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第1話:異世界召喚と最初の出会い
しおりを挟む辺り一面に広がるのは、むせ返るような甘い香りと、石畳の冷たさだった。
「ん……んん……?」
俺、黒峰 蓮(くろみね れん)は、ぼんやりとする頭でゆっくりと目を開けた。さっきまで、近所のコンビニで買った新作のエナジードリンクを片手に、深夜アニメの録画を見ていたはずだ。いつの間にか寝落ちして、変な夢でも見ているのだろうか。
見慣れない天井。いや、天井というよりは、薄暗い洞窟の岩肌に近い。足元には、紫色の燐光を放つ複雑な魔法陣のようなものが描かれており、その中心に俺は座り込んでいるようだった。
「こ、ここは……?」
状況が全く飲み込めない。ゆるい天然パーマの短髪をガシガシとかきながら周囲を見回すと、ローブを深く被った数人の人影が、俺を囲むように立っているのが見えた。
「目覚められましたか、勇者様」
しわがれた声が洞窟に響いた。声の主は、一際大きな杖を突き、フードの奥から鋭い眼光を向けてくる老人だった。
勇者様? まるでラノベの導入だ。しかし、頬をつねってみると、ジンジンとした確かな痛みがある。夢じゃない。
「あの……どちら様で? 俺、なんでこんなところに?」
「我らは、この地を脅かす魔の軍勢に抵抗する者。古の秘術を用い、異世界より救世主たる勇者様を召喚いたしました」
「召喚……俺が?」
にわかには信じられない話だが、この状況は確かに普通じゃない。黒髪短髪、ゆるい天然パーマのどこにでもいるような俺が、勇者だなんて。
老魔術師らしき人物が、ゆっくりと俺に近づいてくる。その隣には、鎧を着込んだ騎士風の男と、そして――俺の視線は、その女性に釘付けになった。
彼女は、ウサギの耳を生やした亜人の少女だった。長い耳はぴくぴくと揺れ、不安げに俺を見つめている。歳は俺と同じくらいか、少し下だろうか。何より目を引いたのは、その豊満な身体つきだ。薄手の簡素な服の上からでもわかる、柔らかそうな胸と、キュッとくびれた腰から流れるように広がる、丸みを帯びた大きな尻。太ももも、むっちりとしていて、実に、実に素晴らしい。
俺はゴクリと喉を鳴らした。自覚はある。俺には特殊な性癖がある。まず、くすぐりフェチ。人が笑い悶える姿に興奮する。次に、髪の分け目の匂いフェチ。シャンプーとは違う、その人固有の頭皮の匂いがたまらない。そして、何より大きいお尻フェチ。特に、弾力がありそうな「ムチムチ」とした肉付きの良い身体が大好物なのだ。
目の前のウサギ耳の少女は、まさに俺の琴線に触れる存在だった。特に、あの尻。思わず手が伸びそうになるのを必死でこらえる。
「勇者様、どうか我らをお救いください。このままでは、我々の集落は……うっ……」
少女が涙ぐみながら訴えかけてくる。その声は鈴を転がすように可憐で、守ってあげたいという気持ちがむくむくと湧き上がってきた。もちろん、下心がないと言えば嘘になるが。
「……話が急すぎて、まだよくわからないんですが」俺は正直に答えた。「とりあえず、状況を詳しく教えてもらえませんか?」
老魔術師は頷き、語り始めた。
この世界「アルトリア」は、長らく平和だったが、数年前から突如として魔物たちが活性化し、各地で人々を襲い始めたこと。彼らは「ミミナ族」という兎人族の生き残りで、森の奥深くに隠れ里を築いて暮らしていたが、最近になって強力な魔物の群れに目をつけられ、存亡の危機に瀕していること。そして、最後の望みを託して、伝説に残る「異世界の勇者召喚」の儀式を行ったのだという。
「なるほど……。それで、俺に何をしろと?」
「魔物の軍勢を打ち払い、我らを、そしてこの世界を救っていただきたいのです!」
騎士風の男が、力強く言った。
うーん、いきなり世界を救えと言われても、俺はただの現代日本の若者だ。特殊な力なんてない。……はずだ。
「勇者様には、召喚の際に特殊な力が宿っております。それは、この世界の理から外れた、未知なる可能性……」
老魔術師がそう言うと、俺の掌に淡い光が集まるのが見えた。なんだこれ?
「それは『盟約の力』。勇者様が心から認め、仲間と定めた者と魂の絆を結び、その者の力を引き上げ、また勇者様自身も成長する力でございます。多くの種族と絆を結び、王国を築き上げた古の勇者の伝承もございます」
仲間を増やして、王国を作る。まるで某スライムの物語みたいだ。だが、悪くない。むしろ、ワクワクするじゃないか。
そして、目の前には、俺の性癖にどストライクな少女がいる。これはもう、運命としか言いようがない。
俺はニヤリと口角を上げた。
「わかりました。微力ながら、協力させてもらいます。ただし、俺は勇者なんて大層なものじゃない。ただのレンです。そう呼んでください」
「おお……! ありがとうございます、レン様!」
ミミナ族の少女――名をルナというらしい――が、ぱあっと顔を輝かせた。その瞬間、彼女の豊かな胸がぽよんと揺れ、俺の視線は自然とそちらに吸い寄せられる。いかんいかん、今は真面目な場面だ。
「それで、具体的にはまず何をすればいいんですか?」
「まずは、我々の集落へご案内いたします。道中、魔物に襲われるやもしれませぬが、レン様のお力があれば……」
老魔術師が言いかけたその時、洞窟の入り口から、獣の咆哮のようなものが聞こえてきた。
「来たか!」騎士が剣を抜く。
ルナは恐怖に身を震わせ、長い耳をへにょりと垂らした。その姿がまた庇護欲をそそる。俺は彼女の肩にそっと手を置いた。
「大丈夫。俺がついてる」
根拠のない自信だったが、なぜかそう言える気がした。彼女の柔らかそうな肩の感触、そしてふわりと漂ってきた、甘いような、少し青臭いような……彼女の髪の分け目から香る匂いに、俺の心は妙な高揚感を覚えていた。
(この匂い……たまらないな。もっと嗅ぎたい。そして、あの尻……いつか、思いっきり堪能してやる)
俺は内心でそんなことを考えながら、洞窟の入り口を睨みつけた。これから始まる異世界生活。仲間を増やし、自分だけの王国を作る。そして、様々な種族の魅力的な仲間たちと……ふふふ、楽しみで仕方がない。
まずは、このか弱くも魅力的な兎人族の少女、ルナとの絆を深めることから始めよう。彼女のあの大きな尻を、いつか心置きなく堪能できるようになるためにも。そして、あの長い耳や脇腹をくすぐって、心ゆくまで笑わせてみたいものだ。
「さて、お手並み拝見と行こうか、異世界の魔物さん?」
俺は不敵な笑みを浮かべ、未知なる冒険への第一歩を踏み出す覚悟を決めた。ゆるふわ天然パーマの勇者の、波乱に満ちた(そしてちょっぴりエッチな)王国建国記が、今、幕を開ける。
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