5 / 34
第一章 一人ぼっち
第一話 誰にも気づかれないのはとても寂しい
しおりを挟む
今、僕は朝の街を歩いている。
そこは僕の見知った世界……ではない。文化レベルはちょっと進んでいてずっと空気が澄んでいる。
神様から聞いたこの『セカイ』の名前は【カルムンド】。今居る国の名前はまだわからないけど、現代日本にソックリで言葉も文字も同じで文化も似通っている。
それでも別の『セカイ』──僕はそれをひしひしと感じていた。
「痛いっ!」
「あ……悪い」
……。サラリーマン風の人とぶつかった。
僕の名前は安岐川アユム──元の世界では高校生だったんだけど、『震災』ならぬ『神災』とやらで死んじゃった転生者。
うん。記憶はしっかり残ってる。
「グハッ!」
「おや……ゴメンよ」
「い、いえ……」
今度は配達業の人の手荷物が僕の腹部にぶつかった。人通りが多いな……流石は商店街。
この『セカイ』は異世界だ……なんて言うとパラノイアを疑われそうだし証明手段も無いけど、やっぱり僕には異世界だという確信がある。
前世の記憶を持ち越したから判るんだ。この『セカイ』は前のセカイと大きく違う点があることが……。
何と言っても視界に入る緑の量が違う。元の世界では地域差はあるものの、商店街や住宅地は建物の比率が増えるのが当たり前だ。
でも、このセカイでは緑の比率が高い。建物よりも自然の方が多いのが一目で判る程だ。
商店街でさえ外壁や店先が緑。壁には蔦が絡んでいて、庭先には必ず花がプランターに入れられている。雑草が少ないことから、多分意図して取り組んでるんだと思う。
建築物は高層ビル等は殆どない。建築基準が違うんだと思うけど、高さが低めの建物が多いかな……。
地面をちょっと確認したらアスファルト製じゃなかった。何となく近い材質で出来た別物……このセカイの技術なのかな?見るものの多くが何て言うか自然に優しいって感じがする。
ボス……じゃなかった、神様の事前説明では、この【カルムンド】っていう『セカイ』は世界規模で自然崇拝傾向にあるんだって。その為の法律があって、技術もかなり進んでいるそうだ。
だから戦争というものも大規模破壊兵器は開発されないって言ってた。
中には守らない国もあるみたいだけど、国連みたいな機関の規定に『破壊した自然の面積に比例した制裁を課す』というのがあるそうだ。破ったら国が借金苦、守らないと世界から孤立、元々自然崇拝思想が強いらしいからそこまでやる国もないみたいだった。
「って、痛っつぅ!?」
「あぁ! ゴメン、ゴメン!」
何か怪しげな民族衣装の人に足を踏まれた……。
時折……というか普通に通行人の中に混じってるけど、あの人達は何だろ?誰も気にしてる様子もないし……。
具体的にはアイヌの民族衣装をカラフルにしたような……このセカイならではの宗教かな?
「ギャッ!」
「あぁ? テメェ、どこ見てやがる! 気を付けやがれ!」
「ス、スミマセン、スミマセン! ゴメンナサイ!」
「チッ!」
ガラの悪そうなチンピラさんは、道に唾を吐いて去っていった。
…………。
今ので確信したけど、どうも僕は他の人から見えていないみたいだ。
正確には気付かれていない……かな?肩が触れた、手を触った程度じゃ全く気付かれない。強めの体当たりでようやく気付くみたいだ……。
…………。
これはマズイ……。車に撥ね飛ばされて死んじゃう。
今は歩道を歩いているから良いけど、それでもこれだけぶつかる訳だし……絶対にヤバイ。現状確認の探索も程々にして安全地帯へ避難しないと……。
というか、何コレ……?確か神様は『恩恵を』って言ってたのに呪いの間違いかな?恩恵が何もない方がマシとか酷すぎる。確かに悪目立ちは嫌だと言ったけど、目立たないを通り越して『空気』にされるとは思わなかった。
そもそも目覚めた時点で色々おかしいとは思ったんだ。転生って言ってたのに赤ン坊からじゃないし。もしかして記憶継続の副作用なのかな……?
そして……ここでもう一つ問題があった。
このセカイに来た僕が持っているものは今着ている服だけ。着替えもない、お金もない、住まいもないの無い無い尽くしだ。やったね!
