処刑された悪役令嬢は敵国に華麗に転生する

くしゃみ。

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近付く終わり

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「どうしてよ…早く処刑なさいよ!ねえ、ニコル!アドスティン!?ジョナード!ボビー!?」

 アリアの口から次々と男の名前が出てくる。ここに居た兵士や貴族たちの名前なのだとすぐに理解できた。兵士たちは戸惑っているようだ。自分の伴侶を手にかけることなんて出来ない。……出来なくて当然だ。

「ねえエド。処刑しましょうよ、ね?」
「……」

 エドワードは何も言わない。
 ただじっと、わたしとギル王子を見据えているだけだ。きっとこんなことは初めてなんだろう。アリアが動揺しているのがわたし達にも伝わってくる。

「エド…?ねえ、何か言ってよ…」

 沈黙を貫いているエドワードに、アリアは泣きそうだ。今まで散々甘やかされてきたから、この状況を理解したくないようだった。
 アリアは強く歯を噛み締めると立ち上がって一人の剣士から剣を奪い取る。それを見たギル王子が、剣を抜くのが見えて、思わずわたしは――――

「だめ!」

 ギル王子の腕に飛びついて、制止してしまった。アリアが剣を振りかぶるのが見える。ああ、なんだかデジャブだ。また同じことを繰り返してしまうのか……。

 全てがスローモーションに見える世界で、覚悟を決めて、瞳を閉じる。
 刃物が肉に突き刺さる音がする――が、痛みは感じない。顔に生暖かい液体が垂れてきて目を開ければ視界が真っ赤に染まった。

「あ…う、うそ……」

 …アリアの胸に、剣が突き刺さっている。剣は……帝国のモノだ。振り返ってみれば、冷ややかな目をしたお父様が二本目の剣を手にしている。

「帝国に仇なす狼藉を見過ごすわけにはいかん」
「どうして…帝国が……ああ、痛い…熱い……」

 お父様が、帝国が来てくれた。
 アリアは未だにこの状況を認められていないようだ。

 胸を貫く剣を震える手で抜くと体から更に血が溢れて、ドレスと床を汚す。

「どうして私が……何故…」

 アリアが、床へと倒れ込む。
 ギル王子は悲しい目で彼女を見下ろしていて……僅かに震える手を、わたしはそっと握り締めた。
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