異世界デビューに失敗したので現地の少年を最強系主人公に育てたいと思います。

にしだ、やと。

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6. このおっさん、出来る……っ‼︎

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「お、目が覚めたか? 少年」
「あれ? ここは……」

 セイロが目を覚ましたお陰で、俺も現実に戻ってこれた。
 どうやら予想通り、俺とセイロとは感覚を共有しているらしい。というよりは俺がセイロの感覚を盗み見ている方が近いか?
 ともかく、起きたら目の前におっさんがいた。多分年齢は三十前後。前世の俺よりは少し年上だな。ベッドの横に置いた椅子に座って、パラパラと本を読んでいたみたいだ。

「ここはメイクラッドのハンターズギルド、に併設された宿舎だ。少年は大した怪我もしてなかったからな、医務室のベッドには限りがあるしこっちで寝かせてたんだ」
「えと……助けてもらえた、ってことですか?」
「はっはっは、そうだな。半分はそれで合ってる。感謝しろよ?」

 悪戯っぽく笑うおっさんは、随分人が良いようだ。
 セイロからも緊張感が少し抜けたみたいだし、このおっさん、さては子供の扱いに慣れてるな?

「半分?」
「ああとも。もう半分は君自身が自分で助かったようなもんだからな」

 なるほど。つまりこのおっさんは俺がやったアレを見たってわけだ。
 あるいは状況から推理したか? どっちにしろ、只者ではなさそうだ。

「すみません、よく覚えてなくって……」
「ふむ、危機的状況に陥って潜在的な力が一時的に覚醒した、か? 君、名前はなんといったかな」
「セイロです」
「セイロか。セイロ、ちょっと手を出してくれるか」
「えっと、こうでいいですか?」

 身を起こしたセイロが右手をおっさんに差し出すと、彼はその手を取って何かし始めた。
 これは……魔力を流し込んできているのか?
 まさかセイロの体を調べてる? よく分からんが、いま俺の存在がバレるのはまずい。
 なんとか誤魔化そう。

「ふむ、特におかしなところはないか……潜在魔力量は大きそうだが、一度きちんと調べてみないとなんともいえんな。ありがとう、もういいよ」

 よかった。
 念のため俺の存在ごとセイロの魔力に見えるように偽装してみたが、上手くいったみたいだ。
 きちんと調べるとか言ってるしその時にどうなるかは分からないが、少なくとも普段はこの状態を保っておけば誰かにバレることはないだろう。

「あの、聞きたいことが……」
「ん? ああ、君のご両親のことか? 二人なら無事だよ。ただ怪我はしてるから医務室で安静にしてもらってるがな。後で会いにいくといい」
「はい、ありがとうございます‼︎ えっと」
「ああ、名乗ってなかったか。俺はローシュだ。しがないハンターをやっている。わかると思うが、一応魔術も嗜んでいる」

 ほほう、ハンターとな?
 この世界にはハンターなる職業がある、と。そいつはいいことを聞いた。
 夢が広がリングだ。いつかセイロにその道を歩ませてやろう。きっと男の子の憧れの職業トップファイブにはランクインしてるだろうし。
 というか俺がやりたい。

「失礼します、ローシュさん。調査の件でお話が……って、あ! 目が覚めたんですねっ」

 しばらくローシュと話していると、扉をノックする音がして女性が入ってきた。
 セイロが起きているのを見るなり嬉しそうにしていたから、この人も間違いなく良い人だ。

「ああ、ついさっきね」
「良かったです……もう三日も目を覚まさないので心配してました」
「おそらく魔力を使いすぎたんだろう。お腹も空いてるだろうし、あとで食事を手配してやってくれ」
「はい、それはもちろん! ……あ、それでローシュさん、お話が」
「ああ、そうだったな。すまない、セイロ。ちょっと俺は席を外すことにするよ。また後でくる」

 そう言って立ち上がり部屋を出て行こうとするローシュに、セイロが声をあげた。

「あ、あの!」
「うん?」

 何かまだ用かな、とローシュは振り返る。

「僕を……僕たちを助けてくれてありがとうございました‼︎」
「はっはっは、礼はいらんさ」

 嬉しそうに笑いながら、ローシュは軽く手を挙げてセイロに応えた。
 カッコいいなあ、なんてセイロが感じている気持ちが俺によく伝わってきて、ちょっと照れくさい気持ちになった。

 ほんと、セイロは良い子だなあ。
 うん、決めた。絶対こいつをあのおっさん以上の腕前に育ててあげてやろう。そんでもって、恩返しをする手助けをしてやろう。
 そのためにもまず、この世界、特に魔法について詳しく知る必要がある。

 なんてことを俺が密かに決意した、翌日のことだった。
 転機があちらさんの方からやってきてくれたのである。

「なあセイロ、お前さん、魔術を学んでみる気はないか?」
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