………。
ハァ~………。成る程……不幸って一度押し寄せると死んだ後も続くんだ。罰ゲームを受けるような生き方してなかったんだけどなぁ。
『ホームレス転生』……いや、『転生したらホームレスだった件』、か……。
あの神様、見た目はともかく気さくだった気がしたんだけど邪神様だったのかなぁ……。それで色々と交渉した結果が現状ってこと?
アハハハ……何か涙が出てきた。
そこは僕の見知った世界……ではない。文化レベルはちょっと進んでいてずっと空気が澄んでいる。
神様から聞いたこの『セカイ』の名前は【カルムンド】。今居る国の名前はまだわからないけど、現代日本にソックリで言葉も文字も同じで文化も似通っている。
それでも別の『セカイ』──僕はそれをひしひしと感じていた。
「痛いっ!」
「あ……悪い」
……。サラリーマン風の人とぶつかった。
僕の名前は安岐川アユム──元の世界では高校生だったんだけど、『震災』ならぬ『神災』とやらで死んじゃった転生者。
うん。記憶はしっかり残ってる。
「グハッ!」
「おや……ゴメンよ」
「い、いえ……」
今度は配達業の人の手荷物が僕の腹部にぶつかった。人通りが多いな……流石は商店街。
この『セカイ』は異世界だ……なんて言うとパラノイアを疑われそうだし証明手段も無いけど、やっぱり僕には異世界だという確信がある。
前世の記憶を持ち越したから判るんだ。この『セカイ』は前のセカイと大きく違う点があることが……。
何と言っても視界に入る緑の量が違う。元の世界では地域差はあるものの、商店街や住宅地は建物の比率が増えるのが当たり前だ。
でも、このセカイでは緑の比率が高い。建物よりも自然の方が多いのが一目で判る程だ。
商店街でさえ外壁や店先が緑。壁には蔦が絡んでいて、庭先には必ず花がプランターに入れられている。雑草が少ないことから、多分意図して取り組んでるんだと思う。
建築物は高層ビル等は殆どない。建築基準が違うんだと思うけど、高さが低めの建物が多いかな……。
地面をちょっと確認したらアスファルト製じゃなかった。何となく近い材質で出来た別物……このセカイの技術なのかな?見るものの多くが何て言うか自然に優しいって感じがする。
ボス……じゃなかった、神様の事前説明では、この【カルムンド】っていう『セカイ』は世界規模で自然崇拝傾向にあるんだって。その為の法律があって、技術もかなり進んでいるそうだ。
だから戦争というものも大規模破壊兵器は開発されないって言ってた。
中には守らない国もあるみたいだけど、国連みたいな機関の規定に『破壊した自然の面積に比例した制裁を課す』というのがあるそうだ。破ったら国が借金苦、守らないと世界から孤立、元々自然崇拝思想が強いらしいからそこまでやる国もないみたいだった。
「って、痛っつぅ!?」
「あぁ! ゴメン、ゴメン!」
何か怪しげな民族衣装の人に足を踏まれた……。
時折……というか普通に通行人の中に混じってるけど、あの人達は何だろ?誰も気にしてる様子もないし……。
具体的にはアイヌの民族衣装をカラフルにしたような……このセカイならではの宗教かな?
「ギャッ!」
「あぁ? テメェ、どこ見てやがる! 気を付けやがれ!」
「ス、スミマセン、スミマセン! ゴメンナサイ!」
「チッ!」
ガラの悪そうなチンピラさんは、道に唾を吐いて去っていった。
…………。
今ので確信したけど、どうも僕は他の人から見えていないみたいだ。
正確には気付かれていない……かな?肩が触れた、手を触った程度じゃ全く気付かれない。強めの体当たりでようやく気付くみたいだ……。
…………。
これはマズイ……。車に撥ね飛ばされて死んじゃう。
今は歩道を歩いているから良いけど、それでもこれだけぶつかる訳だし……絶対にヤバイ。現状確認の探索も程々にして安全地帯へ避難しないと……。
というか、何コレ……?確か神様は『恩恵を』って言ってたのに呪いの間違いかな?恩恵が何もない方がマシとか酷すぎる。確かに悪目立ちは嫌だと言ったけど、目立たないを通り越して『空気』にされるとは思わなかった。
そもそも目覚めた時点で色々おかしいとは思ったんだ。転生って言ってたのに赤ン坊からじゃないし。もしかして記憶継続の副作用なのかな……?
