ソリティア 転生者の望まぬ隠遁生活

蒼村嬉享

文字の大きさ
13 / 34
第一章 一人ぼっち

第九話 子供の個性はある意味宝なんだと改めて思う

しおりを挟む
 神社に戻った僕とマウは、あの子達……ミカちゃんとユキちゃんが来るのを待った。


 そして子供達の下校時刻──。神社に現れたのは六人の少年少女……。

 ………。人数増えてるし………。

 女の子はミカちゃんとユキちゃんの他に少しおどおどした子が一人加わっている。残りは男の子が三人……。多分女の子だけじゃ怖くて男の子に頼んだってところかな……?まぁ、選択としては正しいよ。人数が多い方が怖さも薄れるから。

 因みにマウは僕が抱き抱えている。

「本当に神様なんかいるのかよ……どうせお前らの見間違いだろ? なぁ、コウタ?」

 今時珍しいリーダータイプの少年は恐れなど無いと言わんばかりに声を張っている。でも僕は知ってるぞ?君の手には御守りがしっかり握られていることを……。

「ケ、ケンちゃん。ボク、帰って良いかな? 今日は塾があって……」

 どこの世界でも塾か……。大変だね、コウタ君……。リーダーはケンちゃんか……正確な名前はまだ判らない。

「駄目に決まってんだろ? まさかビビったのか、コウタ?」
「そ、そんなことは無いけど……」
「それよりモモコ……お前、霊感あんだろ? 何か見えないのかよ?」

 何と!霊感少女登場!……と思いきや、全然僕は見えてないっぽい。

 フッフッフ……神の【呪い】が常人などに見える訳も……やめよう。自虐は辛くなる。

 取り敢えず女の子最後の一人はモモコと言う名前らしい。ボブカットに眼鏡の女の子はちょっとだけお洒落に見える。

「……何にも見えないよぉ。怖いから帰ろうよぉ」
「何だよ、使えないなぁ。これだから女はダメなんだよ」
「ちょっと、ケンジ! 女かどうかは関係無いでしょ! それに、モモコちゃんは見ようとして見えるんじゃないっていつも言ってるでしょ? 謝りなさいよ!」
「う、うるさいな!」
「なんだとぉ?」

 ああ……ケンジ君VSユキちゃんの戦いが勃発した。落ち着いてくれ~。

「……ちょっと。ケンジもユキも落ち着きなよ。とにかく話を戻すよ?」

 ケンカを制止したのは男の子最後の一人。妙に落ち着いていてる。しかもイケメンだ……。

「今日はミカのウチの猫を捜す話だろ? 神様? が居るのかどうかじゃない」
「うっ……悪い、ショウ」
「確かに……」

 妙な雰囲気があるな。ショウ君は一人だけ空気が違う。

「神様が居るかなんて話は別として、先ずはミカとユキの話を再現しよう。で、何もなければ改めて猫捜しに行こう。ここを集合場所にしても良いし……」
「そ、そうだよ。だって、これは本物だもん……」

 朝に僕が文字を書いた葉っぱ……そんな怖いものを律儀に持っていたユキちゃん。出来事はしっかり覚えていた。
 これなら猫……レモンとその子供達を見付けた後、僕以外は忘れられなくて済む。

 後は居場所だけでも伝えられれば良いんだ。たとえ一回怖い目に遭わされても僕のことは直ぐに忘れるんだし……。


 そして……子供達は今朝ミカちゃんとユキちゃんがやったのと同じく、賽銭を投げた後でバラバラな作法の柏手を合わせた。

「神様。ウチの猫、レモンに帰るよう言って下さい」(ミカ)
「神様。ミカちゃんの家の猫……場所を知ってるなら教えて下さい」(ユキ)
「神様……居たら手伝って」(ケンジ)
「早く猫が見付かりますように」(コウタ)
「どうか協力お願いします」(ショウ)

 ………。神様じゃないけど手伝うよ。最初からそのつもりだったんだから。

 そして、僕は本坪鈴で子供達に応えて一枚葉っぱを落とす。この瞬間、子供達は一斉に距離を空けた。ま、まぁ当然だよね……。

 ………。僕はいたずら好きな方じゃないけど、ちょっとだけ楽しかったのは内緒にしておこう。

「す、凄ぇぇ━━━━っ! ほ、本当に何もないトコから葉っぱが出た!」

 ケンジ君大はしゃぎ。でも、自分で葉っぱは拾わないんだね……。
 一方……何の躊躇いもなく葉っぱは拾ったショウ君は、キョロキョロと周囲を見渡した後冷静に問い掛けてきた。

「あの~……ここに『猫の場所を教える。けど、その前に……』ってあるんですけど……』

 今回は予め文章を書き込んである。僕は次の一枚を手から落とした。

『猫の居場所を教える前に確認したい』
「何ですか?」

 凄いな、ショウ君は……全然物怖じしないぞ?しかも意図を読み取ってるみたいだ。

『猫には赤ちゃんが産まれていた』
「えっ……レモンが?」

 ミカちゃんはかなり驚いている。

『だから家に帰れずに動けない。赤ちゃんが小さすぎる』
「だ、だから帰って来なかったんだ……。で、でも、生きてるんですよね?」
『生きてる』
「じゃあ、場所を教えて下さい。迎えに行きます」
『その前に確認。猫の赤ちゃんの面倒はどうなる? 引き離すの?』
「それは………」

 それは子供達だけでは決められないことだ。だからミカちゃんも反応に困っている。

『猫は子供と離れない。少なくともまだ早い』
「……はい」
『だから大人達と相談してきて欲しい。レモンはゴハンをあんまり食べていない。出来れば今日中に』
「………わかりました。また来ます」
『気を付けて。待ってる』

 少し沈黙した後、子供達は一斉に声を上げた。……なんかテンション高い。良くみればショウ君も嬉しそうだ。やっぱり子供だったか……。

 そして僕は子供達を待った。

 あの子達が戻った時、その手に木箱を持っていた。中には古い毛布や牛乳、猫用缶詰がギッシリと……。

「神様。居ますか?」
『居ます』
「猫は取り敢えずウチに連れて来いって言われました。ある程度大きくなったら貰い手を見付けることになりました」

 あ……これに答える文字、葉っぱに書いてないや。

『よかった。場所を教える。少し説明が難しいから僕の家族に付いていって欲しい』

 意図を察したマウは僕に視線を向けた後、腕の中から飛び下りた。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

転生令嬢の食いしん坊万罪!

ねこたま本店
ファンタジー
   訳も分からないまま命を落とし、訳の分からない神様の手によって、別の世界の公爵令嬢・プリムローズとして転生した、美味しい物好きな元ヤンアラサー女は、自分に無関心なバカ父が後妻に迎えた、典型的なシンデレラ系継母と、我が儘で性格の悪い妹にイビられたり、事故物件王太子の中継ぎ婚約者にされたりつつも、しぶとく図太く生きていた。  そんなある日、プリムローズは王侯貴族の子女が6~10歳の間に受ける『スキル鑑定の儀』の際、邪悪とされる大罪系スキルの所有者であると判定されてしまう。  プリムローズはその日のうちに、同じ判定を受けた唯一の友人、美少女と見まごうばかりの気弱な第二王子・リトス共々捕えられた挙句、国境近くの山中に捨てられてしまうのだった。  しかし、中身が元ヤンアラサー女の図太い少女は諦めない。  プリムローズは時に気弱な友の手を引き、時に引いたその手を勢い余ってブン回しながらも、邪悪と断じられたスキルを駆使して生き残りを図っていく。  これは、図太くて口の悪い、ちょっと(?)食いしん坊な転生令嬢が、自分なりの幸せを自分の力で掴み取るまでの物語。  こちらの作品は、2023年12月28日から、カクヨム様でも掲載を開始しました。  今後、カクヨム様掲載用にほんのちょっとだけ内容を手直しし、1話ごとの文章量を増やす事でトータルの話数を減らした改訂版を、1日に2回のペースで投稿していく予定です。多量の加筆修正はしておりませんが、もしよろしければ、カクヨム版の方もご笑覧下さい。 ※作者が適当にでっち上げた、完全ご都合主義的世界です。細かいツッコミはご遠慮頂ければ幸いです。もし、目に余るような誤字脱字を発見された際には、コメント欄などで優しく教えてやって下さい。 ※検討の結果、「ざまぁ要素あり」タグを追加しました。

私、お母様の言うとおりにお見合いをしただけですわ。

いさき遊雨
恋愛
お母様にお見合いの定石?を教わり、初めてのお見合いに臨んだ私にその方は言いました。 「僕には想い合う相手いる!」 初めてのお見合いのお相手には、真実に愛する人がいるそうです。 小説家になろうさまにも登録しています。

神々の愛し子って何したらいいの?とりあえずのんびり過ごします

夜明シスカ
ファンタジー
アリュールという世界の中にある一国。 アール国で国の端っこの海に面した田舎領地に神々の寵愛を受けし者として生を受けた子。 いわゆる"神々の愛し子"というもの。 神々の寵愛を受けているというからには、大事にしましょうね。 そういうことだ。 そう、大事にしていれば国も繁栄するだけ。 簡単でしょう? えぇ、なんなら周りも巻き込んでみーんな幸せになりませんか?? −−−−−− 新連載始まりました。 私としては初の挑戦になる内容のため、至らぬところもあると思いますが、温めで見守って下さいませ。 会話の「」前に人物の名称入れてみることにしました。 余計読みにくいかなぁ?と思いつつ。 会話がわからない!となるよりは・・ 試みですね。 誤字・脱字・文章修正 随時行います。 短編タグが長編に変更になることがございます。 *タイトルの「神々の寵愛者」→「神々の愛し子」に変更しました。

