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ガドル 2
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朝の仕事を時間ギリギリでこなした俺は、今日のプランが書かれた資料を確認しながら朝食を取っていた。
今日は政府のお偉い人が見学に来るし、市民の見学まで重なってるからいつもより気合が入っていた。と言うより緊張してるだけかも知れない。俺の可愛い子供達を政府の奴が気に入って地球に送ってしまわないか……お偉いさんの機嫌を損ねて援助金を打ち切られてしまうのではないか……なんて。しっかりしろよ俺、この施設は保育園じゃないんだぞ?今はまだ強制施設へ行く為の足掛かりでしかないんだから、政府の奴に気に入られて地球へ送られてもそれは名誉ある事。それに、援助金が打ち切られる事もない。ここから強制施設へ入った子供は……ほとんどが適正テストを合格し、改造人間にされた……。
この施設は……俺は、政府の奴らに高く評価されている……。
違う、俺のやりたい事はこんなのじゃないんだ!でも、分かってる。地球では今、機械と改造人間が地球を奪い合う戦争をしている事。ここで負けを認めたら月にも機械達はやって来て、そのうち人間は絶滅するだろう。
どうしようもない。
「それじゃーガドル君。また来るよ」
見学会は俺が心配していた事は何1つ起きる事もないままに終わった。それに政府のお偉いさんは子供達ではなく俺を見ていたようだから、ある程度の事は誤魔化せたし……全く、後でルルと反省会だ。なんでボールを投げるかなぁ?まぁドッジボール中だったから“この人は参加者じゃないよー”と言う言葉で市民見学者の笑いは取れたからよかった(?)ものの……。
本当はすぐにでもルルとの反省会を行いたかったが、パトロールを疎かにする訳にもいかず、結局反省会が出来たのは夜、消灯時間少し前だった。
「で、なんでボールを投げたんだ?」
ルルは何故俺が部屋まで来たのかが分かっていたようで、俺がそう尋ねるとスグに反応を返してきた。
「気に入らなかったからだ」
と。
「いくら気に入らないからっていきなり攻撃するのは良くない。それは分かるな?」
気に入らないってだけで攻撃出来るんなら、俺はもうとっくの昔に政府の奴らを殺している所だ。それだけじゃない、自分の母親でさえも……。
「だって……あいつガドルの事ズット見てたんだもん」
えぇっと、それっともしかしてヤキモチ?
ハハハ……ルルをここに置く経緯が不純なだけに笑えない!
「あの人は俺を見るのが仕事なんだよ。分かったな?今度あんな事したら……」
俺はここまで言った後で迷った。“今度あんな事したら”どうするつもりなんだ?強制施設に送るぞ。とでも言えば良いのか?
駄目だ、嘘でも冗談でもそんな言葉を口に出す訳にはいかない。ルルをここに呼ぶ口実だったとしても、ここにいる以上は俺の子供なんだ。その子供が1番怖がっている事を言葉に出すなんて最低だ。
「今度あんな事したら、お尻ペンペンの刑だからな!」
人差し指を立てて見せると、ルルは少し安心したように息を吐き、すぐに、
「え~ヤだよ。格好悪い」
と、膨れっ面を見せた。
「格好悪いから罰になるんだ」
“ヤダ”と何度も叩いて来るルルに“仕方ないだろ”と言いつつ、絶対に強制施設へ送らないと心に改めて誓った俺は、明日も早いのだと気持ちを引き締め自分の部屋に戻って早々に眠りについた。
次の日、いつもの時間にいつものように仕事をこなした俺は、1人遅れた昼食をとっていた。
最近は路上生活をしている子供の姿は見ないし、ここの子供達も笑いながら過ごしてくれるようになっているし、衣料も薬も今は十分充実しているからしばらくは物資の確保をしに広場に出向く事もない。つまり、かなり平和な時間が続いている訳だ。
でも、不謹慎な事に俺の心は荒んでいた。
暇になるといらない事まで考え、思い出したくもないのに昔の事なんかを思い出したりするからだ。特に、自分の部屋で1人でいる時は……。
5年も前になるんだな……と物思いに耽っているとルルがやって来た。この時間は外出を許されている時間だと言うのにだ。
「なぁガドル。俺の事……どう思ってんだ?」
子供のものとは思えない表情のルルは俺の視界に入って来ると、自分の服の襟元を大きく開けて肌を見せ付けて来た。
