大物mogurar純平の異世界物語

漆黒の電気鼠

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純平、ギルドに登録する

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純平side

俺たちは軽い自己紹介やこれからのことを話しながら街へ馬で向った。
もちろん乗馬の経験などないので騎士(クロキーシ)の後ろに乗せてもらった。
そして馬に乗ること数十分。
「見えたぞ、あれがヨウツベ王国の首都、ヘカキンの街だ。」
クロキーシが指さす方向には大きな街が見えた。
とても大きいだで。ワクワクするだで。
街につくとクロキーシが俺に袋を渡してきた。
「餞別だ。仕事が見つかるまではそれを使え」
そういって俺を馬からおろすクロキーシ。
「手っ取り早く稼ぎたいならギルドに入るのがおすすめだ。俺はこの街の騎士団長だから困ったら遠慮せずに来い」
それから、とクロキーシが続ける。
「お前は一人じゃない。俺がいる。0じゃない、わかったな」
「クロキーシ…」
じゃあな、そういって馬に乗りクロキーシは去っていく。
俺はクロキーシの背が見えなくなるまで彼の向かった方向を見ていた。
「ありがとう…」
気が付くと俺は感謝の言葉を呟いていた。
今までの俺ならこの金で遊んで、無くなったら彼にまた助けを求めていたんだろうなぁ。
でも今の俺は違う!異世界に来てまで乞食でいるのか?否!断じて否だ!
次に会うときにはこの金を返せるくらい稼いでおこう。そう胸に近い、俺はギルドへと歩き出した。


「ここがギルドか…」
さっきから格好いい装備を身につけた人たちが出入りしている。
俺は勇気を出して中に入った。中に入るとすぐに受付から声をかけられた。
「ギルドへの登録希望の方ですか?」
薄い緑の髪、整った顔立ちに大きな紫の瞳の美人。
すごい可愛えなぁ。そう思いながら受付に近づくと

ゴンッ!!

額に衝撃が走った。
その直後、笑い声があたりに響く。
「ガハハハハッ!何にも無いところで転んでんじゃねーよ、間抜け!」
「ぷくくっ…、やめろよシタバ。お前が足出しただろ、ぷっ」
「ここはお前みたいな餓鬼が来るところじゃないぞ!」
後ろを振り向くと3人の男たちが腹を抱えて笑っている。
どうやらこいつらが足を引っかけたらしいな。
「餓鬼じゃないです、32歳です」
俺がそういうと3人は顔を見合わせてまた笑いだした。
「おっさんじゃねえか、悪かった悪かった。餓鬼じゃねえよな(笑)」
「ていうか32歳で登録とか史上最高齢じゃね?」
「今までどこで働いてたんだ?貝塚かぁ?」
心の中で『いつか見返してやる』と思い、俺は三人を無視して受付のお姉さんに話しかける。
「ギルドの登録をお願いします」
受付のお姉さんは素晴らしい営業スマイルとともに慣れた手つきで登録を進める。
「ではこちらの用紙への記入と、銀貨1枚が必要ですがよろしいですか?」
お金がいるのか…そう思いながら貰った袋から銀貨を一枚取り出して登録用紙に記入していく。
名前の他には得意武器や使えるスキルなど書く場所があったが任意とのことなので空白にしておいた。
(まだ俺自分のスキルよくわかってないしなぁ)
「はい、ジュンペイさんですね。ギルドへようこそ!」
「ありがとだで。これからよろしくね」
純平はお姉さんとは違う意味で素晴らしい笑みを浮かべてお礼の言葉を述べる。
受付嬢のひきつった笑顔に気づかずギルドを出ようとすると、先ほどシタバと呼ばれた男が立ちふさがる。
「何ですか?」
「お前にこのギルドについて色々教えてやろうと思ってな」
目の前で見てみるとシタバはかなりの巨体でとてつもない威圧感を放っている。
結構です、俺は震えながらそう口にしたがシタバ以外の二人が俺の両脇を抱えて引きずっていく。
「た、たすけて~~!」
「訓練場借りるぜ」
シタバは純平の悲鳴を無視して受付嬢にそう言い残し、奥へと進んでいく。
俺は頑張って抵抗したが二人に引きずられ、訓練場まで連れていかれた。
「じゃあ、まず戦闘訓練してやるよ」
シタバが口をゆがませながら近づいてくる。
これから始まる訓練と言う名のリンチに対して、俺は驚くほど冷静だった。
恐怖は感じず、諦めの気持ちもなかった。
『勝てる』という確信。理由はない。根拠もない。
ただ、己の負ける姿を想像できなかった。
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