まったく知らない世界に転生したようです

吉川 箱
ファンタジー
おっとりヲタク男子二十五歳成人。チート能力なし? まったく知らない世界に転生したようです。 何のヒントもないこの世界で、破滅フラグや地雷を踏まずに生き残れるか?! 頼れるのは己のみ、みたいです……? ※BLですがBがLな話は出て来ません。全年齢です。 私自身は全年齢の主人公ハーレムものBLだと思って書いてるけど、全く健全なファンタジー小説だとも言い張れるように書いております。つまり健全なお嬢さんの癖を歪めて火のないところへ煙を感じてほしい。 111話までは毎日更新。 それ以降は毎週金曜日20時に更新します。 カクヨムの方が文字数が多く、更新も先です。

転生能無し少女のゆるっとチートな異世界交流

犬社護
ファンタジー
10歳の祝福の儀で、イリア・ランスロット伯爵令嬢は、神様からギフトを貰えなかった。その日以降、家族から【能無し・役立たず】と罵られる日々が続くも、彼女はめげることなく、3年間懸命に努力し続ける。 しかし、13歳の誕生日を迎えても、取得魔法は1個、スキルに至ってはゼロという始末。 遂に我慢の限界を超えた家族から、王都追放処分を受けてしまう。 彼女は悲しみに暮れるも一念発起し、家族から最後の餞別として貰ったお金を使い、隣国行きの列車に乗るも、今度は山間部での落雷による脱線事故が起きてしまい、その衝撃で車外へ放り出され、列車もろとも崖下へと転落していく。 転落中、彼女は前世日本人-七瀬彩奈で、12歳で水難事故に巻き込まれ死んでしまったことを思い出し、現世13歳までの記憶が走馬灯として駆け巡りながら、絶望の淵に達したところで気絶してしまう。 そんな窮地のところをランクS冒険者ベイツに助けられると、神様からギフト《異世界交流》とスキル《アニマルセラピー》を貰っていることに気づかされ、そこから神鳥ルウリと知り合い、日本の家族とも交流できたことで、人生の転機を迎えることとなる。 人は、娯楽で癒されます。 動物や従魔たちには、何もありません。 私が異世界にいる家族と交流して、動物や従魔たちに癒しを与えましょう!

犬の散歩中に異世界召喚されました

おばあ
ファンタジー
そろそろ定年後とか終活とか考えなきゃいけないというくらいの歳になって飼い犬と一緒に異世界とやらへ飛ばされました。 何勝手なことをしてくれてんだいと腹が立ちましたので好き勝手やらせてもらいます。 カミサマの許可はもらいました。

記憶を失くして転生しました…転生先は悪役令嬢?

ねこママ
恋愛
「いいかげんにしないかっ!」 バシッ!! わたくしは咄嗟に、フリード様の腕に抱き付くメリンダ様を引き離さなければと手を伸ばしてしまい…頬を叩かれてバランスを崩し倒れこみ、壁に頭を強く打ち付け意識を失いました。 目が覚めると知らない部屋、豪華な寝台に…近付いてくるのはメイド? 何故髪が緑なの? 最後の記憶は私に向かって来る車のライト…交通事故? ここは何処? 家族? 友人? 誰も思い出せない…… 前世を思い出したセレンディアだが、事故の衝撃で記憶を失くしていた…… 前世の自分を含む人物の記憶だけが消えているようです。 転生した先の記憶すら全く無く、頭に浮かぶものと違い過ぎる世界観に戸惑っていると……?

幽閉王女と指輪の精霊~嫁いだら幽閉された!餓死する前に脱出したい!~

二階堂吉乃
恋愛
 同盟国へ嫁いだヴァイオレット姫。夫である王太子は初夜に現れなかった。たった1人幽閉される姫。やがて貧しい食事すら届かなくなる。長い幽閉の末、死にかけた彼女を救ったのは、家宝の指輪だった。  1年後。同盟国を訪れたヴァイオレットの従兄が彼女を発見する。忘れられた牢獄には姫のミイラがあった。激怒した従兄は同盟を破棄してしまう。  一方、下町に代書業で身を立てる美少女がいた。ヴィーと名を偽ったヴァイオレットは指輪の精霊と助けあいながら暮らしていた。そこへ元夫?である王太子が視察に来る。彼は下町を案内してくれたヴィーに恋をしてしまう…。

処理中です...