間違いなく俺は今試されているのだろう。
「急にどうした?」
だからって特別違った行動を見せるのは危険だと判断した俺は、至って普通に昼食を続ける。
実際ルルは俺にとって可愛い子供だし、改造人間になんかさせたくない。自ら進んで施設に行くと言ったって手放したくない程。そう思うのが本当の親なのだと思うのに、なのに何故親達は自分の子を改造人間の材料として政府に売るんだろう。
「急になんかじゃない!ここに来てからズット待ってんのに……俺、魅力ないのか?ガドルにとって俺は施設にいる子供の1人なのかよ!」
辛そうに顔を歪めたのも束の間で、ルルは恥ずかしげもなくシャツを脱ぎ去り、ゆっくりと近付いて来る。その表情、仕草……こういう事はやり慣れてしまっているのだろう、こういう事でしか愛を確かめられないのだろう。でも、俺がこの愛に答える事は出来ない。あくまでも俺はその施設の“お父さん”でルルは子供なのだから。それに俺はルルに対してある種特別な感情を抱いているのだ。
「俺にはルルと同じ年頃の弟がいたんだ」
そう言って自分の上着を脱いでルルにかけてやる。するとこの話に興味を持ったらしいルルは大人しく俺の顔を見つめた。
「名をジュタ。5年前……改造人間にされたんだ。俺のせいで……」
今思い出しても自分の不甲斐なさに情けなくなる。きっとジュタは今も俺を恨んでいるだろう……許される筈もない事を俺はしてしまったんだ。
「ガドルのせい?まさか、自分の弟を施設に送ったのか!?」
違う。
否……もっと酷い事をしたんだ。
「……今から5年前にこの施設を建てた……借金してな。俺は地道に返済していこうと思っていたんだ。丁度その頃、母が月に移住して来た。大金を持って……ジュタを売った金だったんだと後から知った……」
もしあの時母の援助を断り、もっと早くジュタの事を問いただしていれば、もしかしたらジュタは改造人間にされずに済んだかも知れない。俺がこの施設を作らなければ……。
「改造人間になった弟の姿見たのか?」
「否……訓練を終え前線に出る改造人間は1日だけ家族との面会をする。ジュタからの連絡は1度もない。けど、ジュタを知っている者から話しは色々聞けた」
「どんな?」
「酷く、やる気のない様子だと……。きっとジュタは俺を恨んでいる。許してもらおうとは思わないがちゃんと会って謝りたい」
怒り任せに殴られて命を失うのならそれもまた本望。でもジュタはそれさえもしないだろう。
前線に出るその日が来ても俺や母には会いに来ないだろう。
だから俺も改造人間になって無理にでも会おうとした。でも、この施設の評価が高いからという理由で断られた。俺には質の良い材料を育てて欲しいのだと政府のお偉いさんは言ったんだ。
「……俺が始めてここに連れて来られた時の事、覚えてる?」
俺の上着を脱ぎ、自分の服を着直したルルはそう言って懐かしそうに目を閉じた。
「覚えてるよ」
ルルが始めてここに連れて来られた時、それはもう半年も前の事で、今回保護するので多分6回目くらいになる。
「あの時ガドルは言ったんだ。自分から進んで施設に行くか、親が迎えに来るまではここにいて良いって」
それはここに来る子供全員に言う台詞で、ルルにだけ言った言葉じゃない。
「それで思ったんだ。どっちにしろ自分は改造人間になる他の道はないんだって。だから逃げた。でも何度逃げてもガドルは俺が辛くなるといつも迎えに来てくれた。見つけて欲しい時いつも見つけてくれた……俺なんかの為に必死になって追いかけてくれた。嬉しかったんだ……俺、本当にガドルの事好きなんだ」
部屋に入ってきた時の表情とは打って変わり、穏やかな笑みを浮かべたルルは、走って近付いて来ると軽くキスだけして出て行った。
ほのかに甘い香りがしたのは今日のおやつがケーキだったからか、それともルル自身の匂いだったのか……。
しかし……変な話しちまったな……。
明日は気分転換に遠足と称して近くの公園にでも行こうか?折角今は平和なんだし、それ位なら急にプランを変更したって大丈夫だろう。後、ルルに限らず皆に愛とは何かって勉強もしていこう。体を求めたりする事だけが愛じゃない。それをちゃんと教えれば、もしかしたら体を売ろうとする子も減るんじゃないだろうか?金を稼ぐ方法なんて探せば幾らでもある筈だし、何ならこの施設の手伝いとして雇っても良いかも知れない。そのテストとして明日からルルには仕事を手伝ってもらおうかな?
翌朝、俺はルルに施設の仕事を手伝って欲しいと提案をする事が出来なかった。何故ならルルは……深夜ここを抜け出し、単身強制施設へ行ってしまっていたからだ。何かの間違いだろうと何度もルルの残した置手紙を読むが間違いなく……でも、俺は納得出来ずに強制施設へバイクを走らせた。
朝のシャトルが出発する準備を整えているその横には、改造人間の材料として売られた子供達が不安そうな表情を浮かべて並んでいる。そんな中、真っ直ぐシャトルを見つめている子がいた。物怖じする事無く堂々としているのは紛れもなくルルだ。
「ルル!」
思わず声をかけたが俺の方へ駆け寄って来たのはルルではなく、いつも見学に来るお偉いさん。
「おはようございます。今朝貴方の施設にいた子が来ましてね、他の子達とは意欲が違いますよ。流石ですね」
ニコニコしながら俺を高評価したお偉いさん。その後ろから俺達に気付いたルルがゆっくりと歩いて来た。
「なんで……嫌だったんじゃなったのか?」
「ガドルの変わりに、弟に会って来るよ。俺、誰よりも強くなってスグに前線に出られるように頑張る。そしたら、会いに来て良い?」
笑顔でルルが言った後、シャトルの準備が整ったとのアナウンスが聞こえた。係りの者達が子供達をシャトルに忙しなく乗せていく。
「何年かかっても良い、絶対会いに来てくれ……約束だ!」
ルルが改造人間にされた事を知ったのは、それから僅か2日後の事だった。
今日は政府のお偉い人が見学に来るし、市民の見学まで重なってるからいつもより気合が入っていた。と言うより緊張してるだけかも知れない。俺の可愛い子供達を政府の奴が気に入って地球に送ってしまわないか……お偉いさんの機嫌を損ねて援助金を打ち切られてしまうのではないか……なんて。しっかりしろよ俺、この施設は保育園じゃないんだぞ?今はまだ強制施設へ行く為の足掛かりでしかないんだから、政府の奴に気に入られて地球へ送られてもそれは名誉ある事。それに、援助金が打ち切られる事もない。ここから強制施設へ入った子供は……ほとんどが適正テストを合格し、改造人間にされた……。
この施設は……俺は、政府の奴らに高く評価されている……。
違う、俺のやりたい事はこんなのじゃないんだ!でも、分かってる。地球では今、機械と改造人間が地球を奪い合う戦争をしている事。ここで負けを認めたら月にも機械達はやって来て、そのうち人間は絶滅するだろう。
どうしようもない。
「それじゃーガドル君。また来るよ」
見学会は俺が心配していた事は何1つ起きる事もないままに終わった。それに政府のお偉いさんは子供達ではなく俺を見ていたようだから、ある程度の事は誤魔化せたし……全く、後でルルと反省会だ。なんでボールを投げるかなぁ?まぁドッジボール中だったから“この人は参加者じゃないよー”と言う言葉で市民見学者の笑いは取れたからよかった(?)ものの……。
本当はすぐにでもルルとの反省会を行いたかったが、パトロールを疎かにする訳にもいかず、結局反省会が出来たのは夜、消灯時間少し前だった。
「で、なんでボールを投げたんだ?」
ルルは何故俺が部屋まで来たのかが分かっていたようで、俺がそう尋ねるとスグに反応を返してきた。
「気に入らなかったからだ」
と。
「いくら気に入らないからっていきなり攻撃するのは良くない。それは分かるな?」
気に入らないってだけで攻撃出来るんなら、俺はもうとっくの昔に政府の奴らを殺している所だ。それだけじゃない、自分の母親でさえも……。
「だって……あいつガドルの事ズット見てたんだもん」
えぇっと、それっともしかしてヤキモチ?
ハハハ……ルルをここに置く経緯が不純なだけに笑えない!
「あの人は俺を見るのが仕事なんだよ。分かったな?今度あんな事したら……」
俺はここまで言った後で迷った。“今度あんな事したら”どうするつもりなんだ?強制施設に送るぞ。とでも言えば良いのか?
駄目だ、嘘でも冗談でもそんな言葉を口に出す訳にはいかない。ルルをここに呼ぶ口実だったとしても、ここにいる以上は俺の子供なんだ。その子供が1番怖がっている事を言葉に出すなんて最低だ。
「今度あんな事したら、お尻ペンペンの刑だからな!」
人差し指を立てて見せると、ルルは少し安心したように息を吐き、すぐに、
「え~ヤだよ。格好悪い」
と、膨れっ面を見せた。
「格好悪いから罰になるんだ」
“ヤダ”と何度も叩いて来るルルに“仕方ないだろ”と言いつつ、絶対に強制施設へ送らないと心に改めて誓った俺は、明日も早いのだと気持ちを引き締め自分の部屋に戻って早々に眠りについた。
次の日、いつもの時間にいつものように仕事をこなした俺は、1人遅れた昼食をとっていた。
最近は路上生活をしている子供の姿は見ないし、ここの子供達も笑いながら過ごしてくれるようになっているし、衣料も薬も今は十分充実しているからしばらくは物資の確保をしに広場に出向く事もない。つまり、かなり平和な時間が続いている訳だ。
でも、不謹慎な事に俺の心は荒んでいた。
暇になるといらない事まで考え、思い出したくもないのに昔の事なんかを思い出したりするからだ。特に、自分の部屋で1人でいる時は……。
5年も前になるんだな……と物思いに耽っているとルルがやって来た。この時間は外出を許されている時間だと言うのにだ。
「なぁガドル。俺の事……どう思ってんだ?」
子供のものとは思えない表情のルルは俺の視界に入って来ると、自分の服の襟元を大きく開けて肌を見せ付けて来た。
間違いなく俺は今試されているのだろう。
「急にどうした?」
だからって特別違った行動を見せるのは危険だと判断した俺は、至って普通に昼食を続ける。
実際ルルは俺にとって可愛い子供だし、改造人間になんかさせたくない。自ら進んで施設に行くと言ったって手放したくない程。そう思うのが本当の親なのだと思うのに、なのに何故親達は自分の子を改造人間の材料として政府に売るんだろう。
「急になんかじゃない!ここに来てからズット待ってんのに……俺、魅力ないのか?ガドルにとって俺は施設にいる子供の1人なのかよ!」
辛そうに顔を歪めたのも束の間で、ルルは恥ずかしげもなくシャツを脱ぎ去り、ゆっくりと近付いて来る。その表情、仕草……こういう事はやり慣れてしまっているのだろう、こういう事でしか愛を確かめられないのだろう。でも、俺がこの愛に答える事は出来ない。あくまでも俺はその施設の“お父さん”でルルは子供なのだから。それに俺はルルに対してある種特別な感情を抱いているのだ。
「俺にはルルと同じ年頃の弟がいたんだ」
そう言って自分の上着を脱いでルルにかけてやる。するとこの話に興味を持ったらしいルルは大人しく俺の顔を見つめた。
「名をジュタ。5年前……改造人間にされたんだ。俺のせいで……」
今思い出しても自分の不甲斐なさに情けなくなる。きっとジュタは今も俺を恨んでいるだろう……許される筈もない事を俺はしてしまったんだ。
「ガドルのせい?まさか、自分の弟を施設に送ったのか!?」
違う。
否……もっと酷い事をしたんだ。
「……今から5年前にこの施設を建てた……借金してな。俺は地道に返済していこうと思っていたんだ。丁度その頃、母が月に移住して来た。大金を持って……ジュタを売った金だったんだと後から知った……」
もしあの時母の援助を断り、もっと早くジュタの事を問いただしていれば、もしかしたらジュタは改造人間にされずに済んだかも知れない。俺がこの施設を作らなければ……。