そして……ここでもう一つ問題があった。
このセカイに来た僕が持っているものは今着ている服だけ。着替えもない、お金もない、住まいもないの無い無い尽くしだ。やったね!
………。
ハァ~………。成る程……不幸って一度押し寄せると死んだ後も続くんだ。罰ゲームを受けるような生き方してなかったんだけどなぁ。
『ホームレス転生』……いや、『転生したらホームレスだった件』、か……。
あの神様、見た目はともかく気さくだった気がしたんだけど邪神様だったのかなぁ……。それで色々と交渉した結果が現状ってこと?
アハハハ……何か涙が出てきた。
0
あなたにおすすめの小説
転生令嬢の食いしん坊万罪!
ねこたま本店
ファンタジー
訳も分からないまま命を落とし、訳の分からない神様の手によって、別の世界の公爵令嬢・プリムローズとして転生した、美味しい物好きな元ヤンアラサー女は、自分に無関心なバカ父が後妻に迎えた、典型的なシンデレラ系継母と、我が儘で性格の悪い妹にイビられたり、事故物件王太子の中継ぎ婚約者にされたりつつも、しぶとく図太く生きていた。
そんなある日、プリムローズは王侯貴族の子女が6~10歳の間に受ける『スキル鑑定の儀』の際、邪悪とされる大罪系スキルの所有者であると判定されてしまう。
プリムローズはその日のうちに、同じ判定を受けた唯一の友人、美少女と見まごうばかりの気弱な第二王子・リトス共々捕えられた挙句、国境近くの山中に捨てられてしまうのだった。
しかし、中身が元ヤンアラサー女の図太い少女は諦めない。
プリムローズは時に気弱な友の手を引き、時に引いたその手を勢い余ってブン回しながらも、邪悪と断じられたスキルを駆使して生き残りを図っていく。
これは、図太くて口の悪い、ちょっと(?)食いしん坊な転生令嬢が、自分なりの幸せを自分の力で掴み取るまでの物語。
こちらの作品は、2023年12月28日から、カクヨム様でも掲載を開始しました。
今後、カクヨム様掲載用にほんのちょっとだけ内容を手直しし、1話ごとの文章量を増やす事でトータルの話数を減らした改訂版を、1日に2回のペースで投稿していく予定です。多量の加筆修正はしておりませんが、もしよろしければ、カクヨム版の方もご笑覧下さい。
※作者が適当にでっち上げた、完全ご都合主義的世界です。細かいツッコミはご遠慮頂ければ幸いです。もし、目に余るような誤字脱字を発見された際には、コメント欄などで優しく教えてやって下さい。
※検討の結果、「ざまぁ要素あり」タグを追加しました。
私、お母様の言うとおりにお見合いをしただけですわ。
いさき遊雨
恋愛
お母様にお見合いの定石?を教わり、初めてのお見合いに臨んだ私にその方は言いました。
「僕には想い合う相手いる!」
初めてのお見合いのお相手には、真実に愛する人がいるそうです。
小説家になろうさまにも登録しています。
神々の愛し子って何したらいいの?とりあえずのんびり過ごします
夜明シスカ
ファンタジー
アリュールという世界の中にある一国。
アール国で国の端っこの海に面した田舎領地に神々の寵愛を受けし者として生を受けた子。
いわゆる"神々の愛し子"というもの。
神々の寵愛を受けているというからには、大事にしましょうね。
そういうことだ。
そう、大事にしていれば国も繁栄するだけ。
簡単でしょう?
えぇ、なんなら周りも巻き込んでみーんな幸せになりませんか??
−−−−−−
新連載始まりました。
私としては初の挑戦になる内容のため、至らぬところもあると思いますが、温めで見守って下さいませ。
会話の「」前に人物の名称入れてみることにしました。
余計読みにくいかなぁ?と思いつつ。
会話がわからない!となるよりは・・
試みですね。
誤字・脱字・文章修正 随時行います。
短編タグが長編に変更になることがございます。
*タイトルの「神々の寵愛者」→「神々の愛し子」に変更しました。
まったく知らない世界に転生したようです
吉川 箱
ファンタジー
おっとりヲタク男子二十五歳成人。チート能力なし?
