で、水を操作してるみたい、だとか
冷たさを感じるわけではないが、液体とも固体とも思えない。
――おかしくないか?
ゲームであれば、技術はわからなくとも、問題は起きなかった。
少なくとも、ニュースで問題が起きたとは、聞いていない。
今、オレはゲームと同じように魔力を使えている。
でも、それは――
「それじゃ、魔力ちょーだいっ」
そう言って、フィーネは口をあけて
オレの指を、口に含んだ。
「――――」
舐め回すように舌が動く、指先から何かが、抜け落ちるような感覚がする。
未知に対する恐怖から、背筋が冷える、魔力は
「やっぱり、美味しい」
この世界は
「もっとー」
本当に、信じられるのか? 存在、してるのか?
話し合いが長引いて、もう外も暗くなっている。
まず、この屋敷で雇われていた住人達は全員、帰ってもらっていたらしい。
個人ではなく、街が管理する為に、人払いをしておく必要がある。
あの依頼主は退去を拒否したが、強制的に追い出したそうだ。
オレは屋敷の管理人として選ばれた事になった。
ウルグが保護し、仕事として労働させている。
――というのが表向きの理由になる筈だ。
細かい処理は全部ウルグに押し付けた事になって
少し、申し訳なく感じるが……適材適所という事で頑張ってもらおう。
問題の『旧下水道ダンジョン』についてだが。
入り口付近の魔物を少し掃除してから、封鎖しておいた。
といっても、安全が保障されたわけでは無い。
術符も使ったが、壁がいつまで維持できるかわからない。
それでも間違いなく、魔術陣のみで使った時よりは長く持つ。
「…………それは……何をしているんだ?」
オレの作業を眺めていた冒険者から声が掛かる。
未知に怯える目、怯えた声音が耳に届く。
「簡単に壊れないか、確認してるんだよ」
残っている冒険者は、見張り役で、交代で壁が消えないかを確認する為だ。
7重の魔術を、封鎖した壁に打ち込んで確認する様子は
異様で、近づきがたいだろう。
「……そんなに、危険なのか? この場所は」
「魔物が出てくるのが普通なら、危険じゃないさ」
何か異変が起きたら呼んでくれと伝えて、地上に戻る。
屋敷の中はかなり広く、部屋の数が多すぎるぐらいだ。
一通りの部屋を確認して、過ごしやすい部屋はどこか探している。
「レティー、もう次の部屋でいいんじゃないかなー」
フィーネの扱いだが……オレと同じようにウルグが保護する事になった。
今はオレはどこで寝てもいいから、少しでもマシな部屋を探している。
「そういえば……どこかで待っていた方が、楽じゃないのか?」
「だって、楽しそうだったし」
文句は言いつつも、どこかで待機しなかったフィーネと
言葉を交わしながら、屋敷の部屋、全てを確認し終わる。
「どこも趣味の悪い部屋しかないな」
「部屋、どこにきめたのー? 早くやすもうよー」
「……書斎が一番マシだろうな」
「ここ、隠し部屋もあるよー」
「は?」
改めて書斎を見渡すが、普通の部屋にしか見えない。
「そういえば、ご褒美は?」
ごほうび
「…………あの時は10分経っていないぞ?」
「そうやって、誤魔化すつもりだったんだ」
ジト目でこちらを見上げるフィーネ。
「いい事を教えてやろう、人間は感覚を鍛えれば、時間がわかる」
「……でも、魔力は約束してたよね?」
「ふむ……今、欲しいのか?」
「ほんとは、すぐに貰うつもりだったー」
さて、魔力を食べるというのはどういう事なのだろうか。
魔力、ゲームの時は、新感覚を体験しろってのが売りだったな。
その感覚は人によって様々で、水を操作してるみたい、だとか
冷たさを感じるわけではないが、液体とも固体とも思えない。
――おかしくないか?
ゲームであれば、技術はわからなくとも、問題は起きなかった。
少なくとも、ニュースで問題が起きたとは、聞いていない。
今、オレはゲームと同じように魔力を使えている。
でも、それは――
「それじゃ、魔力ちょーだいっ」
そう言って、フィーネは口をあけて
オレの指を、口に含んだ。
「――――」
舐め回すように舌が動く、指先から何かが、抜け落ちるような感覚がする。
未知に対する恐怖から、背筋が冷える、魔力は
「やっぱり、美味しい」
この世界は
「もっとー」
本当に、信じられるのか? 存在、してるのか?
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