「改造人間になった弟の姿見たのか?」
「否……訓練を終え前線に出る改造人間は1日だけ家族との面会をする。ジュタからの連絡は1度もない。けど、ジュタを知っている者から話しは色々聞けた」
「どんな?」
「酷く、やる気のない様子だと……。きっとジュタは俺を恨んでいる。許してもらおうとは思わないがちゃんと会って謝りたい」
怒り任せに殴られて命を失うのならそれもまた本望。でもジュタはそれさえもしないだろう。
前線に出るその日が来ても俺や母には会いに来ないだろう。
だから俺も改造人間になって無理にでも会おうとした。でも、この施設の評価が高いからという理由で断られた。俺には質の良い材料を育てて欲しいのだと政府のお偉いさんは言ったんだ。
「……俺が始めてここに連れて来られた時の事、覚えてる?」
俺の上着を脱ぎ、自分の服を着直したルルはそう言って懐かしそうに目を閉じた。
「覚えてるよ」
ルルが始めてここに連れて来られた時、それはもう半年も前の事で、今回保護するので多分6回目くらいになる。
「あの時ガドルは言ったんだ。自分から進んで施設に行くか、親が迎えに来るまではここにいて良いって」
それはここに来る子供全員に言う台詞で、ルルにだけ言った言葉じゃない。
「それで思ったんだ。どっちにしろ自分は改造人間になる他の道はないんだって。だから逃げた。でも何度逃げてもガドルは俺が辛くなるといつも迎えに来てくれた。見つけて欲しい時いつも見つけてくれた……俺なんかの為に必死になって追いかけてくれた。嬉しかったんだ……俺、本当にガドルの事好きなんだ」
部屋に入ってきた時の表情とは打って変わり、穏やかな笑みを浮かべたルルは、走って近付いて来ると軽くキスだけして出て行った。
ほのかに甘い香りがしたのは今日のおやつがケーキだったからか、それともルル自身の匂いだったのか……。
しかし……変な話しちまったな……。
明日は気分転換に遠足と称して近くの公園にでも行こうか?折角今は平和なんだし、それ位なら急にプランを変更したって大丈夫だろう。後、ルルに限らず皆に愛とは何かって勉強もしていこう。体を求めたりする事だけが愛じゃない。それをちゃんと教えれば、もしかしたら体を売ろうとする子も減るんじゃないだろうか?金を稼ぐ方法なんて探せば幾らでもある筈だし、何ならこの施設の手伝いとして雇っても良いかも知れない。そのテストとして明日からルルには仕事を手伝ってもらおうかな?
翌朝、俺はルルに施設の仕事を手伝って欲しいと提案をする事が出来なかった。何故ならルルは……深夜ここを抜け出し、単身強制施設へ行ってしまっていたからだ。何かの間違いだろうと何度もルルの残した置手紙を読むが間違いなく……でも、俺は納得出来ずに強制施設へバイクを走らせた。
朝のシャトルが出発する準備を整えているその横には、改造人間の材料として売られた子供達が不安そうな表情を浮かべて並んでいる。そんな中、真っ直ぐシャトルを見つめている子がいた。物怖じする事無く堂々としているのは紛れもなくルルだ。
「ルル!」
思わず声をかけたが俺の方へ駆け寄って来たのはルルではなく、いつも見学に来るお偉いさん。
「おはようございます。今朝貴方の施設にいた子が来ましてね、他の子達とは意欲が違いますよ。流石ですね」
ニコニコしながら俺を高評価したお偉いさん。その後ろから俺達に気付いたルルがゆっくりと歩いて来た。
「なんで……嫌だったんじゃなったのか?」
「ガドルの変わりに、弟に会って来るよ。俺、誰よりも強くなってスグに前線に出られるように頑張る。そしたら、会いに来て良い?」
笑顔でルルが言った後、シャトルの準備が整ったとのアナウンスが聞こえた。係りの者達が子供達をシャトルに忙しなく乗せていく。
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