異世界で邪神を拾ってしまった

ミナヅキ@jasin

文字の大きさ
14 / 15
ラスティアの街

異世界での目標

しおりを挟む
魔力とはなんだ? 世界中に溢れてる資源か?

それとも、生命エネルギー……なのか?
それが尽きたらどうなるのか、オレは何も知らない。

魔力が尽きても動ける、ゲームではそういる。
それを証明するには――魔力が尽きなければ――わからない。

「ッ! もういいだろっ」

そう言って、フィーネから距離を取る。

突然、離れたオレに対して、フィーネは何も言わない。
微笑みを浮かべて見つめてくる。

紫色をした目は、まるで心の内を全て読まれているかのように見える。
白色の髪は、月光に照らされて、幻想的に踊る。

何を考えているのか、表情も相まって、理解が及ばない。

「ごちそうさまっ」
「…………」
「レティー?」

オレの体は、運動した後の気だるさがあるだけで、他に不調は無い。

「フィーネ、お前は……なんだ?」
「…………レスティア・ツヴァイが見てるのが私だよ」
「じゃあ聞き方を変えよう、日本を知っているのか?」
「知ってる、そっちから来たわけじゃないよ」

この世界の住人にしてはおかしい。
正座や、四文字熟語、それは日本の概念だろう?

「なら……人間か? オレが理解できる言葉で答えてくれ」
「生物学的には人間、科学で作られた存在じゃない」
「他の言い方なら、人間じゃないって言うのか?」

科学で作られた存在ではないなら、遺伝子操作やプログラム以外か。

「邪神、髪の色と目の色で、区別している人間達が居るから」
「……邪神と呼ばれる原因を知っているのか?」
「魔力が多すぎると、変異するよ?」

魔力は全ての生き物に影響を及ぼした。
生き物は特異な進化をして、魔物と呼ばれる存在が生まれた。
――魔力変異――言葉にするなら、こうなるだろう。

人間は比較的、影響が少なく済んだが、魔力が多いと、髪と目の色が変化する。
その膨大な魔力を制御できなかった人間が、事故を起こした。

街中で無差別テロが起きたような事故で。
故意か、過失もわからず、そういった事が増えた。

いつ爆発するかわからない存在など、受け入れられない。

「……じゃあ次、伝わっていない裏側を知っているのは?」
「長く生きてるからね、魔力が多いと寿命が増えるよ」

魔力は尽きても、影響は無いらしい。
人間は、空気のように存在している魔力を、感知できるようになり。
魔力変異の影響で、魔力の操作が可能になった。

気になる事としては、フィーネは日本の知識を持っている。
どこからその知識を手に入れたのか、移動手段があるのか?

「オレは日本に……帰れるのか?」

その声は小さく、ほとんど聞き取れなかったが
『帰れない方が……幸せなのに』と聞こえてきた。

「帰る方法はあるよ、諦めた方がいいと思うけど」

――転移魔術――それを使えば帰れる可能性が、僅かに、あるらしい。
正しい座標を選択し、必要な魔力を集める事ができたら帰れる。

それでも、厳しい事には変わらない。

地図を使わずに目的地に向かって、迷わない人は、どれだけいるだろう。
それを、目を使わずにやれと言われて、長距離は無理だ。

目的地もわからず、先の見えない場所に飛ぶ?

「……レティー、それでも、帰りたい?」
「…………」

帰りたい、それでも、答えられなかった。

日常に、ありふれた世界に生きたい。
人から嫌悪を向けられるよりも、無関心の方がマシに決まってる。

でも、帰れなかったらオレはどうなるんだ

日本では行方不明、こっちでは邪魔者が消えるだけ。
やりたい事もあった、向こうで恩も返せていない。

フィーネは優しく微笑むだけで、答えを急かしてこない。

「帰りたい、それに死ぬつもりも無い、だから危険な方法を取る気は無い」
「……素直、だね…………うん、いいと思う」
「協力はしない、でも、最後の手伝いだけなら、いいよ」
「最後の手伝い? どういう事だ」

魔力量と、魔法文字の解読、そこまで1人でやれば。
その時にまだ、戻りたいと思うなら。

――――手伝ってあげる――――
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

なんども濡れ衣で責められるので、いい加減諦めて崖から身を投げてみた

下菊みこと
恋愛
悪役令嬢の最後の抵抗は吉と出るか凶と出るか。 ご都合主義のハッピーエンドのSSです。 でも周りは全くハッピーじゃないです。 小説家になろう様でも投稿しています。

最愛の番に殺された獣王妃

望月 或
恋愛
目の前には、最愛の人の憎しみと怒りに満ちた黄金色の瞳。 彼のすぐ後ろには、私の姿をした聖女が怯えた表情で口元に両手を当てこちらを見ている。 手で隠しているけれど、その唇が堪え切れず嘲笑っている事を私は知っている。 聖女の姿となった私の左胸を貫いた彼の愛剣が、ゆっくりと引き抜かれる。 哀しみと失意と諦めの中、私の身体は床に崩れ落ちて―― 突然彼から放たれた、狂気と絶望が入り混じった慟哭を聞きながら、私の思考は止まり、意識は閉ざされ永遠の眠りについた――はずだったのだけれど……? 「憐れなアンタに“選択”を与える。このままあの世に逝くか、別の“誰か”になって新たな人生を歩むか」 謎の人物の言葉に、私が選択したのは――

万物争覇のコンバート 〜回帰後の人生をシステムでやり直す〜

黒城白爵
ファンタジー
 異次元から現れたモンスターが地球に侵攻してくるようになって早数十年。  魔力に目覚めた人類である覚醒者とモンスターの戦いによって、人類の生息圏は年々減少していた。  そんな中、瀕死の重体を負い、今にもモンスターに殺されようとしていた外神クロヤは、これまでの人生を悔いていた。  自らが持つ異能の真価を知るのが遅かったこと、異能を積極的に使おうとしなかったこと……そして、一部の高位覚醒者達の横暴を野放しにしてしまったことを。  後悔を胸に秘めたまま、モンスターの攻撃によってクロヤは死んだ。  そのはずだったが、目を覚ますとクロヤは自分が覚醒者となった日に戻ってきていた。  自らの異能が構築した新たな力〈システム〉と共に……。

ゲームの悪役パパに転生したけど、勇者になる息子が親離れしないので完全に詰んでる

街風
ファンタジー
「お前を追放する!」 ゲームの悪役貴族に転生したルドルフは、シナリオ通りに息子のハイネ(後に世界を救う勇者)を追放した。 しかし、前世では子煩悩な父親だったルドルフのこれまでの人生は、ゲームのシナリオに大きく影響を与えていた。旅にでるはずだった勇者は旅に出ず、悪人になる人は善人になっていた。勇者でもないただの中年ルドルフは魔人から世界を救えるのか。

悪役令息、前世の記憶により悪評が嵩んで死ぬことを悟り教会に出家しに行った結果、最強の聖騎士になり伝説になる

竜頭蛇
ファンタジー
ある日、前世の記憶を思い出したシド・カマッセイはこの世界がギャルゲー「ヒロイックキングダム」の世界であり、自分がギャルゲの悪役令息であると理解する。 評判が悪すぎて破滅する運命にあるが父親が毒親でシドの悪評を広げたり、関係を作ったものには危害を加えるので現状では何をやっても悪評に繋がるを悟り、家との関係を断って出家をすることを決意する。 身を寄せた教会で働くうちに評判が上がりすぎて、聖女や信者から崇められたり、女神から一目置かれ、やがて最強の聖騎士となり、伝説となる物語。

貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。

黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。 この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。

ネグレクトされていた四歳の末娘は、前世の経理知識で実家の横領を見抜き追放されました。これからはもふもふ聖獣と美食巡りの旅に出ます。

☆ほしい
ファンタジー
アークライト子爵家の四歳の末娘リリアは、家族から存在しないものとして扱われていた。食事は厨房の残飯、衣服は兄姉のお下がりを更に継ぎ接ぎしたもの。冷たい床で眠る日々の中、彼女は高熱を出したことをきっかけに前世の記憶を取り戻す。 前世の彼女は、ブラック企業で過労死した経理担当のOLだった。 ある日、父の書斎に忍び込んだリリアは、ずさんな管理の家計簿を発見する。前世の知識でそれを読み解くと、父による悪質な横領と、家の財産がすでに破綻寸前であることが判明した。 「この家は、もうすぐ潰れます」 家族会議の場で、リリアはたった四歳とは思えぬ明瞭な口調で破産の事実を突きつける。激昂した父に「疫病神め!」と罵られ家を追い出されたリリアだったが、それは彼女の望むところだった。 手切れ金代わりの銅貨数枚を握りしめ、自由を手に入れたリリア。これからは誰にも縛られず、前世で夢見た美味しいものをたくさん食べる生活を目指す。

つまらなかった乙女ゲームに転生しちゃったので、サクッと終わらすことにしました

蒼羽咲
ファンタジー
つまらなかった乙女ゲームに転生⁈ 絵に惚れ込み、一目惚れキャラのためにハードまで買ったが内容が超つまらなかった残念な乙女ゲームに転生してしまった。 絵は超好みだ。内容はご都合主義の聖女なお花畑主人公。攻略イケメンも顔は良いがちょろい対象ばかり。てこたぁ逆にめちゃくちゃ住み心地のいい場所になるのでは⁈と気づき、テンションが一気に上がる!! 聖女など面倒な事はする気はない!サクッと攻略終わらせてぐーたら生活をGETするぞ! ご都合主義ならチョロい!と、野望を胸に動き出す!! +++++ ・重複投稿・土曜配信 (たま~に水曜…不定期更新)

処理中です...