まったく知らない世界に転生したようです。
何のヒントもないこの世界で、破滅フラグや地雷を踏まずに生き残れるか?!
頼れるのは己のみ、みたいです……?
※BLですがBがLな話は出て来ません。全年齢です。
私自身は全年齢の主人公ハーレムものBLだと思って書いてるけど、全く健全なファンタジー小説だとも言い張れるように書いております。つまり健全なお嬢さんの癖を歪めて火のないところへ煙を感じてほしい。
111話までは毎日更新。
それ以降は毎週金曜日20時に更新します。
カクヨムの方が文字数が多く、更新も先です。
転生能無し少女のゆるっとチートな異世界交流
犬社護
ファンタジー
10歳の祝福の儀で、イリア・ランスロット伯爵令嬢は、神様からギフトを貰えなかった。その日以降、家族から【能無し・役立たず】と罵られる日々が続くも、彼女はめげることなく、3年間懸命に努力し続ける。
しかし、13歳の誕生日を迎えても、取得魔法は1個、スキルに至ってはゼロという始末。
遂に我慢の限界を超えた家族から、王都追放処分を受けてしまう。
彼女は悲しみに暮れるも一念発起し、家族から最後の餞別として貰ったお金を使い、隣国行きの列車に乗るも、今度は山間部での落雷による脱線事故が起きてしまい、その衝撃で車外へ放り出され、列車もろとも崖下へと転落していく。
転落中、彼女は前世日本人-七瀬彩奈で、12歳で水難事故に巻き込まれ死んでしまったことを思い出し、現世13歳までの記憶が走馬灯として駆け巡りながら、絶望の淵に達したところで気絶してしまう。
そんな窮地のところをランクS冒険者ベイツに助けられると、神様からギフト《異世界交流》とスキル《アニマルセラピー》を貰っていることに気づかされ、そこから神鳥ルウリと知り合い、日本の家族とも交流できたことで、人生の転機を迎えることとなる。
人は、娯楽で癒されます。
動物や従魔たちには、何もありません。
私が異世界にいる家族と交流して、動物や従魔たちに癒しを与えましょう!
犬の散歩中に異世界召喚されました
おばあ
ファンタジー
そろそろ定年後とか終活とか考えなきゃいけないというくらいの歳になって飼い犬と一緒に異世界とやらへ飛ばされました。
何勝手なことをしてくれてんだいと腹が立ちましたので好き勝手やらせてもらいます。
カミサマの許可はもらいました。
記憶を失くして転生しました…転生先は悪役令嬢?
ねこママ
恋愛
「いいかげんにしないかっ!」
バシッ!!
わたくしは咄嗟に、フリード様の腕に抱き付くメリンダ様を引き離さなければと手を伸ばしてしまい…頬を叩かれてバランスを崩し倒れこみ、壁に頭を強く打ち付け意識を失いました。
目が覚めると知らない部屋、豪華な寝台に…近付いてくるのはメイド? 何故髪が緑なの?
最後の記憶は私に向かって来る車のライト…交通事故?
ここは何処? 家族? 友人? 誰も思い出せない……
前世を思い出したセレンディアだが、事故の衝撃で記憶を失くしていた……
前世の自分を含む人物の記憶だけが消えているようです。
転生した先の記憶すら全く無く、頭に浮かぶものと違い過ぎる世界観に戸惑っていると……?
幽閉王女と指輪の精霊~嫁いだら幽閉された!餓死する前に脱出したい!~
二階堂吉乃
恋愛
同盟国へ嫁いだヴァイオレット姫。夫である王太子は初夜に現れなかった。たった1人幽閉される姫。やがて貧しい食事すら届かなくなる。長い幽閉の末、死にかけた彼女を救ったのは、家宝の指輪だった。
1年後。同盟国を訪れたヴァイオレットの従兄が彼女を発見する。忘れられた牢獄には姫のミイラがあった。激怒した従兄は同盟を破棄してしまう。
一方、下町に代書業で身を立てる美少女がいた。ヴィーと名を偽ったヴァイオレットは指輪の精霊と助けあいながら暮らしていた。そこへ元夫?である王太子が視察に来る。彼は下町を案内してくれたヴィーに恋をしてしまう…。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる